2014年9月30日火曜日

アイルランド初の3Dプリント サービスセンター「U3D」がオープン

アイルランド発:ユニヴァーシティ・カレッジ・ダブリン( UCD )は 10月1日、アイルランド初となる3Dプリントセンター「U3D」をオープンさせる。

「U3D」は特定のプロを対象とした設備ではなく、「3Dプリントを、3Dデザインを形にしたい全ての人に」をコンセプトとした3Dプリント総合サービスセンター。「Concept Laser」、「Form1+」といった SLM、光造形、FDM 各方式プリンターなど総額50万ユーロ以上の機材を常備。ステンレス鋼、銅、樹脂、銀、ナイロン、蛍光 ABS 素材が使用可能で、フルカラー出力にも対応する。出力ファイルは一般的な STL 形式なので、どんなメーカーのプリンターでも使用できる。

UCD はオープン当日に「3Dプリント エキスポ」も開催、3Dプリントに関する講演、3Dプリント講座、各種デモを披露する予定。


2014年9月29日月曜日

HP が「ガラス」素材の3Dプリンターを開発中か

米国発:HP は10月にも同社初の3Dプリンターを発売予定だが、ことによるとガラスを素材に用いたプリンターも含まれるかもしれない。

HP Labs は現在、「3Dプリントのためのロボット工学科学者」を募集している。その文面には「ガラスおよびその他の無機素材」のハイブリッド材を用いた3Dプリンター研究開発を進める旨が明示されている。同社では 2012年に公表した技術文書ですでに透明なガラスを使用した素材生成の実験結果を報告している。同社がガラスに着目する主な理由は、珪酸塩鉱物は事実上無限大に存在し、環境への負荷が少なく、低コストで従来の大量生産方式に代わる潜在力にある。

通常、3Dプリンターの素材として一般的なのはプラスチック樹脂や金属で、ガラスは異例と言える。ただ、ガラスも3Dプリントできるようになれば金型等も不要で、試作品製作コストも抑えることができる。ただし求人の内容を見る限り、HP では大量生産方式で製造されている製品への応用を考えているようだ。

10月に発売される HP の3Dプリンターは、現段階では「商用」製品ということだけが明らかになっている。この3Dプリンター発売は、同社が低迷から脱却する起爆剤になるのかもしれない。

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2014年9月28日日曜日

目の不自由な人向け3D地図を作成する新ソフトを開発

日本発:国土地理院は今年3月から、現行地図の3次元版データ公開をすでに開始しているが、目の不自由な人が手で触れて幹線道路や歩道、鉄道などを識別可能にするソフトウェアをこのほど開発した。新開発ソフトウェアも現在公開されている3次元地図データ同様、3Dプリンターによって低コストで出力可能な仕様となる。

新ソフトウェアでは幹線道路などを1mm の高さでプリント可能で、指で触れて簡単に識別できる。この3次元地図は FDM タイプの3D
プリンターを使用して、樹脂シート上に出力する。

同ソフトウェア開発に関わった新潟大学工学部 福祉人間工学科准教授 渡辺 哲也氏によると、今後は等高線といった実際の地形も出力させ、地震や津波の際の緊急時にどこへ避難すべきかを盲学校などで教える用途にも使えるだろうとしている。大都市部は 1:2,500、それ以外の地域は 1:25,000 の縮尺で提供される。15cm 四方の樹脂シート1枚当たり単価は 150円しかかからない。

国土地理院は正式版リリースの際、この3次元地図の RAWデータをオンラインで一般公開したい考え。また同院では今後、オンデマンドで特定エリアの3次元データ提供や、点字使用も検討するという。

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2014年9月27日土曜日

「全て3Dプリント楽器」のバンドが初ライヴを披露

スウェーデン発:3Dプリンターで製作された楽器のみで構成されたバンドの初ライヴが23日( 現地時間 )、披露された。

ルンド大学工学部デザイン学科教授 Olaf Diegel 氏は、「3Dプリント楽器」のパイオニア的存在として知られる。今回、演奏をお披露目したバンドはドラム、キーボード、ギター2本という構成で、すべて3Dプリントされた楽器。バンドメンバーは、同大学マルメ音楽アカデミーの学生たちだ。

