2014年12月31日水曜日

最先端研究に貢献する3Dプリント

米国サンディエゴ発:3Dプリントは、宇宙最小の構成物に対する新たな知見を科学者に提供してもいる。それはたとえば、タンパク質などの生体分子の構造だ。

このような分子構造モデルは、従来では2次元のコンピューターモデルしか存在しなかった。だが、カリフォルニア州サンディエゴ市ラホーヤのスクリップス研究所分子グラフィックス ラボラトリー( MGL )所長 Arthur Olson 氏に言わせると、「平板な画面上で見るだけの場合と、3次元モデルを手に操作するのとでは、まったく別物の体験だ」。

Olson 所長は、3Dプリントで3次元モデルを作れば、たとえば HIV ウィルスがどのように機能するかが分かるようになるという。同所長は3Dプリントした分子構造モデルを、米国立衛生研究所の「 NIH 3D Print Exchange 」プログラムを介して、他機関の研究者にも提供している。

タンパク質には、多数の原子が含まれる場合が多く、これがタンパク質分子の折りたたみ構造の解明が困難な理由の1つになっている。Olson 所長によると、多くのタンパク質分子が持つ曲がりくねったトンネル構造も、従来の2次元モデルでは全体像が掴めなかったが、3Dプリントモデルならその長さや奥行きがいとも簡単に掴めるようになるとしている。「糸を用意して、タンパク質の3Dプリントモデルのトンネルに通す。両端に印をつけて糸を伸ばせばトンネルの長さが分かる」。

また、3Dプリント技術は完全な人工分子の設計にも応用可能になるかもしれない。タンパク質は分子構造の解明には最適だが、極端な高温や低温、乾燥状態に置かれると不安定になる。米国立ローレンス・バークレー研究所 Molecular Foundry のナノ生体学者 Ron Zuckerman 博士は現在、ペプチドに類似したペプトイドと呼ばれる合成分子の開発に取り組んでいる。ペプトイドはタンパク質に対する感受性を持ちつつ、それを構成する合成アミノ酸にさらに強靭な特性を持たせることが可能となる。

Zuckerman 博士の研究グループが3Dプリント技術を使い始めたのは、それが折りたたみなど、タンパク質の持つ柔軟な構造を直感的に理解できる手段だったからだ。分子どうしが引きあったり反発しあったりする力によって生じる折りたたみは、小型磁石付き3Dプリントモデルとして再現可能であり、異なるタンパク構造の持つそれぞれの屈曲性の再現も、硬度の異なる素材を組み合わせて再現可能できる。

Zuckerman 博士は現在、「 peppytide 」と名付けたタンパク質の3次元モデルを作り、学生の教育用として活用している。たとえば電話機のコードのような α ヘリックス といった、タンパク質の多くに見られる分子構造が現れる様子を再現して見せたりしている。「学生が折りたたむと、すべての磁石が一列に整列して、たちまち安定した螺旋状態になるんだ」。

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2014年12月30日火曜日

次世代フィラメントは、イカのタンパク質 DNA から作られる? 

米国ペンシルベニア発:現在、FFF / FDM 方式3Dプリントに使用される樹脂素材で環境的に持続可能とされているのが、コーンスターチを原料とする PLA 素材。だがペンシルベニア州立大学の研究者グループが着目したのは、なんとイカの DNA だった。

同大学エンジニアリング工力学を教える Melik C. Demirel 教授らは、海軍省研究事務所( ONR )および陸軍省研究事務所( ARO )から資金援助を受けて、イカの吸盤内部の鋭い輪状歯に含まれているタンパク複合体から新たなフィラメント素材が作れないかと研究を続けている。

Demirel 教授は次のように述べる。「新素材開発でいままで注目されてきたのはもっぱら合成樹脂素材だったが、製品化に時間がかかり、環境にも優しくない」。そこで同教授と化学工学を教える Wayne Curtis 教授が目をつけたのが、イカの吸盤内にある輪状歯のタンパク複合体から取り出した DNA だった。同研究チームは捕獲したイカのタンパク複合体を構成する DNA 配列を調べた結果、サーモプラスチックとして安定した特性を示したのが、この吸盤内部の歯のタンパク複合体だった。そこでこの DNA を取り出して大腸菌に移植し、その大腸菌が生成した樹脂分子を合成してサーモプラスチック素材を作り出した。できあがった新樹脂素材は半透明の物質で、硬素材、可塑性素材を問わず製造可能で、引っ張り強さに富み、濡れても他素材と接着する特性があるという。

そして何より、この新素材は自然のタンパク質ベースなので、医療や美容分野へも安全に応用できるとしている。


3Dプリント素材の市場規模は、2019年までに 10 億ドルを突破すると見込まれている。現在、流通している樹脂素材はほとんど化石燃料由来なので、生物由来の持続性のある素材が優位に立つのは間違いないだろう。プリントアウトに失敗した製作物やプラスチックごみからのリサイクルという手段もあるが、環境負荷の少ないフィラメント素材の安定供給を確保すべく、研究者は新素材を生成する新しい方法を模索し続けている。

Demirel 教授は次のように述べている。「次世代素材を決定づけるのは、分子配列、分子構造、分子特性といった分子の構成にこそある」。

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2014年12月28日日曜日

高校生コンビが救命クワッドコプターの3Dプリント製作に挑戦

米国発:ロサンゼルス湾の保養地パロスバーデス半島に住む2人の高校生は夏休み返上で、ロサンゼルス郡消防局( LACoFD )に贈るためのクワッドコプター開発に取り組んだ。

パロスバーデス高校に通う Raul Castrellon 君と、ペニンシュラ高校に通う Lawrence Goo 君の2人は当初、ゲームセンターの景品キャッチャーのような開閉する鉤爪型マジックハンドを設計していたが、これを捜索救助用途に使えるデバイスにしようと考えた。だが既成パーツでは意図した通りには製作できず、全てのパーツの CAD を自前で用意し、それを3Dプリントすることにした。「外注に出したら、製作予算が吹き飛んでしまうから」と Castrellon 君。それでも部品代や3Dプリント、製品試験には多額の資金が必要になることから、2人は学生の IT 支援事業を行う PVNet からの支援を仰ぐことにした。

