2020年12月29日火曜日

スウェーデン国立研究機構が欧州初のフル3Dプリントボートをお披露目

スウェーデン発:スウェーデン国立研究機構(RISE)はこのほど、フル3Dプリントで建造したモーターボートの試験航行デモンストレーションを YouTube 上に公開した。
 「 Pioner 」と命名されたこの3Dプリントボートの建造には、産業用ロボティクス技術を応用して新開発された直交/多軸ロボットアーキテクチャ ベースの大型エクストルーダーを搭載した3Dプリンターが使用された。
完成したボートは2020年12月16日、スウェーデン西海岸の群島に向けて試験航行を実施した。建造に要した日数はわずか3日だったという。 開発グループによると、最大の課題は浸水時の浮力。船体が従来のFRP製ボートより比重の重い樹脂素材でできているため、かろうじて水面すれすれで浮かぶ程度だという。実際に製品として市販する際には、なんらかの浮力材を入れなくてはならないと述べている。
 

2020年11月28日土曜日

独 voxeljet が大量製造向け新型3Dプリンター「VX1000 HSS」を発表

米国発:鋳造用砂型成型用大型3Dプリンター製造の voxeljet AG( NASDAQ: VJET)はこのほど、「 VX 」シリーズ最新製品「 VX1000 HSS 」を発表した。
「 VX1000 HSS 」は、大量高速生産可能な高解像度ポリマーを用いた3Dプリンティングシステム。工業生産現場での連続使用を想定して設計されている。自動化も可能な同製品は、従来のプラスチック射出成形に代わる、経済的で実用的な産業用3Dプリントシステムだ。
同社の高速焼結(HSS)プロセスは、HPのマルチジェットフュージョンMJFと匹敵する性能を持ち、レーザー焼結法や従来の射出成形法と比べても遜色ない機械的特性を持つプラスチック部品を製造することができる。最大造形容積は1000 x 540 mm。
同社は使用メリットとして、造形スピードと拡張性、そしてほとんどのポリマーパウダーベッドフュージョン(PBF)プロセスと同様、支持構造が不要な点を挙げている。使用可能素材はポリアミド樹脂およびナイロン。顧客側の裁量が効くオープン方式を採用し、素材割合などは処理パラメーターで調整可能だ。


2020年10月19日月曜日

Zortrax が導電機能付き PEEK フィラメントを使用したデュアルエクストルージョン技術を開発

ポーランド発:3Dプリンターベンダーの Zortrax S.A. は欧州宇宙機関(ESA)の支援を受け、同社製産業用3Dプリンター「 Zortrax Endureal 」上で、2種類の PEEK フィラメントの混合素材をそれぞれ独立したエクストルーダーで出力することで高性能な複合部品を3Dプリントする技術の開発に取り組んでいる。PEEK材は耐熱性と耐薬品性、難燃性に優れる高機能なプラスチックフィラメント素材。
これは通常の PEEK フィラメントと、ESA の開発した実験的な導電性 PEEK 素材とを組み合わせ、ふたつを同時に押し出すことで複合部品の製造を可能にする、というもの。研究開発に1年かかったという。「 Zortrax Endureal 」で使用される LPD Plus デュアルエクストルージョン技術は、従来、3Dプリント製品とは異なる素材のサポート構造体のプリント用途に使用されてきた。
現在、航空宇宙業界全体において、異なる2種類の高性能ポリマーから3Dプリントされたハイエンド複合部品に対する需要が増加していることを念頭に開発された。同社開発チームは、従来の LPD Plus ノズル部の堅牢性をさらに高めることで安定した出力と、寸法精度の大幅な向上を実現したとしている。 軽量化が至上命題のこの業界において、導電性のある PEEK 複合部品が普及すれば、追加部品による重量増加もなくなり、電気とデータ転送を同時実行することができるようになるという。
現時点では、この新しいエクストルージョン技術による最高温度は 480 ℃ に達している。造形室およびビルドプラットフォームの最高温度はそれぞれ 200 ℃、220 ℃ に達し、高性能材料の反りと収縮をさらに低減することができる、としている。

