2021年12月17日金曜日

米研究者らが4Dプリンティングに遠隔操作される脆弱性を警告

米国ニュージャージー州発:4Dプリンティング技術にあらたな脆弱性が見つかったとセキュリティ研究者らが警告している。4Dプリンティングは、熱や湿気などの刺激にさらされると形状変化する部品製造を可能にする新技術。たとえば、ある温度に達すると自動開閉するバルブや、2Dシートがある温度を超えると複雑な3Dオブジェクトへと自律的に変化する、といったことが可能になる。
ラトガース・ニュージャージー州立大学(ニューブランズウィック)の Tuan Le 氏らによると、今回見つかったのは、攻撃者が遠隔で4Dプリンターを乗っ取る可能性がある脆弱性。もし航空機や医療機器などのクリティカルな用途で使用した場合、「壊滅的障害」を引き起こす恐れがあるという。
予防措置として研究者らが一様に推奨しているのは、CT スキャンだ。CT スキャンは既存のどの方式よりも、改ざんの検出に優れていると述べている。試験結果によれば、30分間のスキャンで、ハッキングされたプロペラを正常な工程で製作されたプロペラと識別できた確率は 94.6% だったという。
他の回避策としては、1回限りの用途の製品の製作ならば製品検査を徹底すること、そして何よりも品質管理を徹底することに尽きると述べている。

2021年11月28日日曜日

英眼科病院が世界初のフルデジタル・3Dプリント義眼を患者に装着

英国発: ロンドンの眼科専門機関ムーアフィールズ病院はこのほど、フルデジタル・3Dプリントのみで製作された義眼を世界で初めて患者に適用したと発表した。
同病院医師によると、臨床試験でこの新技術が多くの患者に有効なことが証明され、義眼待ちの時間を少しでも減らせるものと期待する。
従来工法によるアクリル製義眼は眼窩形成で侵襲的処置が必須で、未成年者の患者では全身麻酔をかけなければならないケースがあるなど相当の困難が伴っていた。
義眼製作手順は、まず眼窩の簡単な3Dスキャンを行い、3Dプリンター用に患者の眼窩モデルを作成する。患者の正常に機能する眼球もスキャンを行って、義眼の精度を高めている。こうして作られた3Dデータが3Dプリンターに送られてプリントアウトされる。
3Dプリント義眼を装着した患者の Steve Verze 氏(47)は、「20歳から義眼を必要としていたが、問題は見た目の悪さ。しかしこの新しい3Dプリント義眼はすばらしい。今後どんどん改善されていくことでしょう」と喜ぶ。
現在の義眼製造工程は完成までに 6週間を要する場合があるが、3Dプリント義眼ではその時間は半分に短縮され、3Dスキャニングによって正確な義眼製作も可能になった。

2021年11月15日月曜日

3Dプリントソリューション国際見本市「 Formnext 2021 」が1年半ぶりに開幕

ドイツ発:11 月 16 ~ 19 日、積層造形(AM)と3Dプリントソリューションの国際見本市「 Formnext 2021 」が1年半ぶりにメッセ・フランクフルトで開催される。
今回は新型コロナウイルスのパンデミックで北米およびアジア地域の企業が渡航制限を受けている影響もあり、出展企業は欧州拠点社が中心になる模様。今回の出展企業は 600 社、うち海外企業の出展は半数余りと見られる。2019年に開催された前回の Formnext には出展企業 852、参加者は延べ 34,532 人の参加者が来場した。
おもな出展予定企業の内訳は次のとおり。
3Dプリンター関連: Nexa3D(米国、大量生産向け3Dプリントソリューション新製品および樹脂ソリューション)、Mimaki(日本、UV硬化インクジェット方式小型3Dプリンター 3DUJ-2207)、FuseLab(ベルギー、金属加工用3Dプリンター FL300Mの初出展)、他に Ricoh(日本)など。
押し出し技術関連:Essentium(米国、デュアルエクストルーダー HSE 240 HT)、Anisoprint(露、造形容積 600 x 420 x 300 mm の PROM IS 500 の出展)、Roboze(米国、自動化機能を進化させた大型3Dプリントソリューション ARGO 1000 の初出展)
産業用後処理ソリューション関連:XJet(イスラエル、サポート材スムーズ除去ソリューションの SMART)、AM Solutions(伊、残留粉体除去、金属加工物表面の均質化および平滑化を可能にする新製品 S1 Wet などの展示)、他にLincotek(伊)、Mimete(同)、WASP(同)など。

2021年10月21日木曜日

歯科3Dプリントの SprintRay Inc. が Usain Bolt 氏とパートナーシップ提携へ

米国カリフォルニア州発:デジタルデンティストリー(デジタル歯科)とメディカル3Dプリントソリューションの業界リーダー SprintRay Inc. はこのほど、ジャマイカの元陸上競技短距離選手 Usain St. Leo Bolt(ウサイン・ボルト)氏と5年間のパートナーシップを締結した。
同社と Bolt 氏はジャマイカ歯科医師会と協力して、世界クラスのデジタル歯科医療をジャマイカで利用できるようにすることを使命とした「 Bolt Labs, powered by SprintRay 」の立ち上げ資金も提供する。
同ラボプロジェクトの一環として、SprintRay 基金はボルト基金と共同でジャマイカ国内に歯科クリニックを設立する。これは3Dデンタルラボや移動式ユニットを含み、遠隔地居住者をはじめ、大人から子供まで、すべてのジャマイカ市民の歯科ニーズに対応できるようにするための施設になる。遠隔地への高水準の歯科医療サービス提供は、安価な歯科用3Dプリント技術を活用することによってもたらされる最大の恩恵だ。
Bolt 氏は、2021 年 10 月 21 日~ 24 日まで、米フロリダ州マイアミで初めて同社が初開催するイベント「3D Next Summit」に、基調講演者として業界リーダーや医師らと共に登壇する。


