2013年12月31日火曜日

「チョコレート」でプリントした顔型はいかが? 

チョコレート好きには吉報かもしれない。エクセター大学の研究者が起業したスタートアップ Choc Edge は、風変わりな 3Dプリント サービスを提供している。顔写真から「顔型」をチョコレートで再現する、「チョコレート プリンティング」だ。同社宛てに顔写真を送れば、ダーク / ミルク / ホワイトチョコレートから3次元の顔型をプリントアウトしてもらえる。このチョコレート「顔型」プリントサービスの価格は 50-80英国ポンド。

「チョコレートはみんなが大好きな食品だから、これを一般消費者でも簡単に加工できないかいろいろ試してきた」と、創業者 Liang Hao 博士。Hao 博士のエンジニアチームは、3Dプリントをチョコレートに応用する手法を同大学においてはじめて開発した。

チョコレートは粘度と温度条件の適正な管理が求められるため、扱いにくい食材だ。チョコレートの立体造形は、まずいったん液状に溶かしたチョコレートを適正温度まで下げ( テンパリング )、厚さ 0.05mm の平滑な横断面状に支持台に押し出して造形する。他の食品、ケーキスポンジ上にも押し出して成形することもできる。この方法だと、高価な成形型がなくても複雑かつ芸術的な造形が可能になり、この点で従来方式よりすぐれているという。

Choc Edge の開発したチョコレート専用 3Dプリンター「Choc Creator V1」は、2,888GBP で販売されている。いずれは消費者が近所のチョコレートショップでもオリジナルデザインのチョコレート プリントができるようにしたいと考えている、と Hao 博士。

下は、Choc Edge で出力したチョコレートの「雪の結晶」。


2013年12月24日火曜日

真の「パーソナルな」3Dプリンターを志向する「Robox」

1990年代、教育現場にカラフルな「iMac G3」が導入されると、たちまち子どもたちは夢中になった。小型家電などの設計開発を行う英国ブリストルの C Enterprise Limited ( CEL )は、「3Dプリンター版 iMac」を目指した新製品「Robox」を2014年第2四半期にも市場に投入する計画だ。販売価格は 1,400 米ドル未満に抑えるという。
現在、3Dプリンターは先を争うように新製品が次々と市場に投入され、iMac G3 が登場した頃と似たような段階に差しかかっている。「Robox」はこのほど Kickstarter での資金調達の 45万ドルという目標額を達成したが、そのデザインは、かつての iMac G3 を彷彿とさせるような鮮やかなブルーやグリーンで彩られている。
「3Dプリンティングは教育現場やエンジニアたちといった、専門のギークたちのもの、というのが現状だと思う。われわれの夢は、3Dプリンターを全家庭に普及させることだ。高性能で扱いやすい 3Dプリンターを作り、それをすべての家庭にもたらすことができれば … そのプリンターは、Robox かもしれない」と CEO の Chris Elsworthy 氏。
「Robox」には独立した動作をするヘッドが2基搭載されている。ひとつは精密加工用で、残るひとつは高速加工用だ。Elsworthy 氏によると、現行製品で3時間はかかる造形も、「Robox」なら1-2時間くらいで完了するという。
また、「Robox」は高品質仕上げの際に妨げとなる余分な溶融樹脂をいっさい排出せず、しかもプリントヘッドは交換式で、用途によってドリル、レーザーカッター、3Dスキャナー、ケーキのアイシング用絞り口まで取り付け可能だという。

2013年12月23日月曜日

学生たちが自作した「最安」3Dプリンター、Deltaprintr

ニューヨーク州立大学( SUNY )パーチェス校工学部の学生 Shai Schechter 氏とその友人たちは、最も安価な組み立て式 3Dプリンターを自分たちの手で生産しようとしている。

同氏によれば、Deltaprintr と命名されたそのプリンターが誕生したそもそものきっかけは、「大学には光造形と粉末造形の 3Dプリンターがあるにはあったけれども、バケツ一杯分のプラスター粉末だけでも 500ドルはかかり、2回ほどで使い切ってしまう。だからプリンターを使用するカリキュラムもほとんどなかった」。

そこで Schechter 氏は新しい 3Dプリンターを自作することを思い立ち、彫刻を教える教授に助言を求めた。試作機では使用素材をプラスター粉末から樹脂に変更し、3人の仲の良い友人に協力を仰いだ。

彼らはこの企画を Kickstarter プロジェクトとして立ち上げ、わずか1週間で資金調達目標額をほぼ達成するほど。価格はユーザー自身が組み立るキットタイプが 475ドル、完成品タイプが 685ドルと破格の安さが最大の特徴だ。

Deltaprintr はその外観もユニークだ。造形ヘッド( エクストルーダー )は3本の交換可能なレール上を3つのステッピングモーター制御で移動するアームの先端に取り付けられており、アームを固定するのは MakerBot のようなベルトではなく「釣り糸( 65lb Spectra fishing line )」なので、背の高いオブジェクトを造形したいときはレールごと取り換えることも可能。現在のバージョンは高さ2フィートと 2.5 フィート( 約 76 cm )の2種類が用意されている。既製の 3Dプリンターと比べ、Deltaprintr はひじょうにシンプルな構造のため、価格も大幅に低くすることがだきたという。最小積層ピッチは 100 μm 。

