2015年1月31日土曜日

欧州宇宙機関も ISS に3Dプリンター導入へ

イタリア / フランス発:欧州宇宙機関( ESA )は、無重力下でも動作可能な「 Portable On-Board 3D Printer( POP3D ) 」と名付けた小型3Dプリンターを6月中にも国際宇宙ステーション( ISS )に搭載する。

同3Dプリンターはイタリア製で、フランスの Altran が設計と製造を請け負っている。「 POP3D 」は ISS 到着後、イタリア人宇宙飛行士 Samantha Cristoforetti 氏の「 Futura( ラテン語で「未来」)ミッション」の実験の一環として使用される予定。Cristoforetti 氏は昨年 11 月 23 日、他の5人のクルーと共に既に ISS に到着しており、半年間の予定で活動する。

「 POP3D 」はその名の通りコンパクト設計が特徴で、25 cm 四方のキューブ型。最小限の電源で動作し、極力少ない操作手順で作業可能な仕様となっている。ISS の船内環境に影響を与えないようにするため、「 POP3D 」は FDM ベースの、生分解性の無害なサーモプラスチックを使用する3Dプリンターだという。同プリンターのコンセプトは昨年 10 月、欧州各国から 350 名以上の専門家が集まった会議で初めて公表された。

ISS への3Dプリンター導入は、米国カリフォルニア州に本拠を置く Made In Space が NASA の実験計画の一環として既に実現している。この「宇宙空間第1号」3Dプリンターは当初計画されていた部品の出力試験を行い、また地上から「転送」された設計データを基にソケットレンチの出力にも成功している。2台目となる ESA の「 POP3D 」も初代機と同じく、無重力空間でプリントアウトした製品は地上に帰還させて地上で3Dプリントされた同等製品と比較され、宇宙空間でも地上と同様に3Dプリント製品が機能するかどうかが検討される。

3Dプリント技術は、打ち上げ時の衝撃に耐えられそうにない精密器具等を宇宙空間で作れるといった利点がある、と Altran の担当者は述べている。またこの技術は予備部品を届けるための打ち上げ回数や、宇宙船および宇宙ステーションの構造部材の点数自体を抑えることにつながり、結果的に打ち上げにかかる総コストの削減も可能になるかもしれない。

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2015年1月27日火曜日

MakerBot、Android 用専用モバイルアプリを正式公開

米国発:MakerBot は現地時間1月 22 日、同社製3Dプリンターを Android 端末から遠隔操作できる専用モバイルアプリを Google Play ストアに正式公開したと発表した。同アプリは無料でダウンロードできる。

このアプリは昨年リリースした iOS 版アプリとほぼ同等の機能を持つ。同社が運営する3Dモデル共有サイト「 Thingiverse 」や他の3Dライブラリーから選択した3DモデルデータをWi-Fi 経由で「 MakerBot Replicator 」などの同社製品にダウンロードし、プリントアウトできる。サイズ変更などの調節機能もあり、プリント中の様子もプリンター内蔵カメラで確認可能で、必要に応じてプリント作業の一時停止と再開もアプリから行える。

この Android 用モバイルアプリに対応するのは「 MakerBot Replicator 」、「 MakerBot Replicator Mini 」、「 MakerBot Replicator Z18 」で、ファームウェアバージョン 1.4 以上が対象となる。

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2015年1月26日月曜日

カナダでも地方の公立図書館が3Dプリンター導入を計画中

カナダ・オンタリオ州発:6歳の Sean O'Rourke 君は、1つ上の兄 Liam 君がWindows に標準搭載されている画像編集ソフトでデザインした可愛いおもちゃが、目の前のノズルから吐き出される溶けた樹脂によってカタチになってゆく様子にすっかり釘付けになった。他にも親子連れが数組、その光景に目を見張っていた。

