2017年2月25日土曜日

「世界最速」の矯正歯科向け高解像度3Dプリンター「 DentaForm 」

シンガポール発:3Dプリンターベンダー Structo Pte. Ltd. は現地時間 2 月 24 日、マリース・ベイ・サンズホテルで開催された「シンガポール矯正歯科学会( AOSC )」総会で「世界最速」を謳う矯正歯科向け3Dプリンター新製品「 DentaForm 」を発表した。

「 DentaForm 」は修復歯科に特化した3Dプリンターで、同社の特許技術マスクリソグラフィーテクノロジー( MSLA )を搭載する。マスクリソグラフィー( フォトリソグラフィー )は通常、IC 回路製造工程で使用される技術。「 DentaForm 」はこのマスクリソグラフィーを応用することで、標準的な SLA 製品より人工歯冠やブリッジの雛形となる正確な歯型成形が高速で可能だとしている。

「 DentaForm 」の最大造形サイズは 200 x 150 mm で、x/y 軸方向のプリント精度は 50μm で、同社既存製品「 OrthoForm 」の 96 µm と比べても向上している。 同社は「 DentaForm 」を 27 日まで開かれる AOSC 総会の会場で展示した後、独ケルン市内で 3 月 21 - 25 日に開催される国際歯科見本市( IDS 2017 )会場でも展示する予定だ。




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2017年2月21日火曜日

AR スタートアップが3次元ホログラム光硬化の超高速3Dプリンターを開発

米国カリフォルニア州発:サンフランシスコ市と英国ミルトンキーンズ市に自社ラボを持つ拡張現実( AR )関連機器スタートアップ Daqri はこのほど、3次元ホログラムを利用したまったく新しい光硬化3Dプリント方式を開発したと発表した。

同社によれば、この3次元ホログラム方式による試作機でペーパークリップを出力したところ、わずか5秒で完了し、通常の DLP 型3Dプリンターよりもはるかに短時間でより大きな造形物をプリントアウトすることが可能になるとしている。

同社の開発した新技術は、独自開発のホログラムチップを使用したもの。従来のようなレイヤーごとにレーザー走査する方式ではなく、3次元造形物を丸ごと投影して光硬化モノマーに重合反応を起こして固結させる。このホログラムチップは単純なシリコンウエハー上に調節可能結晶の微細格子を配し、このチップ上に反射したレーザー光の輝度、遅延時間、位相などをソフトウェアで調節してレーザー干渉パターンを作成してホログラム化し、このホログラムを数種類のモノマーの入った容器に照射させて3次元オブジェクトを生成するというもので、複雑な光学構造は一切持たない。

現段階ではホログラムチップの大きさの制約により、ペーパークリップのような薄い部品しか作成できないが、大型化すれば肉厚の部品も作成できるとし、今後は光硬化モノマーの重合過程で発する発熱問題の解決とホログラムチップの高性能化を図りたいとしている。

同社は現在、720p HD 画像を自動車のフロントガラス上と数メートル先に投影するヘッドアップディスプレイ装置の開発も行っており、将来的にはホログラム光硬化3Dプリントに応用した同じチップを使った情報を多次元表示可能なデバイスの開発も計画している。




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2017年2月18日土曜日

学生らが3Dプリンターから出るプラスチックごみの完全リサイクルへ

米国カリフォルニア州発:3Dプリンターを本格導入してから約 10 年が経過したカリフォルニア大学バークレー校( UC Berkeley )には現在、100 基以上の各種3Dプリンターが学内にあり、今後も増設されることになっている。学内の3Dプリンター数が増えれば当然廃棄プラスチック量も比例して増え、同大学によればこうしたプラスチックごみの年間発生総量は 270 kg 以上にもなるという。

同大学機械工学科 Nicole Panditi、環境科学科 Scott Silva および同大博士課程に在籍する Mickey Clemon の 3 氏はこの問題を解決すべく、「3Dプリンターフィラメント再生利用プロジェクト」を立ち上げた。同プロジェクトは学内の3Dプリンターから廃棄される大量のプラスチックごみを収集・分解し、加熱して再びフィラメント化して完全循環利用を目指すというもの。 Panditi 氏によれば、過去にも個別に再生利用する事例はあったが、全学規模での廃棄フィラメント再生利用プロジェクトは今回が初めての試みだという。

