米国テキサス州発:テキサス大学オースティン校の「 Team Lucy 」研究チームは現地時間 8 月 29 日、同チームおよびエチオピア・アジスアベバ大学研究チームとが雑誌 Nature 最新号に共同発表した約 318 万年前の猿人 Lucy の死因に関する新説と関連して、研究者だけでなく誰もが検証できるように3Dプリントデータ化して限定的な公開を始めた。
同チーム代表の古人類学者 John Kappelman 氏によると、今回、エチオピア政府および同国立博物館[ Lucy は現在、この博物館の所蔵で公開されているのは石膏レプリカ ]の許可を得て一般公開が可能になった。今回、初めて一般公開されたのは Lucy の右肩と左膝の骨格データで、形式は一般的な stl ファイル。
今回の Lucy の死因に関する「新説」について、Lucy の発見者でもあるアリゾナ州立大学古人類学者で同大学人類起源研究所長 Donald Johanson 氏は、Lucy と同年代の他の骨格化石も同様に「壊れている」として、「高い樹上から落下した」とする Kappelman 氏の仮説に反論する。Kappelman 氏らが今回、3Dデータ公開を決めたのは「研究者だけでなく、幅広く自分たちの仮説検証に役立ててもらいたい」という意図もある。
Kappelman 氏のチームは 2008 年、初めて Lucy の骨格化石が米国巡回をした際、10 日間の貸し出しを認められて同研究チームのラボにある高解像度 CT スキャナーを使用し、数百もの化石片を漏れなく調査した。今回、発表したのはその時の CT 調査結果に基づいている。
化石標本のデジタルモデルは極めて少数だが、南アフリカの人類化石遺跡群で 2013 年に発見された Homo naledi は、1,550 以上の全骨格断片のうち約 100 の断片がデジタルデータ化され、MorphoSource.org サイト上からダウンロードできる。また、Homo naledi 発見チームが 2008 年に発見した Australopithecus sediba の骨格標本データも各部位ごとに一般公開されている。
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ニュージーランド発:ドローンデリバリーサービス Flirtey( 米ネバダ州リノ )はこのほど、3Dプリントドローンによるピザ宅配の実証実験に初めて成功した。
今回の実験はニュージーランド国内の民間航空規制に則ってオークランド市で実施され、Domino’s Pizza, Inc. の宅配用ピザ( トッピングは不明 )を無事に送り届けた。専用ボックス内は一定の温度に保持され、商品の品質に問題はなかった。管制当局の手続きが終わり次第、数か月後には実際の Domino's 宅配業務用として一部店舗にて運用される予定。Domino's は Flirtey と業務提携を結んでいる。
Flirtey CEO の Matt Sweeney 氏は、ドローン関連規制の関係で、商用運用はニュージーランドが最初になったが、今後は米国でも同様のサービスを開始することになるだろうと明らかにした。「まもなく弊社のドローンが注文したピザをお手許に届ける日が来るだろう」。パートナーの Domino's 側も Flirtey の3Dプリントドローンによるピザデリバリーは革命的で、競合他社と差別化が図れるとして期待を寄せる。ピザデリバリー実験では両社 CEO と、交通大臣 Simon Bridges 氏も同席してドローンを見守り、届けられたピザを頬張った。
使用されたドローンはアルミ、ファイバー、3Dプリント部品から構成され、バッテリー 1 個で 20 km 近くを飛行する能力がある。バッテリー低下時や GPS 受信不能になった場合に備え、自動帰還機能も内蔵する。条件さえ良ければ 30 分以内のピザ宅配が可能だという。
Flirtey は今年に入ってからこうした3Dプリントドローンによる運送実験を続けている。米連邦航空局( FAA )のデリバリー試験に合格した後、同社は 6 月にニュージャージー州で海上の船舶から陸上への救急キット、医薬品、浄水錠剤の運送試験を行い、成功させている。
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米国ミネソタ州発:Stratasys, Ltd. ( NASDAQ:SSYS )は現地時間 8 月 24 日、大型製品製造用3Dプリントロボットシステム「 Infinite-Build 3D Demonstrator 」と「 Robotic Composite 3D Demonstrator 」2製品の試作機を発表した。2製品は共に来月シカゴ市で開催される国際工作機械見本市 IMTS 2016 にデモ出品される。
