2016年4月30日土曜日

テラヘルツイメージングに利用可能な3Dプリントレンズを開発

米国イリノイ州発:電磁波開発において最後のフロンティアと呼ばれているのが、「テラヘルツ」波( 周波数1THz = 300 µm  )だ。ノースウェスタン大学 Robert R. McCormick 校工科 / 応用科学科准教授 Cheng Sun 氏らの研究グループはこのほど、テラヘルツイメージングに対応可能な新型レンズを3Dプリント技術を用いて開発、成果を 4 月 22 日付 Advanced Optical Materials 電子版上に発表した。この研究は米国立科学財団 ( NSF )の支援を受けている。

 Sun 氏および論文筆頭著者 Fan Zhou 氏によると、このレンズは新しいメタマテリアルを使用した屈折率分布型( GRIN )レンズで、テラヘルツ波よりはるかに微小な構造体からできているという。両氏はこの新メタマテリアルを使用し、マイクロステレオリソグラフィー投影( PµSL )と呼ばれるマイクロ3Dプリント技術でテラヘルツ波に絞った屈折率分布を持つレンズを出力した。こうして製作された3D GRIN レンズは空間屈折率を補正して最良の画像を得るため、レンズ収差補正用レンズの追加も不要になり、結果的に低コストで製造できるという。

マイクロ3Dプリント技術 PµSL はテラヘルツイメージングなど、マイクロ構造が必要な製品を高速かつ低コストで製造できる。拡張性にも優れており、設計者の意図した形状に仕上げられる。

このテラヘルツイメージング技術は特にセキュリティチェックに有用だが、安価で高解像度のため他にも応用範囲は広い。たとえばテラヘルツスキャナーは従来のX線による金属探知に留まらず、炭疽菌などの生体兵器やプラスチック爆弾も検知可能であり、しかも人体には無害というメリットもある。

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2016年4月25日月曜日

世界の3Dプリント関連市場は 2022 年までに 300 億ドル超に

アイルランド発:ダブリン市に本拠を置く調査会社大手 Research and Markets はこのほど、2022 年までの3Dプリント世界市場の最新動向レポートを公表した。

「機種 / 素材 / 素材形式 / 工程 / 技術 / ソフトウェア / サービス / アプリケーション各部門における3Dプリンティング市場グローバル予測 2022 」と題されたこの最新レポートによると、世界の3Dプリント関連マーケットは 2015 - 2022 年の今後 7 年で、49 億 8,000 万ドル( USD )から6倍超の 301 億 9,000 万ドル規模へと拡大、2016 - 2022 CAGR[ 年平均成長率 ]は 28.5 % になると見込んでいる

2015 年度の3Dプリント世界市場の大半を占めたのが航空宇宙、防衛、健康医療、産業、消費財といった主要産業部門だったが、教育、プリンテッドエレクトロニクス( PE )、エネルギー、宝飾といった部門が今後 7 年で成長すると予測されている。

2015 年の3Dプリント市場のシェアを独占したのは米国だった。米国では主要な製造業、航空宇宙 / 軍事産業、医療といった各部門が3Dプリント技術を導入し、マーケット拡大に貢献した。GE は航空機製造に SLS ベースの積層造形機 ( AM )を導入し、技術革新と積極的な助成により、特に北米地域での3Dプリント市場の拡大が後押しされた。

だが、2016 - 2022 年での急成長が期待されるのはアジア太平洋地域( APAC )の3Dプリントマーケットだと同報告は指摘する。行政府によるイニシアティブ、研究開発助成、3Dプリント関連産業基盤の拡大がこの APAC 市場を活性化し、その主要な牽引役として日本と中国を挙げている。

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2016年4月24日日曜日

Shell、3Dプリント製品も使用した超低燃費コンセプトシティカーを発表

オランダ / 中国発:Royal Dutch Shell PLC ( RDSa.L )は「アースデイ」の 4 月 22 日、超低燃費コンセプトシティカーを北京市で発表した。

このコンセプトカーは「プロジェクト M 」と名付けられたこのイニシアティブで開発された。イニシアティブに参加したのは Shell Lubricants 始め、スーパーカー「 McLaren F1 」設計者として高名な Gordon Murray 氏とその会社 Gordon Murray Design、Geo Technology、日本の後藤治氏など。