3Dプリントは、他の工法では不可能な複雑形状が作り出せるし、各演奏者の要望に合わせたオーダーメイド楽器も製作可能だ」と同教授。

Diegel 氏は '90年台半ば以降、3Dプリントに携わってきたが、「3Dプリント楽器」を製作するようになったのは、ここ2年のこと。この試みには、3Dプリント技術が試作品製造にとどまらず、すでに日用品への応用も可能だという事実に注目してもらいたいという意図も込められている。

医療分野では、人工骨や補聴器具等への3Dプリントの活用がすでに始まっている。Diegel 教授自身も以前、糖尿病患者向け3Dプリント インソール( 中敷き )開発に従事している。「インソール製作はコストが高く、時間もかかる。だが3Dプリントならば、靴を買ったその場で作れる」。

今回の3Dプリント楽器製作について、Diegel 教授は次のように語った。「ミュージシャンはクリエイティヴである反面、とても保守的だ。だから彼らがどんな反応を示すのか興味があった。最初、彼らはプラスチックでできたギターを訝しげに見ていたが、いざ弾き始めると、高音質のエレキギターと同じように弾けることに驚いていた」。


2014年9月23日火曜日

3Dプリントで天体望遠鏡も DIY の時代へ

英国サウスヨークシャー発:100 GBP( 約 17,800円 )で、誰でも天体望遠鏡が自作できる ―― ただし、それには少なくとも約4倍の価格の3Dプリンターが必要だ。

シェフィールド大学の3名の研究者がこのほど、3Dプリンターで製作可能な天体望遠鏡「PiKon」で撮影した画像を公開した。3Dプリンターで製作された望遠鏡によって天体が撮影されたのは、今回が世界で初めて。

この天体望遠鏡を制御する頭脳は、たった 25 GBP の Raspberry Pi。Web 上で誰でも入手可能な基板だ。レンズやミラーといったパーツもすべてオンラインで手に入る。この Raspberry Pi 制御の小型カメラをミラー焦点位置に搭載しているので、望遠鏡そのものが天体カメラになっている。

拡大率は 160倍で、月や惑星、銀河や星団までもクリアに観察できる。その性能は、10倍の価格帯の望遠鏡以上だという。

この「PiKon」は、アイザック・ニュートンが 1668年に製作した反射望遠鏡のデザインに基いて製作された。凹面鏡に反射した映像をRaspberry Pi 受光素子( レンズは取り外されている )で受ける仕組みだが、カメラのマウント部分が3Dプリントによって作られている。

「テクノロジーの民主化、ということ。この望遠鏡は安価で製作でき、誰もが使える」と、英国物理学会会員で開発者の1人 Mark Wringley 氏は述べている。「PiKon」の3次元データも近日中に一般公開する計画だ。

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2014年9月22日月曜日

初の ISS 搭載用3Dプリンターの打ち上げに成功

米国ケープカナベラル発:カリフォルニア州ホーソーンに本拠を置く民間宇宙開発ベンチャー SpaceX は現地時間9月21日未明、無人カプセル「ドラゴン」を載せたロケット「SpaceX-4ファルコン9」をケープカナベラル空軍基地から国際宇宙ステーション( ISS )に向けて打ち上げ、成功したと米国航空宇宙局( NASA )が発表した。今回、打ち上げられた同無人カプセルには、微小重力下でも動作可能な初の「ISS 仕様」の3Dプリンターが積載されている。

当初、打ち上げは前日に予定されていたが、天候不順で延期されていた。SpaceX は先週、Boeing と共に、米国人宇宙飛行士を運ぶ新型有人宇宙船開発の委託先に選ばれたばかり。スペースシャトル退役後の米国は ISS への人員輸送をロシアに依存してきたが、それもまもなく終了することとなる。

同カプセルは、NASA が ISS 上で使用する資材計 2,267kg が積載され、同3Dプリンターもそのうちの1つ。将来的には補修部品等を自前で供給可能にしたいとしている。