2020年9月29日火曜日

米 SprintRay がデンタル3Dプリンターなど3製品を発表

米国カリフォルニア州発:歯科用3Dプリント機器製造の SprintRay はこのほど、デンタル3Dプリントシステム「 SprintRay Pro 55 」をはじめとする新製品3点を発表した。
新製品はいずれもデンタル3Dプリント工程で効率化を妨げていた問題の解決を目指している。 3Dプリンターの「 SprintRay Pro 55 」は、もっとも精密なマージンが要求される治療パーツ製作に特化したデンタル3Dプリンター。XY方向解像度は 55 μm。ピクセルトーニング機能により、仮 /および最終的な人工歯冠、ハイブリッド義歯など、超極薄マージンを必要とする作業に最適だとし、直接修復作業、ハイブリッドインプラント義歯製作などにも適しているという。 
残る2製品は自動洗浄装置と、クラウドベースの歯科治療管理ソフトウェアで、今年後半以降のリリースを予定している。「 SprintRay Pro 55 」は先行予約を受け付けている。

2020年9月22日火曜日

シンガポールの研究者グループが乳製品製造可能な3Dプリント方式を開発

シンガポール発: シンガポール工科デザイン大学(SUTD)研究者グループはこのほど、乳製品の製造が可能な新しいフード3Dプリント方式を開発したと発表した。
従来のフード3Dプリントの欠点は、温度変化に敏感な栄養素を含む食品の製造には不向きなことだった。その代表が、牛乳などの乳製品だ。そこで同研究グループはこの制約解消に取り組んだ。
乳製品プリント用インクの流体力学特性に変更を加え、単体乳製品の粉ミルクを使用して、コールドエクストルージョンのダイレクト・インク・ライティング(DIW)3Dプリントによるミルクインクの製造を試みた。その結果、水分を調節して使用する粉ミルク濃度を加減することで、簡易的なミルクインクが作成できたという。
同グループ主任研究員の橋本道尚助教の話「コールドエクストルージョン方式なら、熱に弱い栄養素を損なうことなく、見た目もよく栄養管理された乳製品をそれぞれ要件に応じて3Dプリントフードとして提供可能になるだろう」。

2020年8月31日月曜日

ミネソタ大研究者が実物そっくりに動く心臓弁3Dプリントモデルを作成

米国ミネソタ州発:ミネソタ大学の研究者はこのほど、医療機器の開発製造を行う Medtronic の支援を受け、心臓の大動脈弁とその周囲の構造物のきわめて精密な実物大モデルをマルチマテリアル3Dプリントで生成する画期的プロセスを開発した。
これらの臓器モデルは患者の個体別に作られている。3Dプリントで作成されたソフトセンサーアレイが構造体に組み込まれ、特殊なインクとカスタマイズされた3Dプリントプロセスを使用して生成されている。この人工モデルは低侵襲手術の準備用途に使用でき、世界に数千人いる心臓疾患患者の外科手術成果の向上につながる可能性がある。同研究は、全米科学振興協会(AAAS)発行の査読付き科学誌 Science Advances 上に発表された。
研究者らは、大動脈でもっとも心臓に近い位置で心臓と接続する大動脈基部と呼ばれる部位を3Dプリントした。大動脈基部は大動脈弁、および冠動脈の開口部で構成されている。大動脈弁には大動脈弁尖と呼ばれる3つのフラップがあり、周囲を繊維状リングが囲んでいる。3Dプリントモデルには、この左心室筋と上行大動脈の一部が含まれている。
同研究は Medtronic、米国立衛生研究所(NIH)生物工学 / 生物医学イメージング研究所、およびミネソタ州のイノベーションイニシアティブ MnDRIVE から研究開発資金の提供を受けている。 