Murray 氏が 2010 年に発表した3シーターカー「 T.25 」をベースにしたこのコンセプトカーはその殆どが再生利用のカーボンファイバー部品で構成されているが、3Dプリント製品が何点か使用されており、このため従来生産方式より早く、低コスト( 従来の 1 / 4 )で組み立てられるばかりか、買い替え時には丸ごとリサイクルができるという。

Murray 氏は次のように語った。「これは今という時代のためのクルマ。最小限の消費エネルギーで個人の能力を最大限発揮する、という着想を得てもらうために作った」。

コンセプトカーの燃費性能は 70 km / h 走行時 1 ガロン( 3.7853L )当たり約 178 km( 2.6 L / 100km )。重量はベースとなった「 T.25 」より更に軽い 550 kg。最高速度は 110 km / h。サイズ( H x L x W )は 1.5 x 2.5 x 1.3 m。Shell によると、このコンセプトカーが本格的生産に入った場合、従来の家族向け小型車製造に必要なエネルギーの半分ほどで済むとしている。

2016年4月22日金曜日

両脚を失ったカモ、3Dプリントの「義足」で救われる

米国ウィスコンシン州発:凍傷で両脚を失ったカモの Phillip 君は、安楽死処分の寸前に新しい「脚」を得て、再び歩けるようになった。Phillip 君を救ったのは、地元中学校教師と教え子達、そして学校の3Dプリンターだ。

動物を多く飼育している家庭の少女から Phillip 君を引き取った Vicki Rabe-Harrison さんは最後の望みとして、オシュコシュ市サウスパーク中学校技術科教師 Jason Jischke 氏に連絡した。Rabe-Harrison さんは Jischke 氏が公開した3Dプリンター動画を見て、最後の望みを託した。

Jischke 氏と生徒達はさっそくゴムライクフィラメントの NinjaFlex® を使用して Phillip 君用の「義足」を製作した。プリントアウトには 36 時間かかった。

Phillip 君は装着3日目には自力で立ち上がれるようになったが、その後も義足の調整は続けられ、6週間後に一応の完成を見た。

Jischke 氏は、「 Phillip が再び生きる道を歩むことができて、本当に良かった」と話す。

Phillip 君はその後、ミルウォーキー市で Brandon / Alyssa Herbst 夫妻が運営する鳥獣保護施設に移った。同施設では常時 20 - 30 人のボランティアがニワトリ、羊、ヤギ、ポニー、カモなどの鳥と動物の世話を担当している。Herbst 氏は、Phillip 君の義足はまだ試作品なので、工学系の大学生がここにやってきて生涯使用可能な完成された義足を作ってくれることが願いだと話している。




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2016年4月21日木曜日

破壊されたパルミラ遺跡の「凱旋門」が3Dレプリカとして復活

英国発:昨年、イスラム過激派組織 USIS によって破壊された世界遺産パルミラに立っていた「凱旋門」がこのほど 3D技術で復元され、現地時間 4 月 19 日から3日間、トラファルガー広場で展示された。

このレプリカはドバイ未来ミュージアム財団、デジタル考古学研究所( IDA )、英オックスフォード / 米ハーバード大学、UNESCO 各機関の協力により、最新の3Dスキャニング技術を用いて高さ 5.5 m、実物の3分の2 の規模で復元されたもの。除幕式には未来ミュージアム財団代表 Saif Al Aleeli 氏、ロンドン市長、国会議員、考古学の専門家等が列席した。復元製作に掛かった費用は約 10 万ポンド。

凱旋門のレプリカはオリジナルを撮影した3D画像を基に、多項テクスチュアマッピング( PTM )と呼ばれる手法で出力した部材を更にロボットミルで仕上げられており、素材としてエジプト産大理石も使用されている。レプリカ製作を請け負ったのは伊 TorArt

IDA 所長 Roger Michel 氏は次のように述べている。「今回使用した技術の最も素晴らしい点は、単に細部に至るまで精密に調査し保全したということに留まらず、それを3Dプリンターや砂岩、大理石、セメントといった複合素材を加工して復元した事にある」。

IDA は、今回使用した3D技術を今後も中東 / 北アフリカ地域に散在する「危機に瀕する文化遺産」保全のために活用する方針。ドバイ未来ミュージアム財団の後援する「 Million Image Database 」には、世界各地のボランティアに配布された3Dカメラで撮影された3D画像が掲載される予定。