オンタリオ州公認工学技師( C.E.T. )資格を持ち、サマーキャンプなどを通じてロボット工学を教えてきたセント フランシス ザビエル高校教員 Kirk Charette 氏は、孫の Thomas Werden 君と一緒に、ラムトン郡のサーニア市立図書館で、今月 17 日から来月 28 日までの毎週土曜日、図書館利用者を対象に3Dプリンター体験講座を開き、コンピューターで出力したデジタルデータから、プラスチック樹脂を溶融させてプリントアウトする工程を来館者にデモンストレーションしている。

Liam 君は、おもちゃが冷えて手で持てるようになると、こう言った。「とってもかっこいい」。同図書館でデモを披露しているのは、価格 1,600 CAD の FFF 方式の製品だ。 「今度はロケットブーツを作って欲しい」。

FFF 方式の3Dプリンターで作るのは少々厄介かもしれないが、いずれラントン郡の全公立図書館に3Dプリンターが配備されれば、Liam 君の希望も叶えられるだろう。

今、ラントン郡公立図書館では、3Dプリンターの配備を計画している。同郡図書館サービス部長 Laurel Van Dommelen 氏は、次のように述べた。「少なくとも1館には自前の3Dプリンターを手配したいと考えています」。ただし現時点では3Dプリンター導入時期や導入館数などは未定で、2か月後に郡予算が承認される時まで待たなければならないという。

同氏はまた、図書館利用者が3Dテクノロジーに触れられる機会を提供するという発想について、「とてもわくわくしています。図書館は、たとえば手に入れられない本を閲覧したりと、人々が希望する何かにアクセスしてそれを利用することができる場所なのです」。

「まだまだ新興技術なので、新入学児童向け3Dアプリが既にあることを知っている人も少ない」と講座主催者 Charette 氏。「中には3Dプリントにすっかりはまる子どももいて、そんな子達はさらに高度な高学年向けアプリを学習したりしています。この講座では公立図書館という場を活用し、新入学児童でも簡単に扱える内容から始めて、3Dテクノロジーを利用できるようにしています」。


サーニア図書館の3Dプリント公開講座:1/ 17 - 2/ 28 の毎土曜日、こども図書エリア( AM 11:00-12:00 )、一般向け図書エリア( PM 12:00 - 13:00 )

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2015年1月25日日曜日

Ricoh Europe が Leapfrog の3Dプリンターと付随サービス提供へ

英国 / オランダ発:プリントサービスの Ricoh Europe は現地時間1月 21 日、オランダの3Dプリンターベンダー Leapfrog BV 全製品の公式再販業者契約を締結したと発表した。今回の提携により Ricoh Europe は今後、Leapfrog 製の全3Dプリンターおよび提供されている全てのサービスとサポート パッケージ商品を欧州全域で販売展開することになる。

Ricoh SA COO の Jacques van Wyk 氏は次のように述べた。「まずベルギー、ドイツ、オランダ、英国の顧客向けに Leapfrog 社製品の販売を開始し、今年度内を目処に欧州全域へと拡大する予定だ」。

Leapfrog は 2012 年、親会社 AV Flexologic がプロトタイプ自社製造用として開発したのが前身。会社設立後、オランダ国内では主に教育分野の顧客層を中心に展開し、「 Creatr HS 」、「 Xeed 」など、初心者からプロユースまでをカバー可能な製品群を販売している。「 Creatr HS 」は、レビューサイト iReview の 5,000 ドル以下3Dプリンター部門で1位に選出されてもいる。

今回の提携で、両社が当面、最重要視しているのは教育分野マーケットだが、同時に製造業部門も視野に入れている。

Ricoh Europe は今回の提携について、2Dプリンティングで定評ある同社にとっては当然の進化だったとしている。同社は既に他の3Dプリンターベンダー OEM 業者としての実績もあり、また AV Flexologic と同様に、自社製品開発における3Dプリントの応用経験も既に 20 年以上ある。