PVNet 代表 Ted Vegvari 氏は、「2月を目処に 8,000 USD を集め、完成したクワッドコプターを郡消防局に贈りたい」と述べている。

2人の立ち上げたプロジェクトには、3Dプリント支援組織 MatterHackers および Airwolf 3D Print が資金を提供し、郡消防局の Thomas Ewald 氏もアドバイザーとして参画している。同氏からは、この鉤爪ハンド付きクワッドコプターについて、もっと剛性を高めて信頼性を確保し、シンプルな操作で消火作戦に投入可能なデバイスにするよう求めている。「彼らとの協業をとても楽しみにしている。このようなイノベーションには、人命を救い、財産焼失を軽減させる効果がある」と Ewald 氏は言う

Castrellon 君は次のように述べる。「頭に浮かんだ完璧なアイディアをカタチにするために、何時間も過ごすのは大好き。でも最高なのは、これを作ったのはぼくだ、全力を注いで作ったんだ、と言えること」。

将来について、Castrellon 君は機械工学を学ぶべく、ポリテクニック州立大学( Cal Poly )進学を目指している。「ぼくは一家で最初の大学進学者になる。メキシコ出身の両親は共に高校には行ってない。きょうだいは高校に通ったけれども、ぼくは大学に行く最初の人間になる」。

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2014年12月22日月曜日

FDM 3Dプリンター用再生フィラメント生成機「 ProtoCycler 」

カナダ発:トロントに本拠を置くスタートアップ ReDeTec は現在、独自開発したフィラメント リサイクラー「 ProtoCycler 」生産に向けた資金調達キャンペーンを Indiegogo 上で展開している( 社名は、Renewable Design Technology の略記から )。

同開発チームによれば、「 ProtoCycler 」は樹脂ペレットをはじめ、プリントに失敗した造形物や破損した造形物などを粉砕・溶解して、再生フィラメントとして FDM( FFF )方式3Dプリンターで再利用を可能にするデバイス。「 ProtoCycler 」を活用すれば、1kg スプール当たりコストはわずか5USD しかかからないという。

Indiegogo 上のキャンペーンによれば、「 ProtoCycler 」は分速約 30 cmで再生フィラメントを生成可能( 1kg スプール分の生成には約2時間を要する )。金属製ホットエンドの温度は 400 °C にまで達し、市販フィラメントの大半は溶融できるとしている。特許申請中の新技術「 MixFlow 」によって、再生フィラメントの安定供給を実現しているという。再生フィラメントの形状安定性は、プリント作業中のトラブルを回避するためにも不可欠だ。

粉砕操作は手動ハンドルで行うものの( 安全性最優先のため )、フィラメント生成、供給および巻取りはすべて自動。まず ABS および PLA を選択し、「開始」ボタンを押すだけ。他素材との組み合わせやマルチカラー素材については、あくまで試験的用途に留まるが、ユーザー自ら手動設定を行えば可能になる。開発チームは、今後のファームウェア定期更新に反映させるため、購入者に対してフィードバックを勧めている。

同社が「 ProtoCycler 」のコンセプトを思いついたのは3年前のことで、製品化にとりかかったのは翌年になってから。製作した試作品は延べ 10 台以上。15 か月後、粉砕用グラインダーとエクストルーダーを統合した現行品にたどり着いた。なお「 ProtoCycler 」は、米国保険業者安全試験所( Underwriter Laboratories Inc. ) の安全認証済み製品だ。

「最初は他社製品に基づいた設計で試作品を作っていたが、性能面、安全面、信頼性で満足できなかった。そこで、一から設計をやり直すことにした。結局、製品化に2年もかかってしまったが、その甲斐はあったと思う」と、同開発チームは言っている。

同キャンペーン支援者は、小売予定価格の1割引の 699 USD で購入できる。期日は 2015 年1月 31 日まで。現時点では目標調達金額の 80% 以上の 59,693 USD が集まっている。同社によれば、「 ProtoCycler 」出荷開始時期は 2015 年8月頃になるとしている。

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2014年12月21日日曜日

MIT 研究者チームが「4Dプリント」技術を開発中

米国発:マサチューセッツ工科大学( MIT )研究者チームは目下、3Dプリントの進化形として、「4Dプリント技術」を開発中だ。

MIT メディアラボ 博士研究員で同開発チームリーダーの Dan Raviv 氏によれば、開発中の新技術は、3Dプリントで出力後、造形物が自ら「変形」可能になることを目指している。

同開発チームはこの「4Dプリント」を実現させるため、大手3Dプリンターベンダー Stratasys と共同で2つの異なる特性を持つフィラメントを開発した。一方のフィラメントは通常の固い樹脂素材、もう一方は水に浸すと体積が倍になる構造の素材で作られている( こちらのフィラメント組成については現時点では伏せられている )。

Raviv 氏らは、この特殊フィラメントを使用して、38 cm 四方のグリッド状オブジェクトをプリントアウトし、それを水に浸した。すると水分膨張性フィラメントが伸縮して、複雑な凹凸形状を持つ表面構造に変化した。

開発チームは、この「4Dプリント」技術を活用して、将来的には幅広い応用が可能になると期待する。とりわけ医療分野、たとえば心臓ステント移植術への応用が考えられるという。「現在は、生体適合性素材で各部位に適した器官等を3Dプリンターで造形したものを移植しているが、今後は形状と機能変化をインプラント自体が行えるようになるだろう。患者の体内で、一生の使用に耐えられるインプラントを作りたい」と Raviv 氏は述べる。

Raviv 氏の開発チームは、縮小と拡大の両方が可能な4Dプリント技術の開発に取り組む。「外形が数 cm の4Dプリントオブジェクトを数点、製作した。移植術用としては、10-100 倍小さくなるオブジェクト、日常用途としては 10 倍の大きさに拡大するオブジェクトが出力できるようにしたいと考えている」。

ただし、と Raviv 氏は現時点での課題も指摘する。「4Dプリントに使用する素材の品質向上のためには、まだまだ研究が必要になる」。

水分膨張性フィラメントは数十回、浸水・乾燥を繰り返すと可塑性を失ってしまうという。そこで、水以外の要素、たとえば熱や光といった刺激に反応する素材の開発も進めたいとしている。

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2014年12月20日土曜日

ISS 船長が工具を自力で3Dプリント

国際宇宙ステーション( ISS )発:ISS 船長 Barry 'Butch' Wilmore 氏は急遽、ソケットレンチが必要になった。そこで、ISS 専用3Dプリンターを開発した Made in Space の技術者がレンチの3D CAD データを作成、NASA は安全性を確認した後、3Dデータを含む出力手順を ISS に送信した。Wilmore 氏は早速その手順に従ってレンチの3Dデータをプリンターに投入し、4時間後、望みの品を手に入れることができた。