パルミラ凱旋門の3Dレプリカは3日間トラファルガー広場で展示された後、ニューヨーク市、次いでドバイ市でも展示される予定。Michel 氏によるとこのレプリカは来年にもパルミラ遺跡に運ばれて、本来の凱旋門の立っていた場所近くに永久設置される計画だ。

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2016年4月18日月曜日

ペクチンゲルでキャンディーを出力するフード3Dプリンターの試作機を開発

ベルギー発:ルーヴェン カトリック大学( KU Leuven ) メカトロニクス / 生物統計学 / センサー学部博士課程に在籍する Valerie Vancauwenberghe 氏は、植物の細胞壁に含まれる複合多糖類のペクチンからキャンディーを出力するフード3Dプリンターの試作機を開発した。

ペクチンはジャムやゼリーのゲル化剤として最も普通に使用されている食用ゲル。安定性があるため、同氏はこれを使用してキャンディーの3Dプリントを着想したという。

「大学院では室温でペクチンゲルが出力可能な3Dプリンターを開発した。これで熊型グミを試作し、圧縮試験機にかけてどれくらいまで破断に耐えられるか素材特性を検証した。プリント性能を損なうことなくキャンディーをプリントするとしたら、砂糖はどれくらいが適量か、それを確かめるのは興味深いことだろうと思う。室温での伸張性も必要になるだろう」と Vancauwenberghe 氏。

ただし、ペクチンならどれでもよいということではない。果物によってその含有量は異なり、また鉄分とカルシウムを欠くため3Dプリントに適するペクチンは限られる。Vancauwenberghe 氏は様々な濃度を試し、形状が崩れず、食用に適した特性を持ち、実際の果実や野菜のような食感を追求しているという。

同氏の成果は今月 28 日に同大学内で開催されるセミナー「 360º view on 3D printing 」で発表される予定だ。

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2016年4月16日土曜日

byFlow が3Dプリントのコース料理を披露

オランダ・リンブルフ州発:現地時間 4 月 12 日にフェンロー市内で開催された「 3D Food Printing Conference 2016 」会場で、3Dプリンターベンダー スタートアップ byFlow が3Dプリントで出力した食品のみを使用したコース料理を披露した。

同カンファレンスには延べ 200 以上の企業 / 団体が参加した。byFlow のマルチマテリアル3Dプリンター「 Focus 」で出力したカルパッチョ、グアカモーレなどの5品から成るコースを、カタルーニャ州リェイダ市のミシュラン1つ星レストランシェフ Mateo Blanch 氏が盛り付け、事前に選ばれた招待客6人が「試食」した。

byFlow の「 Focus 」3Dプリンターは交換型プリントヘッド機構を採用し、肉、野菜を含む多様な食材に対応する。同社創業者の1人 Nina Hoff 氏は現在、更なる食感向上のため Hans van Wolde 氏を含む一流シェフと協業しているとし、次のように述べている。「フリーズドライの野菜や果実は本来の栄養価が失われていない。これらを粉末状にしたのち寒天と混合することで、3Dプリンタブルベーストを作成している。目下、我々の関心はおいしさにある。この新興テクノロジーを無視するようなことがあれば、大手食品会社は競争から取り残されるだろう」。

会場内に開店した3Dプリントフード レストランは、今後ドバイ、ソウル、ローマ、パリ、ラスベガス、ベルリン、シンガポールを巡回する予定。

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2016年4月12日火曜日

3Dプリントによる膝痛患者オーダーメイド診療実現への挑戦

ギリシャ / イタリア発:ヨアニナ大学( UOI )と伊ローマ市のサクロクオーレ カトリック大学( UCS )研究者は3Dモデリング / 3Dプリントを用いて、膝蓋骨疾患に起因する運動機能障害の診断システム構築に取り組んでいる。

研究者らによると大腿骨、脛骨、膝蓋骨および膝再建ガイドの3Dプリント製作 / 組立を通して豊富な情報が得られ、また解剖で観察されるのと同様の動作をシミュレートすることによって疾患に対する理解もより正確になったという。

Gian Luca Gervasi 氏ら5名の研究者は、このアプローチモデルについてオンライン季刊誌 3D Printing and Additive Manufacturing 上に論文を連名で発表した。それによると、患者の膝蓋骨 MRI 画像から、骨を形成する主要3部分の3Dプリントモデルを作成し、人工腱 / 靭帯から成る再建ガイドを使用して膝関節を作り、様々な力加減でどのように反応するかが具体的に検証できたとしている。