2020年8月12日水曜日

3D Systems が全従業員を 20 % 削減へ

米国発:3D Systems(NYSE:DDD)はこのほど、「持続可能で収益性の高い成長のため」として、全従業員を 20 % 削減すると発表した。同社によると、今回の余剰人員削減の大半は年末までに完了する予定で、年間 1億ドルの営業コスト削減が見込めるとしている。
 3D Systemsのレイオフは、3D Systemsの 2020 年第 2 四半期の決算発表後に実施される。売上高は前年同期比 28.7 %減、2020 年第1四半期比 16.8 % 減となっている。
3D Systemsは、COVID-19パンデミックの継続的な影響を業績不振の主な理由として挙げている。今回の決定は Stratasys が 6月に発表したものと同じく、従業員や主要顧客との協議を経て行われている。
3D Systems はおもに 2020 年後半に退職金、拠点閉鎖、その他費用として 2,500 万米ドルから 3,000 万米ドルの範囲の現金費用が発生すると予想するが、2021年には追加費用が発生する可能性もある。また、同社は新たな戦略的重点分野に合致しない事業の一部を売却することも検討している。 

2020年7月14日火曜日

AI が瞬時に解析する「3Dプリント前解析システム」が登場

イスラエル発:3Dプリント関連スタートアップ PrintSyst.ai はこのほど、3Dプリントパーツの一貫性と信頼性の向上を目的とした最新の独自開発人工知能(AI)エンジン「 3DP AI-Perfecter 」を発表した。

3DP AI-Perfecter は3Dプリント前の評価ツールになる。航空宇宙、防衛、自動車製造の各分野の積層造形生産現場で再現性を向上させると同時に労力、時間、コストを削減できる。

3Dプリント実行前のパーツ解析は万一、エラーが発生した際の信用毀損回避という点においても極めて重要なプロセスだと考える同社はここ数年、人工知能(AI)に注力してきた。その結実が、AIテクノロジーを活用した精密なプリント前部品解析を瞬時に行う自動解析プラットフォーム 3DP AI-Perfecter であり、準備時間とコストが最大 99 % カットされる、としている。

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2020年6月21日日曜日

米大学がモーションピクチャーを応用した3Dプリント技術を開発

米国ミネソタ州発:ミネソタ大学はこのほど、伸縮可能な電気センサーを3Dプリントで人間の肺に直接装着可能にする画期的研究を、アメリカ科学振興協会(AAAS)発行の科学専門誌 Science Advances発表した。

同大機械工学部教授 Michael McAlpine 氏によると、開発された新技術は将来、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断およびモニタリングなどの用途に応用できる可能性がある、としている。この新方式3Dプリントにはハリウッドで使用されているのと同様のモーションキャプチャー技術と特殊な3Dプリンターが使用され、またモーションピクチャー用トラッキングマーカーを活用して、臓器表面の伸縮に合わせて3Dプリンターの出力を調整したという。

研究者らはこの方式で、人工的に作成して膨らませた動物の肺にセンサーを3Dプリントすることに成功した。McAlphine 氏は、この新技術は将来的には膨らんだ肺に電気センサーを3Dプリントする際に使用されるかもしれない、と述べている。

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2020年5月25日月曜日

3D Systems、リバースエンジニアリングソフトウェア「 Geomagic Design X 」新バージョンを発表

米国発:3D Systems はこのほど、リバースエンジニアリングソフトウェア「 Geomagic Design X 」の新バージョンを発表した。

同社は、新バージョンではワークフローの効率化、および高精度を実現できるデジタルツールを提供することで設計やエンジニアリング力の
向上が期待できる、としている。

リバースエンジニアリングアプリケーションは現実の3次元物体をスキャンして収集したデータを使用するが、CADモデル変換時には依然としていくつか制限が存在する。同社は、独自のアンロール/リロールを含む新機能により、複雑形状の回転部品を取り込んでも従来比 94 % の作業効率向上が実現できる、としている。