これは、NASA が地球周回軌道を回る宇宙船に向けて初めて「電子メール」で送信した3次元データということになる。以前はこのような工具が入り用になった場合、次のミッション実施まで数か月は待たされたところだ。

「このソケットレンチは地上で設計され、ISS にデジタルデータ送信された初の3D製品だ。今回作成した3D CAD データは、どんなロケットでもかなわないほど速くWilmore 氏の許に届けられた」と、Made in Space 創業者 Mike Chen 氏は語る。「今回、出力された製品から、微小重力環境が3Dプリント工程に及ぼす影響を調べ、将来、宇宙空間で作られる製品がどのようなものとなるのか、そのモデル化に役立てたい」。

今年9月に SpaceX の宇宙船に搭載されて ISS に運ばれた専用3Dプリンターは先月 17 日に設置作業を終えた後、予定されていた 20 品目の試験プリントに成功している。同プリンター製造元 Made in Space では、来年にも同プリンターよりさらに大型の商用3Dプリンターを ISS に導入する計画だ。

また欧州宇宙機関 ( ESA )も来年、独自開発した3Dプリンターを ISS に運搬する計画を明らかにしている。ISS 内の3Dプリンターで製作された工具等の出力品は再び地上に運ばれ、地上で製作された対応部品との詳細な比較試験にかけられる。

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2014年12月14日日曜日

ユーザーの、ユーザーによる、ユーザーのための「3Dプリンター購入ガイド」

オランダ発:アムステルダムに本拠を置く 3D Hubs は、世界最大級の3Dプリント紹介サービス ネットワークを提供するスタートアップだ。ユーザーは同サービス上にアップロードした3D CAD データを近くの3Dプリンター所有者にプリントを依頼し、完成品を直接受け取るか配送してもらい、プリントアウトを提供したユーザーはその対価を受け取る。昨年、同社がこのオンラインサービスを立ち上げると瞬く間に急拡大して、今や所属する3Dプリンター所有者総数は全世界で1万人にも上る。

3D Hubs 創業者で CTO の Brian Garret 氏によれば、同サイトに寄せられる利用者の声で最多なのが、「どの3Dプリンターを買えばよいのか?」という質問だった。そこで同社は一方的に市販の3Dプリンターを評価するのではなく、ユーザーに直接評価してもらった「購入ガイド」を作成、公開した。対象製品は一般的なデスクトップ型3Dプリンターで、FDM および STL 方式のもの。1~10 のシンプルな 10 段階評価で、「ハイエンドユーザー向け」から「低予算タイプ」まで5つのカテゴリー別に集計した。各ユーザーの所有する3Dプリンターの性能は、ミニチュアフィギュアの出力能力で評価した。評価総数は 2,279 件。

その結果、上位に入ったのは MakerBot や 3D Systems といった大手ベンダー製品ではなく、一般ユーザーにはあまり知られていないスタートアップの製品が入るという意外なものだった。「大手ベンダー製品のプリント性能には満足していないユーザーが多かった」と Garret 氏。

同購入ガイドでは、カテゴリ別に集計した 18 機種が上位にランクインした。ランキングには、ユーザー評価が 10 以上寄せられた製品のみ掲載されている。

3D Hubs は Garret 氏と現 CEO の Bram de Zwart 氏によって創業した。両氏は共に、3Dプリンターを最初に開発した 3D Systems の元社員。

上位にランクインした3Dプリンターでは、たとえば Kickstarter プロジェクトとして製品化したポーランドの「 Zortrax M200 」は、ユーザーから 8.9 という高評価を獲得している。

同じく 9.0 の高評価を得た「 Makergear M2 」は、2009 年にオハイオ州ビーチウッドで創業したスタートアップ。創業者で CEO の Rick Pollack 氏はソフトウェア出身だが、ある時、MakerBot 製品のエクストルーダーに関するトラブルが多いことに気づき、自宅ガレージで補修部品を小型旋盤で製作していた。

「顧客はエクストルーダーを、MakerBot 純正品から Makergear 製品へと切り替えていったんだ」と Pollack 氏。「1年半後、我々は自社製3Dプリンター生産を始めた」。

Makergear の従業員数は十数人ほど。地元企業数社が「 Makergear M2 」の部品製造を担当し、製品検査は全て社内で行っている。同社製3Dプリンターの引き合いは大変多く、既に納品まで数か月待ちになるほどだ。

デスクトップ3Dプリンター市場は活況を呈している。調査会社 Canalys によれば、2014 年第3四半期に全世界で出荷された3Dプリンターは約 33,000 台で、これは前期比4%の伸びを記録し、3Dプリンターサービス全体の収益は9%増だという。また欧州、中東、アジア市場における3Dプリンターサービスの第2四半期収益は8%の伸びであり、これはドイツや英国といった市場規模の大きい地域で3Dプリンターに対する関心が高まったことが要因として挙げられるという。

また Canalys によれば、第3四半期に出荷された3Dプリンターの 73% が、税抜き販売価格 10,000 USD 未満の価格帯の製品だった。

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2014年12月12日金曜日

TechShop と富士通が「モノ作り体験」提供で協業

米国発:米国内8か所でモノ作りワークショップ事業を展開する TechShop.Inc. は現地時間5日、「 TechShop Inside! — Powered by Fujitsu 」を、富士通株式会社および米国富士通研究所( FLA )と共同で開始すると発表した。

同プロジェクトは、全長 7.3 m のトレーラー内に TechShop の保有する小型3Dプリンター、Universal Laser Systems 製レーザーカッター、富士通製タブレット PC「 LIFEBOOK 」等、TechShop で最も人気の高い最先端ツールを装備し、米国各地の教育機関を訪問して若い世代にモノ作り体験を直接提供するというもの。TechShop と富士通の戦略的提携の第一弾で、今後更なる拡大が見込まれるメイカーズ ムーヴメント推進を目指す。

「 TechShop Inside! 」ではデジタル製造工程をじかに体験することによって、科学、技術、工学、芸術、数学( STEAM 分野 )への生徒達の興味関心を高めるという狙いもある。

カリフォルニア大学バークレー校教授 Henry Chesbrough 氏は今回の TechShop と富士通の協業について、「オープン イノベーション実践の新たな方向性を拓くものだ」と述べている( 同氏は、「オープン イノベーション」の提唱者 )。

「 TechShop Inside! 」はナパ市内で開催された「第1回オープン イノベーション世界会議( WOIC )」で初披露された後、サンフランシスコ市内の学校を訪問し、課外プログラムの一環として生徒達に体験学習を提供することになっている。