無人カプセル「ドラゴン」は予定では米国東部夏時間の 23日午前7時4分、ISS に滞在する宇宙飛行士 Alexander Gerst 氏がロボットアームで捕まえる予定。今回の打ち上げ成功により、SpaceX が手がける ISS への資材運搬はこれで5回目となる。

今回、打ち上げられた3Dプリンターは3Dプリンターベンチャー Made in Space が開発した製品。NASA の厳しい基準を満たすため、一般市販製品と比べ剛性を若干高めた構造になっている。NASA ではこの特製プリンターを微小重力空間で実際に稼働させて検証データを集めた上で、来年度以降、ISS に搭載する3Dプリンター性能をさらに向上させたい考え。



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2014年9月19日金曜日

Stratasys が3D CAD ファイル共有サービスの GrabCAD を買収へ

米国ミネソタ発:イーデン・プレイリーに本拠を置く3Dプリンターベンダー大手Stratasys( NASDAQ:SSYS )は現地時間9月16日、ボストンに本拠を置く GrabCAD Inc. を買収すると発表した。同社による企業買収計画は今年に入って4件目になる。

GrabCAD は主としてエンジニアを対象に、3D CAD ファイル共有および活用のためのクラウドベース プラットフォームを提供している。今回の買収の詳細については不明だが、買収金額は1億USD に上るとする見方もある。全て現金による買収で、今月末にも完了する見込みだという。

Stratasys CEO の David Reis 氏は次のように述べた。「3D CAD ファイルのアクセスが一層容易になり、クラウド上でのコラボレーションが増加すれば、弊社製品を始めとする3Dプリント ソリューション採用も一段と加速するはずだ」。

GrabCAD 共同創設者で現 CEO の Hardi Meybaum 氏は、買収後も引き続き CEO 職に留まる見込み。

今年前半、Stratasys は Solid ConceptsHarvest Technologies の2社を買収しており、先月には3D CAD ソフトウェアの Autodesk 製品のパートナーでもあるドイツの Hafner’s Buero GmbH の買収計画も表明済みだ。

同社では、買収を除外した 2014 年の単体売上は 30%増と予想している。また、今年の1株当たり利益( EPS )予測も、当初の 2.25 USD から 2.35 USD へ 0.1 ポイント引き上げている。

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2014年9月16日火曜日

「完全リサイクル型」3Dプリンター実用化も近い? 

インド/米国/イタリア発:地球温暖化や環境汚染といった諸問題は、今や喫緊の課題だ。人間による活動の結果、世界は早いペースで変化しつつある。50年前と比べると環境問題は潜在的脅威と化し、環境問題を意識しない人など誰もいないと言ってよいだろう。

企業側も、環境への負荷を少しでも減らす道義的責任を負っている。循環型生産の採用や省電力化の推進によって、カーボンフットプリントを削減させるビジネス手法も一般的になりつつある。

3Dプリンティングに関して言えば、プラスチック樹脂の消費量に厳しい目が向けられている。この問題に対処すべく、環境負荷を抑える試みが実践されている。インドのフェアトレード フィラメントベンダー ProtoPrint や Plastic Bank のように、環境問題と貧困問題とを一度に解決させるようなビジネスを実践している企業もすでに存在している( → 関連記事 )。また、イタリア技術研究所の研究者チームのように、ホウレンソウやカカオ、コメといった非プラスチック素材 100%からできたフィラメントを試作する動きも出てきている。業界大手 3D Systems も「Ekocycle Cube」の発売を予定している( → 関連記事 )。

そんな中、Yangzi Qin、Yingting Wang、Luckas Fischer、Hanying Xie 氏ら4名の工業デザイナー有志からなるチームは目下、「3D Re-printer」と名付けた新型3Dプリンターのコンセプトモデルを開発中だ。このリサイクル型3Dプリンターは現段階ではまだ詳細は不明だが、使用済みプラスチックボトルを本体上部の投入口に入れると、それを粉砕して粉末素材を自動生成し、それを出力する仕組み。