新バージョンから実装された選択的サーフェシング機能は、ハイブリッドモデリングプロセスを簡素化し、有機的フィーチャーとプリズムフィーチャー双方を持つ、従来は取り込み困難だった部品形状にも簡単なワークフローを提供。生産性を向上させ、後工程におけるCAD再利用性を向上させるという。

また同社は、スキャンデータやインポートされたファイルを直接3Dモデルに変換するツールボックス「 Geomagic Wrap 」の新バージョンも合わせて発表した。両製品の最新版は5月末には提供可能になるとしている。

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2020年4月29日水曜日

英国の十代のきょうだいが始めた3Dプリント防護バイザー製作プロジェクトに賛同の輪

英国ウェールズ州発:ウェールズ北部の街レクサムに住む 13 歳と 11 歳のきょうだいがスタートさせた医療用3Dプリント防護バイザー製作プロジェクトに、賛同と協力の輪が広がっている。

Sparey-Taylor 家の Joseph と Isaac きょうだいは、クリスマスに贈られたデスクトップ型3Dプリンターを、当初はポケモンなどのキャラクター作りに使用していたが、地元の介護施設で COVID-19 から医療従事者を守るための個人防護具(PPE)、とくに防護用フェイスバイザーが不足していることを知り、手持ちの3Dプリンターを活用することを思いついたという。

現在、きょうだいふたりから始まった3Dプリント防護バイザー製作プロジェクトは「 PPE Hwb Wrexham 」というファブラボにまで発展し、地元高校や市民有志の協力により、高校内の 90 台の PC と9台の3Dプリンターが稼働して毎週 1,000 個の防護バイザーが製作されている。同組織によれば、今後は射出成型機も導入され、生産個数が飛躍的に向上するだろうと見ている。

発起人のひとり Isaac 少年の話「活動が一気にここまで大きくなってびっくりしている。いまはたくさんのことが進行中だけど、このプロジェクトを兄とともに始めて誇りに思う」。

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2020年4月19日日曜日

鉄鋼大手 ArcelorMittal も3Dプリント人工呼吸器の試作品開発へ

インド・西ベンガル州発:鉄鋼大手 ArcelorMittal のインド子会社 ArcelorMittal Design & Engineering Centre はこのほど、COVID-19 パンデミックにより世界各地で不足が深刻な人工呼吸器の供給に参加することを表明した。

同 R & D センターでは3Dプリント製人工呼吸器の試作品を開発し、この試作品はただちに病院で試用される。問題がないようならば、生産設備を強化して増産体制に入る。

同社によると現在、酸素の供給だけでなく、AI アルゴリズムが組み込まれた薬剤投与も可能な上位版の3Dプリント製人工呼吸器の試作品開発に注力しているという。

新型コロナパンデミックは世界の鉄鋼市場に大きな影響をおよぼしている。その影響は前年度鉄鋼総生産の 47% 近くを占める欧州だけでなく、感染者が急増[3月末時点]する米国にもおよび、また同社拠点のある南アフリカやインドでも感染報告が増えている。同社では生産水準落ち込みの影響を最小限に食い止めるため、手元資金の維持、および生産減に伴う経費削減のための思い切った措置を実行に移しているという。

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2020年4月4日土曜日

新型コロナ感染症:3Dプリント防護バイザー供給で立ち向かう人々

北マケドニア他発:WHO が正式にパンデミック(世界規模の流行)を宣言した新型コロナウイルス感染症 COVID-19。欧米の社会経済に深刻な打撃を与えているが、財力の乏しいマケドニアなどの旧ユーゴスラヴィア連邦諸国も例外ではない。

COVID-19 感染事例が 300 件近く確認されている北マケドニア共和国では、10 % 超が医療従事者の感染だという。そこでテック通、イノベーター、医療従事者が共同で Facebook 上に3Dプリントによる支援ページを立ち上げ、これまでに 500 以上の医療用保護バイザーを製造して医療機関に無償提供している。

