2022年4月16日土曜日

使用済み3Dプリント試作品がボディサーフィン用ハンドプレーンへ❝変身❞

米国/アルゼンチン発:米国とアルゼンチンに本拠を置くデザイン事務所 Uido はこのほど、自社で出たプラスチックごみをリサイクルしたハンドプレーンの3Dプリント製作を始めた。ハンドプレーンは、身体だけで波乗りをする「ボディサーフィン」に使用される、手の下に滑り込ませて使用する補助器具。
プロダクトデザインの提案で欠かせないのが3Dプリントの試作品だが、サイズの異なる試作品が大量のプラスチックごみとなり、これが悩みのタネだった。そこで同事務所は、使用済み3Dプリント試作品をグラインダーで粉砕し、パウダー状にしたものを厚さ 6 mm の板状に加工。こうしてリサイクルされた3Dプリントのハンドプレーンは、異なる色のプラスチック片が集まったカラフルなものに仕上がった。
同製作チームに言わせれば、「ある人から出たごみが、ほかの人のハンドプレーンになった」

2022年3月30日水曜日

ヒトの精巣細胞の3Dバイオプリントに世界で初めて成功

カナダ発:ブリティッシュコロンビア大学の研究グループはこのほど、ヒトの精巣細胞の3Dバイオプリントに世界で初めて成功した。
同グループによると、バイオプリントから 12 日後も人工細胞は生き残り、一部は特異性細胞へと進化した。そして将来的に、精子の生産能力を持たせるうえで期待できる兆候も見られたという。機能的で生存可能な男性生殖細胞のバイオプリントにはまだ程遠いが、男性不妊に対して医療的解決策を提示できる可能性を示す、重要なステップと言えるだろう。
不妊症の研究を含め、医療用 AM(積層造形)の進歩は驚くべき進化を続けている。草創期のプロジェクトでは 2017 年、不妊のマウスにバイオプリントした人工卵巣を移植し、健康体の子供を産んだノースウェスタン大学マコーミック工学院の成功例がある。今回のバイオプリンティングは男性不妊の解決を目指したもので、将来的には男女両性における生殖機能問題に医師が対応可能になる技術だ。

2022年3月11日金曜日

女性支援団体が、3Dプリント業界にも男女格差が存在することを示すリポートを発表

米国コロラド州発:3Dプリント業界における女性の地位向上を目指す支援団体「 Women in 3D Printing(WI3DP) 」は、「国際女性デー」の3月8日に合わせて最新リポートを発表した(同リポートは無償で自由にダウンロードして読める)。
WI3DP は 2014 年に設立された。同リポートは3Dプリント業界の賃金の男女格差について、他の業界と同じく、依然として賃金格差問題は解消されていないと指摘した。WI3DP によれば、3Dプリント関連産業で働く女性の割合はわずかに 13%、女性が経営トップである企業も 11% に過ぎないという。
同レポート最新版は、同団体による DEI(多様性、公平性、包括性)イニシアティブの一環。6つのセクションからなり、賃金格差の存在について詳細に説明する。たとえば 2020 ~ 2021 年、昇進する女性の数は増えたものの、賃金に対する満足度は男性と比べて低いという。この問題に関して、賃金支給に関する透明性を高めるなど、賃金格差是正に向けた一連の提言を行っている。
男女の賃金格差は国によって差はあるものの、世界中にはびこっている。 実際、ピューリサーチセンターの報告では、2020 年のフルタイムおよびパートタイム双方の労働者の時間当たり収入の中央値について、女性は男性が得た収入の 84% 相当額に過ぎなかった。
これは言い換えると、2020 年中に男性が稼いだ同額の賃金を女性が稼ぐには、さらに42 日間を追加して働く必要がある、ということだ。加えて、有色人種または障がい者の場合、あるいは社会的および経済的地位や親の地位などを含むインターセクショナリティ(交差性)要素を有する女性は、さらに条件が悪くなる。これらは3Dプリント関連産業も例外ではなく、そこで働く女性の多くが直面する問題でもある。

2022年2月21日月曜日

3Dプリントファサードを持つ高級ブティックがお目見えへ

オランダ発:ロッテルダムに本拠を置く建築デザイン事務所 studio RAP は、アムステルダムでも人気のショッピングストリートにある高級ブティックのファサードデザインを3Dプリントで手掛けている。
施工中のファサード全体が、セラミック3Dプリントによって出力される。同ファサードは近日中に、建物のオリジナルファサードを模した3Dプリントのセラミックタイルや赤レンガで彩られ、ショッピングストリートの外観コンセプトとも完璧に一致する新デザインとして、2022 年夏にお目見えする。
積層造形(AF)技術の活用で、歴史に残る名建築を刺激的な手法で再解釈することも可能となる。このファサード建造にはアルゴリズム・デザインが採用され、KUKA 社製大型3Dプリンターによって、studio RAP 社内で製造されている。
3Dプリントファサードはまばゆいパールホワイトの約 40 × 20 cm のセラミックタイル製で、ニットの服を思わせる起伏と細かいテクスチュアが特徴。ブティックの入る地上階ウィンドウはセットバックされ、店舗フロアには、高さ 4.5 mの3本の柱とアーキトレーブが設置される。
オリジナルの十字積みを模したファサード上部の3トーンの赤レンガ部分も3Dプリント製で、レーザーカッティングされたステンレス製カセットに接着される。

