2014年11月30日日曜日

業界初のマルチカラー対応 SLA 3Dプリンター「 Ilios Ray 」

キプロス発:Ilios 3D はこのほど、同社の新型3Dプリンター「 Ilios Ray 」を発表した。

「 Ilios Ray 」は SLA 方式の3Dプリンターで、最大造形サイズは 297 x 211 x 300 mm 、層間解像度 22 μm、積層ピッチはわずか6μm のハイエンド機であり、SLA 方式プリンターでは業界初のマルチカラーを実現している点が最大の特徴。顔料は4色で、これを4つのカートリッジに装填された光硬化樹脂素材に適宜混合してマルチカラー出力を実現させている。カートリッジは出力中でも交換可能。レベル調整や製品取り出し、および造形スペース( 樹脂バット )内洗浄は全て自動で行われ、可能な限りメンテナンスフリー化されている。樹脂素材の調整も内蔵ポンプにより、最大限の効率で配分されるので経済的だ。

2012年以降、FFF / FDM 方式3Dプリンターの高性能化と高速化、そして低価格化が著しかったが、この「 Ilios Ray 」の市場投入によって、今後は高級機とされる SLA 方式の進化が爆発的に進むかもしれない。

「 Ilios Ray 」の主要仕様

層間解像度:22 μm( 0.022 mm ) 
積層ピッチ:μm( 0.006 mm ) 
造形速度:10-15 sec / 層
最大造形サイズ:297x211x300 mm 
本体寸法:892x512x200 mm 
繰り返し精度:-0.01 mm / 300 mm

「 Ilios Ray 」の販売予定価格は 14,495 EUR( 約 18,722 USD )。現在予約販売受付中で、販売開始は来年3月 30 日以降になる。

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2014年11月24日月曜日

ラトビア生まれの高性能デルタ型3Dプリンター「 Pharaoh Delta 」

ラトビア発:電子機器はその品質が重要だ。3Dプリンター ベンダーの多くは高性能なプリンターを提供していると主張している。これまで 10 台以上の3Dプリンターを試した経験から言えば、間違いなく高性能だと言えるのは一握りに過ぎない。

ラトビアのベンチャー Mass Portal が欧州市場向けに投入予定の同社第5世代3Dプリンター「 Pharaoh Delta 」は、デスクトップ3Dプリンターとして競合他社にはない独自機能を搭載することで、同社は初の高性能メインストリームデルタ型3Dプリンター」を目指す。

来年前半にも欧州市場に投入予定のこの第5世代デルタ型3Dプリンター Pharaoh Delta 」は、5インチのタッチディスプレイを内蔵。プリントしたいファイルを選択するだけですぐプリントが開始される簡単操作を可能にし、同時に静音・高精度・高速化も図られている。

「 Pharaoh Delta 」の最大造形サイズは 20cm 四方、金属製エクストルーダー( 真鍮製ノズル径 0.25-0.7 mm )は最高温度 300 °C の造形処理で、ほぼ全ての市販フィラメント素材が使用可能だという。

Mass Portal  Pharaoh Delta 3Dプリンターの主な仕様:

本体寸法( wxdxh ):32x31x63 cm 
本体重量:17 kg 
最大造形サイズ:20x20x20 cm 
プリント可能素材:PLA、ABS、PET、PS、フレキシブル、サーモプラスチック全般
フィラメント径:1.75 mm 
積層ピッチ:0.02-0.6 mm( ノズル径による )
造形ベッド:加熱式、自動レベリング ( 最大 120 °C )
出力速度:20-300 mm/s
対応スライスアプリ:Slic3r、Cura、Simplify3D 等
対応 OS:Windows XP SP3 以上、Mac OSX 10.6 以上、Linux
対応3Dデータファイル形式:STL、OBJ、G-code
接続方式:Wi-Fi、USB 2.0、SD メモリカード

現時点では Pharaoh Delta 」の販売予定価格は未定。同社は 26 日から4日間に渡り開催される製造業国際見本市 EuroMold に、 Pharaoh Delta プリンターをはじめ、同プリンターで製作したオフロードスクーターなどを出品する。

