2022年10月30日日曜日

「蚊取り線香」化する新しい3Dプリント素材が誕生

ドイツ発:マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク、ライプニッツ・ポリマー研究所などの研究者からなるグループは、カなどの虫除け剤として使用される薬剤で表面加工した3Dプリント素材を世界で初めて開発した。
カなどの虫除けとして一般的に使用されているのは DEET と呼ばれるジエチルトルアミド薬剤だが、特有の臭いと相当量を使用しないと効果が持続しないこと、それもせいぜい数時間どまりなのが欠点だった(人によっては、アレルギーや肌荒れを起こすリスクもある)。
同グループは、こうした欠点のある DEET ではない別系統の忌避剤IR3535® (ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル)を使用した。こちらは DEETとは異なり無臭無色の虫除け薬になる。これをポリマーと混合させ、3Dプリント可能にした。3Dプリントで適切な形状に加工することでじゅうぶんな表面積を確保し、埋め込まれた忌避剤を周囲の空気に安定的に放出することができるという。
同グループは、リングのような試作品を3Dプリントで出力した。このリングじたいが薬物送達システム(DDS)として機能し、言わば蚊取り線香のような効果がある。また、その忌避効果は数日間は持続するという。