2021年3月24日水曜日

3D Systems が米海軍向け3Dプリント耐蝕素材を共同開発へ

米国発:3D Systems は、Huntington Ingalls Industries グループの造船所 Newport News Shipbuilding と共同で、レーザー積層造形法で使用する銅ニッケル合金(CuNi および NiCu)のパウダー素材開発計画を発表した。
CuNi/NiCu 合金は耐蝕性に優れ、洋上建造物や船舶部材に最適な金属素材。Newport News Shipbuilding では、この 2 種の合金からなるパウダー新素材を使用することで船舶部品の AM 化を可能とし、製造前工程を最大 75% 短縮して部品供給の効率化が図れると期待をかけている。同造船所では最終的に、この新素材を使用してバルブ、ハウジング、ブラケットや鋳造工程用交換部品の製造を目指す。
CuNi/NiCu は低温から高温に至るまで高強度・高剛性を維持することで知られ、多くの分野で利用されているが、従来の鋳造法では 1年かそれ以上もかかる製造前工程の長さがネックとなっていた。
3D Systems は 10 数年前から米海軍と共同で、航空機用部品や潜水艦の部品など各種用途に AM ソリューションを提供してきた。米海軍は以前から、交換部品用途への AM 活用に関心を示していた。AM が活用できれば、とくに艦船が陸地から離れた洋上にいる場合、破損した部品を低コストで迅速に交換することができるからだ。

2021年3月23日火曜日

カリフォルニア州に米国初の3Dプリント住宅分譲地が誕生へ

米国カリフォルニア州発:コーチェラバレーの砂漠地帯に、3Dプリント製住宅からなる分譲地がまもなく誕生する。
持続可能な不動産開発を手掛ける Palari は、建設技術会社 Mighty Buildings(本社オークランド州)と共同で、ランチョ・ミラージュの 2万m² の敷地に環境に優しい 15 棟の3Dプリント住宅を建設する計画を進めている。完成すれば米国初の3Dプリント住宅分譲地になる。
Mighty Buildings は本社の広大な倉庫内に設置された、ガレージほどもある巨大な3Dプリンターを使って住宅を製造している。この住宅専用3Dプリンターは、24 時間以内に床面積約 33 m² の住宅が製造可能。同社によれば、製造工程のうち最大 80 % まで自動化可能で、従来工法と比べて作業時間は 95 %、廃棄物は ¹/10 になるとしている。使用素材もすぐに固まる特殊建材を使用しており、オーニングや外装、断熱層などを一度の造形で住宅に追加できるという。
3Dプリント住宅は 20 世紀中葉のモダン様式を採用。135m² の敷地内に3つの寝室 ×2つのバスルームのメイン住居と、2つの寝室 ×1バスルームのサブ住居からなる。販売価格は 3BR/2BA のベースモデルが 59万5,000ドルから、2 世帯構成モデルにアップデートすると最高 95万ドル。
また各戸には 930 m² のバックヤードが用意され、プール、東屋、ホットタブ、焚き火台、屋外シャワー等のアメニティを追加購入できる。
こうした3Dプリント住宅建設の背景には、深刻なカリフォルニア州の住宅不足問題がある。同州では 2025年までに 180 万 ~ 350 万戸の新規住宅建設が必要と見積もられている。
メキシコのある NPO も2019 年、低所得者層向け3Dプリント住宅の建設計画を発表している。テキサス州オースティンでも、今年後半に3Dプリント住宅の建設が予定されている。 このような追い風に乗り、Mighty Buildings は 2月、4,000 万ドル資金調達に成功している。

2021年3月1日月曜日

英大学グループが新型コロナウイルスにも効果がある抗菌新素材を3Dプリントで作成

英国ウェストミッドランズ州発:ウルバーハンプトン大学の研究者グループAMFM(Additive Manufacturing Functional Materials)はこのほど、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)を消滅させる新しい3Dプリント抗ウイルス素材を開発した。
同グループの研究者 John Robinson 氏によると、今回、試作した新素材は銀、銅、タングステンを組み合わせ、レーザー積層造形法による3Dプリントを使用して作られている。各素材にはそれぞれ抗菌性があるため表面のウイルス汚染やウイルス拡散を防ぐ効果があるという。
Robinson 氏の話「今回、試作した抗ウイルス素材には、生物学的に安全な COVID-19 標本に対して、5時間以内に100%のウイルス不活化を示しており、従来の銅コーティング製品よりも抗ウイルス性能が飛躍的に向上している」。
現在、英国や南アフリカ、ブラジル由来と考えられる新型コロナウイルスの変異株による新たな流行が懸念されているが、今回開発された新素材がそれを食い止める効果を発揮してくれるかもしれない。