2018年5月31日木曜日

英研究者グループ、人工角膜を3Dプリントで作成することに世界で初めて成功

英国・タインアンドウィア州発:将来、バイオ3Dプリントで作成した人工角膜で、全世界の 1,000 万人が光を取り戻せるようになるかもしれない。

ニューカッスル大学の再生医療研究者 Che Connon 教授率いる研究グループはこのほど、人間の幹細胞から作られたバイオインクを使用して人工角膜を3Dプリントで作成することに世界で初めて成功した。同グループの研究成果は学術誌 Experimental Eye Research 電子版最新号で発表された。

Connon 教授らによると、健康な人の角膜から採取した幹細胞にアルギン酸ゲル、コラーゲンを加えた混合ゲルから作られたバイオインクを原料として使用したという。このバイオインクのカートリッジを市販のシンプルなバイオ3Dプリンターのノズルにセット。バイオ3Dプリンターにはあらかじめ実際の人の角膜の精密な3Dデータをテンプレートとして読み込ませてあり、プリントアウトされた人工角膜は、ゲル基盤上にコンタクトレンズ状の形状に生成されて出力される仕組み。

今回はあくまで概念実証段階であり、人工角膜移植といった患者への応用はただちにはできない。とはいえ、現在の角膜移植手術はすべて角膜提供者からの提供に頼っている現状を大きく変えられる可能性を秘めている。Connon 教授のグループによると、この画期的な新方式が失明した人に応用可能となったとき、たとえばひとりの提供者から提供された角膜細胞から 50 人分の人工角膜が作成可能になるだろうとしている。




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2018年5月15日火曜日

3DPrinterOS と Microsoft がクラウド管理型3Dプリンターソフトバンドルを発表

米国カリフォルニア州発:Microsoft はこのほど、クラウド型3Dプリンター OS プラットフォーム 3DPrinterOS(運営主体 3D Control Systems Ltd )と協同で、企業ネットワーク内での3Dプリンター導入を容易にするソフトウェアバンドルを発表した。

今回発表された両社の新ソフトウェアバンドルは Microsoft Azure クラウドプラットフォームを介して、ユーザー企業側がイントラネット内で3Dプリンターの展開を安全かつ容易に行える仕組み。Fortune 500 リスト企業の約9割がすでに Microsoft Azure の契約ユーザーであり、Azure 経由でただちにソフトウェアバンドルを展開可能になる。

ユーザーは事前承認済み IT ソリューションを3Dプリンターのセキュアな管理に使用でき、さらに ISO 27001 や HIPAA といったセキュリティおよび個人情報保護関連の基準に準拠した Azure クラウド上で 3DPrinterOS のサービスが利用可能になり、イントラネット経由でファイル等の共有もできる。ユーザー企業の IT 担当部門は、Azure のセキュアなクラウドにアクセスできればどこにいても3Dプリントが実行でき、同時に多数のエンジニアもユーザー企業側のイントラネット経由でアクセス可能だ。

3DPrinterOS の対応3Dプリンターは Ultimaker、MakerBot、LulzBot など。

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2018年5月13日日曜日

皮膚組織が再生可能な新型バイオ3Dプリンターの試作機を開発

カナダ・オンタリオ州発:トロント大学の研究者グループはこのほど、人間の皮膚組織を再生可能なバイオ3Dプリンターの試作機を開発し、ナノテクノロジー関連専門誌 Lab on a Chip 電子版上に発表した。

同グループによると、今回開発したのは皮膚細胞、コラーゲンおよび線維素(フィブリン)から構成される特殊ゲルを使用したバイオ3Dプリンター。ラベルプリンターとグルーガンのハイブリッドのような外観を持つ試作機は、水圧を利用してバイオインクを押し出す仕組み。皮膚上に生じた傷口をこのバイオインクが覆って、皮膚組織を再生させるというもの。

現在、臨床試験には被験体となる動物保護や、人体の場合には時間がかかりすぎる等、解決すべき問題がある。だがこのようなバイオ3Dプリンターを導入すれば、医療現場で安価に、そして容易に代替治療が行えるようになる。同グループ研究主筆らは、将来的には交換可能なカートリッジ式システム開発を目指すとしている。



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2018年5月6日日曜日

ターメリックパウダー成分配合のセラミック3Dプリントで骨組織再生率が 30 % 以上も向上

米国ワシントン州発:ワシントン州立大学の研究者グループはこのほど、骨組織にカレー原料のひとつターメリックパウダーに含まれる成分を配合した足場材をセラミック3Dプリントで生成したところ、骨組織が 30 - 45% ほど多く再生できたと専門誌 Materials Today Chemistry 電子版上に発表した。

今回の研究では生物的適合性セラミック素材から3Dプリントで足場材を生成し、そこに骨組織増加を促進する細胞を移植。これは骨粗鬆症などの骨疾患に用いられる手法だが、現行方式には骨組織再生サイクルとバランスがとれない、または骨組織の組成上の問題があった。

そこで同グループはターメリックパウダーに含まれる有効成分クルクミンを親水性ポリマーに封じ込め、それを3Dプリントで生成したリン酸カルシウムの足場材にコーティング。すると新しく再生した骨組織細胞および血管組織の活性力と増殖力がともに向上。自然治癒力も従来方式より高まったという。

天然由来成分には消炎作用や感染制御、および抗癌特性といった利点が多く含まれており、同グループでは今後、アロエベラ抽出物、サフラン、ビタミンD、ニンニク、オレガノ、ショウガといった天然に見出される有効成分を骨疾患治療に応用できないか検討するという。

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