Ricoh Europe 製品マーケティング部長 Olivier Vriesendorp 氏は次のように述べている。「3Dプリンターの可能性が拡大しつつある今、生産工程を根本から変える力を秘めたこの技術がいかなる力を発揮するのか。弊社の欧州の顧客は自身の組織内でその評価ができるようになる」[ 付記:日本国内の3Dプリントサービスの拠点として、Ricoh は新横浜と厚木で「 RICOH Rapid Hub 」を設置している ]。

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2015年1月21日水曜日

ダブリン大学トリニティカレッジ研究チームが次世代3Dプリント技術を開発中

アイルランド発:ダブリン大学トリニティカレッジ( TCD )工学部 機械 / 製造工学科 准教授 Rocco Lupoi 氏率いる研究開発チームはこのほど、欧州宇宙機関( ESA )から 500,000 EUR もの研究支援金を受け、次世代3Dプリント技術「コールドスプレー( CS )法」を改良し、4年後の実用化を目指している。

コールドスプレーは、金属材料を溶融させず、不活性ガスと共に超音速流で基材に衝突させて皮膜を形成する技術のこと。15 年ほど前から主に金属表面の皮膜コーティングなどに利用されているが、積層造形への応用はコスト面や技術面での課題があり、実用化が進んでいなかった。

Lupoi 教授らチームが取り組んでいるのは、ヘリウムガスを超音速( 2,472 km / h )にまで加速し、そのガスと共に金属微粒子を飛ばして吹きつけ、高速造形するというもの。この方式のメリットは無害なヘリウムガスを使用するため環境に優しく、使用材料の量じたいも減らせるため、省資源生産が可能になる。そして何よりも、従来の積層造形法より 1,000 倍も速いという。使用可能な金属素材にも制限がないため、複合素材からなる金属部品の製造もでき、たとえば従来工法では妥協を余儀なくされていた自動車エンジンパーツの一部についても設計者の意図通りに加工することができるとしている。そして非加熱方式なので、完成品に微細な構造変化やゆがみなどが発生する恐れもない。

この CS 法は、宇宙船に使用する部材開発応用を第一の目標に掲げており、同大学によると、同大学の単一プロジェクトに給付された ESA 支援金としては過去最高額だという。ESA 側からも科学者が派遣されている。

宇宙船開発への応用と同時に、かつてのテフロンのように、日用品への応用も期待される。たとえば、絶対にこびりつかない「究極のフライパン」の商品化などだ。

Lupoi 氏は次のように語る。「 現在、CS 法3Dプリントで金属部品を作った場合、複雑な形状だと 100 万ユーロくらいかかってしまう可能性がある。我々の研究では、技術面での障壁をいかに克服するかに最も力を注いでいる。CS 法3Dプリント技術を次の段階に引き上げ、革新的ソリューション開発を通じてコストダウンを図り、積層造形技術の潜在能力をさらに向上させる」。

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2015年1月19日月曜日

テストレポート:高精細プリント可能なデスクトップ3Dプリンター「 LulzBot Mini 」

3Dプリンターをテストする時、最も重視するのは「正確にプリントアウトできること」だ。先週、ラスベガスで開催された「 International CES 2015 」に出品された、コロラド州ラヴランドに本拠を置く Aleph Objects, Inc. の新製品「 LulzBot Mini 」は、この最重要項目の性能が特に優れている。

「 LulzBot Mini 」は筐体寸法 が 43 x 34 x 38 cmほどと小型で場所を取らず、しかも 8.6 kg と軽量で、梱包箱からの取り出しも容易。ちなみに台湾製オールインワン3Dプリンター「 da Vinci 1.0 AiO 」の本体重量は 27.5 kg もあり、梱包箱から引っ張りだした時に腰を痛めるところだった。小型なので、当然最大造形サイズも限られる( 15.24 x 15.24 x 15.8 cm )。

