今回の報告は未来予測専門シンクタンク「地球未来研究所」CEO で未来学者の James Canton 博士をパートナーに迎えて分析された結果を発表したもの。それによると 2016 年のホテルには自律型ロボットによる「ロボ執事」、ホテル環境自体を宿泊客の投票に応じて変えられる「クラウドソースドホテル( このサービスが実現すれば、たとえば「ジュラシックパーク」のような環境を出現させることも可能 )」、DNA 解析によるインスタントチェックインや DNA モバイルペイメント、DNA 情報に基づき各個人にカスタマイズされ健康寿命を促進する「スパ 2.0 」など奇抜なサービスが挙げられているが、中でも現実可能性の高いサービスと言えるのが3Dプリンターの常設配備だ。
同報告によると 2060 年にはどのホテルにも3Dプリンターが各部屋1台ずつ配備され、「重い荷物を持っての移動」は過去の話になると予測する。利用客は部屋に備え付けの3Dプリンターで歯ブラシや靴、薬、果ては PC やモバイル端末まで、「物質から作られている物全て」をその場でプリントアウトすることができるという。
Canton 博士の話「未来の旅行はじつに胸躍ることになるだろう。ホテル予約そのものがデータマイニングや思考を直接読み取るインテュイティヴ・コンピューティングを駆使した人工知能( AI )エージェントが代行するようになり、このような新しいトラベルデザイン研究の進展でより各個人のニーズにカスタマイズした宿泊体験の提供が可能になる。またこれらのサービスはその個人が利用するときはいつでも呼び出せるため、一生涯楽しむことができる」。
「3D Builder 」は PC 用の同社 OS「 Windows 10 」に標準でバンドルされている簡易3Dデザイン編集アプリで、編集した3Dデータはそのまま3Dプリンタブルファイル( 3MF、STL、OBJ、PLY、WRL[ VRML ])に変換してダイレクトにプリントアウトできるが、携帯端末では利用できなかった。今回の最新版で初めて「 Windows 10 Mobile 」搭載携帯端末機器および同社のゲーム機器「 Xbox One 」に対応した。
ドイツ・バイエルン州発:Audi AG( NASDAQ:AUDVF )は現地時間 12 月 2 日、開発を進めていた月面無人探査車「 Audi Lunar Quattro 」の開発完了を発表した。
「 Lunar Quattro 」は同社が独科学者グループ Part-Time Scientists と共同開発した月面無人探査車(ローバー)で、民間による最初の月面無人探査を競う「 Google Lunar X Prize 」コンテストにエントリーしている。同ローバーは高剛性チタンおよびアルミ製で、ローバーの車輪を含む多くの部材製造には3Dプリント技術を活用している。ローバー製造工程に3Dプリントを採用することにより、製造期間短縮と軽量化の 2 点が達成できたとしている。
3Dプリントで製作されたローバーの車輪は当初のオープンスポーク型から月面での防塵性を高めるため密閉タイプに設計変更したため、車輪そのものは 22 % ほど大型化したにもかかわらず、合計 1.6 kg の軽量化に成功している。月面での運搬可能な観測機材重量 1 kg は通常 80 万ユーロ分に相当するため、「 Lunar Quattro 」の場合は約 128 万ユーロ相当分の機材がさらに搭載可能になったことになるという。
最後に開発チームに残された課題は、「 Lunar Quattro 」を無事に月面へと送り届けること、最低 500 m は月面を走行させ HD 動画を地球へ送信することだ。「 Lunar Quattro 」の車載カメラは 360 ° の全周撮影タイプ。ローバーは他の Audi 車と同様に 4輪駆動仕様だが、その最高速度はわずか 2.2 m / h だという。
Audi では、月へ打ち上げるまでに最終の地上試験をいくつか実施する計画で、月面活動全体の予行演習を中東の砂漠地帯で行うとしている。