2022年2月5日土曜日

米 Azure Printed House がエコな3Dプリント住宅専用新工場を稼働

米国カリフォルニア州発:3Dプリント住宅ベンダー Azure Printed Homes はこのほど、カリフォルニア州カルバーシティ市に建設した新工場の操業を開始したと発表した。
同工場の延床面積は約 1,400 ㎡。新工場ではリサイクルプラスチック建材のみ使用した、特注の住宅建設用3Dプリンターで住宅やガーデンスタジオといった大型建造物を出力する。環境に配慮した製造プロセスによる建設工法の変革を目指す。
同社は、最終的に海洋へ流出する埋め立て廃棄物の総量を最小限に抑えることを目標に掲げている。同社によれば、世界最大の原材料消費部門は建設であり、世界の総炭素排出量の約 20 % はこの部門から排出されているという。
同社技術の活用により、建設工期は従来工法より 70 % 短縮され、建設コストも 30 % の削減が可能だとしている。3Dプリント建設工法の利点を最大限に活用するいっぽう、わずか 12 時間という短時間で全工程が完了する新たな設計施工方式も創出し、生産効率を向上させている。


2022年1月7日金曜日

Formlabs が同社最速の SLA 3Dプリンター2製品を発売

米国ネバダ州: SLA 3Dプリンターベンダーの Formlabs Inc. は、世界最大級の家電見本市 CES 2022(2022年1月6~8日)で新型3Dプリンター「 Form 3+ 」および「 Form 3B + 」を発表した。公式リリースによると、2製品とも、造形スピードが同社最速の3Dプリンターだという。同社は2製品を1月5日付で販売を開始した
2製品は2019 年発売の同社フラッグシップモデル「 Form 3 」および「 Form 3B 」のアップグレード版で、内蔵されている中核技術「 Low Force Stereolithography (LFS™)」も3年かけて全面的に改良された。LFS は、レーザーとミラーを包含した光プロセスユニット(LPU)を使用し、造形の微細さと高速度を両立しつつ、液体樹脂を等方性を持つパーツに硬化させる。この全面的改良の結果、新製品ではレーザー照射が最適化され、従来比で最大 40 % の高速化を実現したという。
両モデルには、特許技術の「クイックリリーステクノロジー」および「ビルドプラットフォーム2」が実装されている。両技術の実装により、従来製品では製品とサポート材との分離に難があったプリント後処理の問題も、ハンドル付きの屈曲可能なプラットフォーム素材を採用することで安全かつ簡単に離脱させることが可能になった。
また同社は、静電気放電(ESD)を防止する静電気散逸性素材でできた「ESD レジン」も発売した。同社が ESD 製品を手掛けるのは今回が初めて。同社は SLA 3Dプリンター用 ESD レジンをラインアップに追加することで、電子機器、自動車、航空機製造といったシビアな静電気対策が要求される業界への売り込みをかける。とくに半導体関連分野において、極高精度で手頃な価格で導入可能な製品をリリースすることで、半導体不足に起因する苦境の緩和に貢献したいとしている。

2021年12月17日金曜日

米研究者らが4Dプリンティングに遠隔操作される脆弱性を警告

米国ニュージャージー州発:4Dプリンティング技術にあらたな脆弱性が見つかったとセキュリティ研究者らが警告している。4Dプリンティングは、熱や湿気などの刺激にさらされると形状変化する部品製造を可能にする新技術。たとえば、ある温度に達すると自動開閉するバルブや、2Dシートがある温度を超えると複雑な3Dオブジェクトへと自律的に変化する、といったことが可能になる。
ラトガース・ニュージャージー州立大学(ニューブランズウィック)の Tuan Le 氏らによると、今回見つかったのは、攻撃者が遠隔で4Dプリンターを乗っ取る可能性がある脆弱性。もし航空機や医療機器などのクリティカルな用途で使用した場合、「壊滅的障害」を引き起こす恐れがあるという。
予防措置として研究者らが一様に推奨しているのは、CT スキャンだ。CT スキャンは既存のどの方式よりも、改ざんの検出に優れていると述べている。試験結果によれば、30分間のスキャンで、ハッキングされたプロペラを正常な工程で製作されたプロペラと識別できた確率は 94.6% だったという。
他の回避策としては、1回限りの用途の製品の製作ならば製品検査を徹底すること、そして何よりも品質管理を徹底することに尽きると述べている。