ベイエリアの各種教育機関は、同協業プロジェクトを今後のプログラミング教育へ活用するため、両社との協議に入っている。「 TechShop Inside! 」導入検討を始めているのはマルベリースクール、ロスアルトス学区、サンノゼ図書館、サンタクララ郡図書館など7つの学校や公共施設( 今後、TechShop は同様の取り組みを日本国内でも実施する予定 )。


2014年12月9日火曜日

Royal Mail が3Dプリントサービスの試験運用を開始

英国ロンドン発:郵便事業会社 Royal Mail( RMG )と3Dプリント総合小売の iMakr.com は現地時間8日、ロンドン中心部のロイヤルメール配達局にて3Dプリントサービスを期間限定で試験的に運用すると発表した。

今回の3Dプリントサービス試験は、ニューキャベンディッシュ ストリート沿いにある Royal Mail 配達局で実施される。利用者は、iMakr が運営する3Dプリントライブラリ MyMiniFactory.com 等からダウンロードした STL ファイルを局内に設置されたプリンターで出力してもらえるほか、オリジナルデザインのプリントアウト依頼も可能。完成品は店頭での直接受け取りか、自宅配送のいずれかを選べる。また、専用ショップサイト上にある切手をかたどったマグネット( 5GBP )や iPhone ケース( 15 GBP )、郵便ポスト型のペン入れ( 25 GBP )にワインクーラースタンド( 45 GBP )など、ロイヤルメールのオリジナル3D商品のプリントもできる。同サイト上商品価格は配送料も含まれている。発注から配送までは2日ほどかかる見込み。

Royal Mail と iMakr による3Dプリントサービスの試行期間は発表当日から年明けまでの予定。試験運用の結果を見て、全国展開するかどうかを判断するとしている。

Royal Mail は、この3Dプリントサービスと、同社の提供する郵便サービスとを結びつけて収益向上を図りたい考え。

3Dプリントは今後成長が見込まれる主要産業と期待されるが、Gartner によると、2018 年までの世界全体における3Dプリンターの出荷台数は 230 万台ほどに留まるだろうという。中小企業からすれば、いまだ3Dプリンターのコストは高い。

Royal Mail は今回の試験運用を通じて、高額な3Dプリンターへの投資に難色を示しているこういった小規模事業者向け需要を掘り起こし、同時にオリジナル製品を求める一般消費者の3Dプリントに対する関心を高める狙いもある。

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2014年12月7日日曜日

あの「ボールドロイド」の3Dデータが早くも公開中

米国発:感謝祭明けの 11 月 28 日、YouTube に投稿された映画「 Star Wars 」シリーズ最新作( Episode VII:The Force Awakens )の公式予告編が、投稿初日に 582 万ビューという驚異的数字を叩きだして話題になっているが、その予告編にほんの一瞬だけ登場する可愛らしいドロイドの3Dプリント用データが早くも公開されている。

3Dデータ共有サイト Thingiverse 上に投稿されたこちらのデータがそれで、作成者によれば、まだ未完成だと断っているが、既に数名がこのデータに基いて出力した3Dプリントモデルの画像を公開している。公開データは単一の STL ファイル。

予告編が公開されて間もないため、この3Dプリント版「ボールドロイド」データ作成者は、追って「ボールドロイド」の詳細仕様が判明すれば、公開データに正確な寸法などの判明分を反映させる予定だという。現時点では、この「ボールドロイド」は R2-D2 とほぼ同じ直径の頭部を持つ1/1スケールモデルとなっている。この STL ファイルから「ボールドロイド」を製作した場合、外観塗装はプリントアウト後に各自で行うことになる。

このような実物大3Dモデルの製作となると、2,000-3,000 USD クラスのハイエンド機でないと難しいかもしれない。その手のプリンターがない場合、来年のクリスマスシーズンまでお預けになりそうだが、その頃になれば、もっと安価なリモコン付き玩具として大々的に売り出されているだろう(下は、公式予告編動画)。



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2014年12月1日月曜日

デュアルヘッドの大型対応 FFF 3Dプリンター「 Orcabot 」

オランダ発:今年で 20 年目を迎える成形業界の国際見本市 EuroMold が、11 月 25 日から3日間、フランクフルト国際見本市会場( メッセ・フランクフルト )にて開催された。今年の EuroMold で注目を集めた展示には、Prodim International B.V. の出品した新型3Dプリンター「 Orcabot XXL Dual Head 3D Printer 」もあった。

北ブラバント州ヘルモントに本拠を置く同社は3次元デジタイザー「 Proliner 」シリーズなどのユニークな発想のデジタル計測機器で知られている。EuroMold に出品した新型3Dプリンター「 Orcabot XXL 」はその名が暗示するように、FFF / FDM 方式では最大クラスの造形物の出力が可能。デュアルエクストルーダーおよび加熱ベッド方式を搭載しているので、ABS / PLA、ナイロン / PVA など異なる材質を同時に出力できる。本体は頑丈なアルミニウム製。販売価格はビジネスパック( フィラメント2リール付 )で 3,995 EUR。

「 Orcabot XXL Dual Head 3D Printer 」の主要仕様:
最小積層ピッチ:0.10 mm 
解像度:0.02 mm
対応フィラメント:PLA、ABS、PVA、フレキシブル、ウッドフィル、ナイロン PA12 他
最大造形サイズ:360x280x230 mm 




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2014年11月30日日曜日

業界初のマルチカラー対応 SLA 3Dプリンター「 Ilios Ray 」

キプロス発:Ilios 3D はこのほど、同社の新型3Dプリンター「 Ilios Ray 」を発表した。

「 Ilios Ray 」は SLA 方式の3Dプリンターで、最大造形サイズは 297 x 211 x 300 mm 、層間解像度 22 μm、積層ピッチはわずか6μm のハイエンド機であり、SLA 方式プリンターでは業界初のマルチカラーを実現している点が最大の特徴。顔料は4色で、これを4つのカートリッジに装填された光硬化樹脂素材に適宜混合してマルチカラー出力を実現させている。カートリッジは出力中でも交換可能。レベル調整や製品取り出し、および造形スペース( 樹脂バット )内洗浄は全て自動で行われ、可能な限りメンテナンスフリー化されている。樹脂素材の調整も内蔵ポンプにより、最大限の効率で配分されるので経済的だ。