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2014年11月23日日曜日

プリストン大学が世界初の QLED 3Dプリンターを開発

米国発:米国プリンストン大学の研究グループがこのほど、世界で初めて量子ドット LED( QLED )を出力する3Dプリンターを開発したと発表した。

QLED は有機発光ダイオード( OLED )に比べて低消費電力で、高輝度かつ偏りのない色再現を可能にする。同大学助教 Michael McAlpine 氏率いる開発チームによれば、新開発した QLED 3Dプリンターは、たとえばコンタクトレンズ上にディスプレイ装置を組み込むことが可能になるという。

QLED は極薄で柔軟性があり、透明なため、コンタクトレンズ上にディスプレイが製造できる。McAlpine 氏は次のように述べている。「マイクロエレクトロニクス産業が得意としてきたのは TV や携帯電話など、平面画面を持つガジェットの製造だ。3Dプリンティングは、それを3次元構造へと変える。これまで想像もつかなかったような装置が実現可能になる」。

McAlpine 氏の開発チームはこの QLED を5層のリング構造で試作した。最下層は銀ナノ粒子からなり、これが導電回路となる。次にポリマー2層の通電層、その上に量子ドットを構成するセレン化カドミウムナノ粒子層が続き、最上部にガリウムインジウム共晶カソードが来る。同氏によれば、この QLED 3Dプリンターの開発には2年かかり、開発費用は2万 USD ほどかかったという。この試作品は1回の工程で製作されている。

これまでにも3Dプリントによる QLED 試作に成功したと主張する研究者はいたが、McAlpine 氏らのグループと異なり、「完全な」3Dプリント製ではなかった。

McAlpine 氏は、今回新開発したような3Dプリンターの価格が下がれば、一般の人も TV や PC ディスプレイの DIY が可能になる日が来るだろうと考えている。同氏チームが次に目指すのは、3Dプリント トランジスターの開発だ( 同開発チームは昨年、人工耳を3Dプリントで製造することに成功している )。

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2014年11月22日土曜日

ISS 専用3Dプリンター「 Zero-G 」の設置に成功

米国発:米航空宇宙局( NASA )は現地時間 17 日、国際宇宙ステーション( ISS )内に3Dプリンター「 Zero-G 」の設置作業を完了したと発表した。同プリンターは9月 21 日に、民間宇宙開発ベンチャーの SpaceX の 「 SpaceX-4ファルコン9」に搭載されたカプセルに収納され、 ISS に向けて打ち上げられた( → 既報記事 )。

「 Zero-G 」は、カリフォルニア州マウンテンヴューに本拠を置くベンチャー Made In Space と NASA が共同開発した ISS 専用3Dプリンター。今後は Made in Space の技術者が、試験製作用の3Dデータファイルなどを ISS に送信し、ISS に滞在する宇宙飛行士がこのプリンターで部品試作を行う計画だ。

Space In Space CEO の Aaron Kemmer 氏は次のように述べた。「このような積層造形技術が宇宙空間でも使用可能になれば、将来的には深宇宙探査や宇宙コロニーといった計画へも転用できる」。

「 Zero-G 」は ISS の「微小重力研究グローブボックス」内に設置された。同プリンターで試作された部品は再び地球に持ち帰り、地上の同型プリンターで同一部品を試作した場合とを比較検討する。その後、ISS で製造した部品が実際に使用可能かどうかの試験運用を行う予定。

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2014年11月17日月曜日

XYZprinting が同社初の3Dフードプリンター2機種を発売へ

台湾発:XYZprinting, Inc. は現地時間 14 日、同社初となる3Dフードプリンター2機種を来年6月に発売すると発表した。同時に、3Dスキャナー一体型プリンター「 daVinci 1.0 AiO 」の販売開始も発表した。

3Dフードプリンター2機種は、競合他社現行製品の平均販売価格が 3,000-5,000 USD であるのに対し、より低価格で提供するとしている。同社はこの3Dフードプリンターの市場投入により、3Dプリンター全体の出荷台数を現在の3倍の 12-15 万台へ伸ばしたい考え。同社会長の Simon Shen 氏によると、今年度の同社製品出荷台数は約4万台だという。

