2017年10月26日木曜日

日本の建設会社が特殊モルタルインクによる建築用3Dプリント技術を開発

日本発:株式会社 大林組( Obayashi Corporation )はこのほど、特殊セメント素材インクをロボティクス技術で自動的に積層する3Dプリント建造法を開発したと発表した。この種の3Dプリント建造技術しては日本で初めてとなる。

同社によると、使用素材はデンカ株式会社( Denka Co. Ltd )の開発した特殊モルタルインクで、エクストルーダーから吐き出された直後に固結するため型枠不要で安定した積層が可能で、省力化 / 工期短縮、低コスト化が実現できるとしている。型枠製作の必要がないため、同社では従来工法より複雑かつ自由なデザインでの建造を可能にする可能性があると期待する。この特殊インクは7軸のロボットアームを実装した専用3Dプリンターから吐き出されて自動積層される。ロボットアームへの動作指令をコンピューターに入力した作業プログラムの自動実行によるオフラインティーチング機能も搭載し、工期短縮に貢献している。

同社が今回の発表用に試作したのはアーチ形状の橋。500 x 250 x 500 mm のブロックを約 15 分でプリントアウトし、それを組み合わせて小さなアーチ橋を建造した。ただしこの新開発の建築用3Dプリンターは現時点ではまだ試作段階であり、同社では今後さまざまな改良を実装する計画だとしている。

建築用超大型3Dプリンターはイタリア WASP 社の建設用超大型デルタプリンターなど、世界各地で実用化に向けて開発が進められている。




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2017年10月18日水曜日

HP、2018 年にも金属3Dプリント市場へ本格進出

米国カリフォルニア州発:HP Inc. ( NYSE:HPQ )は先週、パロアルト市内の本社で開催されたセキュリティカンファレンスで、金属3Dプリント市場への本格進出を早ければ 2018 年にも計画していることを明らかにした。

同社3Dプリント部門社長 Stephen Nigro 氏は、新方式による金属3Dプリント技術を提供することで、「金属3Dプリント方式を大量生産の主力へと一変させるだろう」とコメントしている。

また同氏は、同じく 2018 年度に樹脂素材向け3Dプリンターに「高耐久構造のフルカラー3Dプリントパーツ」が製造可能な新製品を投入予定だとも語った。

昨年、同社は独自技術 Jet Fusion を搭載した自社製としては初めての3Dプリントシステムで総額 12 兆米ドルとも言われる製造分野市場に参入している。

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2017年10月15日日曜日

豪州立図書館が歴史的価値ある「点字地球儀」を3Dプリントで復刻

オーストラリア・クイーンズランド州発:今から60年以上前、実業家 Richard Frank Tunley 氏が制作した視覚障がい者のための「点字地球儀」は、同氏が遺した数々の作品のうち現在もなお学習ツールとして重要な位置を占めている。こうした同氏の功績を顕彰して、クイーンズランド州立図書館( SLQ )およびクイーンズランド州図書館財団は共同事業としてこの「点字地球儀」を3Dプリントで復刻する運びとなった。

「点字地球儀」は制作者 Tunley 氏が木製の球体表面に金属板を貼り付けて陸地を示したり、点字説明を付している。SLQ 技術者らは州から約 10,000 豪ドルの支援を受け、この3Dプリントレプリカを製作する。オリジナルは写真測量法で全方向から撮影し、その画像データを基に3Dモデル化して、それをプリントアウトするという。オリジナルは木製球体と金属板でできているが、3Dプリント復刻版はプラスチック樹脂製になる。それ以外はオリジナルとまったく同じように手で触って大陸の位置などを確かめたり回転させたりできる。

同図書館司書兼 CEO Vicki McDonald 氏の話「Tunley 氏の遺したこの点字地球儀は一般には知られていないものの、わが州にとっては掛け替えのない財産。今回の3Dプリントによる復刻事業は次世代にクイーンズランドの歴史を再発見し、触れてもらう機会を提供するものであり、われわれの取り組みに対し資金提供してくれた全ての方々には大変感謝している」。

オリジナルは経年劣化が進んで脆くなっており、保存処置を施されたうえで同図書館内で 12 月から開催される館内展示会で展示される予定。




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2017年10月5日木曜日

米スタートアップが3Dプリントによる臓器再生技術を開発中

米国カリフォルニア州発:サンフランシスコ市内に本拠を置くバイオ3Dプリントスタートアップ Prellis Biologics は現在、患者自身の組織から培養 / 生成した臓器組織を3Dプリントして再び体内に戻し、機能不全になった臓器を再生させる技術の開発に取り組んでいる。

米国保健福祉省( HHS )によると、毎日 20 人が臓器移植を受けられずに死亡し、2016 年度の調査では臓器提供を待つ患者総数が9月時点の集計で 116,000 人以上なのに対し、移植が実施されたのはわずか 33,611 件に過ぎず、深刻な臓器不足が続いている。同社が開発中の技術は、まず患者本人の生態を採取し、そこから必要な細胞を抽出して臓器を再生できるほどの量にまで培養する。それをゼラチンベースに載せてレーザー3Dプリントで立体化し、再び患者の体内の損失した臓器の部位に戻すというもの。

同社共同創業者で発生生物学者の Noelle Mullin 博士は、開発中のこの技術で何百万人もの人々に長く生きてもらいたいと述べる。同博士によると、使用するのは患者本人の細胞なので拒絶反応もなく、また1つの臓器のプリントは最長 4 か月ほどで済むとしている。

Mullin 博士らによれば、次はインスリンを分泌する島細胞のプリント実用化を 2021 年ごろをめどに目指すとしている。これが実用化されれば、面倒なインスリン注射や血糖検査も不要となるはずだ。同社は True Ventures 主導で 180 万ドルの開発資金を調達済みだ。

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2017年10月2日月曜日

高力アルミニウム合金の3Dプリントを可能にする新方式を開発

米国カリフォルニア州発:HRL Laboratories, LLC はこのほど、加工の難しい高力アルミニウム合金の3Dプリントを可能にする新方式を開発したと発表した。

同社が開発したのは Al7075 / Al6061 を含む高力アルミニウム合金の AM 加工を可能にする方式で、「ナノ機能化」と呼ばれる状態になった粒子状にしてレーザー焼結して造形するというもの。従来の溶接技術では、このような高強度金属合金の加工は困難で、パイ生地のように剥離する欠陥があったが、今回開発した新方式ならばそのようなクラックも発生せず、合金本来の高強度も維持することが可能だという。

AM 加工には合金の微小構造の核となる最適なナノ粒子を得る必要がある。同社開発者チームは Citrine Informatics に支援を仰ぎ、同社の保有する AI 先端材料関連ビッグデータを活用して候補を絞り込み、ジルコニウムベースのナノ粒子に行き着いた。

開発者チームの Brennan Yahata 氏の話「インフォマティクスソフトウェアを活用したのは、我々の知る核生成理論への選択的アプローチを通じて最適な特性を持つ材料を見つけるため。Citrine 側はビッグデータを解析して何千もある候補材料を数個に絞り込む。干し草の山から可能性のある針を拾い上げたわけだ」。




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