2012年以降、FFF / FDM 方式3Dプリンターの高性能化と高速化、そして低価格化が著しかったが、この「 Ilios Ray 」の市場投入によって、今後は高級機とされる SLA 方式の進化が爆発的に進むかもしれない。

「 Ilios Ray 」の主要仕様

層間解像度:22 μm( 0.022 mm ) 
積層ピッチ:μm( 0.006 mm ) 
造形速度:10-15 sec / 層
最大造形サイズ:297x211x300 mm 
本体寸法:892x512x200 mm 
繰り返し精度:-0.01 mm / 300 mm

「 Ilios Ray 」の販売予定価格は 14,495 EUR( 約 18,722 USD )。現在予約販売受付中で、販売開始は来年3月 30 日以降になる。

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2014年11月24日月曜日

ラトビア生まれの高性能デルタ型3Dプリンター「 Pharaoh Delta 」

ラトビア発:電子機器はその品質が重要だ。3Dプリンター ベンダーの多くは高性能なプリンターを提供していると主張している。これまで 10 台以上の3Dプリンターを試した経験から言えば、間違いなく高性能だと言えるのは一握りに過ぎない。

ラトビアのベンチャー Mass Portal が欧州市場向けに投入予定の同社第5世代3Dプリンター「 Pharaoh Delta 」は、デスクトップ3Dプリンターとして競合他社にはない独自機能を搭載することで、同社は初の高性能メインストリームデルタ型3Dプリンター」を目指す。

来年前半にも欧州市場に投入予定のこの第5世代デルタ型3Dプリンター Pharaoh Delta 」は、5インチのタッチディスプレイを内蔵。プリントしたいファイルを選択するだけですぐプリントが開始される簡単操作を可能にし、同時に静音・高精度・高速化も図られている。

「 Pharaoh Delta 」の最大造形サイズは 20cm 四方、金属製エクストルーダー( 真鍮製ノズル径 0.25-0.7 mm )は最高温度 300 °C の造形処理で、ほぼ全ての市販フィラメント素材が使用可能だという。

Mass Portal  Pharaoh Delta 3Dプリンターの主な仕様:

本体寸法( wxdxh ):32x31x63 cm 
本体重量:17 kg 
最大造形サイズ:20x20x20 cm 
プリント可能素材:PLA、ABS、PET、PS、フレキシブル、サーモプラスチック全般
フィラメント径:1.75 mm 
積層ピッチ:0.02-0.6 mm( ノズル径による )
造形ベッド:加熱式、自動レベリング ( 最大 120 °C )
出力速度:20-300 mm/s
対応スライスアプリ:Slic3r、Cura、Simplify3D 等
対応 OS:Windows XP SP3 以上、Mac OSX 10.6 以上、Linux
対応3Dデータファイル形式:STL、OBJ、G-code
接続方式:Wi-Fi、USB 2.0、SD メモリカード

現時点では Pharaoh Delta 」の販売予定価格は未定。同社は 26 日から4日間に渡り開催される製造業国際見本市 EuroMold に、 Pharaoh Delta プリンターをはじめ、同プリンターで製作したオフロードスクーターなどを出品する。

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2014年11月23日日曜日

プリストン大学が世界初の QLED 3Dプリンターを開発

米国発:米国プリンストン大学の研究グループがこのほど、世界で初めて量子ドット LED( QLED )を出力する3Dプリンターを開発したと発表した。

QLED は有機発光ダイオード( OLED )に比べて低消費電力で、高輝度かつ偏りのない色再現を可能にする。同大学助教 Michael McAlpine 氏率いる開発チームによれば、新開発した QLED 3Dプリンターは、たとえばコンタクトレンズ上にディスプレイ装置を組み込むことが可能になるという。

QLED は極薄で柔軟性があり、透明なため、コンタクトレンズ上にディスプレイが製造できる。McAlpine 氏は次のように述べている。「マイクロエレクトロニクス産業が得意としてきたのは TV や携帯電話など、平面画面を持つガジェットの製造だ。3Dプリンティングは、それを3次元構造へと変える。これまで想像もつかなかったような装置が実現可能になる」。

McAlpine 氏の開発チームはこの QLED を5層のリング構造で試作した。最下層は銀ナノ粒子からなり、これが導電回路となる。次にポリマー2層の通電層、その上に量子ドットを構成するセレン化カドミウムナノ粒子層が続き、最上部にガリウムインジウム共晶カソードが来る。同氏によれば、この QLED 3Dプリンターの開発には2年かかり、開発費用は2万 USD ほどかかったという。この試作品は1回の工程で製作されている。

これまでにも3Dプリントによる QLED 試作に成功したと主張する研究者はいたが、McAlpine 氏らのグループと異なり、「完全な」3Dプリント製ではなかった。

McAlpine 氏は、今回新開発したような3Dプリンターの価格が下がれば、一般の人も TV や PC ディスプレイの DIY が可能になる日が来るだろうと考えている。同氏チームが次に目指すのは、3Dプリント トランジスターの開発だ( 同開発チームは昨年、人工耳を3Dプリントで製造することに成功している )。

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2014年11月22日土曜日

ISS 専用3Dプリンター「 Zero-G 」の設置に成功

米国発:米航空宇宙局( NASA )は現地時間 17 日、国際宇宙ステーション( ISS )内に3Dプリンター「 Zero-G 」の設置作業を完了したと発表した。同プリンターは9月 21 日に、民間宇宙開発ベンチャーの SpaceX の 「 SpaceX-4ファルコン9」に搭載されたカプセルに収納され、 ISS に向けて打ち上げられた( → 既報記事 )。

「 Zero-G 」は、カリフォルニア州マウンテンヴューに本拠を置くベンチャー Made In Space と NASA が共同開発した ISS 専用3Dプリンター。今後は Made in Space の技術者が、試験製作用の3Dデータファイルなどを ISS に送信し、ISS に滞在する宇宙飛行士がこのプリンターで部品試作を行う計画だ。

Space In Space CEO の Aaron Kemmer 氏は次のように述べた。「このような積層造形技術が宇宙空間でも使用可能になれば、将来的には深宇宙探査や宇宙コロニーといった計画へも転用できる」。

「 Zero-G 」は ISS の「微小重力研究グローブボックス」内に設置された。同プリンターで試作された部品は再び地球に持ち帰り、地上の同型プリンターで同一部品を試作した場合とを比較検討する。その後、ISS で製造した部品が実際に使用可能かどうかの試験運用を行う予定。