デザインコンセプトについて、同チームは次のように書いている。「家庭でも学校でも職場でも、プラスチックごみは生活の一部として存在する。プラスチック廃棄物の総量は増加の一途で将来の我々の生活を脅かし、広大な埋立地が必要で、自然分解に時間がかかり過ぎることで環境破壊の原因にもなり、また都市の美観をも損ねている。3D Re-printer は、家庭から出る使用済みプラスチックボトルのごみをリサイクルして、新しい製品へと生まれ変わらせるデバイスだ」。

この「3D Re-printer」コンセプトは機能的には「Ekocycle」とほぼ同等のもののようだ。販売予定価格もまだ未定だが、リーズナブルな価格設定ならば検討の価値はあるかもしれない。

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2014年9月15日月曜日

試作品製作の時間もコストもカットできる「 voxeljet VX1000 」

ドイツ発:産業用3次元積層造型機製造大手 voxeljet は 3D Systems や Stratasys ほど一般の認知度は決して高いとは言えないが、同社が2011年にリリースした VX1000 システムは、樹脂による精密な積層造形だけでなく、ロストワックス等のインベストメント鋳造法の代用となる独自技術も搭載している点が特筆される。

VX1000 はポリメタクリル酸メチル樹脂( PMMA )による3次元積層造形の他に、10,624 個のノズルから超微粒子のシリカサンド( 珪砂 )または樹脂粉末が造形スペースに均一に噴出され、選択的レーザー焼結法( SLS )と同様に、造形スペース内のサンド層に結合剤を吹き付けて固結させることで精密な造形作業が可能だ。シリカサンド層厚は 200µm の標準的なものなので、CADモデルに可能な限り忠実な造形が行え、またシリカサンドは環境にも優しい素材だ。従来の試作機製造工程と比べると工程数を大幅にカットできるので、製作時間も製作に要するコストも一度に削減可能になる。

また、羽根車のような複雑な形状の製品を製造するには、従来のロストワックス法では射出成形機といった高コストのツールが必須だったが、VX1000 ならばまず PMMA 樹脂で羽根車の原形を作り、その上にセラミック層を吹き付け窯に入れて樹脂だけ溶かし、そうやって出来たセラミック型に金属を流し込む、といった応用も可能になる。

シリカサンドによる積層造形が可能な VX1000 システムは、本体も含め全てを導入するには、製造元 voxeljet は8.5x7.5x4.4mのスペース確保を推奨している( VX1000 本体は2.4x2.8x2.0mのスペースが必要 )。

VX1000 本体価格は 1,048,468 USD。主要なスペックは以下の通り。

素材:PMMA、シリカサンド、Polybor B & C 結合剤( 樹脂用 ) / 無機結合剤( シリカサンド用 ) 
色:素材による
最大造形サイズ:1,060x600x500mm
層厚:100/300µm
軸解像度:600dpi
本体寸法:2,400x2,800x2,000mm
本体重量:3,500kg


2014年9月13日土曜日

障がい者支援組織が「Cube Pro」導入へ

英国発:ハートフォードシャー州アボット・ラングリーにある障がい者支援組織 DEMAND はこのほど、念願の3Dプリンターを導入した。

同団体は、身体が不自由な人々にとって欠かせないアシスト器具等を新規購入、または既存のアシスト器具を使用者のニーズに最適化するために改良するといった事業を行っている。

「再生医療分野も含め、3Dプリンティングの用途は無限大だ。このテクノロジーが我々のような慈善組織に導入できれば、個々のニーズに応じた補助器具開発に役立つはずだ」と、同団体の広報担当者。

そこで DEMAND は1年以上に渡って、3Dプリンター導入を目指して募金活動を展開してきた。今回、導入したのは 3D Systems のプラスチックジェット( PJP )方式デスクトップ型3Dプリンターの最新機種「Cube Pro」。同団体ではこのプリンターで、障がいのある人々にスポーツやレジャー等を楽しむ機会を一段と広げ、生活の質( QOL )向上に寄与すると期待している。

