2014年6月29日日曜日

インド初の国産3Dプリンター、「Vector PLA 3D」

インド発:ムンバイに本拠を置く J Group Robotics は 26日、インド初の国産3Dプリンター「Vector PLA 3D」リリースを発表した。プリンター本体の販売予定価格は 149,000インドルピー( 約 88,200円 )。フィラメントは生分解性 PLA で、こちらの販売予定価格は kg 当たり1,999インドルピー( 約 1,190円 )。

「Vector PLA 3D」は主として自動車、航空、防衛といった垂直統合型産業における最終製品の試作品製造向けとして開発されたが、携帯端末カバーなどの日用品から立体肖像、義肢までと幅広く造形が可能で、もちろん一般家庭用としても使用できる。

造形方式は FDM で、最大造形寸法は190 x 190 x 210 mm。層間解像度は 20μm( 最小誤差 0,020000mm )、フィラメントはスプール式で、本体背面から供給する。3Dデータファイル形式は .STL、.OBJ、.DAE、.AMF で、データ読み込みは SD カード及び付属データケーブル。造形時間はオブジェクトの複雑さにも左右されるが、最短で数時間程度。データ読み込みは付属専用ソフトウェア経由で行う。対応 OS は Windows、Mac OSX、Linux。



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2014年6月28日土曜日

ラッパーとコラボ、廃ペットボトル再生利用の「EKOCYCLE」

米国発:2012年以来、Coca-Cola はラッパーの will.i.am 氏と「EKOCYCLE」ブランドの下で、リサイクルヘッドフォンなどのコラボ商品を生み出してきたが、今回新たに投入するのは、新型家庭用3Dプリンター「EKOCYCLE Cube」だ。

この「EKOCYCLE Cube」最大の特徴は、コークの廃ペットボトルからフィラメントが作られていること。最大造形寸法は 152mm 四方。最小積層ピッチは70µmで、3D Systems が製造する。専用フィラメントカートリッジを使用し、各カートリッジ当たり約3本分の廃ペットボトルが使用されている。フィラメント色は赤、黒、白、ナチュラル。プリンター本体には日用品の小物など 25種類の3Dデザインパターンも用意され、すぐに使えるようになっている。ペットボトル素材は様々な用途の製品に転用可能で、耐久性にも優れている。操作は正面上部のタッチパネルから行う。


EKOCYCLE Cube」は今年後半にも 3D Systems の共有サイト Cubify 上で販売する見通し。販売予定価格は 1,199米ドル。

3D Systems の最高クリエイティヴ責任者( CCO )も務める will.i.am 氏は次のように述べている。 「EKOCYCLE の目標は、世界で最も影響力のあるブランドと手を組み、テクノロジー、アート、スタイル、インスピレーションを活用して我々の文化そのものを変革することにある。リサイクルはクールで、リサイクルされた素材からモノを生み出すことはクールなんだと認識してもらうこと。ごみは捨ててはじめてごみになる」。

3D Systems は現在、菓子製造の Hershey's と菓子専用3Dプリンターの開発も進めている。

2014年6月24日火曜日

3D Systems がアイルランドで事業展開か

アイルランド発:3Dプリンターベンダー大手、米国 3D Systems の CEO Avi Reichental 氏はダブリンに同社の拠点を新たに設立、アイルランドでの事業展開を計画していることを明らかにした。

Reichental 氏は、ニューヨーク市内で開催された投資に関する会議に出席した際に受けた Irish Times の取材に対し、次のように応じた。「我々は、利益の半分を米国以外の市場から得ているグローバル企業。だから欧州への事業展開は積極的に取り組みたい。とりわけダブリンは分散型サービスのような新たな事業の創出、効率的な事業展開およびサポートという点から見て、非常に魅力的だ。アイルランドはこうした複合型事業の運営が大変スムーズに行える。そしてこれが最も重要な点だが、ここには真に独創的な起業家がたくさん集まっている。ダブリンが世界有数のハイテク関連企業集積地になっているのはそのためだ」。

同氏は、「3Dプリンティングは小規模事業者や中小企業にとって、自律完結型かつ地産地消型生産の経済を生み出す」として、従来のような大規模大量生産方式は近いうちに崩壊すると予測している。