参照元記事1
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2014年11月17日月曜日

XYZprinting が同社初の3Dフードプリンター2機種を発売へ

台湾発:XYZprinting, Inc. は現地時間 14 日、同社初となる3Dフードプリンター2機種を来年6月に発売すると発表した。同時に、3Dスキャナー一体型プリンター「 daVinci 1.0 AiO 」の販売開始も発表した。

3Dフードプリンター2機種は、競合他社現行製品の平均販売価格が 3,000-5,000 USD であるのに対し、より低価格で提供するとしている。同社はこの3Dフードプリンターの市場投入により、3Dプリンター全体の出荷台数を現在の3倍の 12-15 万台へ伸ばしたい考え。同社会長の Simon Shen 氏によると、今年度の同社製品出荷台数は約4万台だという。

新型3Dフードプリンターが従来製品と異なるのは、ピザ、クッキー、キャンディーなど複数食材を特製カプセルに充填した技術で、これにより調理にかかる時間が大幅に短縮できるという。Shen 氏の披露したデモでは、調理時間は最短でわずか5分だった。

3Dフードプリンターのうち1機種はトリプルノズル仕様で、残る1機種はシングルノズルのみ。トリプルノズル機では同時に3種類の食材で調理可能になる。

「 daVinci 1.0 AiO 」は販売価格が 26,990 TWD で、競合する AIO Robotics の同タイプ機種の 76,560 TWD をはるかに下回る。当面は台湾国内の EC サイト PChome Store Inc( 商店街市集 ) および Amazon.com での取り扱いとなる。

XYZprinting は来年度以降、フードプリントを始めとして宝飾プリント、産業向け3Dプリンターなど、様々な市場に参入する計画だ。

調査会社 Gartner は、3Dプリンターの世界全体の出荷台数は今年度が 108,151 台で、来年度は 217,350 台に増えると予測している。また同社によれば、今後4年で3Dプリンターの出荷台数は連続して倍増もしくはそれ以上に増え、2018 年には 230 万台に上るという。



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2014年11月16日日曜日

3Dプリンター+自律学習ロボットは最強の組み合わせ? 

ノルウェー発:オスロ大学の研究者チームは 10 年前から、自律学習型ロボットの研究開発に取り組んでいる。

開発チームの1人で同大学情報科学部ロボット工学 / 知能システム研究チームの Kyrre Glette 准教授は自律学習型ロボットについて、次のように述べている。「将来的に、ロボットは遠い惑星の地下深くの坑道での作業や危険な土砂崩れ現場、あるいは南極の海底での任務をこなし、そこでぶつかる諸問題に自ら答えを出さなくてはならなくなるでしょう。このような苛烈な環境は、もはや人間では対処できません。すべてはロボット自らが自動制御しなければならないのです。たとえば、原発事故現場を例に挙げれば、現場に潜入したロボットはまったく想定外の場所で階段を見つけます。見つけた階段を撮影し、自ら解析します。アームの1本は3Dプリンターに接続しており、このプリンターは新しいロボット、または既存ロボットに追加機能を与える新しい部品を出力します。こうしてロボットは、自分で発見した階段に対処する術を身につけるのです」。つまり Glette 准教授らの開発しているロボットは、現場の状況に応じて自ら判断し、その現場に最適な姿形へと自ら変身する能力を持っている、ということだ。

現在、同チームが開発中の自立学習ロボットは第3世代に当たる。シミュレーション プログラムが各ロボットに対し何千通りもの想定をロードし、歩行脚は何本にするかといったように姿形を最適な状態へと変える。これらロボットは全て3Dプリント製で、研究者がテストを行う。

テストの結果、現段階ではまだ対処すべき問題が多数残っているものの、想定シナリオによってはロボットのパフォーマンスは 20-40 % ほど向上したという。現在はそれぞれ異なる設計の5台のロボットで障害物コースなどの場面での各性能を比較し、各ロボットの自己学習能力の向上を目指している。将来はロボット自ら3Dプリンターを搭載し、自力で必要な部品のプリントを実行可能にしたいとしている。

今週始め、会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツ( DTT )が公表した、オックスフォード大学との共同報告によれば、IT やロボットなどの自動化技術が多くの仕事を肩代わりするようになれば、数十年後に 1,100 万人の雇用が失われる恐れがあるという。これは英国の総労働人口の3分の1に相当する。

明るいニュースもある。たとえば先月 28 日、Google が明らかにした「ナノ微粒子」錠剤の研究開発。これは血管に投入されると、体内の血流に乗って、癌や動脈瘤などが発する化学物質を検知するというものだ。

参考関連記事( 開発チームの動画クリップあり )
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2014年11月15日土曜日

ExOne のQ3決算が当初予測を下回る

米国ペンシルバニア州発:ノースハッティンドンに本拠を置く産業用大型3Dプリンターベンダー ExOne ( NASDAQ:XONE ) は現地時間 11 月 12 日の取引終了後、2014 会計年度第3四半期決算を発表した。それによると、同期売上は当初予測を下回る 960万 USD で、前年同期比 17 %の下落だった。

また、今期の損失は 450 万 USD で、1株当たり損失は当初アナリストが予測した 13 セントを上回る 31 セントだった。前年同期の損失は 224,000 USD、1株当たり損失は2セントだった。

アナリストによる ExOne 今期決算予想では売上が 1,500 万 USD、1株当り損失が約 14 セントだった。

今年1月中旬以降、同社の株価は7割近い下落を記録していたものの、翌 13 日午後早くの取引では急反発して 2.5 ポイント上昇の 20.50 USD にまで迫った( 当日の終値は 19.80 USD )。

しかしながら、ExOne は今年度の収益見通しを当初の市場予測より 1,000 万 USD 近い減少の 4,500-5,000 万 USD と下方修正している。

ExOne の CEO、Kent Rockwell 氏は今期決算に関して次のように述べた。「長期販売サイクルと、プリンター平均販売価格の総売上に及ぼす影響等を考慮すれば、このような四半期毎の変動は必ずしもさらに大きな徴候を示すものではない。今年度は 2015年度への過渡期、とする弊社の見方に変更はない」。

同氏は、ドイツ国内の ExOne 欧州新拠点への移行が最終段階に入ったことを挙げ、新拠点の生産能力は従来比で3倍以上になると述べた。また同社は、米国拠点の生産能力も現行の2倍に引き上げる計画だ。