新型3Dフードプリンターが従来製品と異なるのは、ピザ、クッキー、キャンディーなど複数食材を特製カプセルに充填した技術で、これにより調理にかかる時間が大幅に短縮できるという。Shen 氏の披露したデモでは、調理時間は最短でわずか5分だった。

3Dフードプリンターのうち1機種はトリプルノズル仕様で、残る1機種はシングルノズルのみ。トリプルノズル機では同時に3種類の食材で調理可能になる。

「 daVinci 1.0 AiO 」は販売価格が 26,990 TWD で、競合する AIO Robotics の同タイプ機種の 76,560 TWD をはるかに下回る。当面は台湾国内の EC サイト PChome Store Inc( 商店街市集 ) および Amazon.com での取り扱いとなる。

XYZprinting は来年度以降、フードプリントを始めとして宝飾プリント、産業向け3Dプリンターなど、様々な市場に参入する計画だ。

調査会社 Gartner は、3Dプリンターの世界全体の出荷台数は今年度が 108,151 台で、来年度は 217,350 台に増えると予測している。また同社によれば、今後4年で3Dプリンターの出荷台数は連続して倍増もしくはそれ以上に増え、2018 年には 230 万台に上るという。



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2014年11月16日日曜日

3Dプリンター+自律学習ロボットは最強の組み合わせ? 

ノルウェー発:オスロ大学の研究者チームは 10 年前から、自律学習型ロボットの研究開発に取り組んでいる。

開発チームの1人で同大学情報科学部ロボット工学 / 知能システム研究チームの Kyrre Glette 准教授は自律学習型ロボットについて、次のように述べている。「将来的に、ロボットは遠い惑星の地下深くの坑道での作業や危険な土砂崩れ現場、あるいは南極の海底での任務をこなし、そこでぶつかる諸問題に自ら答えを出さなくてはならなくなるでしょう。このような苛烈な環境は、もはや人間では対処できません。すべてはロボット自らが自動制御しなければならないのです。たとえば、原発事故現場を例に挙げれば、現場に潜入したロボットはまったく想定外の場所で階段を見つけます。見つけた階段を撮影し、自ら解析します。アームの1本は3Dプリンターに接続しており、このプリンターは新しいロボット、または既存ロボットに追加機能を与える新しい部品を出力します。こうしてロボットは、自分で発見した階段に対処する術を身につけるのです」。つまり Glette 准教授らの開発しているロボットは、現場の状況に応じて自ら判断し、その現場に最適な姿形へと自ら変身する能力を持っている、ということだ。

現在、同チームが開発中の自立学習ロボットは第3世代に当たる。シミュレーション プログラムが各ロボットに対し何千通りもの想定をロードし、歩行脚は何本にするかといったように姿形を最適な状態へと変える。これらロボットは全て3Dプリント製で、研究者がテストを行う。

テストの結果、現段階ではまだ対処すべき問題が多数残っているものの、想定シナリオによってはロボットのパフォーマンスは 20-40 % ほど向上したという。現在はそれぞれ異なる設計の5台のロボットで障害物コースなどの場面での各性能を比較し、各ロボットの自己学習能力の向上を目指している。将来はロボット自ら3Dプリンターを搭載し、自力で必要な部品のプリントを実行可能にしたいとしている。

今週始め、会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツ( DTT )が公表した、オックスフォード大学との共同報告によれば、IT やロボットなどの自動化技術が多くの仕事を肩代わりするようになれば、数十年後に 1,100 万人の雇用が失われる恐れがあるという。これは英国の総労働人口の3分の1に相当する。

明るいニュースもある。たとえば先月 28 日、Google が明らかにした「ナノ微粒子」錠剤の研究開発。これは血管に投入されると、体内の血流に乗って、癌や動脈瘤などが発する化学物質を検知するというものだ。

参考関連記事( 開発チームの動画クリップあり )
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2014年11月15日土曜日

ExOne のQ3決算が当初予測を下回る

米国ペンシルバニア州発:ノースハッティンドンに本拠を置く産業用大型3Dプリンターベンダー ExOne ( NASDAQ:XONE ) は現地時間 11 月 12 日の取引終了後、2014 会計年度第3四半期決算を発表した。それによると、同期売上は当初予測を下回る 960万 USD で、前年同期比 17 %の下落だった。