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2014年6月22日日曜日

3Dプリンター関連売上は 2018年には10億ドル台に

英国発:英国ハンプシャーに本拠を置く調査会社 Juniper Research Ltd. が現地時間 17日に発表した最新報告「コンシューマー向け3Dプリンティングとスキャニング」によれば、世界における3Dプリンターとその関連製品の売上は、4年後の 2018年には 10.2億ドル規模に跳ね上がると予測している。

同報告は、今年の3Dプリンターとその関連製品売上は 7,500米ドル台で推移するが、今後 HP や Epson といった大手2Dプリンターメーカーが新規参戦することで、売上額も急激に伸びると見ている。現在の3Dプリンターの出荷台数はさほど多くはないものの、5年後以降は急伸すると予測している。3Dプリンター最大手の 3D Systems と Stratasys も、プロ向け3Dプリンターの需要は着実に伸びているという認識で一致している。

Juniper によれば、世界のコンシューマー向け3Dプリンター市場の先頭に立っているのが米国と欧州各国で、これらの地域では愛好家やアーリーアダプター層が需要を牽引している。

Staples などの小売業者および UPS などのサービスプロバイダーが、各店舗で3Dプリントサービスの試験運用に乗り出したりしているが、モバイル機器エコシステムと同様に、コンシューマー向け3Dプリントサービスが成功するかどうかはひとえに顧客の満足度にかかっているとしている。

それを実現させるには、3Dプリンターの機能性を強化するコンテンツ、連携するクラウドサービスと接続するアプリやオンラインポータルといった仕組みを生み出す必要があるだろうと同報告は指摘する。この種の現行サービスとして、同報告では MakerBot の運営する世界最大級の3D CAD データ共有サイト Thingiverse および Digital Store を挙げている。

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2014年6月21日土曜日

現職米大統領のライフマスクと胸像、3D技術で初めて製作

米国ワシントン D.C.発:スミソニアン学術協会デジタルイメージング専門家チームはこのほど、Barack Obama 米国大統領のライフマスクと胸像を3Dスキャナーと3Dプリンターで製作した。歴代大統領で生前に顔型を取ったことがあるのは初代大統領 Washington や第16代大統領 Lincoln がいるが、Obama 氏のライフマスクおよび胸像は、現職大統領としては初めて3D技術によって作られたことになる。

Obama 大統領のライフマスクおよび胸像は、18日にホワイトハウスで開催された「Maker Faire」イベントで起業家や個人メイカーズの招待客らに披露された。
スミソニアンのチームは今年初め、Obama 大統領の顔を3次元スキャンした。先代大統領の場合とは異なり、呼吸用の細い管を鼻に通して顔に石膏型を当てたままじっと座る必要もなく、わずか5分で大統領の顔のスキャンは完了した。

南カリフォルニア大学の専門家とスミソニアンのチームが「Light Stage」と呼ばれる顔面を3Dスキャンする装置と携帯型3Dスキャナー、そして従来の一眼レフタイプカメラの撮影画像とを組み合わせて3Dデータ化。Autodesk の3Dグラフィックの専門家によってそのデータに高解像度3Dモデリング処理が施され、3D Systems の選択的レーザー焼結造形法( SLS )ハイエンドマシンでプリントアウトされた。胸像は樹脂製で、積層数は 5,000にも上る高精細なもので、完成までに要した時間は約40時間。

3D イメージング専門家 Vince Rossi 氏は次のように評している。「( Obama 大統領のライフマスクは )顔の皺や毛穴まではっきりと分かる」。

Obama 大統領のライフマスクと胸像は、スミソニアン協会の運営するナショナル・ポートレート・ギャラリーのコレクションとして一般公開される。

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2014年6月16日月曜日

15歳の高校生が考える「再生」フィラメント事業

15歳の Grayson Galisky 君は約1年前から、家庭でも学校でも3Dプリンターを使用しているが、解決する必要のある問題があることに気づいた ―― それは「失敗作」がそのままごみ箱行きになること。3Dプリントはもっと環境に優しく、もっと手頃にできるはずだ。

現状では、3Dプリンターから発生する廃棄物の行き着く先は最終処分場であり、そこでは完全に土に還るまで 500年はかかる。1スプール当たり 40 米ドルのフィラメント購入代も無駄になる。