膝痛などの運動器障害の原因は、「膝蓋骨トラッキング不良」を含む膝関節の動作異常が原因だ。この3Dモデリング / 3Dプリントを援用したシミュレーションモデルを検証した結果、解剖で観察されるのと同じ動き方が人工的に再現されていることが確認された。これにより、今後は従来方式よりはるかに安価なこの手法を採用することで、個々の患者の症例に最適な治療を行うことができるとしている。

論文執筆者の1人は次のように述べている。「重要なのは、膝蓋骨が不安定な患者の膝蓋大腿関節の動き方を正しく診断することだ。通例、下肢関節動の精密解析に用いられるモーショントラッキングによる解析( 例えば光電子工学システム )では共に動く皮膚上のマーカーの影響も受けるため解析は難しくなり、誤った結果が記録されてしまう。回避策としてダイナミック MRI や CT スキャン、超音波システムを使用するという選択肢もあるが、いずれも高コストであり、放射線を使用する場合は患者の被爆の問題もある。その点、積層造形技術[ AM ]の長所はどんなに複雑でも、ほとんどどんな形状にも製作できる能力にある」。

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2016年4月11日月曜日

Kabuku、Microsoft Japan と共同で3Dデザインハウスの ICT 実証事業を実施

日本発:デジタルファブリケーション ソリューションを提供する株式会社カブク( Kabuku. Inc )はこのほど、日本マイクロソフト( Microsoft Japan Co., Ltd. )と共同で、Minecraft を活用した子供向け3Dプリント用プログラミング学習の実証事業を行ったことを発表した。

Minecraft は3Dブロックを使ったサンドボックスゲームの1種。2011 年 11 月に製品版がリリースされ、現在ではゲーム領域に留まらず ICT 教育分野でも広く注目を集めている。Kabuku と Microsoft Japan はこの Minecraft を ICT 教育に独自に応用した学習プログラムを開発、東京都内の小学校で 45 分 x 10 時限の授業として実施した。

今回の実証事業に参加したのは渋谷区立猿楽小学校6年生のクラス。子供たちは Kabuku の開発した「 Rinkak 3D アバタープリント・ソリューション」を使用してプログラミングの基礎から整地、そして整地した土台の上に家を建てるまでを演習した。Kabuku 側は、生徒たちがこのようなデジタル技術演習を経験することで問題解決につながったり、他分野でも今後の役に立つことを理解してもらうのが目標だとしている。

「 Rinkak 3D アバタープリント・ソリューション」は Minecraft の中の世界で組み立てた家がそのままフルカラーで3Dプリントアウトできるというもの。Kabuku は運営するマーケットプレイス Rinkak 上で、生徒らが思い思いに「設計」した家の3Dデザインモデルを一般公開している。

同社はこれまでにもこのようなコラボレーション事業を展開している。オープンプラットフォームカメラ「 Olympus Air 」をベースに3Dプリントパーツのデジタル CMF( color / material / finish )製品を共同開発したり、戦国時代の各武将の布陣を立体化した「でこぼこMAP 」等を発表している。

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2016年4月9日土曜日

MIT CSAIL が3Dプリントで6足歩行ロボットを製作

米国マサチューセッツ州発:MITコンピューター科学・人工知能研究所( MIT CSAIL )は現地時間 4 月 6 日、固体と流体材料を同時に組み込み可能にした3Dプリント技術で自律歩行ロボットを製作したと発表した。

MIT CSAIL 所長 Daniela Rus 教授と開発チームは、Stratasys 製品「 Objet260 Connex 」を固体 / 流体部品を同時に造形するように「根本的な改造」を施して、6足歩行ロボットを製作した。具体的には洗浄用カートリッジを材料として認識するようにチップを入れ替えたという。製作には延べ 22 時間かかった。

流体部分には、非凝結流体で満たしたベローズ型部品をプリントする方法を採用した。この 6足歩行ロボットは3Dプリント後、電池、センサー、モーター、コンピューターを組み込むだけで自律歩行ができる。Rus 教授は更なる改善と機能拡張を実装後に、ロボットの商品化も計画している。

「プリンタブル ハイドロリクスと呼んでいるこの手法は、汎用ロボットのラピッドファブリケーションに向けた1歩だ。電池とモーターを挿入するだけで、実質上自律歩行可能なロボットが3Dプリンターから出てくるわけだ」。