新製品 2 機種は共に FDM 型3Dプリンターシステムで、「 Infinite-Build 3D Demonstrator 」は従来の垂直方向ではなく水平方向の造形を行う。このため設置場所の許容可能な最大の製品を製造できる。またウォーム推進機構を組み込んだ新型エクストルーダーを採用し、カーボンファイバーなどの複合素材による部品製造も可能で、製品強度を高めつつ軽量化も図れる。
「 Robotic Composite 3D Demonstrator 」のロボティクス技術は独 Siemens のモーションコントロールが使用され、「 Siemens PLM 」ソフトウェアと共に Stratasys の先端 AM 技術と統合されている。
両製品は Boeing、Ford といった航空 / 自動車大手の要請により開発され、現在は 2 社でベータテストが行われている。Boeing では主に少量生産の軽量部品生産で使用されている。
IMTS 2016 の会期は 9 月 12 - 17 日、Stratasys のブースは N-60 になる。
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インド・カルナータカ州発:現在、インド国内では噛みタバコなどの習慣に起因する口腔癌の罹患率が急増している。全癌患者のうち、舌癌などの口腔癌患者はじつに四割にも上ると言われる。
バンガロール市保健グローバル癌センターの外科腫瘍学チームはこのほど、世界で初めて複合フレキシブル素材による3Dプリントモデルに基づく舌癌切除と再建手術を行い、見事に成功した。
同癌センターによると、長引く口内炎に悩まされているというインドール市内に住む 53 歳男性が同センターを訪れた。男性は 2 年前、舌悪性腫瘍の手術を受けていた。検査の結果、男性は舌の広範囲を癌組織に侵されていることが判明した。
執刀医チームを率いた Vishal Rao 医博は、従来の切除術では舌を丸ごと取り去ることになり、この男性患者の QoL 低下を懸念した。
そこで Rao 医博らは、ムンバイ市内の医療3Dプリント技術のスタートアップ Anatomiz3D LLP に対し、この男性患者の MRI 画像の DICOM データから精密な3次元等倍モデル製作を依頼した。
Rao 医博の話「舌および癌細胞の3次元等倍モデルを舌部分を茶色に、癌部分を青色に色分けして作成してもらった。執刀医チームはこのモデルを見ながら癌組織の位置、深度、大きさなどを正確に把握することで最適な癌切除術のプランを立てることが可能になり、また癌切除後、大腿筋組織を使用して忠実な組織再建を行うことができた」。
Anatomiz3D によると、実際の3次元モデル作成に当たって、Materialise の開発した医用画像処理専用ソフトウェア「 Mimics for Research 」を使用した( 同ソフトウェアは米国食品医薬品局[ FDA ]および CE 準拠 )。
3Dプリント3次元モデルをこのような癌切除術に援用することは、外科医にとって大変なメリットをもたらす。従来の2次元画像による診断では不可能だった癌組織の全体像を可視化できるだけでなく、組織再建術に必要なデータも得られる。そしてこれは患者本人にとっても、嚥下能力や発話能力といった既存能力を損なうことがないというメリットをもたらす。また、このような3次元モデルを使用して患者にこれから受ける手術について説明すれば、患者側の理解も得やすく、術後のリハビリ計画も立てやすい。実際、外科医によると、MRI 画像のみで病状の説明をしても、患者側に全てが伝わっているわけではないという。
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米国メリーランド州発:航空宇宙大手 Lockheed Martin( NYSE:LMT )は今年に入り、合成ダイヤモンドを製造可能にする3Dプリント技術に関する特許を申請し、その出願文書が先月末時点で公開された。
出願書によると同社は合成ダイヤの3Dプリントとして、ポリ( ヒドリドカルビン、PHC )などのプレセラミックポリマーとセラミック粒子を堆積し、不活性雰囲気下で 100 °C 超に加熱して熱分解させ多結晶の合成ダイヤを生成する方法と、ナノダイヤモンド粒子を使用して生成する方法とを申請している。
この3Dプリントによる合成ダイヤ製造技術は複雑な形状を持つ切削刃、超高剛性 / 超軽量カッター製造目的で開発されたものだが、柔軟なカスタマイズ加工ができるという点では宝飾製品への応用も夢ではない。ひょっとしたら将来、家にいながらにして大切な人へ贈るダイヤを自作できるようになるかもしれない。
