2015年4月30日木曜日

3Dミニチュアデータ購入 & プリントでネパールの被災者支援を

カナダ / 米国発:バンクーバー市に本拠を置く3Dモデルデータ提供サービスの Pinshape は米コロラド州の3Dデザイナー集団 MiniWorld と共同で、現地時間4月 25 日に発生したネパール大地震被災者救援のためのチャリティー「 HELP NEPAL 」を実施している。

特設ページ上で提供されている3Dモデルファイルは UNESCO 世界遺産に指定されている首都カトマンズ市のボダナートの仏塔と、同市ダルバール広場で甚大な被害を受けたパゴダの1つ。ボダナートの3Dモデルデータは4.99 ドル、ダルバールのパゴダは3.00 ドルで、共に .STL 形式。購入金は全額 UNICEF Nepal Relief に寄付される。

ボダナートは 1979 年、UNESCO 世界文化遺産「カトマンズ渓谷」の構成資産の一部として指定された、高さ 36 m の巨大な仏塔で、ネパール随一の観光スポットでもある。

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[ 付記:日本ユニセフ協会の「ネパール大地震緊急募金」 ]

2015年4月27日月曜日

Microsoft、HP など業界大手が .STL に代わる新規格を近日中にも発表

米国ワシントン州発:今月 13-15日にかけて開催された「 3D Print Week in NYC 」で、HP 3D Printing のグローバルビジネス部門トップの J Scott Schiller 氏は、Autodesk、HP を含む業界大手各社が参加して3Dプリント規格見直しに向けた新しいコンソーシアム立ち上げを近日中に発表することを明らかにした。

Microsoft はこれに付随して、今月末に開催される開発者向け年次カンファレンス「 Build 2015 」の「 Windows 10 における3Dプリントアプリケーションおよびサービス開発」というセッションで、次世代3Dプリントファイルフォーマットを発表する。同社は 2013 年、OS レベルでの3Dプリント対応を Windows 8.1 で実現させているが、現行規格の1つ「.STL 」は既に時代遅れとの認識を示していた。

 .STL ( = Stereolithography )は、市販の3Dプリンター全機種で使用可能なユニバーサルなファイル形式ではない。.STL 形式は 1989 年、3D Systems の共同創業者 Chuck Hull 氏らによって開発された。これは3次元モデルを小三角形の集合体として表現するが、この小三角形の集合体があまりに多いとファイルサイズが肥大化し、また現行3Dプリンターの多くが .STL 形式のサポート可能範囲を超える性能を有している。

Microsoft と同コンソーシアムに参加予定の企業各社はこうした問題を解決し、取り扱いが簡単な統一ファイル規格提供を目指す。.STL では不可能なカラー指定、表面仕上げ指定等も可能にするとしている。

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2015年4月26日日曜日

「トランスフォーマー」のように自律変形する4Dプリントを豪研究者グループが開発

オーストラリア・ニューサウスウェールズ州発:ウーロンゴン大学の研究者グループは現地時間4月 22 日付のプレスリリース上で、独自の「4Dプリント」技術を発表した。

プレスリリースおよび学会誌 Macromolecular Rapid Communications 電子版 10 日付寄稿記事によれば、同グループは特性の異なるハイドロゲル( N-イソプロピルアクリルアミドとアルギン酸ゲル )を使用し、強靭性と柔軟性、適応性と強度を用途に応じて変化できるようにした4Dプリントを開発した。今回試作したのは「スマートバルブ」で、通常の3Dプリント製品にハイドロゲルで作成した弁を組み合わせ、弁が水温約 30 °C を境に水温を感知し、自律開閉できるという。言ってみればこの4Dプリントで、「トランスフォーマー」のような装置が作れるようになるわけだ。

同グループリーダーで同大学化学部教授 Marc in het Panhuis 氏は次のように述べている。「4Dプリントの素晴らしい点は、プリンターから取り出したら即、使用可能なデバイスになること。仕上げ組立等の工程が一切不要な点にある」。

この「4Dプリント」技術は、たとえば医療、ソフトロボティクス、建設、軍事分野への応用が期待できるとしている。


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2015年4月25日土曜日

手持ちの FDM 3Dプリンターをフードプリンターに変える「 Bocusini 」

ドイツ・バイエルン州発:サーモプラスチックの代わりに「食材」を出力するフードプリンターは既に何機種か市場に出回っているが、利便性となると疑問符がつく。割高な上、単に食品を作るというだけの目的で、わざわざフードプリンターを購入するだろうか? 