MIT CSAIL はこの3Dプリントロボットに組み込まれている流体ベローズ部品の別の応用として、Rethink Robotics の「 Baxter 」のようなコンセプトのロボット製作も可能だとしている。卵のようなデリケートな物体も器用につかむことができるロボットも、このような3Dプリント方式なら製作可能になる。



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2016年4月7日木曜日

Stratasys が最新 PolyJet 搭載マルチ素材 / フルカラー出力のハイエンド3Dプリンターを発表

米国 / イスラエル発:Stratasys, Ltd.( NASDAQ:SSYS )は現地時間 4 月 4 日、PolyJet 方式のハイエンド積層造形システム「 Stratasys J750 」を発表した。

「 J750 」は同社のマルチ素材 / マルチカラー3Dプリンターの第3世代に当たり、「 Objet Connex 1 / 2 / 3 」の後継機種。光硬化樹脂をインクジェットプリンターのように造形トレイ上に噴出して造形する最新の PolyJet 3Dプリンター「 J750 」では従来比2倍の6基[ 2x3、他にサポート材出力用2基の合計8基 ]のノズルを搭載、異なる6種のマテリアルの同時使用および 36 万色以上のフルカラープリントにも初めて対応可能になった( 従来機種ではシアン / マゼンタ / イエローの最大3色使用だったためにカラーパレット上で色を合成する必要があり、フルカラー対応ではなかった )。

同時に PolyJet プリントヘッドの機能改良により更に造形精度が強化され、水平方向最小積層ピッチは 14 μm( 従来は 16 μm )、プリント速度も2倍に引き上げられた。

同社によると、「 J750 」は従来の試作品製造ラインをこの1台だけで完結させることができるとしている。同機では先行機種と同様に Digital ABS や不透明 / ラバーライク素材等を自由に組み合わせて使用できるため、「フルカラー、マルチ素材、ワークフローの簡素化を実現した本機を導入すれば、塗装や組立といった工程も省略され試作品製造の高速化が図れる。J750 は生産工具、成形用金型、教育用具といったあらゆるニーズを満たす AM システムであり、3Dプリントの汎用性を一段と向上させている( 同社 CBO の Josh Claman 氏 )」。

「 Stratasys J750 」の主な仕様:

モデル材:硬質不透明( Vero シリーズ、カラー含む )
ゴムライク( Tango シリーズ )
透明( RGD720 / VeroClear )

デジタルマテリアル:
Digital ABS / 同 ABS2( アイボリー / グリーン )
様々なショア A 値カラーゴムライク
360,000 万色以上
半透明カラースケール
高耐熱性ポリプロピレンライク
サポート材:
SUP705 非毒性ジェル状フォトポリマーサポート( ジェット水流除去 )

造形サイズ( X x Y x Z ):490 × 390 × 200 mm

積層ピッチ:水平方向最小 14 μm 

ワークステーション互換性:Windows 7 / 8.1 64 bit

ネットワーク接続:LAN  TCP / IP 

筐体寸法と重量:1,400 x 1,260 x 1,100 mm / 430 kg

材料キャビネット:670 x 1,170 x 640 mm / 152 kg

プリントヘッド:Power Requirements

電源仕様:100 - 120 VAC 50 / 60 Hz、13.5A 
200 - 240VAC 50 / 60Hz、7A 単相;CE, FCC, EAC 準拠

推奨動作環境:温度 18 - 25℃ (64 F-77 F)、相対湿度 30 - 70%( 非結露 )

ソフトウェア:PolyJet Studio3D printing software 

造形モード
高速:最大 3 ベース樹脂、解像度 27 μm 
高品質:最大 6 ベース樹脂、解像度 14 μm 
ミックス:最大 6 ベース樹脂、解像度 27 μm 

造形精度:50 mm 以下の造形物で 20 - 85 μm、それ以上は最大 200 μm( 硬質素材のみ )
解像度:X= 600dpi、Y= 600 dpi、Z= 1,800 dpi 

「 Stratasys J750 」の販売価格は非公表だが、同社によると「 Objet Connex 3 と Objet 1000 の中間」とのことだ( Objet Connex 3 の本体のみ販売価格は約 33 万ドル、Objet 1000 は約 90 万ドル )。