筐体はいわゆる RepRap タイプの開放型で、「 da Vinci 1.0 AiO 」のようなフルカバータイプではないし、フィラメントも裸のスプールのままフックに引っ掛けるだけ、市販のオープンリール型フィラメントならばどれでも使用可能だ(「 da Vinci 1.0 AiO 」は ABS / PLA 専用カートリッジ方式 )。RepRap ベースなので筐体の一部も3Dプリント製で、同梱されている CAD ソフトウェアもオープンソースの「 Cura 」だ。

造りはシンプルながら、たとえば加熱式造形ベッド( ホウケイ酸ガラス )表面はポリエーテルイミド( PEI )皮膜処理されているから、プリント中は3Dオブジェクトをしっかり基板面に固着させ、プリント終了後は簡単に製品を剥がして取り出せる。今まで様々な FDM 型機種をテストしてきたが、完成品取り出しが最も楽だったのは、この「 LulzBot Mini 」だけだ。


セットアップも簡単だ。数点の発泡スチロール保護材を取り除いたら、フィラメントスプールを引っ掛けてプリントヘッドへ装填し、「 Cura 」をダウンロードした PC に USB ケーブルを接続すれば即プリント可能で、15 分ほどで完了する。

肝心の造形精度だが、FDM 方式3Dプリンターが最も苦手とするらしいのが、エッフェル塔のような非常に細かい格子模様状のオブジェクトだ。だから、この「 LulzBot Mini 」がエッフェル塔の細部に至るまで忠実に出力する性能にはたまげた。しかも速い。高さ 12.7 cm のエッフェル塔のプリント時間は、他社製品では約2時間はかかっていたが、「 LulzBot Mini 」は1時間 44 分で完成した。

あいにくいくつか欠点もある。まず保護カバーで覆われていないため、プリント中の騒音は相当なものだ。そしてこの「 LulzBot Mini 」にはストレージ機能が搭載されていない。デスクトップ型3Dプリンターはフラッシュメモリー対応機種が多く、PC との接続を切断してもそのまま転送した3D CAD データをプリントし続けられる。だが「 LulzBot Mini 」の場合、作業途中で PC との接続が断たれるとそのプリントジョブはキャンセルされてしまう。Wi-Fi などのワイヤレス接続機能もない。

また本体には LED ディスプレイなどの表示機能もないから、多くのミッドレンジ デスクトップ3Dプリンターのようにディスプレイ上で操作することも望めない。温度調節やフィラメントのロード / アンロードといった機能は、全て接続した PC の「 Cura 」経由で行うことになる。

「 LulzBot Mini 」は今月 22 日に発売される。販売価格 1,350 USD というのは安くはない買い物だが、MakerBot や 3D Systems など、大手ベンダー製同価格帯機種と比較しても決して割高とは言えない。むしろ、ほぼ全てのフィラメント素材が扱えるコンシューマー向け製品という点ではお買い得かもしれない。ABS、PLA、HIPS、PVA、PETT、PETG、PCTPE、PC-ABS、ポリエステル、ブロンズ、銅、木質フィラメント、ナイロン、導電性 PLA / ABS、ポリカーボネイト、紫外線発光性フィラメントまで使用可能だ( 今回のテストでは、HIPS と ABS を使用した )。

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2015年1月18日日曜日

Stratasys が水溶性サポート材を採用した新型ハイエンド3Dプリンターを発表

米国 / イスラエル発:3Dプリンターベンダー大手 Stratasys Ltd.( NASDAQ:SSYS )は現地時間 16 日、新型ハイエンド3Dプリンター「 Objet Eden 260 VS Dental Advantage 」を発表した。

「 Objet Eden 260 VS Dental Advantage 」は Objet シリーズの最新機種で、大-中規模の歯科技工用途に最適な3Dプリンター。同社独自の PolyJet 3D プリンティング テクノロジー搭載の歯科技工用機種として初めて水溶性サポート材を採用した。サポート材除去方式は通常の水溶除去モードと完全自動のジェット除去モードとが必要に応じて選択可能で、作業コスト低減化を実現させるとともにデリケートな歯科技工製作の要求にも応える。同社によれば作業効率は従来比の2倍、製造点数当たりコストも最小だとしている。