「3Dプリントごみをリサイクルしてフィラメントを作る、というアイディアが浮かんだのは、Kickstarter でフィラメント製造機を見た時。それで、学校の3Dプリンターで出力に失敗した製作物をリサイクルできないだろうかと考えた」と Galisky 君は説明する。

Galisky 君は、このアイディアを思いついた Kickstarter 上で、来月にも資金調達を計画している。彼のプロジェクトでは3Dプリントごみの再生利用に留まらず、マルチカラーフィラメント及び「フィラメント リサイクル ストア」の展開をも視野に入れている。目標資金額は 4,999ドルだ。

この資金調達が軌道に乗り、リサイクルストアがオープンできれば、ユーザーは以下のようなサービスが選択できる。

1). 使用済み樹脂スクラップの持ち込み。
2). 送付済みスクラップ2kgにつき、再生フィラメント1kgを送料無料で受け取り。
3). 樹脂スクラップの粉砕処理及び処理済みスクラップの受け取り。

Galisky 君によれば、再生フィラメントは FDM 方式の3Dプリンター全機種で使用可能で、再生フィラメントの購入目的の顧客にはマルチカラー フィラメントも含め、なるべく低価格で提供するという。

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2014年6月15日日曜日

iPad アプリであっという間に作れる、子ども向け3Dプリンター「Printeer」

米国発:2012年に米国西海岸サンタバーバラに設立された3Dプリンター ベンチャー Mission Street Manufacturing は10日から Kickstarter 上で、同社の新型家庭用小型3Dプリンター「Pioneer」の資金調達キャンペーンを開始している。期間は1か月だが、ほぼ半分が経過した 15日時点で目標資金額5万米ドルの半分以上の 25,557ドルがすでに集まっている。

この「Pioneer」は専用の iPad アプリだけでだれでも簡単に小型オブジェクトを造形できる従来にないコンセプトの3Dプリンター。「地球上でもっともクリエイティヴな人々」、つまり子供たちをターゲットにした製品で、対象年齢層は小学生~高校生の子供たちだ。

高温部や可動部品から子供たちを保護するため、「Printeer」は全体がカバーで覆われたデザインを採用。クリアカバー仕様なので、プリント中の様子が眺められるようになっている。

素材は生分解性で毒性のない PLA 樹脂フィラメント( Φ=1.75mm )で、難しい3D CAD の知識も PC も不要。すべてが iPad アプリ経由のごく簡単な操作のみでプリントが可能だ。

外形寸法は幅 16x奥行9x高さ 12 インチ( 40.6x22.9x30.5 cm )、最大造形寸法6x4x5インチ( 15x10x12.5cm )、重量は 5.5 kg。電源以外はすべてワイヤレス( Wi-Fi 必須 )。台座部は取り外し式、高さは自動調整。3DCG は RepRap G-code 互換。

Mission Street Manufacturing では8月中に専用 iPad アプリを公開、一般向け出荷開始は10月頃の見通し。価格は Kickstarter 出資者の場合、1台当たり 549ドル以上出資すれば専用アプリとフィラメント1巻分のセットが入手できる。




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2014年6月14日土曜日

3Dプリンターが8月にも ISSへ

米国発:NASA は 12日、3Dプリンターベンチャーの Made in Space と共同で進めていた国際宇宙ステーション( ISS )専用3Dプリンターの最終試験を終えたと発表した。

カリフォルニア州マウンテンヴューに本拠を置く Made in Space によると、この3Dプリンターは無重力下でも使用可能で、打ち上げ時の衝撃や電磁干渉、振動、インターフェイスチェックなど、述べ2千時間を超える試験を経て、予定よりも早く NASA から正式に認証を受けた。当初は11月に打ち上げられて ISS に搭載される計画だったが、この8月にも SpaceX CRS-4 で打ち上げられて ISS へ運び込まれる見通し。この専用プリンターは多くの市販製品と同様、素材として熱可塑性樹脂を使用する。


この専用プリンターで交換部品等を自前で製作できるようになれば、補給ミッションにかかる輸送経費削減も期待できる。


この専用プリンターは ISS の「微小重力研究グローブボックス」に搭載後、ISS の日常業務に必要な 21の部品を試験的に製造する。これらは実際には使用されず、再び地上に持ち帰った後に科学的解析を実施する。問題が発見されなければ、将来的には ISS 内で3Dプリントされた部品等はステーション内で実際に利用され、3Dプリンターの設備はそのまま「積層造形ユニット」として恒久的に活用されることになる。