フライジングに本拠を置くスタートアップ Print2Taste は、「 Bocusini 」というソリューションを提案する。これは既存の FDM 3Dプリンターをフードプリンターへと早変わりさせるアドオン組込キット。一方で、スタンドアローン 3Dプリンターとしても提供予定だ。

アドオンとして提供されるフードカプセルは詰め替え可能で、マジパン、チョコレート、フルーツゼリーなどが予定されている。同社によれば、ユーザーは作りたいフレーバーのカプセルを手持ちの3Dプリンターにセットした後、スマートフォンやタブレットで専用アプリを起動してデザインし、そのデザインデータを WiFi 経由でプリンターに送信するだけの簡単操作で済むとしている。対応機種は現時点では「 Printrbot simple 」、「 Ultimaker 2  」、「 Printrbot Metal 」で、順次増やしてゆくという。

同社は5月 12 日以降、Kickstarter 上で「 Bocusini 」資金調達キャンペーンを開始する予定。現時点ではまだ価格等の詳細は不明だが、キャンペーン開始時点で明らかになるだろう。



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2015年4月24日金曜日

Thingiverse と 3D Hubs が提携

米国 / オランダ発:MakerBot が運営する Thingiverse は、現在 700 万点を超える3Dデータがユーザーから提供され、ピクルススライス掴みなどの実用品からアクションフィギュア、宝飾品、ガジェット、「 Katamari Ball 2 」のような前衛作品まで豊富に揃う世界最大級の3Dデータライブラリーだ。

現地時間4月 21 日、3D Hubs V.B. は Thingiverse との提携を発表した。今回の提携により、Thingiverse 上に投稿されたデザインデータを全世界で 15,000 名以上いる登録3Dプリンターオーナーにプリント依頼が可能になった。

アムステルダムに本拠を置く 3D Hubs はオンデマンドプリントサービス可能な全世界の3Dプリンターオーナーが、自由に価格設定して登録できるオンラインサービスを提供している。

技術的には、今回の両社の提携以前から Thingiverse 上のデータは 3D Hubs ユーザーにオンデマンドプリントを依頼可能だったが( ダウンロード後、3D Hubs 上の登録ユーザーにプリントを依頼する )、今後は簡単に依頼できるようになる。

現時点ではオンデマンドプリント依頼サービスは Walter HsiaoNervous System といった人気デザイナーに限定されているものの、いずれは全投稿ユーザーに対して提供される見通し。

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2015年4月20日月曜日

MakerBot が全従業員の約 20 % をレイオフ

米国ニューヨーク州発:3Dプリンターベンダー大手 Stratasys 傘下の MakerBot は現地時間4月 17 日、全従業員の約 20 % をレイオフしたことを発表した。

2014 年時点での同社全従業員数は約 500 人と言われ、レイオフで約 100 人が失職したことになる。今回の決定は新 CEO の Jonathan Jaglom 氏の指示によるという。

関係者によると、今回のレイオフは、親会社の Stratasys との業務統合を加速させるための業務のスリム化だとしている。

また MakerBot は同時に全米3か所の直営店を閉鎖することも発表した。

2009 年に Bre Pettis 氏が設立した同社は短期間で急成長を達成し、3Dプリンター普及の一翼を担ってきた。2013 年に Stratasys に時価4億 300 万ドルで買収され、Pettis 氏は Stratasys のイノベーション部門の統括者になった。2代目 CEO の Jenny Lawton 氏も今年に入り Stratasys に移籍しており、現 CEO Jaglom 氏は Stratasys 出身者として初めて MakerBot の経営トップに就任している。

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2015年4月19日日曜日

ぬいぐるみも3Dプリントで作れるようになる? 回路組込も可能

米国ペンシルベニア州発:Disney Research およびカーネギーメロン大学は現地時間4月 17 日、フェルトのような変形可能なソフト素材を3Dプリントするデバイスを開発したと発表した。