同製品は Stratasys の VeroDent、VeroGlaze といった PolyJet 3D 専用歯科技工用の各素材に対応。

 Objet Eden 260 VS Dental Advantage 」の主な仕様:

使用可能素材:VeroDent (MED670)、VeroDentPlus (MED690)、VeroGlaze (MED620)、生体適合性 PolyJet フォトポリマー( MED610 )
サポート材:SUP707( VeroDent,、VeroDentPlus / VeroGlaze 使用時 )、SUP705 ( 生体適合性 PolyJet フォトポリマー使用時 )
造形トレイサイズ:260 x 260 x 200 mm 
積層ピッチ( 水平方向 ):最小 16 μ
造形解像度:X軸 600 x Y軸 600 x Z軸 1600 dpi 
素材カートリッジ:3.6 kg 密封型x4本
電源:単層 AC 110 - 240 v 50/60 Hz、1.5 KW 
本体サイズ:870 x 735 x 1,200 mm 
本体重量:410 kg 

歯科技工の現場では急速にデジタル化が進行中だ。3D CAD モデリングから歯科装具製作まで、全工程が外注不要で可能になりつつある[参考:日本国内モデル]。

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2015年1月12日月曜日

HP が「 Multi Jet Fusion 」用 CPU として Intel Core i7 を採用

米国パロアルト発:Hewlett-Packard( NYSE:HPQ )は現地時間1月6日、ラスベガスで開催された「 International CES 2015 」で、2016 年にリリース予定の同社初の産業用ハイエンド3Dプリンター「 Multi Jet Fusion 」用アーキテクチャー プロバイダーに Intel を採用する発表した。

同社によると、「 Multi Jet Fusion 」の CPU に Intel 製「 Core i7 」プロセッサを搭載するという。これは同社が 2015 年度を通じて、顧客と共同で新製品テストの迅速化を図る「 Open Customer Collaboration Program 」の一環でもある。

また、マルチタッチフル HD デュアルスクリーン搭載デスクトップ PC 「 Sprout 」を含む「 Blended Reality 」製品群にも Intel の「 Core i7 」プロセッサが搭載される予定。同社によれば、これはデジタル世界と現実世界との統合を目指す新コンセプトの製品群で、「 Sprout 」はすでに市販されている( 日本市場投入は 2015 年度からの見込み )。

Intel CEO Brian Krzanich 氏は HP のプリンターおよびパーソナル システム部門( PPS )担当シニア バイスプレジデント Dion Weisler 氏とともに基調講演を行い、次のように発言した。「両社は共に技術革新の長い歴史があり、斬新な3Dコンピューティング体験をユーザーに提供することで、仕事にも遊びにもまったく新しい双方向技術を実現するというビジョンを共有している。弊社のアーキテクチャーと HP の Multi Jet Fusion テクノロジーとの組み合わせは3Dプリントの単なる高速化に留まらず、一般消費者と企業とを問わず、3Dプリント技術のさらなる普及を後押しすることになるだろう」。




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2015年1月11日日曜日

世界初のマルチヘッド搭載の FDM 3Dプリンター「 MH5 」

ベトナム発:3Dスタートアップの Digitrax 3D は、同一製品を同時に5つプリント可能な初の FDM 3Dプリンター「 MH5 」を開発中だ。

同社は Frédéric Lefevre 氏と、元 YAMAHA Music France の音響技師で製品マネージャーだった Philippe Maurel 氏が設立した。「 MH5 」は、同一製品を短時間でプリントする方法を探していた友人を助けるために開発した。同プリンターに装備された5つのエクストルーダーはプリントに使用する本数、ヘッド位置および温度を個別に調節可能。2人はこのマルチヘッド3Dプリンターを開発するため、ホーチミン市中を探して有能な3Dプリントのスペシャリストを数名、開発チームに引き入れた。