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米国マサチューセッツ州発:3Dプリンター製造スタートアップ DK Automations はこのほど、デルタ型3Dプリンターとしては初めてプリントヘッド直結型エクストルーダーを搭載した新製品「 Radik Delta 3D Printer 」を開発した。
従来のデルタ型製品では通常、 Bowden タイプと呼ばれるエクストルーダーが採用されていたが、駆動モーター系がプリントヘッドから離れているため、3軸座標( カルティジャン )型3Dプリンターと比べてフィラメント送りや引き込みにトラブルが発生しやすい欠点があった。同社はこうした従来製品の問題を解消するため、独自技術 Delta Direct Extruder ( DDE )によってデルタ型では初めてとなる直結型エクストルーダーを採用した。デルタ型ならではの高速プリント機能はそのままに、より正確なフィラメント送りを実現させたとしている。「 Radik Delta 3D Printer 」はデルタ型とカルティジャン型のいいとこ取りの3Dプリンターと言える。
「 Radik Delta 3D Printer 」はデュアルノズルで、CNC で精密加工されたオールメタル仕様プリントヘッドの最高温度は 300 °C。オープンソースフィラメントシステムで、ABS、PLA、ナイロン、PVA に対応する。最大造形サイズは円周 180 mm x 高さ 150 mm、完全密閉仕様で操作は付属のタッチパネルで行う。標準解像度設定は 150 µm。ヒートベッドの最大温度は 120 °C。現在、同社は発売に向けてクラウドファンディングキャンペーンを準備している。
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米国コロラド州発:最大1m 四方の大型造形物が製作可能な産業向け3Dプリンター「 Atlas 2.0 」を製造する Titan Robotics は、「リオ 2016 パラリンピック競技大会[ 会期:9 月 7 - 18 日 ]」に出場する自転車競技米国代表選手のために特製固定具を開発、提供した。
この固定具を開発したのは同社エンジニアで、自らも夏季 / 冬季パラリンピック米国代表選手として2回、自転車およびスラローム競技で金メダルを獲得している Allison Jones 氏。今回、Jones 氏は今大会のチームメイトでもあるアスリート Billy Lister 氏の麻痺した左腕を最適なポジションで支えるための固定具を Titan の3Dプリンターで製作した。
Lister 氏は 17 歳の時に発症した病気による神経麻痺のため、左半身が自由に動かない障がいがある。このため左手がいきなり痙縮することがあり、自転車競技で空気抵抗の最も少ない理想的ポジションを維持するのが困難だった。
そこで、Jones 氏と Titan は最適な位置に無理なく固定できる補助具の開発を開始した。Titan の最新3Dプリンター製品で何度も試作を繰り返し、ようやく Lister 氏も満足のいく固定具が完成した。Jones 氏は、今後も障がいのあるアスリート達に柔軟なカスタマイズが可能で快適な補助具を3Dプリントで提供していきたいと意気込んでいる。
Titan から3Dプリント固定具の提供を受けた Billy Lister 氏は次のようにコメントする。「なんだってできるということだ。従来の方法でできなかったからといってそれで終わり、ということではない。必要なのは自分自身と、枠にとらわれない自由な発想と、仲間だ。これこそ Allison と Titan が成し遂げたことであり、独力では不可能だ」。
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フランス発:家電販売大手 Boulanger はこのほど、3Dプリントネットワーク Freelabster に呼び掛けてある3Dプリントのコンテストを開催した。
内容は、同ネットワークに参加している国内各地のメイカーたちに、仏国内の Boulanger 9 店舗まで、指定された製品を3Dプリントで製作し、それを箱詰めして 24 時間以内に最寄りの同店舗へ持参せよ、というもの。メイカー達に課せられた課題はモンスターボール型チップ 40 個とスマートフォン 3 機種用の「 Pokémon GO 」ランチャー 10 個の合計 50 個のアイテム。条件をクリアした参加者にはそれぞれ報酬として 60 ユーロが払われる。Boulanger は現在、仏国内に 130 店舗を展開している。