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2016年4月4日月曜日

ヘンリー8世の印刷聖書を3D X線イメージングによって解析

英国発:英国王ヘンリー8世[ 在位:1509 - 1547 ]が印刷させたとされる英国最古の出版聖書の余白に書かれ、その存在がこれまでまったく知られていなかった「書き込み」を最新の3D X線イメージング技術を使用して解析したところ、英国における宗教改革は急進的ではなく、緩慢なプロセスを辿っていたとする説を裏付ける内容だったことがロンドン大学クイーン・メアリー( QMUL )の調査によって明らかとなった。

調査を行った同大学歴史科教授 Eyal Poleg 博士によると、この印刷聖書は 1535 年、ヘンリー8世が印刷させた聖書の現存する7冊のうちの1つ。同博士がこの聖書を所蔵するランベス宮図書館で調査したところ、ページの余白部分に別の紙が貼り付けられているのを発見した。そこで同大学歯学部3D X線イメージング技術( X線マイクロ CT )の専門家 Graham Davis 氏に協力を仰ぎ、密着している紙の間に光シート透過 / 光シートなしでそれぞれ長時間露光して撮影した。光シート付きでは印刷本文と未知の書き込みの両方が、光シートなしでは印刷本文のみが画像として残る。

撮影後、各画像は Davis 氏が開発したデジタルイメージング処理プログラムにより、印刷本文のみ消去されて手書きの書き込みのみが抽出された。

その結果、書き込みにはトマス・クロムウェルが作らせた最初の欽定訳聖書(「大聖書」、1539 )の転写と朗読箇所のタイミングに関する情報が含まれていた。また最終ページの書き込みが、カレー市の William Cheffyn と ロンドン市の James Elys なる「スリ師」との間で 20 シリングの約束で「取り引き」した、という内容であることも判明した。Poleg 博士によると、Elys 氏なるスリ師は 1552 年 7 月に絞首刑にされたという。この事から博士は、「ランベス聖書」が不法に取り引きされたのはどんなに遅くとも 1552 年以降ではあり得ないとしている。

Poleg 博士は次のように述べる。「この印刷聖書はヘンリー8世による一連の宗教改革がどのような過程を辿ったかを証言する極めてユニークな存在だ。カトリック教会による破門から国教会成立へと大きく国政を転換する最初の数年に当たる 1535 年に同王の命によって印刷され、しかも同王直筆の序文付きだ。この印刷聖書は従来のローマカトリック式ラテン語典礼と、自国語による簡素化された新典礼とが混在していた 1539 - 1549 年の移行期の状況を知る手がかりとなる。修道院解散法成立後、ラテン語訳聖書は廃止され、修道院付属図書館も解体され、ランベス聖書は俗人の手に渡った。かつては英国王室のお墨付きを得た書物だったものが、あっけなく盗みの記録にまで凋落したことになる」。

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2016年4月2日土曜日

地滑り地帯の貧困層を救うプロジェクトに3Dプリント活用へ

英国 / ペルー発:レスター市のデモントフォート大学( DMU )でデザイン学科講師を務める Timothy Whitehead 博士は現在、ペルー国内の山岳地帯の住民に対し、3Dプリントを活用した災害軽減策を現地で活動する慈善団体と共同で取り組んでいる。

3Dプリントの専門家でもある Whitehead 博士は慈善団体 Practical Action と協力して、ペルー国内で断続的に発生する地滑り被害軽減のため、3Dプリントによる立体地形図製作に当たっている。Practical Action は3Dプリント等の新興技術を活用した貧困対策を世界各地で展開する慈善団体。急峻なアンデス山脈に位置するペルーでは度々大規模な地滑りが発生し、とりわけ山岳地帯に住む最貧困層が壊滅的な打撃を受けてきた。

また Whitehead 博士は同団体と共同で、飲用水の浄化装置に使用する部材も3Dプリントで試験的に製作した。今後は3Dプリント技術を援用し、現地で浄化装置開発を行い、被災地域における生存率向上につなげたい考えだ。

Practical Action 理事長 Paul Smith Lomas 氏は次のように述べている。「我々は DMU とのコラボレーションにとても感激している。3Dプリントは従来の設計および製造工程を一気に飛び越える破壊的技術となるかもしれない。これはつまり、発展途上国の住民にとって新製品が短期間で、より安価でアクセス可能になり、結果的に彼らの生活が向上することを意味する」。

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