セルビアでも 50 名ほどのメンバーがべつの Facebook ページを立ち上げ、北マケドニア同様、3Dプリント製バイザーの供給に当たっている。しかし彼らの場合、政府による外出禁止令発動前に必要としている人々にバイザーが届けられるかについて、困難な状況に陥っている。

ボスニア・ヘルツェゴビナでは地方都市リブノの高校生らが同じく、3Dプリンターを活用して保護バイザーを日産 15 個のペースで製造、地元医療機関に提供するプロジェクトに取り組んでいる。国内では物資が不足しているため、彼らは海外移住組の支援を求めている。

コソボでは、プリシュティナ大学工学部教授が、防護マスクの3Dプリント試作プロジェクトを始動させている。

モンテネグロでは企業からの寄贈のほか、デザイナー、写真家、アーティストなど各界のコラボグループによって同様に保護バイザーが製作され、うち 200 個ほどが前週までに医療機関に贈られた。

クロアチア沿岸地方の都市ザダルでもやはり一部のテック通らが3Dプリントでバイザー部品を製作して市内の医療機関に寄贈している。

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2020年3月27日金曜日

HP が世界の医療現場向けに3Dプリント製品の緊急供給に着手

米国カリフォルニア州発:HP Inc. は現地時間 3月 24 日、同社が世界各地に展開するデジタルマニュファクチャリング ネットワークを総動員して、3Dプリント製品を含む医療機器の重要部品の増産と供給を開始した。

同社によると、スペインのバルセロナ市内にある研究開発拠点をはじめ、オレゴン州、カリフォルニア州、ワシントン州にある米国内拠点と世界の HP 提携グループ会社と協力して今回の緊急増産で 1,000 点以上の3Dプリント部品が各地域の医療拠点に配送される見込み。緊急増産されるのはフェイスシールド、フェイスマスク、鼻腔検査用綿棒、ハンズフリードア開閉装置、人工呼吸器用部品など、医療現場で不足が深刻化している器具と備品類。

また同社と提携会社は、簡単に組み立て可能な3Dプリント部品の無償提供と、3Dプリント製品デザイナーが COVID-19 封じ込めに役立つ製品アイディアやアプリケーションの提供ができる特設ページも用意している。

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2020年3月23日月曜日

英製造大手、新型コロナ禍で3Dプリントパーツを含む人工呼吸器の緊急生産開始

英国発:Vauxhall、Airbus など英製造大手は3Dプリント製品を含む医療機器の緊急増産への対応を開始した。これは英首相 Boris Johnson の緊急要請に応じたもの。

Johnson 首相はこのほど英産業界に対し、今後 2 週間以内に人工呼吸器 2万個の供給を「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する戦時体制にある」として要請。これに対し、前出の 2社をはじめ Rolls-Royce、Jaguar Land Rover など 60 社を超える各分野メーカーがただちに応じた。

グループ PSA 傘下の自動車製造 Vauxhallはこの要請に対し、3Dプリントパーツの組み立てをウイルス対策により閉鎖予定の製造拠点で緊急生産を開始。同拠点には防塵対策の施された塗装部門および3Dプリント部門があり、そこを利活用する。

人工呼吸器 の仕様は英国政府の研究資金助成機関「 Innovate UK 」から提供され、プロジェクト本体の進行は国際コンサルティング会社 PA Consulting が管理する。同社は宇宙飛行用レギュレーター開発で英宇宙局の支援も手掛けていた。

ある関係筋によると、今回の緊急要請を受けた人工呼吸器生産に関して、製造拠点と従業員は無償で貸与されているというが、英政府が完成した人工呼吸器の代金を立て替えるとの見方も出ている。