ただし「 MH5 」では同一製品を5つプリントできるが、異なる形状の製品を同時にプリントすることはできない。また、使用するエクストルーダー本数が増えれば、それだけ最大造形サイズも縮小する。とはいえ廉価な PLA フィラメントを使用する FDM 型プリンターの高速化は光硬化樹脂( SLA )よりトータルコストを抑えることができ、同社はこうしたニーズの顧客層に絞ってこの3Dプリンターを開発している。

市販されている FDM 方式3Dプリンターでは、高さ 8cmのポットのプリントアウトに1時間4分ほどかかるが、「 MH5 」を使用すれば、同型ポット 15 個3時間 21 分で プリントアウトできるとしている。ポット1個当たりわずか 13 分ほどでプリントできることになる。

「 MH5 」の主要な仕様:

本体材質:アルミニウム( A6063-T5 )
解像度:100 μm
フィラメント径:ϕ=1.75 mm 
フィラメント:PLA for MH5、PLA、ABS for HD Version 5.1
本体寸法:77 x 57 x 55 cm
最大造形サイズ:28 x 28 x 20 ( 15,680 cm³ )
本体重量:40 kg 
接続方式:USB、micro SD
標準ノズル径:ϕ=0.4 mm、それ以外の径は受注生産



2015年、3Dプリント業界には高速化、低価格化、信頼性、マルチ素材対応といった様々な課題の克服が求められ、同時に法的問題点などの解決も突きつけられている。昨年2月に特許が切れたレーザー焼結法( SLS )方式のハイエンド3Dプリンター価格も、このまま下落傾向が続けば、HP、Stratasys、3D Systems といった業界大手に対抗するスタートアップ各社は新たなイノベーションを引き起こすべくさらなる奮起が求められるだろう。ただし SLS 方式はプリントアウト後の余剰粉末の除去などの面倒なメンテナンス作業も多い。産業、個人メイカー問わず、人々が求めているのは、より高速で低価格の新しい3Dプリンターだ。 

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2015年1月6日火曜日

電子回路基板まるごとプリント可能な世界初の3Dプリンター「 Voxel8 」

米国マサチューセッツ発:ハーヴァード大学生態学習工学教授 Jennifer A. Lewis 氏ら数名によって設立されたスタートアップ Voxel8 は、世界初の電子基板プリント可能な3Dプリンター「 Voxel8 」を、6日から開催される「 CES 2015」に出品すると発表した。この新型プリンター開発に当たり、同社は先月、ベンチャーキャピタル Braemar Energy Ventures から資金援助を受けている。

「 Voxel8 」は一般的な FDM / FFF 方式のデスクトップ3Dプリンターと同様に操作できるが、通常のエクストルーダーとは別のノズルから高導電性インクが排出され、電子回路を組み込んだ製品の出力を可能にしている。独自開発した銀素材の導電性インクは、現在市販されている導電性インクペーストの約 5000 倍もの導電率を持つ。最初に電子回路をプリントアウトし、それが終わると通常のサーモプラスチック フィラメントによる造形工程に移行する。集積回路や LED といった部品を造形中の製品に組み込む場合は自動停止後、造形ベッドごと取り外して手作業で取り付けられ、ベッドを戻せばプリント作業は再開される。「 Voxel8 」を使用すれば、部品組立工程不要で電磁石コイルやアンテナといった部品の設計・製造が可能になる。

PLA フィラメント4スプール、導電性インクカートリッジ 10 本パック、スペア造形ベッド付きの「 Voxel8 開発者向けキット」は先行予約が可能で、先行販売価格は 8,999 USD。頭金 500 USD で、残金は製品出荷時に支払う標準購入プランも用意されている。

「 Voxel8 」の主な仕様:

