2021年8月15日日曜日

NASA、ISS 内で月面基地計画用レゴリス3Dプリンターの実験を開始

米国発:NASA によると、国際宇宙ステーション(ISS)にこのほど、新たな実験装置がシグナス補給船によって運び込まれた。いずれも ISS に設置された、微小重力環境実験設備を活用した実験が行われることになっている。
とくに注目されているのが、NASA が推進する月面基地建設計画「アルテミス計画」で重要な役割を果たすと思われる、レゴリス3Dプリンターのプロトタイプ[ギリシャ神話のアルテミスは、月の女神を意味する]だ。今回実験を行う Redwire Regolith Print (RRP)プロジェクトによれば、月周回軌道上に構築される宇宙ステーション「月軌道ゲートウェイ」は、レゴリス3Dプリンターの恩恵をおおいに受けるだろうとしている。レゴリスとは、月面上に無尽蔵にある宇宙風化を受けた砂礫のこと。
RRP のレゴリス3Dプリンターは、月のレゴリスを素材として使用するために特別に設計された複数のエクストルーダーとプリントベッドで構成されており、すでに ISS に設置されている3Dプリンター「ManD」と併用される。同プロジェクトではまず、レゴリスが3Dプリント素材として使用できるかどうかを実証する。それが成功すれば、3Dプリント素材の特性評価に用いられる一連の ASTM 規格に準拠したレゴリス素材の強度試験にかけることになる。
ISS ではこのアルテミス計画で使用されるレゴリス3Dプリンターの他に、長期宇宙滞在による骨格筋量の低下(サルコペニア)低減とその創薬応用、ステーション内の CO2 濃度軽減、児童生徒参加型の微小重力環境における原生生物モジホコリの生態観察なども行われる。