2022年3月30日水曜日

ヒトの精巣細胞の3Dバイオプリントに世界で初めて成功

カナダ発:ブリティッシュコロンビア大学の研究グループはこのほど、ヒトの精巣細胞の3Dバイオプリントに世界で初めて成功した。
同グループによると、バイオプリントから 12 日後も人工細胞は生き残り、一部は特異性細胞へと進化した。そして将来的に、精子の生産能力を持たせるうえで期待できる兆候も見られたという。機能的で生存可能な男性生殖細胞のバイオプリントにはまだ程遠いが、男性不妊に対して医療的解決策を提示できる可能性を示す、重要なステップと言えるだろう。
不妊症の研究を含め、医療用 AM(積層造形)の進歩は驚くべき進化を続けている。草創期のプロジェクトでは 2017 年、不妊のマウスにバイオプリントした人工卵巣を移植し、健康体の子供を産んだノースウェスタン大学マコーミック工学院の成功例がある。今回のバイオプリンティングは男性不妊の解決を目指したもので、将来的には男女両性における生殖機能問題に医師が対応可能になる技術だ。

2022年3月11日金曜日

女性支援団体が、3Dプリント業界にも男女格差が存在することを示すリポートを発表

米国コロラド州発:3Dプリント業界における女性の地位向上を目指す支援団体「 Women in 3D Printing(WI3DP) 」は、「国際女性デー」の3月8日に合わせて最新リポートを発表した(同リポートは無償で自由にダウンロードして読める)。
WI3DP は 2014 年に設立された。同リポートは3Dプリント業界の賃金の男女格差について、他の業界と同じく、依然として賃金格差問題は解消されていないと指摘した。WI3DP によれば、3Dプリント関連産業で働く女性の割合はわずかに 13%、女性が経営トップである企業も 11% に過ぎないという。
同レポート最新版は、同団体による DEI(多様性、公平性、包括性)イニシアティブの一環。6つのセクションからなり、賃金格差の存在について詳細に説明する。たとえば 2020 ~ 2021 年、昇進する女性の数は増えたものの、賃金に対する満足度は男性と比べて低いという。この問題に関して、賃金支給に関する透明性を高めるなど、賃金格差是正に向けた一連の提言を行っている。
男女の賃金格差は国によって差はあるものの、世界中にはびこっている。 実際、ピューリサーチセンターの報告では、2020 年のフルタイムおよびパートタイム双方の労働者の時間当たり収入の中央値について、女性は男性が得た収入の 84% 相当額に過ぎなかった。
これは言い換えると、2020 年中に男性が稼いだ同額の賃金を女性が稼ぐには、さらに42 日間を追加して働く必要がある、ということだ。加えて、有色人種または障がい者の場合、あるいは社会的および経済的地位や親の地位などを含むインターセクショナリティ(交差性)要素を有する女性は、さらに条件が悪くなる。これらは3Dプリント関連産業も例外ではなく、そこで働く女性の多くが直面する問題でもある。