最大造形サイズ:10 x 15 x 10 cm
プリント方式:FFF / FDM、ニューマチック ダイレクトライト
層間解像度:200 µm
使用可能フィラメント径:φ= 1.75 mm 
導電性インクトレース幅:250 µm
導電性インクトレース長:60 m / カートリッジ
対応ファイル形式:AMF、STL、PLY、OBJ、OFF
抵抗率:5.00 x 10-7 Ω-m




なお Voxel8 はこのアナウンスに合わせて、「 Spark 」プラットフォーム ベースの設計ツール「 Project Wire 」への参画を表明した。同プロジェクトは、電子回路付きコンポーネントの設計の自由度を高め、多素材を組み合わせた3Dプリントによって簡単に製品化してもらおうとする試み。

Voxel8 の「 International CES 2015」展示ブースは、ラスベガス市サンズエキスポ国際会議ホール内 71726。

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2015年1月5日月曜日

複雑な機構の精密部品も一発造形を可能にする「 MICA Freeform 」

米国発:従来の3Dプリント技術では、複雑な形状を持つミリ単位の精密部品の造形は不向きと考えられていた。だが、医療機器や宇宙開発、半導体の試作といった精密さを要求し、かつ従来方式による生産限界の打破を望む産業には、1999 年創業の Microfabrica Inc. という選択肢を考えてよいかもしれない。

ロサンゼルス市バンナイズに本拠を置く同社は、独自の3Dプリント技術「 MICA Freeform 」による精密な金属部品の設計および製造サービスを提供している。

Microfabrica の「 MICA Freeform 」は、通常の3D CAD データを基に、「 Layerize 」というモデリング ソフトウェアでスライスし、それをフォトレジストパターンとして積層出力して造形する。この方式の利点は許容誤差を従来の選択レーザー溶融( SLM )方式より抑えられる点にあり、わずか2μm だとしている。SLM 方式が移動するレーザービームの当たった部分単位で金属粉を焼結して造形するのに対し、同社の「 MICA Freeform 」では、積層面全域に斑なく積層させることにより仕上げ処理等の後工程が不要で、そのまま最終生産物として量産化できることもメリットとして挙げている。

SLM 方式の利点は造形可能な素材が多岐に渡り、しかも高速造形ができることにあるが、「 MICA Freeform 」では生産コストの高い、より高精度な精密部品の量産に適している。同社によれば、従来工法では多数の部品点数を必要とした機構を持つ部品も、1度の造形で出力できるのも大きな特徴だとしている。


「 MICA Freeform 」の利用は至って簡単だ。出力して欲しい製品の 3D CAD データを同社に送るだけでよい。「 Layerize 」ソフトウェアで出力後、技術者との最終確認を経て「 MICA Freeform 」工程に最適化して生産、納品となる。取り扱い可能な金属は valloy-120( ニッケル-コバルト )、パラジウム、銅、ロジウムなど。

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2015年1月4日日曜日

GP3D が新型デスクトップ3Dプリンター「 Sprout 」を CES 2015 に出品

米国カリフォルニア発:Green Project Inc. 傘下のフィラメントベンダー GP3D は、同社初の新開発デスクトップ3Dプリンター「 Sprout 」を、ラスベガスで開催される世界最大級の家電見本市「 International CES 2015 」に出品する( 会期:1月6-9日 )。

「 Sprout 」は本体サイズが約 29x22x40 cm と比較的コンパクトながら、約 15x15x14 cm までの大きさの3Dオブジェクトの出力が可能な FFF 方式3Dプリンター。使用するフィラメント材質は PLA で、層間解像度は 0.18 mm。PC との接続不要で、STL ファイルを直接プリントアウトすることができる。操作は 3.5 インチのフルカラータッチディスプレイで直感的に行える。

GP3D によると、「 Sprout 」は数か月以内には出荷できる見込みで、その他詳細は CES 期間中に発表するとしている。

一般向け3Dプリンターの価格は下落傾向がつづいて入るが、割高感は否めない。同社は「 Sprout 」の販売予定価格を 549 USD に設定し、一般消費者向けマーケットのさらなる拡大を狙う。



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