また、今期の損失は 450 万 USD で、1株当たり損失は当初アナリストが予測した 13 セントを上回る 31 セントだった。前年同期の損失は 224,000 USD、1株当たり損失は2セントだった。

アナリストによる ExOne 今期決算予想では売上が 1,500 万 USD、1株当り損失が約 14 セントだった。

今年1月中旬以降、同社の株価は7割近い下落を記録していたものの、翌 13 日午後早くの取引では急反発して 2.5 ポイント上昇の 20.50 USD にまで迫った( 当日の終値は 19.80 USD )。

しかしながら、ExOne は今年度の収益見通しを当初の市場予測より 1,000 万 USD 近い減少の 4,500-5,000 万 USD と下方修正している。

ExOne の CEO、Kent Rockwell 氏は今期決算に関して次のように述べた。「長期販売サイクルと、プリンター平均販売価格の総売上に及ぼす影響等を考慮すれば、このような四半期毎の変動は必ずしもさらに大きな徴候を示すものではない。今年度は 2015年度への過渡期、とする弊社の見方に変更はない」。

同氏は、ドイツ国内の ExOne 欧州新拠点への移行が最終段階に入ったことを挙げ、新拠点の生産能力は従来比で3倍以上になると述べた。また同社は、米国拠点の生産能力も現行の2倍に引き上げる計画だ。

ExOne では今期売上が低迷したことについて、納品の遅れや研究開発費の高騰などを理由に挙げている。

競合する 3D Systems ( NYSE:DDD ) も 11 月 10 日付で第3四半期決算を発表したが、ExOne 同様に当初予測を下回る内容となっている。3D Systems は既に生産に遅れが生じていることを明らかにしており、13 日の終値は 33.39 USD だった。

一方 Stratasys ( NASDAQ:SSYS ) が5日付で発表した第3四半期決算は市場予測を上回るものだったが、投資家向けガイダンスでは収益見通しが下方修正され、13 日の終値は 101.11 USD だった。

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2014年11月14日金曜日

1台3役のオールインワンデルタ型3Dプリンター「FLUX」

台湾発:3Dベンチャーの FLUX Technology LLC は、新開発のデルタ型3Dプリンター「FLUX」の出資者を Kickstarter プロジェクトとして募集している( 12月 22日まで )。

3Dプリンター関連では、これまでにも様々な趣向のプリンター プロジェクトが登場し、その度に話題にもなったが、今回の「 FLUX 」プロジェクトほど関心を集めた事例はなかったかもしれない。出資者募集開始当日、いきなり目標金額の 10 万 USD を突破してしまったのだから。現時点で出資金額は当初目標の5倍の 55 万 USD を超え、出資者数も 910人に達している。

なぜ、これほどの熱狂を巻き起こしたのか? 1つには価格設定がある。DIY キットでの販売予定価格は、わずか 499 USD。もちろんその機能も特筆される。デルタ型のデスクトップ3Dプリンターだが、これ1台で3Dプリンター+3Dスキャナー+レーザーカッター / レーザー彫刻機の3役をこなす。そしてその切り替えもいたって簡単で、ボールジョイント式のヘッドを交換するだけという手軽さ、工具は一切不要だ。「 FLUX 」開発チームによると、現在、追加機能の開発中で、将来的にはたとえばデュアルノズル、食材ペーストノズルなども選択可能になるという( 499 USD で提供される「 FLUX 」ベーシックキットにはレーザーヘッドは付属しない )。

「 FLUX 」は単なる3Dプリンターというより、1つの完全なエコシステムと言ったほうがいい。3Dモデリングソフト「 FLUX Studio 」はスマートフォン経由で簡単に操作でき、ブルートゥース経由で3Dデータをプリンター本体に送信する。このため PC 不要でダイレクトに造形可能。モデリング、ハードウェア制御、システム設定といった項目もほぼ全て市販のモバイル端末上で実行可能だという。またオープン モジュール SDK 仕様なので、誰でも自由に追加機能を設計したり実装することができる。