発表したのは同研究所ピッツバーグ支部 準博士研究員 Jim McCann氏、コーネル大学情報科学大学院博士課程の Huaishu Peng 氏、カーネギーメロン大学ヒューマンコンピューターインタラクション研究所の Scott Hudson および Jen Mankoff 氏ら共同開発チーム。同チームによると、今まで手作業だったフェルトのぬいぐるみのようなオブジェクトも3Dプリント化が可能になり、また異なる素材、たとえば電気回路組込素材と組み合わせてプリントすることで、タッチセンサーのような機能を持たせることもできるようになるとしている。

この新デバイスの仕組みは、まず作業プラットフォームが上下2段あり、上側がローラーから供給されるフェルト素材を切断するレーザーカッター、下側が溶着機構になっている。ローラーから送り込まれた素材を上面プラットフォームに吸着させた状態で、レーザーカッターが下からスライサーのデータに従って切っていく。この時完全には切らずに、サポート材を残したまま立方体として切り出す。次に吸着機構を切り、迫り上がってきた下側のプラットフォームに落とし、フェルトのアイロンがけの要領で、既に造形の終了しているレイヤーに高熱で押し付け、圧着させる。これを繰り返して3Dオブジェクトを形成する( フェルト素材には感熱性接着剤が塗布してある )。オブジェクトが完成したら、余分なサポート材を取り除いて取り出す。

開発チームが行ったデモでは、厚さ2mm のフェルト素材を 32 のレイヤーで積層して高さ 2.5 インチ( 6.35 cm )のウサギを2時間半かけて造形した。

開発チームは 18 日から韓国ソウル市で開催される「 CHI 2015 」でプレゼンテーションを行う予定だ。




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2015年4月18日土曜日

公共図書館の3Dプリンターに「知的財産の侵害」警告表示を義務化? 

米国カリフォルニア州発:現在、カリフォルニア州議会で審議中の法案を巡って、一部で懸念が広がっている。

この法案「 AB-37 」は、3Dプリンターを導入・運用している同州各地の公共図書館に対し、3Dプリンター利用者に「知的財産権を侵害する恐れがある」旨の警告文を表示することを定めるもの。同法案は1月に草案が作成されていたが、今週、電子フロンティア財団( EFF )アクティヴィスト Parker Higgins 氏が Twitter 上でその存在を明らかにした。

法案を提出した議員によると、会期中に可決されれば、3Dプリンターを配備している同州の全公共図書館において、「誤った使用」によって生じる関連州法および連邦法上の責任についての注意事項を大書きした警告表示の3Dプリンター上、もしくはその近くへの掲示が義務付けられることになる。同法案は今週、全会一致で再審議が決議されている。

カリフォルニア州立図書館は同州の公共図書館に対し、ハイテク機器等の購入財源として年1回助成金を支給している。また、全米図書館協会( ALA )傘下のヤングアダルト図書館サービス協会( YALSA )も2月、全米各地の公共図書館 100 箇所を対象とした、同様のハイテク機器購入助成を開始するというアナウンスをしている。

この法案提出に対し、一部識者からは時期尚早で、拙速だとの懸念が示されている。英ボーンマス大学知財政策マネジメントセンター( CIPPM )の Dinusha Mendis 氏は次のような見解を表明している。「法案提出には、3Dプリントはもはや日常の一部になっているという確固とした証拠が必要だ。そうでなければ、このあまりに拙速な法制化によって、せっかくの創造性とイノベーションを殺すことにもなりかねない」。

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2015年4月14日火曜日

シングルヘッド FDM 機で3色マルチカラープリントを実現する「 Diamond Hotend 」

デンマーク・コペンハーゲン発:現在、市販されている3Dプリンターで最も一般的なFDM 方式デスクトップ 3Dプリンターでは、サーモプラスチック製フィラメントを溶融するホットエンド1基が出力できるのは単一のフィラメントに限られている。マルチカラー出力可能な製品は、複数のホットエンドとエクストルーダーノズルを装備した機種に限られていた。