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2014年9月8日月曜日

シドニー市内の病院で3Dプリント心臓モデル利用準備が進行中

オーストラリア発:シドニー市内の各病院は現在、外科手術用の実物大3次元心臓レプリカを3Dプリンターで作成するための準備を進めている。

同市内のリヴァプール病院およびセントヴィンセント病院では、1年以内にも心臓外科手術でこの新手法が採用される見込み。この技術によって、執刀医にとっても、患者の心臓疾患の状態を以前より的確に掴めるようになる。また手術時間が短縮され、不慮の事故が発生する割合も減少するので、患者の死亡率および医療事故の確率も減る一助になるだろうとしている。

このほど、オーストラリアで初めて3Dプリンターを用いて患者の心臓の実物大モデルを作成したのは、同病院心臓専門医でヴィクター・チャン心臓疾患研究所臨床部の James Otton 氏。「来院された患者さんの心臓を3次元 CT スキャンしてその3Dモデルを作れば、手術と処置の計画が立てられる、というのがそもそもの発想だ」。

セントヴィンセント病院付心臓専門医およびリヴァプール病院の心臓 MRI 部長も務める Otton 医師は、ロボット工学と最小侵襲手術との組み合わせはこれからの心臓手術では一般的になり、事前に綿密にリハーサルを行う計画型外科手術の重要性もさらに増すだろうと述べる。また、心臓は人体の器官中、最も「簡単に」プリントアウトできる臓器ではあるが、「執刀前に行う3次元 CT スキャンとその後の3次元イメージ作成の90%は、ノイズ除去に費やされる。これが難しい」という。

実際の手術にはまだ使用されないが、Otton 医師による同国初の3Dプリント心臓モデルは先週、完成した。また同氏は国内各地の病院で、この3D技術が最も困難な心臓外科手術に応用されるまで1年もかからないとの見通しを示し、3次元心エコー開発の実験施設も開設予定としている。

また Otton 医師によれば「バイオプリンター」のコンセプトモデルも開発中で、実用化されれば実際の正常な心臓と同じ構造を持つバイオ素材から人工心臓をプリントすることも可能になり、外科手術の予行演習や、新人外科医の研修用として使用できるだろうとも語った。

そして同氏は、最終的には、心臓の全ての機能を備えた完全人工心臓がバイオプリントできるようになり、潤沢な資金さえ支給されれば、この分野においてオーストラリアは世界の最先端に立つことが可能だと考えている。ただし、完全な人工心臓が作成可能なバイオプリンターとなると、異なる細胞同士を正常に機能させることが要求されるため、極めて複雑な装置となる。

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2014年9月7日日曜日

Roland DG が同社初のデスクトップ3Dプリンター「ARM-10」を発売

英国・ロンドン発:Roland DG は現地時間9月4日、ビリングズゲートで開催された「3D Printshow」において、同社初となる3Dプリンター「ARM-10」および3次元切削造型機「SRM-20」を披露した( 同イベントは4日から6日までの3日間 )。

ARM-10」は同社の「monoFab」シリーズ第1弾の3次元積層造型機。光造形方式を採用し、UV-LED( 紫外線発光ダイオード )を下から照射して、樹脂槽内の専用液体樹脂「imageCure」を硬化させ、一層ずつ樹脂槽から引き上げて造形する。プロジェクター方式のため、作業エリア内で同時に複数のオブジェクト造形も可能で、従来のレーザー光照射型に比べて造形時間も短縮できるという。

最大造形サイズは 130x70x70mm、XY解像度は 0.2mm、Z軸分解能は 0.01mmで、積層スピードは 10mm/h。「ARM-10」は「SRM-20」と共に
現地時間4日より販売を開始しており、販売価格は 3,999 GBP( 日本国内での販売価格は税抜き68万円 )。

SRM-20」は従来製品「MDX-20」をフルモデルチェンジしたデスクトップ型3次元切削加工機で、寸法精度および仕上がり表面の滑らかさが要求される加工に適している。工作用基板、アクリル、ABS、ケミカルウッド、モデリングワックスの切削加工に対応し、最終製品と同様の素材特性を持つ試作品で重量や仕上げ具合の確認ができる。「SRM-20」の販売価格は 2,799 GBP( 国内販売価格は税抜き48万円 )