コンテストを開始してみると、 Freelabster サイト上には1 時間以内にリアクションが入り始め、早くも 2 店舗で競技参加者が現れた。つづいて パリ、レンヌ、リヨン、ジュヌヴィリエ各市の店舗にも参加者が現れた。アヴィニョン、トゥーロン、カーンの各市は近郊にファブラボがないことから、期限 12 時間前になって参加者が現れ、製作物を指定店舗宛てに宅配した。
わずか 24 時間の制限時間内に 50 個ものアイテムをプリントアウトして指定店舗に届けるため、参加したメイカー達は徹夜でプリント作業に従事し、製品は見事に時間内に全指定店舗に届けられた。
Freelabster 側は次のように賛美の言葉を送っている。「このイベントは決してたわいない取り組みではない。このような3Dプリントコラボレーションのような試みによって、地元企業が大きなネットワーク内に自らの立ち位置を見つけ、競争力も確実に強化できる」。
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ドイツ・バイエルン州発:voxeljet AG( NYSE:VJET )は現地時間 8 月 11 日、2016 会計年度第 2 四半期( 6 月 30 日締め )連結決算を発表した。
それによると、今期総収益は前年同期比 14.8 % 増の 6,296,000 EURに、売上総利益は前年同期の 1,834,000 EUR から 2,303,000 EUR に好転したが、サービス部門収益は前年同期比 30.1 % 減の 2,481,000 EUR に留まった。また 2016 年度通期の業績予想を当初の 2,800 - 3,000 万ユーロから 2,400 - 2,500 万ユーロへと下方修正した。2016 年第 3 四半期収益は 450 - 550 万ユーロになるとの見通しを示した。
同社によると、第 2 四半期の受注残は 420.9 万ユーロ、3Dプリンター5台分だという。前年度 12 月末時点での受注残台数より少なくなった理由として、顧客側の発注タイミングおよび出荷までに要する期間の他に、需要の縮小が挙げられるとしている。
同社 CEO の Ingo Ederer 博士は次のようにコメントする。「今期末の手許資産と現金の合計は約 2,800 万ユーロある。弊社はこの資本で Vision 2020 プランを遂行し、長期的な株主価値を向上させる。需要の現況により、今年度のグループ全体の収益見通しを若干下方修正した」。
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中国発:Autodesk, Inc. ( NASDAQ:ADSK )は深圳市で開催中のファブラボ関連カンファレンスで、Fab Foundation に加盟する世界の 1000 超のファブラボに対し、製造現場向け製品パッケージ「 Autodesk Product Design Collection 」の無償使用権を与えると発表した。
「 Autodesk Product Design Collection 」には AutoCAD Architecture、AutoCAD Electrical、AutoCAD 360 Pro、Fusion 360等の3D CAD 関連ツールが同梱され、25 GB のクラウドストレージも付属する。
Autodesk はブラウザベースのモデリングソフト Tinkercad や 電子回路設計ソフト 123D Circuits を昨年からファブラボ向けに無償公開している。
Fab Lab Shibuya チーフディレクター 梅澤陽明氏は次のようにコメントしている。「日本国内のメイカーコミュニティは急拡大している。Autodesk は製品群やサービス提供を通じてメイカーズムーブメントを支援する牽引役であり、 Maker Faire Tokyo 2016 では Autodesk A360 や Fusion 360 といったツールを活用した講座を開いた。Autodesk がデジタルマニュファクチャリング全般へとサービス拡大を続けている中、今回の発表を知り、とても興奮している」。
Fab Foundation に加盟するファブラボは、この申請フォームから無償使用の申請ができる。
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米国ニューヨーク州発:コロンビア大学工学部の研究チームは現在、家庭用3Dフードプリンターの試作機開発に取り組んでいる。
