2020年10月19日月曜日

Zortrax が導電機能付き PEEK フィラメントを使用したデュアルエクストルージョン技術を開発

ポーランド発:3Dプリンターベンダーの Zortrax S.A. は欧州宇宙機関(ESA)の支援を受け、同社製産業用3Dプリンター「 Zortrax Endureal 」上で、2種類の PEEK フィラメントの混合素材をそれぞれ独立したエクストルーダーで出力することで高性能な複合部品を3Dプリントする技術の開発に取り組んでいる。PEEK材は耐熱性と耐薬品性、難燃性に優れる高機能なプラスチックフィラメント素材。
これは通常の PEEK フィラメントと、ESA の開発した実験的な導電性 PEEK 素材とを組み合わせ、ふたつを同時に押し出すことで複合部品の製造を可能にする、というもの。研究開発に1年かかったという。「 Zortrax Endureal 」で使用される LPD Plus デュアルエクストルージョン技術は、従来、3Dプリント製品とは異なる素材のサポート構造体のプリント用途に使用されてきた。
現在、航空宇宙業界全体において、異なる2種類の高性能ポリマーから3Dプリントされたハイエンド複合部品に対する需要が増加していることを念頭に開発された。同社開発チームは、従来の LPD Plus ノズル部の堅牢性をさらに高めることで安定した出力と、寸法精度の大幅な向上を実現したとしている。 軽量化が至上命題のこの業界において、導電性のある PEEK 複合部品が普及すれば、追加部品による重量増加もなくなり、電気とデータ転送を同時実行することができるようになるという。
現時点では、この新しいエクストルージョン技術による最高温度は 480 ℃ に達している。造形室およびビルドプラットフォームの最高温度はそれぞれ 200 ℃、220 ℃ に達し、高性能材料の反りと収縮をさらに低減することができる、としている。