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2020年3月13日金曜日

独大型3Dプリンター製造 BigRep の出荷台数が 500 台に

ドイツ・ベルリン発:製造現場向け大型3Dプリンターベンダー BigRep GmbH は今週、500 台目の出荷のお祝いを行った。

記念すべき 500 台目となったのは「 BigRep ONE 」。同製品は 2014 年の販売開始以来、同社を代表する FDP 方式の大型造形用3Dプリンターで、最大造形容積は 1m x 1m x 1m。

この 500 台目の納入先はイーモビリティのスタートアップ JAMADE GERMANY。同社の水中スクーター「 AMAZEA 」はパーツの 75 % が3Dプリント製だ。

BigRep は JAMADE の他にAirbus、Etihad Engineering、Ford、Volvo といった製造大手への納品実績を持つ。先月には北米における3Dプリントサービス拠点をマサチューセッツ州ボストンに開設、また PA6/66, PET-CF を含むエンジニアリンググレード フィラメント 4点もリリースしている。

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2020年3月3日火曜日

スイスの研究者グループが世界最速の3Dプリント方式を開発

スイス発:スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)応用フォトニクスデバイス研究所(LAPD)の研究者グループはこのほど、ソフト素材を使用した小型・高精度パーツの製造を超高速で行う新しい3Dプリント方式を開発したと、専門誌 Nature Communications 電子版上に発表した

同グループによると、この新方式ではプリント開始から完成まで 30 秒もかからず、現時点で世界最速の3Dプリント方式だという。原理は CT スキャンで使用される断層撮影術を応用したもので、液体樹脂素材にレーザーを全方位的に照射して一気にポリマー化して固結させる。試作機は2cm 大のオブジェクトを 80 μm の精度でプリントアウトが可能。将来的には 15 cm 大のオブジェクトまでの造形性能を目指す。

今回の研究成果で画期的なのはその高速プリントもあるが、ソフト素材による超小型・高精細なオブジェクトを作成できる点。従来の積層方式では強度不足による破損がネックとされてきたが、この新方式はその問題も克服されている。同グループはおもにソフト素材が多く使用される再生医療向けに最適だとし、この新方式3Dプリンターを商品化するための会社 Readily3D も設立した。





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2020年2月11日火曜日

カナダのグループが携帯型3Dプリンターでやけどの治療に成功

カナダ・オンタリオ州発:カナダの科学者グループはこのほど、携帯型3Dプリンターを使用してやけど(熱傷)の傷口への皮膚移植に成功したと発表した。同グループが使用した携帯型携帯型3Dプリンターは2018年に独自開発したデバイスの改良型になる。

皮膚移植を行ったサニーブルック病院およびトロント大学応用科学工学部の研究者グループによれば、深部熱傷を治療する現行方式では、細胞組織パッチ培養に数日かかることがあるが、携帯型3Dプリンターを用いる方法では広範かつ重度の熱傷部位に対してもすぐに対処可能な点が画期的だとしている。

プリンター先端にはローラーがあり、プリント工程で間葉系幹細胞を投下して覆う。幹細胞組織は環境に適応し、熱傷の場合は皮膚再生を促進することが知られている。傷口の治癒が速いだけでなく、瘢痕化も軽減してくれるという。

同グループは、この新方式が普及すれば、深部熱傷治療を根本から変える可能性があると期待する。



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2020年1月25日土曜日

古代エジプト男性ミイラの「声」を3Dプリントを使用して復元

英国発:現地時間 24 日、今から約 3000 年前の古代エジプト新王国時代の神官だった男性ミイラの「声」を、英大学の研究者グループが3Dプリントで復元した声道モデルと音声合成技術を用いて再現したと発表した。

この発表を行ったのはロンドン大学ロイヤル・ホロウェイカレッジ工学部教授 David Howard、ヨーク大学考古学部教授 John Schofield らの研究者チーム。同チームによれば、今回、声の再現に成功したのはリーズ博物館に所蔵されている約3000年前の古代エジプト新王国朝最後のラムセス11世統治時代(c.1099 - 1069 BC)に生きたカルナック大神殿神官で書記だったネシャムン(Nesyamun)という男性ミイラのもの。博物館からミイラをリーズ総合診療所に運び入れ、CTスキャンにかけたところ、喉頭や声道の組織が驚くほど良好な保存状態を保っていたという。