とはいえマルチカラー対応を謳う機種にもいくつか問題があり、たとえば各ノズルヘッド高は造形物表面から均一で、各ノズルヘッド間の距離も注意深くキャリブレートしなければならず、また3Dオブジェクトを正確に出力するためにはプリンターソフトウェア側の微修正も必須になる。アイドル状態のノズル口から不要なフィラメントが垂れる場合もあり、いずれの問題もせっかくの苦心の作を台無しにしかねない。

3Dプリント関連サービスの RepRap.me は現在、シングルノズルタイプの3Dプリンターで最大3色を同時出力する「 Diamond Hotend 」の開発と、量産化に向けた資金調達キャンペーンを Kickstarter 上で実施している。資金調達キャンペーンは現時点で、既に目標額の2倍以上の 328,616 DKK に達した。

同社の開発した「 Diamond Hotend 」は、異なる3種( 色 )のフィラメントを独立したチャンバーに供給し、それを「ダイアモンド型」特殊ノズル口へと接続させて3色マルチカラープリントを実現している。この3色同時プリントには3つの方法があり、1). 平面 / 垂直面毎に色を切り替える、 2). 任意の色を混合して色を作る( 50 % グリーン + 50 % レッド =オレンジなど )、3). 不要色を完全に排出後、異なる色でプリントという工程を繰り返す( クリアな仕上がりになる )。対応フィラメントは 1.75 mm 径の PLA、ABS、HIPS( 耐衝撃ポリスチレン )、フレキシブル、PET-G。

同社によると、この3色同時プリント可能シングルヘッドは市販製品のカスタマイズ用として開発され、現時点での対応製品は bq WitboxPrusa i3 になる。同社は他の3Dプリンターベンダーとも協議中で、既に数社が、それぞれの製品への対応インターフェイス組み込みを前向きに検討しているという。将来的には MakerBotDuplicatorUltimaker といった人気製品に対応するコンバージョンキットも用意する計画も立てている。

この「 Diamond Hotend 」を使用するには、取り付ける3Dプリンタードライバー側も複数エクストルーダーに対応していることが条件になる。場合によってはドライバー更新が必要だ。

Kickstarter 出資者を対象とした「 Diamond Hotend 」の発売開始時期は6月頃になる見通し。また、今後のバージョンアップではレッド、グリーン、ブルー、ホワイト、ブラックの計5色の同時出力化を考えているという。もしそれが製品化できたら、グレースケール出力およびフルカラー出力も可能となる。



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2015年4月12日日曜日

2014 年の AM 世界市場規模は前年比 35.2 % 増の 41 億ドルに

英国発:米国コロラド州フォートコリンズに本拠を置く3Dプリント関連コンサルタントおよび調査会社 Wohlers Associates はこのほど、2014 年の積層造形( AM )の世界市場規模が、30 億7千万ドルだった前年と比べて 35.2 % 増の 41 億ドルに達したと、業界アニュアルリポート「 Wohlers Report 2015 」上で発表した。複合年間成長率は過去3年で 33.8 % だった。

また同リポートによれば、産業向け AM ベンダー / 販売会社数は 49 社で、こちらも前年の 34 社から増加傾向にある。急成長分野は廉価帯のデスクトップ3Dプリンター部門で、全てサーモプラスチックを使用する製品。同社によれば、5千ドルを下回る金属加工用3Dプリンターは現れていないという。

同様に急成長したのは産業向け金属積層造形部門で、航空産業や医療産業において要求の厳しい分野での応用例が急増した。

「 Wohlers Report 」は 1996 年に最初に発行された。発行前年、1995 年の AM 業界規模は2億 9,500 万ドルに過ぎなかった。

314 ページの 2015 年版リポート作成に当たり、同社は 87 のサービスプロバイダー、40 社のシステムベンダー、31 か国 78 人の寄稿者の協力を得た。同リポートは売価 495 USD で入手できる。