オールインワン3Dプリンター「 FLUX 」の主な仕様:

本体外形サイズ:30.5 x 26.5 x 55 cm
プリンター本体重量:5.4 kg 
最大造形サイズ:φ=17cm x H=18 cm
最大造形速度:100mm / sec 
層間解像度:0.01 - 0.3mm
ノズル径:φ=0.4 mm
スキャナーセンサー:1.3 M ピクセル CMOS
スキャナー波長=650 nm
スキャン精度:2-3 mm
スキャン可能最大サイズ:φ=14 cm x H=8.5 cm
レーザー波長=405 nm
レーザー出力:200 mW

レーザーヘッドモジュールは追加オプションで別途料金が必要。切断可能素材は紙素材、ホイル素材。彫刻可能素材は木、皮革、発泡ボード、段ボールなど。

Kickstarter 上の当初目標金額を突破した「 FLUX 」開発チームは、来年6月頃には同プリンターの出荷を開始、翌月には出資者にそれぞれの特典を発送したい考え。レーザーヘッドモジュールなどフル装備の金属フレームモデルの販売予定価格は 1,999 USD だ。

また、Kickstarter 上で同様に成功を収めたカナダのベンチャー Structur3D Printing が、FLUX Technology と提携し、独自開発ノズルなどを早期に提供するというのも興味深い。Structur3D Printing は「 Discov3ry 」食材ペースト エクストルーダー開発で、10 万 CAD の資金獲得に成功している。



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2014年11月11日火曜日

目の不自由な人にも名画鑑賞の喜びを

ギリシャ発:3Dプリントは視覚の不自由な人にとってもいろいろな場面で役に立つ。たとえば、立体的な挿絵つきの点字本や、大津波襲来など緊急避難時に使える詳細な立体地図、大事にしている写真の3次元化。

首都アテネを本拠とする3Dベンチャー 3D-EYE は現在、2次元イメージをスキャンして、3Dプリンタブルな3次元モデルを生成する新製品を開発中だ。

同社開発グループは IT 研究者の Harilaos G. Koumaras 博士、ソフトウェア開発者でビジネスアナリストの Vaios Koumaras 氏など、ソフト開発者やプログラマー、IT 技術者から成る混成チーム。彼らは Indiegogo サイト上で開発中の新製品の資金提供を呼びかけており、調達目標額は 150,000 EUR( 募集期間は太平洋時間 12月 16日まで )。同開発チームはプロトタイプを 2016 年半ばまでに試験運用し、同年後半には一般市場向けにリリースしたい考え。

開発中の新製品はクラウドベースのプラットフォームで、2次元画像を3Dプリンタブルな3次元モデルへと変換する。近景と遠景の距離感を高低差に置き換える深度スキャンなどを備える。たとえば、ルネサンス初期イタリア人彫刻家ドナテッロの浅浮き彫り作品「ヘロデ王の饗宴( 1427年頃 ) 」では、近景に彫られているものほど深く、最も遠い背景の彫りは浅めに処理されている。ドナテッロが素材を削って作品を仕上げたのとは違い、3D-EYE は同様のことを素材を「積み重ねて」表現する。独創的だが、これを3Dプリントで表現するのは非常に複雑な作業が要求される。

3D-EYE の目標は、目の不自由な人でも視覚芸術作品を楽しんでもらうことだ。それは目で見る作品を、触れて感じる作品へと変換することで初めて実現できる。同社の Indiegogo 上の資金募集ページでは、たとえば「モナ・リザ」がどのように3Dプリンタブル モデルに変換されるのか、その基本的な流れを見ることができる。

この技術が博物館や美術館に導入され、たとえば、本物とその3次元モデルの模写とが並んで展示されれば、3次元模写は実際に触って体験可能なので、特に若い人に受けるのではないだろうか。

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2014年11月10日月曜日

誰もが買える3Dプリンターを ―― 若きベトナム人博士の挑戦

米国 / ベトナム発:Le Truong Son 氏はハノイ科学技術大学卒業後、米国アイビーリーグの一角を成すブラウン大学へ留学し、物理学博士号を取得した 32歳の若き研究者。同氏がブラウン大学時代から一貫して取り組んできたのが、「ベトナム人でも買える低価格の3Dプリンターの生産」だ。