ExOne では今期売上が低迷したことについて、納品の遅れや研究開発費の高騰などを理由に挙げている。

競合する 3D Systems ( NYSE:DDD ) も 11 月 10 日付で第3四半期決算を発表したが、ExOne 同様に当初予測を下回る内容となっている。3D Systems は既に生産に遅れが生じていることを明らかにしており、13 日の終値は 33.39 USD だった。

一方 Stratasys ( NASDAQ:SSYS ) が5日付で発表した第3四半期決算は市場予測を上回るものだったが、投資家向けガイダンスでは収益見通しが下方修正され、13 日の終値は 101.11 USD だった。

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2014年11月14日金曜日

1台3役のオールインワンデルタ型3Dプリンター「FLUX」

台湾発:3Dベンチャーの FLUX Technology LLC は、新開発のデルタ型3Dプリンター「FLUX」の出資者を Kickstarter プロジェクトとして募集している( 12月 22日まで )。

3Dプリンター関連では、これまでにも様々な趣向のプリンター プロジェクトが登場し、その度に話題にもなったが、今回の「 FLUX 」プロジェクトほど関心を集めた事例はなかったかもしれない。出資者募集開始当日、いきなり目標金額の 10 万 USD を突破してしまったのだから。現時点で出資金額は当初目標の5倍の 55 万 USD を超え、出資者数も 910人に達している。

なぜ、これほどの熱狂を巻き起こしたのか? 1つには価格設定がある。DIY キットでの販売予定価格は、わずか 499 USD。もちろんその機能も特筆される。デルタ型のデスクトップ3Dプリンターだが、これ1台で3Dプリンター+3Dスキャナー+レーザーカッター / レーザー彫刻機の3役をこなす。そしてその切り替えもいたって簡単で、ボールジョイント式のヘッドを交換するだけという手軽さ、工具は一切不要だ。「 FLUX 」開発チームによると、現在、追加機能の開発中で、将来的にはたとえばデュアルノズル、食材ペーストノズルなども選択可能になるという( 499 USD で提供される「 FLUX 」ベーシックキットにはレーザーヘッドは付属しない )。

「 FLUX 」は単なる3Dプリンターというより、1つの完全なエコシステムと言ったほうがいい。3Dモデリングソフト「 FLUX Studio 」はスマートフォン経由で簡単に操作でき、ブルートゥース経由で3Dデータをプリンター本体に送信する。このため PC 不要でダイレクトに造形可能。モデリング、ハードウェア制御、システム設定といった項目もほぼ全て市販のモバイル端末上で実行可能だという。またオープン モジュール SDK 仕様なので、誰でも自由に追加機能を設計したり実装することができる。

オールインワン3Dプリンター「 FLUX 」の主な仕様:

本体外形サイズ:30.5 x 26.5 x 55 cm
プリンター本体重量:5.4 kg 
最大造形サイズ:φ=17cm x H=18 cm
最大造形速度:100mm / sec 
層間解像度:0.01 - 0.3mm
ノズル径:φ=0.4 mm
スキャナーセンサー:1.3 M ピクセル CMOS
スキャナー波長=650 nm
スキャン精度:2-3 mm
スキャン可能最大サイズ:φ=14 cm x H=8.5 cm
レーザー波長=405 nm
レーザー出力:200 mW

レーザーヘッドモジュールは追加オプションで別途料金が必要。切断可能素材は紙素材、ホイル素材。彫刻可能素材は木、皮革、発泡ボード、段ボールなど。

Kickstarter 上の当初目標金額を突破した「 FLUX 」開発チームは、来年6月頃には同プリンターの出荷を開始、翌月には出資者にそれぞれの特典を発送したい考え。レーザーヘッドモジュールなどフル装備の金属フレームモデルの販売予定価格は 1,999 USD だ。

また、Kickstarter 上で同様に成功を収めたカナダのベンチャー Structur3D Printing が、FLUX Technology と提携し、独自開発ノズルなどを早期に提供するというのも興味深い。Structur3D Printing は「 Discov3ry 」食材ペースト エクストルーダー開発で、10 万 CAD の資金獲得に成功している。



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2014年11月11日火曜日

目の不自由な人にも名画鑑賞の喜びを

ギリシャ発:3Dプリントは視覚の不自由な人にとってもいろいろな場面で役に立つ。たとえば、立体的な挿絵つきの点字本や、大津波襲来など緊急避難時に使える詳細な立体地図、大事にしている写真の3次元化。

首都アテネを本拠とする3Dベンチャー 3D-EYE は現在、2次元イメージをスキャンして、3Dプリンタブルな3次元モデルを生成する新製品を開発中だ。

同社開発グループは IT 研究者の Harilaos G. Koumaras 博士、ソフトウェア開発者でビジネスアナリストの Vaios Koumaras 氏など、ソフト開発者やプログラマー、IT 技術者から成る混成チーム。彼らは Indiegogo サイト上で開発中の新製品の資金提供を呼びかけており、調達目標額は 150,000 EUR( 募集期間は太平洋時間 12月 16日まで )。同開発チームはプロトタイプを 2016 年半ばまでに試験運用し、同年後半には一般市場向けにリリースしたい考え。

開発中の新製品はクラウドベースのプラットフォームで、2次元画像を3Dプリンタブルな3次元モデルへと変換する。近景と遠景の距離感を高低差に置き換える深度スキャンなどを備える。たとえば、ルネサンス初期イタリア人彫刻家ドナテッロの浅浮き彫り作品「ヘロデ王の饗宴( 1427年頃 ) 」では、近景に彫られているものほど深く、最も遠い背景の彫りは浅めに処理されている。ドナテッロが素材を削って作品を仕上げたのとは違い、3D-EYE は同様のことを素材を「積み重ねて」表現する。独創的だが、これを3Dプリントで表現するのは非常に複雑な作業が要求される。

3D-EYE の目標は、目の不自由な人でも視覚芸術作品を楽しんでもらうことだ。それは目で見る作品を、触れて感じる作品へと変換することで初めて実現できる。同社の Indiegogo 上の資金募集ページでは、たとえば「モナ・リザ」がどのように3Dプリンタブル モデルに変換されるのか、その基本的な流れを見ることができる。

この技術が博物館や美術館に導入され、たとえば、本物とその3次元モデルの模写とが並んで展示されれば、3次元模写は実際に触って体験可能なので、特に若い人に受けるのではないだろうか。

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2014年11月10日月曜日

誰もが買える3Dプリンターを ―― 若きベトナム人博士の挑戦

米国 / ベトナム発:Le Truong Son 氏はハノイ科学技術大学卒業後、米国アイビーリーグの一角を成すブラウン大学へ留学し、物理学博士号を取得した 32歳の若き研究者。同氏がブラウン大学時代から一貫して取り組んできたのが、「ベトナム人でも買える低価格の3Dプリンターの生産」だ。