3Dフードプリンターの開発しているのは、同大学で AI などの研究をしている機械工学科教授 Hod Lipson 氏率いる研究チーム。家庭キッチンに違和感なくフィットするように小型でコンパクトな外観に仕上げたのが特徴で、同大学院工業デザイン課程に在籍する Drim Stokhuijzen、Jerson Mezquita 両氏がデザインを担当した。
試作機は、冷凍食材の入ったカートリッジを本体上部の 8 つのスロットに入れ、ロボットアームが取り出し加熱調理までを行う。現在はこの加熱調理を行うための赤外線ヒーターの取り付けにかかっているが、「従来製品よりはるかにコンパクトな本体にすべての機能を詰め込むため、非常に困難な作業だ( Lipson 教授 )」。
Lipson 教授は同市内に本拠を置く料理人養成校 International Culinary Center ( ICC )でフードテクノロジーを教える Hervé Malivert 氏の協力を得て、同校の調理現場でワークショップを開き、基本的な食材から従来の調理法では得られなかった新しい食感やアレンジを作り出そうと試みている。Lipson 教授は学生達に、フードプリントの可能性を探求することを求めている。
また Stokhuijzen 氏によれば、3Dフードプリントは食費を抑制するばかりでなく、食材のムダも抑えられるとしている。たとえば3Dフードプリントは、「必要とする分量のみ」提供するため食材を使い切ることができ、またレイヤー毎に食材の栄養分の調整もできるからだ。
同チームによると、現在の試作機の改良版を年末までには発表したい考え。
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米国ジョージア州発:Stratasys Ltd.( NASDAQ:SSYS )およびミレニアムゲート博物館( アトランタ市 )、3DPTree( 同市 )はこのほど、オリンピック競技発祥の地オリンピアのゼウス神殿に立っていたゼウス像の3Dプリントスケールモデルレプリカを製作した。
今回再現したゼウス像は高さ 1.6 m で、Stratasys の業務用ハイエンド FDM 3Dプリンター「 Fortus 900mc 」を使用して製作した。この3Dプリントゼウス像レプリカはミレニアムゲート博物館で、「第 31 回オリンピック競技大会( リオオリンピック 2016 )」に合わせて開催中の「オリンピック競技:古代オリンピアからアトランタ、そしてリオへ」展に出品される( 会期:8 月 20 日 - 2017 年 1 月 2 日 )。
オリジナルのゼウス像は「フィロンの世界の七不思議」の 1つに数えられ、紀元前 435 年頃、彫刻家ペイディアス( Phidias )によって建立されたと伝えられている。杉材で作られた本体は象牙と金に覆われ、800 年以上もの間オリンピアのゼウス神殿内に安置されていた。紀元 420 年にコンスタンティノポリスに移設されたが、475 年に同市を襲った大火で消失したと考えられている。このためゼウス像がどんなものであったか知るには当時の貨幣印章、歴史家や旅行家の証言、後代のゼウスを象った彫像などを参考にするしかなかった。
ミレニアムゲート博物館長 Jeremy Kobus 氏は次のように述べている。「最大の難関は、ゼウス像じたいが現存していないということだ。3DPTree と学芸員はゼウス像がどのような外観の彫像だったかについて徹底的な調査を行い、その結果に基づき3Dデータを作成した」。
3Dプリント技術は今回のような、過去の失われた貴重な考古学的遺物の復元にも大いに役立つ。Kobus 氏は、「貴重な価値を持つ芸術作品の破壊は、人類の歴史に付き物だ。かつてはいったん破壊されれば、その芸術作品は永久に失われることを意味していた。我々が3Dプリントの芸術的価値に投資する理由はそこにある」。
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中国発:上海市に本拠を置く Mankati はこのほど、新型デスクトップ3Dプリンター「 E180 」の先行予約受付を開始した。8 月 10 日までの期間限定先行予約価格は販売予定価格の 15 % 引きの 1,699 USD( 配送料無料 )。
同社によると、「 E180 」は3Dプリンタービギナー / 3Dプリンタープロフェッショナル双方を満足させる製品を目指し、2年以上かけて開発した新製品だという。
「 E180 」は脱着式多孔造形ベッドを採用し、ベッドごと取り外せるため3Dオブジェクトの取り出しがしやすくなっている。フィラメント切れを察知してプリントを中断する自動検知機能や、独自開発ソフトウェアによる自動サポート材生成機能も搭載する。サポート材は完成時に簡単に除去できる仕様であり、また同社によると高精度仕上げのため、研磨などのプリント後処理はほとんど不要、としている。