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2014年6月9日月曜日

NZ 緑の党が3Dプリント推進タスクフォース計画を発表

ニュージーランド発:3Dプリントはニュージーランドでも撮影用小道具や補聴器具、歯列矯正ブリッジなどの製作にすでに利用されている。だが、「ニュージーランド 緑の党」所属議員で同党 ICT 担当スポークスマン Gareth Hughes 氏に言わせれば、ニュージーランドは他国に比べ3Dプリントなどデジタル マニュファクチュアリングへの投資額が少なく、この流れから取り残される恐れがあるという。

同氏は9日、ニュージーランドが3Dプリントの世界的なハブ拠点となれるかどうかを検討するタスクフォース設置計画を発表した。

NZ 緑の党が発足させる新タスクフォースは、政権交代後、デジタル マニュファクチュアリングを国家戦略に位置づけ、3Dプリントの技術開発を大学などの教育機関に奨励する。共同体単位のワークショップを助成し、デジタル マニュファクチュアリング中核的研究拠点を創設する、という内容。

「製品を低コストで大量に生産するというやり方では、ニュージーランドは中国やインドにはとうていかなわない」と Hughes 氏は指摘する。

デジタル マニュファクチュアリングは従来工程より廃棄物もエネルギー消費も少なくて済むため、自然環境にやさしい技術と言える。

現在の政権与党であるニュージーランド国民党政権下では、3Dプリントを含めた新素材研究のために、研究機関等に 1300万NZドルを配分している。政府系機関の Callaghan Innovation は北島タウランガ市のチタニウム産業開発協会( TiDA )に対し、同協会では2台目となる選択的レーザー焼結( SLM )方式3Dプリンターの購入資金を拠出してもいる。

だが Hughes 氏は、政府は3Dプリント全般の戦略を持ち合わせていないと批判、「国内の積層造形産業に向けたビジネスチャンス開拓にはやけに及び腰だ」。内閣の一部閣僚からは、銃器や麻薬の密造などに使用される恐れがあると、3Dプリンターに対する懸念を表明する向きもある。

今回の発表は、NZ緑の党の選挙公約「グリーン革命政策」の一環。同党はすでにニュージーランド グリーン投資銀行創設も提案している。

2014年6月8日日曜日

台湾 XYZPrinting が3Dスキャナー搭載の新型複合機「da Vinci AiO」2機種を発表

台湾発:7日まで台北で開催されている世界最大級の IT関連総合見本市「COMPUTEX Taipei 2014」に合わせて、3Dプリンターベンダーの XYZPrinting Inc. は「da Vinci 1.0 AiO」および同「2.1 AiO」を発表した。発売時期は「da Vinci 1.0 AiO」が 2014年末、「da Vinci 2.1 AiO」が 2015年初頭になるという。

新型「da Vinci」2機種は従来モデルに工業用3Dスキャナーを追加搭載した仕様で、価格は従来機種より数百米ドル高めになると見込まれている。その場合、標準モデルの「da Vinci 1.0 AiO」の販売予定価格は 700ドル前後と想定される。

現在、広く普及している2D複合プリンターのような「オールインワン( All-in-One, AiO )」3Dプリンターというのは特別目新しいというわけではない。Kickstarter 上でもスキャナー搭載の3Dプリンターの出資者募集プロジェクトはよく見かけるし、また AIO Robotics の「Zeus」のような、3Dスキャン+3Dプリント( コピー )+3D転送( ファックス )といった機能をすべて備えた業務用マシンもすでに存在する( 「Zeus」の販売価格は 2,499ドル )。

新型「da Vinci」2機種に搭載のレーザーセンサーは天板に1基、反対側の底面にも1基あるため収差エラーが抑えられ、3次元物体を正確にスキャンすることが可能でスキャン後の修正作業も不要としている。

COMPUTEX 会場の同社ブースでは「モナ・リザ」をかたどったフィギュアのスキャンが実行されていたが、こぶし大の物体のスキャンなら5分以内で終了する。スキャン時間の調整もでき、高精度モードならばより完全なスキャンが可能だという。スキャン完了後は物体を取り出し、接続先 PC 上で動作する付属ソフトで「プリント」をクリックすれば、プリント用台座が下がって造形を開始する。

