2022年6月20日月曜日

世界で初めて3Dバイオプリントでヒトの肺の足場材開発に成功

米国発: United Therapeutics3D Systems(NYSE:DDD)はこのほど、両社が共同で研究開発を進めてきた3Dバイオプリントによるヒトの肺の足場材開発に成功したと発表した。この足場材は、対面方式で開催された LIFE ITSELF カンファレンス(会期5/31~6/3、サンディエゴ)でお披露目された。動物実験済みで、将来的には患者自身の幹細胞を使用して作成される計画。
自身の幹細胞で移植可能な肺が作成できれば拒絶反応のリスクも大幅に減らすことができる。 この3Dプリント足場材は、過去最高の 44 兆個のパーツ( 44 兆ボクセル)で構成され、4,000 km の肺毛細血管と2 億個の肺胞を有する。これまで3Dプリントで作成された最も複雑な構造体になるという。
同開発グループによれば、今回開発された Print to Perfusion と呼ばれるフォトポリマーベースのバイオプリント技術では、こうしたドナー臓器を3週間程度で作成することができるとしている。ガス交換機能も正常に働くことも実証されており、5年以内の臨床試験を目指す。
ドナー臓器の需要は確実に増えている。米保健資源事業局によると、2021 年に米国内で肺移植を受けた患者は 2,524 人で、2022 年6月3 日現在、ドナーからの臓器提供待ちの患者は 1,075 人いる。一方、毎年 15 万人以上の米国人が肺の疾病で亡くなっており、移植待ち患者も多く含まれている。