Panditi 氏らの学生グループのプロジェクトは同大学で省資源 / 再生利用を推進する Cal Zero Waste の全面的協力を受けている。Cal Zero Waste は 2020 年までに全学でごみ排出ゼロを目標に掲げる。

Panditi 氏らによると現在、廃棄プラスチック分解に使用しているのが家庭用ブレンダーのため、同大学クラウドファンディングサイト上で 5,000 米ドル相当のプラスチック分解機および必要機材を調達したいとしている。

同大学ではこれまでに3Dプリントを活用して合短指症の 8 歳の少女のための義手開発や、食品腐敗センサー付き「スマートキャップ」、大規模セメント構造物などの製作も行っている。




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2017年2月17日金曜日

スイスの大学生がサポート材なしでオーバーハング形状を作成可能な多軸制御3Dプリンターを試作

スイス発:FDM / FFF 方式の3Dプリンターでは通常、45 ° 以上のオーバーハング角を持つオブジェクト作成にはサポート材が必須だったが、チューリヒ応用科学大学( ZHAW )の学生 2 名はこのほど、ノズルヘッドと造形ベッドそれぞれに 3 軸の回転軸を持たせた多軸制御方式のデルタ型3Dプリンターを試作した。

この試作機を開発したのは同大学部生 Oliver Tolar、Denis Herrmann 両氏。2 人を指導した Wilfried J. Elspass 教授は、ノズルとベッドが 3 軸方向に独立して制御可能にすることで、従来方式では加工困難だった複雑な形状のオブジェクトもサポート材なしで作成可能になり、面倒な後処理やフィラメント使用量の削減にもつながる利点があると指摘する。試作機では造形ベッドごと急角度にチルティングしてプリントすることができ、複雑な形状のオブジェクトも短時間で作成できるが、ノズルとベッドを同時制御するソフトウェアはまだ開発していないため、プリント中に少しずつチルティングしてのプリント等はできない。

この画期的システムを考案した Tolar、Denis Herrmann 両氏が多忙なため、商品化に向けた更なる改善に当てる時間的はなく、現時点では具体的な商品化計画はない。ただし Elspass 教授によれば今後は制御データを生成するソフトウェア開発が必要と話し、今後も開発は継続するという。




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2017年2月13日月曜日

BCN3D が3Dプリンター「 Sigma 」改良版発売へ

スペイン・カタルーニャ州発:バルセロナ市内に本拠を置くオープンソース3Dプリンター製造の BCN3D Technologies はこのほど、同社フラッグシップ製品 Sigma シリーズの改良版「 Sigma R17 」を発表した。

「 Sigma R17 」では従来製品の冷却系統を改良し、静音化と高速化および仕上げ精度向上が同時に実現されている。同社独自開発の独立式デュアルエクストルーダーシステム( IDEX )により、2 種類の異なるカラーや異なる素材同士で複雑なジオメトリーを持つオブジェクトでも容易に作成可能だという。

同社はこの IDEX システム専用の交換用ホットエンド 6 製品( ノズル径 Φ = 0.3 mm - 1.0 mm )もリリースしており、カーボンファイバー素材でも容易にプリントできるとしている。また水溶性サポート付きプリント可能で、サポート材は作業終了後は水に浸すだけで除去できる。

「 Sigma R17 」は 2 月 8 日から先行予約を受け付けている。先行販売価格は 2,655 EUR。初回出荷は今月末ごろの見込み。

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2017年2月10日金曜日

豪州の研究者グループが筋電制御式の「ソフトな」3Dプリント義手を開発

オーストラリア発:ウーロンゴン大学( UOW )のソフトロボティクス研究者らが3Dプリントを使用して人間の皮膚に似た素材でできた筋電制御式義手を製作し、同大学構内でこのほど開かれたシンポジウムで公開した。

製作したのは同大学 Gursel Alici 教授を研究主任とするグループ。この新しい3Dプリント義手は脳から筋肉組織へ送られる電気信号によって動作可能な筋電式で、あたかも自分自身の手のように自然に動かすことができる。

Alici 教授らは、3Dプリントなどの新しい製造技術の登場により従来技術では複数パーツ毎に製作していた工程が単独工程で仕上げることが可能になり、また実際の皮膚組織と似た柔らかくしかも高強度の先端素材で人工装具が容易に製作できるようになったと指摘する。今回の試作品は昨年労働現場で腕や脚を失った 54 歳男性のために提供されることになっている。