2021年10月8日金曜日

BCN3D が3Dプリンター群一元管理クラウドサービスを一新

スペイン発:FDM3Dプリンターベンダーの BCN3D は、企業向け Web ベース3Dプリンティングフリート管理プラットフォーム「 BCN3D Cloud 」を全面的に刷新したと発表した。一新された同プラットフォームを用いることで、クライアントはAM 事業規模を拡大し、3Dプリント工程全般をこれまで以上に効率的、かつ容易にコントロールすることが可能になる。
新しい「 BCN3D Cloud 」は、リモートにある3Dプリンターとリソース群の管理を一元化し、体系的なワークフローを簡単に実現する。新プラットフォームには「スタンダード」、「チームズ」、「プライベート」の3プランが用意される。
同「スタンダード」プランは、全ユーザーに適用される入門向けクラウドサービスという位置付け。主要機能はクラスター(グルーピング)で、ユーザーは特定の特性に従って傘下の3Dプリンターをグループ化し、統計データを表示して、リアルタイム分析ができる。
「チームズ」ではクライアント企業のチーム管理者に、ワークフロー機能と部門ごとの構成にカスタマイズされた役割とレベルごとの権限許可設定を可能にする。 同プラン利用料は年額 495 ユーロ(595 米ドル)で、3か月の試用期間付き。
「プライベート」プランは、厳格なプライバシーとセキュリティ要件が課される企業向けとなっている。

2021年9月27日月曜日

オーストリア Addion が複雑な眼科手術用3Dプリント眼球モデル開発に成功

オーストリア発:3Dプリント医療デバイス製造のメディカル3Dプリントサービス Addion GmbH は、眼球の複雑な手術モデル用途を想定した超高精細な眼球の3Dモデル開発に成功した。
同社の開発の成功に寄与したのは、3Dプリンターベンダー Stratasys の医療用3Dプリンター「 J750 Digital Anatomy 」。同機の持つマルチマテリアル、マルチカラーの AM プロセスおよび PolyJet ™ 技術により、従来では実現が困難だった人工眼球モデル製作が可能になったという。
従来技術では、人間の目のような柔らかくて水を多く含む組織を再現したモデル作成が難しく、とくに色合いや触感などの点で実際の人間の眼球とかけ離れていた。
人間の眼球はその複雑さゆえに複製困難な器官のひとつであり、複製には相当な時間とコストを要する。積層造形(AM)を利用すればカスタムメイド手術モデルを設計する際のこうした障壁は取り除かれるものの、素材、透明度、色などの点で、すべてのニーズを満たすことができないケースがあった。
Stratasys の PolyJet 技術搭載のこの医療専用3Dプリンターでは、複数のフォトポリマーとカラーを組み合わせることができるため、超リアルなパーツを作ることが可能になったと Addion 開発チームは述べている。

2021年9月12日日曜日

3Dプリント+スマート生態素材を用いた1型糖尿病患者向けインプラントが開発中

米国テキサス州発:ライス大学のバイオエンジニアリング研究者グループは現在、3Dプリントとスマート生体素材を用いて、インスリンを分泌する1型糖尿病患者向けインプラント開発に取り組んでいる。
これは Omid Veiseh、Jordan Miller 両氏の研究室が共同で行っている3年がかりの研究開発プロジェクトで、糖尿病研究の世界的な助成団体 JDRF の助成金を受けている。
Veiseh 助教と Miller 准教授は、ヒト幹細胞から作られたインスリンを分泌するβ細胞を用いてインプラントを開発。これが血中グルコース値[血糖値]を感知して適切量のインスリンを分泌することで血糖値を調整する。
生体工学が専門の Veiseh 氏は 10 年以上、細胞療法によって移植された部位を免疫系から保護する生体材料開発に従事してきた。バイオエンジニアリング学科のミラー氏は 15 年以上にわたり、血管系と呼ばれる血管網を持つ組織を3Dプリントする技術を研究している。
ライス大学のバイオエンジニアは、生体組織に変化可能な血管組織付きハイドロゲルを、無毒の液体ポリマーを使用した光硬化3Dプリントによって固結させて作成した。
このようにインプラントに血管組織を組み込むことで、β細胞組織が膵臓の自然な動きに近い形で動作できるものと同グループは期待を込めている。
1型糖尿病は、米国内に約160万人の罹患者がいるとされ、毎日100人以上が1型糖尿病と診断されている。1型糖尿病の治療にはインスリン注射でが使われるが、インスリン注入と食事・運動療法その他活動とのバランスをとる難しさが指摘されている。複数の研究によると、米国の1型糖尿病患者のうち、目標とする血糖値を常に達成している人は3分の1以下と推定されている。