米ワシントン州発:ワシントン州立大学(WSU)電気工学/コンピューター科学部と機械/材料工学部の研究者はこのほど、宇宙ロケットエンジンの燃焼室等、きわめて過酷な用途に使用される高性能合金製部品の3Dプリント加工において、AI(人工知能)を活用することで従来より大幅なコストカットと省力化を実現できるか検証実験を行い、成功した。
今回の実験の成果は世界の AI 研究者からも注目を集め、人工知能学会(AAAI)から賞も贈られた。
同グループが行ったのは、米航空宇宙局(NASA)が開発した高性能合金 GRCop-42 をもちいた部品の3Dプリントを改善する試みだ。
従来、GRCop-42(銅・クロム・ニオブ)といった銅を含む合金の場合、その加工は難しく(レーザーの出力が強すぎれば銅は溶融し、低すぎれば金属粉が完全に溶解しない等)、膨大な時間と高出力レーザーを搭載した特殊な産業用3Dプリンターが必須だった。加えて、最適な加工要件を人力で探る場合は膨大な時間が必要だった。成功する設定の組み合わせは、1億通りの可能性から見つける必要があった。
代わりに同グループは、以前の実験で失敗した 37 通りの設定データを叩き台として、未検証設定の組み合わせが正常に印刷される確率を推定可能とするメソッドを開発した。それを AI モデルに学習させ、AI モデルが試験可能な新しい設定の組み合わせをバッチ単位で提案した。この工程を繰り返した結果、500 w という低出力の3Dプリンターでも造形が可能になったという。
同グループは、今回のような AI 援用型開発では、他合金を材料とする場合の AM システム上でも有効な加工条件の割り出しや、高額な材料と資金と時間を要する他の自然科学分野の実験に活かすこともできると話す。
⇒ 参照元記事