Mankati E180 の主な仕様
本体外寸( mm ):345 x 340 x 490 mm
最大造形サイズ( mm ):180 x 180 x 200 mm
ノズル径( mm ):Φ = 0.4
Interface:Wi-Fi、Ethernet / USB
層厚( mm ):0.06 - 0.3
エクストルーダー最高温度:350 °C
オランダ南ホラント州発:Leapfrog BV はこのほど、独立駆動型デュアルヘッドや遠隔監視用 Web カメラを内蔵した新型デスクトップ FDM 3Dプリンター「 BOLT 」をリリースした。
「 BOLT 」に採用されたデュアルヘッドは従来製品のものとは異なり、それぞれが独立してプリントを行うため、コピー製品を同時に2つ作成することも可能。直観的操作を実現する大型タッチパネルや、プリント時に発生する微小粉塵を 99.9 % カットする HEPA カーボンフィルターも搭載する。販売価格は 4,999 EUR( VAT 込みは 6,048.79 EUR )。
Leapfrog「 BOLT 」の主な仕様
本体外寸( cm ):72.3 x 83.1 x 80.1
本体素材:アルミニウムフレーム
本体重量( kg ):61
層厚:( mm )0.05 - 0.35
エクストルーダー / ノズル径( mm ):Φ= 0.35
ノズル最大温度:265 / 360 °C
最大造形容量(L.):21.6
最大造形サイズ( cm ):32 x 33 x 20.5[ デュアル時:32 x 30 x 20.5 ]
プリント時造形ベッド温度:90 °C
造形ベッド素材:ハイグレードガラス
プリント速度( mm /s):100
最大フロー速度( mm³/s ):6
移動速度( mm /s ):250
対応フィラメント:純正 Maxx Essentials and Leapfrog Maxx Pro( 推奨 )、他社製品も使用可( PLA, ABS, HIPS, Flex, Nylon, Hybrid, Woodfill, PVA, Carbon 等 )
接続:USB、Ethernet
電源:88-264 VAC / 47 - 63 Hz
消費電力:600W
英国オックスフォードシャー州発:欧州宇宙機関( ESA )はハーウェルにある同機関英国拠点施設に隣接して、新しい積層造形技術( AM )研究所 The Advanced Manufacturing Laboratory を設立した。
ESA によると、この新施設での主要な目的は金属3Dプリントをはじめとする AM 技術の宇宙開発への応用を探求し、新素材 / 新加工法の開発を行うとしている。
同研究所を統括する Andrew Barnes 氏は次のように述べている。「現在、宇宙船をさらに高剛性で軽量、安価な素材で組み立てる新興技術は数多く存在するが、致命的欠陥のない最適な技術かどうかを検証する必要がある。この新研究所の目的は、実際のミッションに使用される前の開発段階で最適な素材の選定と選別を行い、ESA および航空宇宙産業が未来の技術への投資を行う際の判断基準を提供することだ」。
新施設には金属3Dプリンターをはじめ、電子顕微鏡、X線 CT スキャナーなどの最新機器を配備し、引っ張り検査や微小硬さ検査などを行う。現在、ESA では3Dプリント製 RF 複反射鏡アンテナを開発中で、昨年暮れには月面有人基地を月面表土を建材として3Dプリント工法で建造する「ムーンビレッジ」構想も発表している。ESA は「ムーンビレッジ」を 2030 年までには実現させたいとしており、既に同月面基地の3Dプリントによるプロトタイプ試作も実施している。
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オーストラリア発:玩具開発と販売を手掛ける Moose Toys は同社「 Qixels 」シリーズに、知育3Dメイカー「 Qixels 3D Maker 」を今年秋以降に発売すると発表した。販売予定価格は 25 AUD。
同製品は電源不要で、本体にテンプレートを差し込み、水に浸して 1 層毎に固結させ3Dプリントを行う仕組み。もちろん 3D CAD の知識も必要なく、幼児でも安全に3Dプリントの疑似体験ができる。対象年齢は 5 歳以上。
「 Qixels 3D Maker 」は既に豪州玩具協会の 2016 年度 Toy of the Year を受賞している。
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