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2015年4月11日土曜日

「オリガミ」から着想した3Dプリンタブルな無線アンテナ

米国ジョージア州発:ジョージア工科大学で電気工学およびコンピュータ工学博士課程に在籍する John Kimionis 氏と、同氏の指導教官で IEEE フェローの Manos Tentzeris 氏は現在、日本の「オリガミ」原理を応用した立方体型ダイポールアンテナを、3Dプリントと導電インクジェットプリントとを組み合わせて廉価で製作する技術の開発に従事している。

オリガミの折り方は「吉澤 章 / サミュエル・ランドレット方式」と呼ばれ、英米およびスペインのオリガミ協会では現在もこの折り方に準拠している。両氏はこのオリガミの折り方を活用した、新しい立方体型ダイポールアンテナを考案した。

両氏によれば、従来の一般的な単一指向型センサーは、送信元に直向していない限り受信できないが、もし3Dプリントと導電インクジェットプリントとを組み合わせて可変指向アンテナを組み立てることができれば、ダイバーシティ効果と同様の、異なる方向からの電波受信が可能になり、アンテナだけでなく様々な用途の電波利用機器への応用も可能になるという。

両氏が試作したアンテナは、まず十字形の展開面を Stratasys の硬質光硬化ポリマー「 Rigid Opaque( VeroWhitePlus ) 」で出力し、その基板上に銀と酢酸銀の導電インクをインクジェットプリントしてアンテナ回路を組み込む。折り目に当たるヒンジ部は感熱性素材でできている。

Kimionis、Tentzeris 両氏はまず最適な受信状態となるように立方体に折った状態から設計とシミュレートを行い、それからこの立方体を展開して、十字形平面から再び簡単に折り戻せるようにした。各面の内側は銅テープで覆われ、アンテナ接地板の役目をする。両氏の研究は、全米科学財団国防脅威削減局から支援を受けている。

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2015年4月10日金曜日

ISS で製作された3Dプリント製品 21 点を公開、分析へ

米国アラバマ州発:ハンツビルの米国航空宇宙局( NASA )マーシャル宇宙飛行センターは現地時間4月7日、2月に帰還した SpaceX の無人補給船「 Dragon 」に搭載されていた地球外環境で初めて製作された3Dプリント製品の入ったカートンを開封し、詳細な分析作業に入ったと発表した。これらは ISS 内に設置された3Dプリンター「 Zero-G 」で製作されたもので、今後約1年かけて、ISS 運搬前の同機で製作されたサンプル製品との比較検証が実施される。

昨年、ISS 内の「微小重力研究グローブボックス」に設置された「 Zero-G 」は、当時 ISS に滞在中の船長の要請で緊急に地上から「送信された」3Dデータに基いて出力されたソケットレンチを含む 14 種類計 21 点の3Dプリント製品を、地球外環境で初めて出力した( → 既報記事 )。同宇宙飛行センターのエンジニアチームは電子顕微鏡も使用し、耐久性、強度、構造面において、地上で予め製作された同型サンプルとの差異を徹底的に調べる予定。

NASA が3Dプリント等の積層造形技術( AM )にかける期待は大きい。将来のスペースミッション計画に費やす経費の大幅削減が見込めるからだ。

2015年4月6日月曜日

3Dプリンター搭載ヨットが「エコな」長距離航海へ

フランス・ナント発:Lab-REV は、大学で機械工学や建築を学んだ若者達のグループ。目下、彼らが取り組んでいるのは、環境に優しく、経済的に実現可能な小型ヨットのクルージングだ。

ヨットのエンジンに使用するのは食用油で、オープンソースで提供されている電子部品で GPS ナビゲーションユニットも組み立てた。そして、ヨットには3Dプリンターも搭載し、ヨットの機能部品を航海中に製作する計画だ。

同グループ代表 Adrien Merchandise 氏は次のように語る。「中古艇を購入すれば低コスト、低炭素排出の航海は可能になるが、特に自然環境に配慮した航海を行おうとする場合は、他にもいろいろ購入機材があるのであっという間にコストが高くつく」。

そこで彼らは3Dプリンターを挺に持ち込み、高額な市販製品を買う代わりに備品や、環境に配慮した小物類を自力で作ることにした。この3Dプリンターを使用して既に風力発電装置の試作を行い、組み立てた。この発電装置は3Dプリンターの電源として利用する。現在、さらに高性能な水力発電装置の製作にも取り組んでいる。アンカークリート( 索止め )、肘材、マストクランプ等の部材は、航海中に製作して自給する予定。