この新製品2機種は生産現場の設計および試作品製造用途に限らず、教育機関や、歯科技工など医療分野でも使用可能だろう。




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2014年9月3日水曜日

超簡単・超静音3Dプリンター「Alta」、今年後半にも Kickstarter に登場

ノルウェー発:3Dプリント作業中、家中に響く絶え間ないノイズに、ちょっとした小物のプリントアウトでさえも微調整が必要だったり … そんなことにうんざりしているようなら、Polarworks が開発中の「Alta」が解決してくれるかもしれない。

開発元の Polarworks はデジタル ソリューション企業 Benglar が今年設立した3Dプリンター ベンチャー。その目的は、「超簡単で高性能な」3Dプリンターを実現させること。しばらくその動静は明らかではなかったが、先週末に開催されたイベント「トロンヘイム メイカーフェア」で、その試作1号機を披露した。

「Alta」試作機のデザインは極めてユニークだ。X軸もY軸もない。動作は全て1本のアームと、回転盤で実行される。

超簡単な3Dプリンターを作るという野心は、Benglar のエンジニアが開発した GRBL から生まれている。GRBL は小型CNCフライス盤等の制御やオープンソース( GNU GPL )3Dファームウェアの「Marlin」に利用されている、簡単操作が特徴の制御ソフト。GRBL 開発者の Benglar 技術者 Simen Svale Skogsrud 氏は、この GRBL を3Dプリンターに組み込むことを考えてきた( Benglarは以前ご紹介した、「Terrafab」開発元でもある )。

そこで同氏が考えついたのが、従来のプリンターのようなX軸やY軸アームの代わりに、2心の回転軸を採用することだった。2心回転軸方式なら部品点数も劇的に減り、プリンターから発する騒音もほぼゼロになる。本体は金属パーツ数点と、精密モーターのみ。部品が少なくなることでプリンター本体の外観もスタイリッシュだ。

チームは数か月間、この3Dプリンター開発に取り組んできた。「Alta」プロジェクトは数か月以内に Kickstarter 上で資金調達を計画しており、約 1,500米ドルを集めたいとしている。

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2014年9月1日月曜日

NASA が初の3Dプリント ロケットエンジン燃焼試験を公開

米国発:今年5月、Elon Musk 氏率いる民間宇宙開発ベンチャー SpaceX は同社の次世代宇宙船「Dragon Version 2」に使用する新ロケットエンジン「SuperDraco」の燃焼室をすべて「ダイレクト金属レーザー焼結法( DMLS )」という最新の3Dプリント技術で製造した。NASA は今年後半にも国際宇宙ステーション( ISS )に3Dプリンターの搭載を予定し、また宇宙望遠鏡製造の完全3Dプリント化に向けて取り組んでもいる。SpaceX に続き、NASA もロケット用3Dプリントエンジンを開発するのは時間の問題だった。いよいよその時が来たようだ。

NASA はこのほど、この種のエンジンとしては初めて3Dプリンターで製造されたロケットエンジン噴射口を公開した。NASA は、カリフォルニア州に本拠を置く Solid Concepts と、テキサス州に本拠を置く Directed Manufacturing の2社に1基ずつ新エンジン製造を委託していた。両社は29日、アラバマ州ハンツヴィルのNASA マーシャル宇宙飛行センターで行われた3Dプリント ロケットエンジンの燃焼試験動画を公開した。

噴射口はロケットエンジン性能を左右する要となる部分だ。水素ガスと液体酸素とを混合して燃焼させ、華氏 6,000度( 摂氏約3,315度 )という超高温の燃焼ガスが約9トンの推力を産み出す。

噴射口は1回の3Dプリントアウトで成形された40個の噴射ノズルからなり、ロケットエンジン本体を構成するのはたった2つの部分のみ。以前の工法だったら、163ものパーツを個別に製造する必要があった。3Dプリントという新技術によって NASA がどれだけコストダウンを図れるかは想像に難くない。しかも従来工程では不可能だった複雑な造形も、積層造形法ならば可能になる。

両社が製造したエンジン噴射口の燃焼試験は NASA の基準を満たし、大成功だったという。従来の射出成形法によるエンジン試作では、試作品到着を何週間も待っていたが、それが3Dプリント エンジンなら数時間で済む。



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