Son 氏はブラウン大学在学中の 2011年、同大学の所有する高額な3Dプリンターが頭の中のデザインを現実のカタチに変えてゆく力にたちまち魅了されたという。同氏は翌年 10月、3Dプリンター自作第1号機を完成させた。

同年、第1号機の大量のパーツとともに6年ぶりに帰国した Son 氏は、さっそく同プリンターの大量生産化に向けて数名の製造業者に打診したものの、1台当たりの生産コストが 600-700 USD では高すぎて、大量生産はとても無理だと突っぱねられた。そこで旧友らとともにプリンターのチップの販売を eBay 経由で始めた。

このプリンターチップの販売はすぐ軌道に乗ったが、今度は中国人業者が安価な複製品を売り始めた。「他人がコピー製品を売ることについては気にしていません。インベンターの強みは、彼らより常に先を行っていること。彼らが売れるのは旧式バージョンだけですから」。Son 氏らの事業にネチズンの参加が増えるにつれ、特許申請して他者を除外するのはよくないと考え、オープンソースデザインの方針を取った。

現在、Son 氏は米国ワシントン D.C. 近郊の自宅内に拠点を構え、夢の3Dプリンター作りに打ち込んでいる。現在の試作機は5代目で、特に最新型では、複雑な形状のオブジェクトのプリントも可能にした高性能タイプだという。

Son 氏が参考にしているのは、世界最小の3Dプリンターだ。先に開発した3Dプリンターで開発中のプリンター部品を製造することもあるという。資金提供を名乗り出る人も現れ始めた。

現在、同氏が計画しているのは、今月末までに最終製品をAmazon および eBay サイト上で販売することだ。目指すは、300-500 USD 台で買える高性能3Dプリンターだ。「3Dプリンターはまだまだ伸び代が大きい。低価格機種が開発できれば、米国でもベトナムでも大量生産は可能だと思う。低価格かつ高機能な3Dプリンターなら、一気に一般家庭にも普及が進むはずだ」。

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2014年11月4日火曜日

Stratasys だけじゃない! イスラエルのスタートアップ Something3D の挑戦

イスラエル発:イスラエルとくると、やはり業界最大手 Stratasys を想起するかもしれないが、同国の3Dプリント産業は何も同社に限ったことではない。たとえば、Itzik Molcho 氏と Dotan Koskas 氏が昨年、イスラエル中央地区に設立した3Dプリント スタートアップの Something3D などは注目株かもしれない( 米 Stratasys は 2012年4月、イスラエル3Dプリンターベンダー大手 Objet Geometries Ltd を吸収合併している )。

Molcho 氏は、世界的に知られる鋼管製造大手 Tzinorot の元 CEO。パートナーの Koskas 氏は長年、アニメーションとテレビ放送業界でグラフィックデザイナーとして活躍、ここ5年ほどは3Dプリンター製造に取り組んでいた。彼らの最初の成果が、昨年リリースした同社の3Dプリンター初号機だ。この時、彼らの作業場は Koskas 氏の自宅ガレージだった。

現在、同社の3Dプリンターのラインアップは3機種。全て一般消費者向け FFF デスクトップ型だが、他社製品と比較して際立つ特色がいくつかある。最上位機種「 Royal 」にはエクストルーダーヘッドが4基搭載され、マルチカラー、複数素材に対応可能。層間解像度 50 µm、FFF タイプとしては業界最高の最大 500 mm /sec の出力速度を誇る。3機種とも、個々のニーズに合わせた細かなカスタマイズも柔軟に行えるのも特徴だ。

このため、一般の認識度は低いものの、製造、医療、歯科、アパレルなど多方面の業界では名を知られた存在だ。Molcho 氏によれば、重要部品製造用としてイスラエル国内の軍需産業大手に導入されているという。

現行3機種の外観で目立つのは、フレームの鮮やかなパープルだ。「3Dプリンターは、モノ作りを望む全ての人のためにあると信じている。パープルは、そんな個人のモノ作りと革新性を象徴する色だ」。

