米国カリフォルニア州発:パーキンソン病は手指の震えや体の硬直、動作緩慢や移動困難といった運動機能障がいを伴う神経変性疾患で、世界で 1,000 万人以上が罹患していると考えられている。
現状では根本的治療法がなく、早期発見と診断が頼みだが、生前診断の正診率は運動障がい疾患の専門家でさえ8割台にとどまる。病理変化を反映する脳脊髄液中のタンパク質や化合物レベルを計測するバイオマーカー(サロゲートマーカー)に基づく診断法はあるが、こちらは専門機器や、高度な訓練を受けた医療専門家が必要だ。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者グループはこうした問題を解決すべく、パーキンソン病特有の運動機能疾患を簡単に判別できるペンデバイスを開発、3Dプリントで製作した。
同グループによると、この3Dプリントペンデバイスの「ペン先」には磁性インクが充填され、デバイスを紙などの表面に接地させて動かすと、ペン先の磁気特性が変化する。中のインクが動くことでペン内部の金属コイルに電位差が発生し、電流信号が記録される。これで、筆記時の手指の震えを数量化する仕組みだという。
また同グループは、被験者が紙の上や空中に波線や渦巻きを描いたり、文字を書いたりしたときに発する信号が、手指の動きを正確に反映していることを発見した。次に、さまざまな AI 機械学習モデル(MLモデル)を活用して、16 人の被験者(3人はパーキンソン病患者)がこのペンデバイスを動かしたときの電流信号を分類した。その結果、ある ML モデルは学習後、パーキンソン病患者と健常者とを 96.22 %の平均精度で判別可能なことが明らかになったという。
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