上位機種「2.1 AiO」は主にデザイナーなど生産現場での使用を想定したプロ向けで、デュアルノズル、モニターカム、5インチカラータッチパネル、Wi-Fi を搭載、USBメモリからの読み込みにも対応する。最大造形サイズは現行機種をやや下回るが、これは搭載しているスキャナーの死角をなくすため。

また、同社は今後の次世代モデルについて、現行モデルのデザインを踏襲しつつ、クラウド対応、専用アプリによるスマートフォンからのリモート操作対応を予定しているとしている。



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2014年6月7日土曜日

3D Systems が米 Konica Minolta と戦略的 OEM 初提携へ

米国発:3D Systems( NYSE:DDD )は6日、Konica Minolta Business Solutions U.S.A., Inc. ( 米国 Konica Minolta ) と初の戦略的 OEM 供給提携を結んだと発表した。今後 3D Systems は、米国全土の Konica Minolta の販売網を通じて、同社の3Dプリンティング関連全製品の販売に乗り出す。

今回の提携により、米国 Konica Minolta は従来の2Dプリンターおよび事務用品に加え、3D Systems の OEM 各製品を同販売店網を通じて販売、補修などのアフターサービスを提供する見込み。

OEM 提携第1弾として米国 Konica Minolta 販売網から供給を開始するのは、3D Systems の大型業務用積層造形機「ProJet 3500 Series Professional」および同「660」シリーズ。「ProJet 3500」シリーズは高解像度・高精度の樹脂造形が可能で、ラピッドプロトタイピングや機能試験等に向いている。同「660」シリーズはフルカラー対応、製品設計およびカラーコンセプトモデルといった試作品の製作に向いている。

3D Systems の最高ビジネス機会責任者 Michele Marchesan 氏は次のように述べている。
「今回、Konica Minolta のような世界的企業と戦略的提携の締結によって競合各社との差別化が図られ、より幅広い顧客層への対応が可能になる。各顧客に適したサポート提供と、顧客ニーズのより的確な対応が可能になる」。

2014年6月5日木曜日

独の PEファンドが「紙」ベースの3Dプリンターベンチャーに660万ユーロを投資

英国 / ドイツ発:ドイツの未公開株式投資( PE )ファンド WHEB Partners は2日、アイルランドの3Dプリンターベンチャー Mcor Technologies Ltd. に総額 660万ユーロ( 約9億2千万円 )の増資をすると発表した。

Mcor Technologies Ltd. は樹脂や金属、石膏粉末などではなく、「紙」を素材にした環境にやさしいフルカラー3Dプリンターが主力製品だ( 国内でも JBM が正規代理店として「IRIS」シリーズを販売している )。素材には標準的なA4コピー用紙とレター用紙を使うが、使用済み古紙を用いることも可能。カラーインクと接着剤も無害な水溶性で、完全リサイクル可能となっている。

Conor MacCormack 博士とその兄弟 Fintan 氏によって 2006年に設立された Mcor Technologies は2012年以来、800%の増収を計上している。主要顧客は製品設計事務所、建築家、教育機関、プリントショップなど。

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2014年6月1日日曜日

世界のごみ問題と貧困問題を解決するか? >「Recyclebot」の挑戦

米国 / インド発現在、市販されている3Dプリンターはプラスチック樹脂素材のフィラメントを溶かして造形するタイプ( 熱溶解積層造形法、FDM )が大半を占めている。3Dプリンター需要がこのまま拡大を続ければ、米国だけで年間 3,300万トン以上ものプラスチック廃棄物もさらに増大する事態になる。これら廃棄プラスチックのうち、再生利用されるのは全体のわずか 6.5%にとどまる。また、世界の海を漂うプラスチックごみは1億トンに上ると推計され、自然分解には 500年から1千年はかかるという。

拡大を続ける3Dプリント産業にとって、ビジネスチャンスがまさにこのプラスチックごみの中に埋もれている。再生プラスチックからフィラメントを製造することができれば新たな雇用とマーケットを創出でき、さらには貧困の連鎖を打破することも可能になるかもしれない。