Son 氏はブラウン大学在学中の 2011年、同大学の所有する高額な3Dプリンターが頭の中のデザインを現実のカタチに変えてゆく力にたちまち魅了されたという。同氏は翌年 10月、3Dプリンター自作第1号機を完成させた。

同年、第1号機の大量のパーツとともに6年ぶりに帰国した Son 氏は、さっそく同プリンターの大量生産化に向けて数名の製造業者に打診したものの、1台当たりの生産コストが 600-700 USD では高すぎて、大量生産はとても無理だと突っぱねられた。そこで旧友らとともにプリンターのチップの販売を eBay 経由で始めた。

このプリンターチップの販売はすぐ軌道に乗ったが、今度は中国人業者が安価な複製品を売り始めた。「他人がコピー製品を売ることについては気にしていません。インベンターの強みは、彼らより常に先を行っていること。彼らが売れるのは旧式バージョンだけですから」。Son 氏らの事業にネチズンの参加が増えるにつれ、特許申請して他者を除外するのはよくないと考え、オープンソースデザインの方針を取った。

現在、Son 氏は米国ワシントン D.C. 近郊の自宅内に拠点を構え、夢の3Dプリンター作りに打ち込んでいる。現在の試作機は5代目で、特に最新型では、複雑な形状のオブジェクトのプリントも可能にした高性能タイプだという。

Son 氏が参考にしているのは、世界最小の3Dプリンターだ。先に開発した3Dプリンターで開発中のプリンター部品を製造することもあるという。資金提供を名乗り出る人も現れ始めた。

現在、同氏が計画しているのは、今月末までに最終製品をAmazon および eBay サイト上で販売することだ。目指すは、300-500 USD 台で買える高性能3Dプリンターだ。「3Dプリンターはまだまだ伸び代が大きい。低価格機種が開発できれば、米国でもベトナムでも大量生産は可能だと思う。低価格かつ高機能な3Dプリンターなら、一気に一般家庭にも普及が進むはずだ」。

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2014年11月4日火曜日

Stratasys だけじゃない! イスラエルのスタートアップ Something3D の挑戦

イスラエル発:イスラエルとくると、やはり業界最大手 Stratasys を想起するかもしれないが、同国の3Dプリント産業は何も同社に限ったことではない。たとえば、Itzik Molcho 氏と Dotan Koskas 氏が昨年、イスラエル中央地区に設立した3Dプリント スタートアップの Something3D などは注目株かもしれない( 米 Stratasys は 2012年4月、イスラエル3Dプリンターベンダー大手 Objet Geometries Ltd を吸収合併している )。

Molcho 氏は、世界的に知られる鋼管製造大手 Tzinorot の元 CEO。パートナーの Koskas 氏は長年、アニメーションとテレビ放送業界でグラフィックデザイナーとして活躍、ここ5年ほどは3Dプリンター製造に取り組んでいた。彼らの最初の成果が、昨年リリースした同社の3Dプリンター初号機だ。この時、彼らの作業場は Koskas 氏の自宅ガレージだった。

現在、同社の3Dプリンターのラインアップは3機種。全て一般消費者向け FFF デスクトップ型だが、他社製品と比較して際立つ特色がいくつかある。最上位機種「 Royal 」にはエクストルーダーヘッドが4基搭載され、マルチカラー、複数素材に対応可能。層間解像度 50 µm、FFF タイプとしては業界最高の最大 500 mm /sec の出力速度を誇る。3機種とも、個々のニーズに合わせた細かなカスタマイズも柔軟に行えるのも特徴だ。

このため、一般の認識度は低いものの、製造、医療、歯科、アパレルなど多方面の業界では名を知られた存在だ。Molcho 氏によれば、重要部品製造用としてイスラエル国内の軍需産業大手に導入されているという。

現行3機種の外観で目立つのは、フレームの鮮やかなパープルだ。「3Dプリンターは、モノ作りを望む全ての人のためにあると信じている。パープルは、そんな個人のモノ作りと革新性を象徴する色だ」。

「 Tyrian 」、「 Han 」、「 Royal 」主要スペック

プリント方式:FFF 
ビルドプラットフォーム:加熱ベッド方式
エクストルーダーノズル径:φ=0.35 mm( オプションで φ=0.25 mm も可 )
層間解像度:50 µm
使用可能素材:1.75 mm ABS、PLA、PVA、ナイロン 618、HIPS
Printing Material: 1.75 mm ABS, PLA, PVA, Nylon 618, ハイインパクトポリスチレン( HIPS )
造形速度:100-250 mm / sec、最大 500 mm / sec
3Dプリント ソフトウェア:Pronterface、Repetier、Skeinforge、ReplicatorG、Cura、Slic3r
対応ファイル形式:AMF、STL、OBJ 

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2014年11月3日月曜日

Autodesk、最有望な3D 関連企業に1億ドルの資金提供へ

米国カリフォルニア州発:3D CAD ソフトウェアベンダー大手 Autodesk は現地時間 10月 30日、3D 業界全体の底上げを目指すことを目的としたファンドを設立すると発表した。

同社が設立する「 Spark Investment Fund 」は、ソフトウェア / ハードウェアを問わず、同社が将来の成長が最も見込めると判断した3D テクノロジー関連企業および研究者、起業家に対し、最大1億 USD の資金を提供する。

同社コンシューマーグループ副社長 Samir Hanna 氏は次のように述べている。「規模の大小に関係なく、3D エコシステムのさらなる革新と発展とをもたらす企業に注目してゆく。可能な限り最速ペースで3Dプリントのエコシステム発展のために最善を尽くしたい」。

 Spark Investment Fund 」の選考過程は原則公開で行われる予定。

Autodesk は5月、同社初の3Dプリンター「 Ember 」の発売と、オープンソース3D プリント プラットフォーム「 Spark 」の提供を発表した。今回のファンド設立も加え、Autodesk 側は3D プリント コミュニティ全体を引き込み、「 Spark 」プラットフォームおよび「 Ember 」等関連製品を改良するためのコラボレートを促進したい考え。

新型3Dプリンター「 Ember 」は、層間ピッチ 10 μm、毎時 72mm の出力が可能な樹脂ベース SLA 造型機。先月サンタクララ市内で開催された「 Inside 3D Printing Conference and Expo 」において、初めて実機が披露された。

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