同グループはロリアン港を出航し、半年かけて地中海の各寄港地に立ち寄りながらギリシャまで東進し、再び戻る延べ 10,000 km の長距離航海を計画している。挺の補修などのために出港が延期されていたが、近日中にも出発する予定だ。




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2015年4月5日日曜日

太陽熱でもコーヒーでも動く、3Dプリンタブル組立式エンジン

ドイツ発:航空技師の Andreas Haeuser 氏は、3Dプリンタブル風力発電キットなどの開発者として知られているが、このほど最新3Dプリンタブル DIY キットとして、「太陽熱で動くスターリングエンジン」を開発、公開した。

スターリングエンジンは熱エネルギーで弾み車を動かす外燃機関。今回、同氏が開発したスターリングエンジン組立キットは、太陽熱で動作するタイプ。オプションのレフレクター付きを選択すれば、さらに効率良く太陽熱を取り込むことが可能。またデモ動画にもあるように、「カップ1杯のコーヒー」から生じる熱でも動かすことができる。揚水ポンプとしても、発電用としても使用できるとしている。

Haeuser 氏の開発したこのスターリングエンジンは、ボルトやナット以外は全て一般的な FDM3Dプリンターで製作可能。データファイル群の販売価格は 10 EUR。




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2015年4月4日土曜日

3Dプリントの大動脈レプリカで救われた女子高校生

米国ミシガン州発:17 歳の高校生 Ariana Smith さんの心臓に重大な欠陥が見つかったのは今年1月のこと。母親の Jacqueline Foster さんは以前から、娘の心臓の雑音に気付いていた。そこで Foster さんは、他の3人の子供達と共に心臓超音波検査( 心エコー )を受けさせた。その結果、Ariana さんの胸部大動脈には将来、重大な結果を招きかねない大動脈狭窄が起きていることか判明した。彼女の胸部大動脈にはゴルフボールに匹敵する大きな瘤ができていた。

デトロイト医療センター付属ミシガンこども病院の心臓専門医 Daisuke Kobayashi 医博は同病院循環器小児外科医 Daniel Turner 氏と緊密に連携を取りながら、3Dプリントによる胸部大動脈の実物大レプリカを使用した血管拡張術を行った。このような3Dプリントレプリカによる外科手術は、ミシガン市では今回が初めてとなる。

この3Dプリントモデルは、3Dプリントの医療分野の応用では世界的に実績のあるベルギーの Materialise のプリマス事務所を介して、同社の提供する3Dプリントモデル作成支援ツール Mimics® Innovation Suite を使用し、Ariana さんの心臓の CT スキャンデータから作られた。Turner 氏によれば、この3Dプリントモデルのおかげで、瞬間的に心臓を止めるといった高リスクの外科手術をせずに済んだという。「従来、10 代の若い胸部大動脈瘤患者に行う外科手術には高いリスクが付き物で、合併症の恐れがあった」と Kobayashi 氏。代わりに同氏チームが用いた方法は、特別なライニング加工を施されたステントによる血管拡張術で、入院期間はたったの1日で済んだ。おかげで Ariana さんは楽しみにしていたダンスパーティーにも出席できた。

Turner 氏は次のように言う。「彼女の大動脈狭窄の状態は複雑で、3次元で再現しない限りイメージ化するのが難しかった。この実物大レプリカを手で持った時の感触が大変役に立った。実際の手術手順を具体的にシミュレートでき、より安全な施術が行えた。彼女には今後、とくに外科手術は必要ないだろう。何よりも重要なのは、3Dプリントテクノロジーを使用して得られた今回の経験が、今後の同様な外科手術を安全に行えるようにしてくれたこと。これは始まりに過ぎない」。

Materialise では今月 17 日、ニューヨーク市内で開催される「3Dプリント ウィーク」の「 Inside 3D Printing 」カンファレンスにて、同社 CEO Wilfried Vancraen 氏が今回のミシガンこども病院での成功例を基調講演で取り上げる予定だ。