市販の3Dプリンター用樹脂素材は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン( ABS )とポリ乳酸( PLA )の2種類が主流だ。ABS は石油から作られ、融点が高く、有害な微粒子を発生させる。PLA の方はトウモロコシなど自然由来素材から合成可能なバイオ樹脂。生分解性で、再利用すれば自然環境に対する負荷は低い。

だが、ほとんど見過ごされているのが、3Dプリンター用フィラメント素材として高密度ポリエチレン樹脂( HDPE )も有効だ、ということだ。現在、海洋を漂流しているプラスチックのほとんどが HDPE であり、埋め立て処理で増え続けているのもこのプラスチックなのだ。

ミシガン工科大学の Joshua Pearce 氏率いる研究者チームは数年来、自然環境にやさしいオープンソース3Dプリンター開発に従事してきた。昨年、同氏チームは自己複製可能な3Dプリンター、RepRap の1モデルとして「Recyclebot」を開発した。プラスチックごみからフィラメントを生成、それをエクストルーダーに供給するプリンターで、最新試作機では組み立て時間がそれまでの3分の1に短縮され、部材費も 20% 減少の 500米ドル足らずで済むという。もちろんオープンソースとして設計図はすべて公開されているから、各自このプリンターをベースにカスタマイズも自由にできる。


「プラスチックごみを再生利用すれば環境負荷も少なくできる」と、Pearce 氏。「ただ、再生樹脂フィラメント利用の主たる理由はコストだ。市販フィラメントは kg当たりコストが 最低でも 35ドルはするが、Recyclebot なら kg当たり電気代分の 10セントしかかからない」。


Pearce 氏らの開発したプリンターでは、自動車用フロントワイパーを動作させるモーターを使い、細断されたプラスチック容器類を加熱管に押し込んで溶解し、スパゲッティ状に成形したフィラメントをノズルに供給する仕組み。これらの装置は自作の他、Filabot FilaFab といったメーカー製品を購入して利用する方法もある。


現在、再生可能廃棄物を収集して暮らす貧困層は全世界に約 1,500万人いる。この問題解決のため設立された組織「Ethical Filament Foundation」では、3Dプリンター用フィラメント業界に対し、フェアトレード規格および認証プロセスを策定している。


インドのプネーに本拠を置く世界初のフェアトレード フィラメントベンダーの Protoprint は、大量に廃棄されている非分解性の HDPE をリサイクルしてフィラメントを製造している。インドでは約 200万人がスクラップ業者に kg当たりわずか 0.15ドルで再生可能なプラスチックごみを売り、日給1ドルにも満たない生活を送る人が多い。


「彼らはインドにおけるリサイクル産業の土台を成す存在なのに、社会からは完全に無視されている。それが問題」と、同社 CEO の Sidhant Pai 氏は指摘する。同氏はマサチューセッツ工科大学環境工学科の出身だ。


Pai 氏は同社が全額出資する協同組合組織 SWaCH を立ち上げ、ごみ埋め立て地に再生フィラメント試験生産施設を設置、今夏にも事業化させたい考え。プラスチックごみを3Dプリンター用フィラメント製造に振り向ければ、その付加価値によりごみ選別と収集に従事する貧困層は現在の 15倍の kg当たり 2.25ドルは稼げると同氏は言う。


Protoprint は現在、インド国内の高等教育機関に低コストの再生素材フィラメントを提供し、3Dプリンティング導入拡大を目指している


同社の再生フィラメント製品はバルク単位でも、FDM 方式の3Dプリンター毎の購入のいずれも可能。再生フィラメント使用可能なプリンターの販売も行っている。


回収されたプラスチックを「通貨」に変身させる試みも進められている。Plastic Bank では再生利用されるプラスチックを3Dプリント素材や家庭用品へと交換可能にする。同社は昨年、Indiegogo 上においても出資者を募り、目標額を達成することに成功している。近いうちにペルーの首都リマに最初のセンターを開設する計画だ。同社は「ソーシャル プラスチック」と銘打った運動も展開中で、業界各社に再生プラスチック使用を促す運動に賛同するよう求めている。


「我々のような組織ならば、ただプラスチックごみを増やし続けるのではなくそのプラスチックを有効にリサイクルして、持続可能な環境にやさしい未来に向けて、3Dプリント産業を成長させることができるかもしれない」と Pai 氏。「たとえこれが大海の一滴に過ぎない試みだとしても、正しい方向に進む1歩だと信じている」。


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