同グループではこの新しいソフト素材の筋電制御式3Dプリント人工装具を早ければ 2 年以内にも実用化させたいとしている。

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2017年2月7日火曜日

オタワ病院が医療用3Dプリント製作プログラムを提供開始

カナダ・オンタリオ州発:公営オタワ病院はこのほど、医療用3Dモデリング / 3Dプリントによる人工装具製作プログラムを開始した。同病院の試みはカナダ国内では初めてのもので、人工装具を必要とする人々に従来より安価でより最適化された装具を提供するのが狙い。

同プログラムによって新しい義手を製作してもらった男性の場合、以前の義手では物を掴むことさえ困難だったのが、3Dプリント義手では手首を軽くひねるだけで潰れやすいペットボトルも簡単に持てるようになったという。しかも以前使用していた義手の価格が 3,200 カナダドルだったのに対し、この3Dプリント義手の価格はわずか 200 ドルだった。

同病院医師で画像診断主任 Frank Rybicki 博士は、この新しいプログラムは患者にとって最高の解決法を提供してくれるものだと指摘し、次のように話す。「ここ数年、3Dプリントは航空宇宙とか自動車製造といった医療以外の分野で使用されてきた新技術だったが、ようやく医療分野にも3Dプリントが定着しつつある」。

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2017年2月5日日曜日

60 歳の英国人男性が世界で 2 例目の3Dプリント製チタン人工骨移植手術を受けて回復

英国ウォリックシャー州発:英国人の 60 歳男性が、英国では初となる3Dプリント製チタン人工胸骨と肋骨のインプラント手術を受けた。同様の3Dプリント製人工骨移植術は世界で 2 例目となる。

この移植を受けたのはスタッドリー市在住の Edward Evans 氏。同氏は 6 年前、極めて稀な骨の感染症のため、胸骨および肋骨の一部を切除した。従来の人工骨移植術ではセメント製のインプラントが使用されていたが、医療分野における3Dプリント技術の急速な発展と普及により、近年は軽量かつ高剛性、抗菌性能にも優れたチタン製品を使用することが可能になった。

執刀医の心胸外科医 Ehab Bishay 氏は2015 年、スペイン・サラマンカ大学病院で世界初の3Dプリント製チタンインプラントを成功させた豪医療機器メーカー Anatomics Pty Ltd にチタン製人工胸骨と肋骨の製作を依頼すると同時に、サラマンカ大学病院の執刀医チームにも協力を仰いだ。Anatomics は Evans 氏の胸部 CT スキャンデータを基に SLM 3Dプリンターでチタン製人工胸骨と肋骨を作成。形成外科医、胸部麻酔医、専門看護師らの混合チームが移植手術を行い、除去手術の痕跡はほぼ完全になくなり見た目も元通りになった。

その結果、移植手術後半年ほどが経過した現在の Evans 氏の様態は極めて良好で、肺活機能も回復し、軽いスポーツも楽しめるようになったという。Evans 氏の話「移植手術を受けた今はとても自信がついた。胸も健康だった時のような状態に近い。簡単な動作も難しい動作も以前より気持ちよくこなせる感じがしている。心臓と肺は人工胸骨に保護されているとわかっているから、その気になれば転ぶことだってできる。こんなことは以前だったらとてもできなかった」。

Evans 氏の話は BBC TV の連続番組でも最近取り上げられた。

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2017年2月4日土曜日

世界初の実用的な3Dプリント製歩行者専用橋がお目見え

スペイン・マドリード州発バルセロナ市の高等建築研究所( IAAC )と建築家、エンジニア、構造技術者らのグループは昨年 12 月、マドリード市南にあるアルコベンダス市の公園を流れる小川に全長 12 m、全幅 1.75 m の歩行者専用橋を3Dプリント技術で製作、架橋した。これは公共工事分野における3Dプリントによる世界最初の実用的な橋となる。

同橋はパラメトリック設計を採用し、最大限の効率で建材を配合すると同時に、製作工程で再生利用するため廃棄物は最小限に抑えられているという。素材はコンクリート粉末にポリプロピレン樹脂( PP )を配合したマイクロ強化コンクリートを積層した 8 つの部材を接合して構成されている。デザインは複雑な形状を見せる自然界から採られ、ガウディ建築のような曲線と空隙を多用したデザインとなっている。

同橋の設計者グループの話「これまで3Dプリント技術の適用例は公共事業分野には見られなかったから、この分野における世界の先駆けとして歴史に名を残す事業だ」。




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