同チームは CTスキャンから得られたネシャムンの声道構造のデータに基づき、3Dプリントで精密な原寸大モデルとして出力。電気式人工喉頭に接続して人工的に声を復元した。ただし今回、復元したのは「エー」という長母音や長いため息のみで、本格的な会話の再現については当時使用されていた自然言語の解析が不可欠なことと、会話をするのに不可欠な舌がほとんど欠落しているため、実現できなかったとしている。また、ネシャムンは生前、歯周病に罹患していたことが判明している。

研究チームの教授は今回の成果について、「歴史に新しい窓を開くたいへん興味をそそられるプロジェクト。3000年ぶりに彼の肉声をこうした形で再現できて、とても興奮している」と述べる。




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2020年1月21日火曜日

3D Systems がジュエリー型専用3Dプリンターを発表

米国発:3D Systems はこのほど、同社 Figure 4 3Dプリントプラットフォームに、ジュエリー成形型などの製造用に特化した新製品を追加した。

同シリーズの既存製品と同様、今回発表された新製品も産業向けに要求される耐久性と精度、高い表面仕上品質を提供するが、ジュエリー製作用途として 1). 「非接触膜 Figure 4 テクノロジー」と、極力介在物を廃した MicroPoint 方式とを一体提供することで側面仕上げの滑らかさ、プリントパーツの高解像度を実現 2). ジュエリー型製造に最適化した同社の3Dプリントソフトウェア「3D Sprint」の搭載で、鋭利な突起デザインおよび微細なメッシュデザインの調整も可能にした。

「Figure 4」シリーズの超高速プリント性能はジュエリー原型製作に特化した今回の新製品にも受け継がれており、プリント速度は 16 mm / h。使用素材は同社オリジナルの Figure 4 JCAST-GRN 10 で、極薄から厚みのあるデザインまで、幅広いジュエリー成形型パターンに対応可能となっている。

このジュエリー3Dプリント専用機用キャスティングレジン素材には、マスターパターンモールド製造用、およびプロトタイピング用レジンが 2020 年後半にリリースされる予定だ。

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2020年1月10日金曜日

米ロックバンドドラマーが3Dプリントのスネアドラムでコンサート

米国ネバダ州発:ロックバンド Panic! At The Disco のドラマー Dan Pawlovich 氏はこの1年半ほど、3Dプリントで製作されたシェルを持つスネアドラムの演奏を披露してきた。

このプロジェクトは Stratasys Direct Manufacturing とのコラボレーション企画で実現したもので、同氏はPanic! のコンサートで演奏を披露、好評を博している。

この3Dプリント・スネアドラム製作プロジェクトは3年半ほど前にまでさかのぼる。Dan 氏は 3D CAD デザイナーと協議を重ねて最初のプロトタイプを SLS 3Dプリントで試作。長期の使用に耐えられること、また一般的なチューニングボルトやドラムヘッド、フープといった従来の交換部品と互換性を維持することを重視して製作された。

現在、Dan 氏はこうして作られた3種の3Dプリント・スネアドラムを使い分けている。試作段階では Nylon 12GF、UV、ABS、衝撃吸収タイプと使用する樹脂素材を変えて作られ、また SLS 以外に FDM 方式も使用した。

現在 Dan 氏は、外形寸法は同じで3種の異なる素材、2種類の3Dプリント方式でそれぞれプリントアウトされたスネアドラム3本を演奏で使用する。Dan 氏によると従来製法のスネアドラムと比べ、これら3本のスネアドラムのシェルにはラグと呼ばれる金属パーツがない分、雑味のないクリアでシャープな音質に変わったと高く評価、ドラムメーカーも3Dプリントを使用してさらに性能を向上させた楽器を送り出してほしいと望んでいる。





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