「 Tyrian 」、「 Han 」、「 Royal 」主要スペック

プリント方式:FFF 
ビルドプラットフォーム:加熱ベッド方式
エクストルーダーノズル径:φ=0.35 mm( オプションで φ=0.25 mm も可 )
層間解像度:50 µm
使用可能素材:1.75 mm ABS、PLA、PVA、ナイロン 618、HIPS
Printing Material: 1.75 mm ABS, PLA, PVA, Nylon 618, ハイインパクトポリスチレン( HIPS )
造形速度:100-250 mm / sec、最大 500 mm / sec
3Dプリント ソフトウェア:Pronterface、Repetier、Skeinforge、ReplicatorG、Cura、Slic3r
対応ファイル形式:AMF、STL、OBJ 

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2014年11月3日月曜日

Autodesk、最有望な3D 関連企業に1億ドルの資金提供へ

米国カリフォルニア州発:3D CAD ソフトウェアベンダー大手 Autodesk は現地時間 10月 30日、3D 業界全体の底上げを目指すことを目的としたファンドを設立すると発表した。

同社が設立する「 Spark Investment Fund 」は、ソフトウェア / ハードウェアを問わず、同社が将来の成長が最も見込めると判断した3D テクノロジー関連企業および研究者、起業家に対し、最大1億 USD の資金を提供する。

同社コンシューマーグループ副社長 Samir Hanna 氏は次のように述べている。「規模の大小に関係なく、3D エコシステムのさらなる革新と発展とをもたらす企業に注目してゆく。可能な限り最速ペースで3Dプリントのエコシステム発展のために最善を尽くしたい」。

 Spark Investment Fund 」の選考過程は原則公開で行われる予定。

Autodesk は5月、同社初の3Dプリンター「 Ember 」の発売と、オープンソース3D プリント プラットフォーム「 Spark 」の提供を発表した。今回のファンド設立も加え、Autodesk 側は3D プリント コミュニティ全体を引き込み、「 Spark 」プラットフォームおよび「 Ember 」等関連製品を改良するためのコラボレートを促進したい考え。

新型3Dプリンター「 Ember 」は、層間ピッチ 10 μm、毎時 72mm の出力が可能な樹脂ベース SLA 造型機。先月サンタクララ市内で開催された「 Inside 3D Printing Conference and Expo 」において、初めて実機が披露された。

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2014年11月1日土曜日

HP が独自技術「Multi Jet Fusion」搭載3Dプリンターと3Dスキャナー内蔵 PC を発表

米国発: PC ハードウェアとプリンター製造最大手 Hewlett-Packard (HP) は現地時間 10月29日、独自に新開発した3Dプリント技術「 Multi Jet Fusion 」搭載新型3Dプリンターおよび3Dスキャナー内蔵デスクトップ PC「 Sprout 」を同時発表した。この最新3Dプリンターとデスクトップ PC および同3Dプリンターで出力されたサンプル作品は、発表に先立ってニューヨーク市内で開催されたイベント会場でも披露された。

HP の担当者は「 Multi Jet Fusion 」テクノロジーによって、3Dプリント技術は「モノづくり新時代」を切り開くことになると述べており、今回発表した新製品の対象は主として精密かつ高速な造形を求める企業ユーザー層だ。

「 Multi Jet Fusion 」は、現在主流のサーモプラスチック溶融タイプに比べ、「10倍高速、かつ精密な造形が可能」としている。それを実現したのが、同社が独自に開発した「サーマルインクジェット方式」だ。業務用コピー機ほどもある大型の3Dプリンターだが、最上位クラス並みの性能を持つという。また、この新開発技術により、従来では不可能だったマルチカラー対応、プリント工程途中での素材切り替えにも対応可能としている( 当初は黒のサーモプラスチックのみ対応)。

デスクトップ PC「 Sprout 」は、20 ポイント対応タッチマット、10 ポイントタッチ対応 23インチフル HD ディスプレイ、および「 HP Illuminator 」DLP プロジェクトター( 1024x767 dpi )で構成されるディスプレイ本体一体型 PC。タッチマットと本体の着脱はマグネット式で、マルチタッチ対応デュアルスクリーン PC になる。



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