「これは教育機関での導入を考えて作られている。ユーザー自らプリンターを組み立てることで、3Dプリンティング技術がどういうものなのか、その原理を体感できる。ほんとうの意味でプリンターを扱えるようにしてもらいたいので、Kickstarter 上でも組み立てマニュアルを用意してある」と Schechter 氏。

現時点では Deltaprintr は教育機関向けツールという位置づけだが、将来的には量販も視野に入れている。

「いま、様々なアイディアが豊富にあり、来年にはそれらを製品化していく計画だ。Dltaprintr はさらに使いやすく、価格ももっと安くできるだろう」。

2013年12月16日月曜日

スペインのベンチャーが開発した低価格 3Dフードプリンター

NASA も出資したことで一時、話題になった「食品出力用 3Dプリンター」だが、予想以上に早く一般家庭にも普及することになるのかもしれない。

スペイン・バルセロナのベンチャー Natural Machines はこのほど、低価格帯の 3Dフードプリンター「Foodini」の試作機を公開した。価格は 1,360 米ドル前後を予定しており、2014年夏の出荷開始を目指す。

同社によれば、「Foodini」はプラグ・アンド・プレイ対応なので梱包を解いてすぐ使える。操作は機器前面のタッチスクリーンで行い、あとはミキサーやフードプロセッサーなどであらかじめ下ごしらえした新鮮な食材を用意し、それを「Foodini」のカプセルに装填するだけ。あとはすべて「Foodini」任せで食品がプリントアウトされるのを待つだけでいい。ただし食品によって、たとえばラヴィオリやピザの場合はプリントアウト後に加熱調理する必要がある。

現時点では改善点がまだ多く存在するとはいえ、同社共同創業者 Lynette Kucsma 氏は次のように語った。「何かを一から調理するには時間がかかったり、作業が難しかったりする部分がありますが、そんな面倒な部分はすべて Foodini が肩代わりしてくれます。レシピはご自分で用意することも、当方のサイト上で公開されるレシピを選ぶこともできます。あとは新鮮な食材を用意していただき、それをプリンターに入れるだけです。わたしたちが目指すのは、料理における反復作業を省き、なおかつ健康的な食品をご家庭で作っていただくことです」。

Lynette 氏によれば、Foodini 用サンプルレシピには動物の形をしたヒヨリ豆ナゲットや、恐竜型のほうれん草キッシュなどが用意されるという。




2013年12月15日日曜日

インドの天才高校生が作った 3Dプリンター

インド在住 Angad Daryani はわずか 8歳にして最初の人間型ロボットを製作し、13歳のときにはオープンソースで提供されている 3Dプリンター DIY キット、RepRap で最初の 3Dプリンターを作った。現在 15歳の彼は、「SharkBot」と名けた改良版 RepRap 3Dプリンターを、インド国内にいる彼のような「メイカー」たちに販売する計画だという。実現すればインド初の「国産」3Dプリンターになる。「SharkBot」は金属以外のすべての素材で造形可能で、試作品の1つはムンバイのインド工科大学でも使用されている。

Daryani 君によれば、YouTube を見て遠隔操作型ホバークラフトの作り方を学んだ時点で、「学校で教わることなんて何もない」と感じ、中退したという。彼は考案したものすべてをオープンソースとして提供し、だれでも自由に複製したり改作したりできるようにしている。また彼は自ら開発した製品をインドのカラーム元大統領に披露したこともある。

「僕は高校生ですが、正直言って、教室の外で学んだことが9割です。僕にとって、インターネットが第2の学校なんです。ネットを通じて、ものすごい量の知識を得ました。おかげで僕はメイカーとしてここまで来られたんだと思います」。

また、Daryani 君は盲人用の電子書籍リーダー「The Virtual Brailler」も開発した。こちらはテキストをスキャンしながら自動的に点訳するというすぐれものだ。

2013年12月9日月曜日

クリスマスギフトに 3Dプリントアウトした「球体ギア」はいかが ? 

ニューヨークに本拠を置くデザイナー グループ Proxy Design Studio はこのほど、「Mechaneu v1」と題したユニークな 3Dプリントアウト作品を Shapeways 上で公開した。

同グループは、自然界に見られる現象を手本にした幾何学デザインを作り出せるソフトウェアを独自に開発した。これを応用して作られた「Mechaneu v1」は、従来の工法では製作不可能だった、複雑に組み合わさる連動歯車機構からなる球体オブジェクトだ。

「自然界では形状を生み出す過程において、多くの問題が解決される。材料は必要な部分にのみ使われ、不要な部分は取り除かれる。この一般的な自然の法則は、たとえば骨などに見られる複雑な幾何学構造も生み出している。われわれはこの自然界と同じ理屈を用いて「Mechaneu」のすべてのパーツを作り、多孔質だが中身の詰まった感触を与えるオブジェクトを造形した」と、同グループのデザイナー Toru Hasegawa 氏は語る

「Mechaneu v1」は先進的 3Dモデリング ツールとカスタマイズされたアルゴリズムを使って、3Dプリンターで1回の製造工程で製作された。アルゴリズムのモデルになったのは、細胞増殖におけるパターンだ。一個の歯車の動きが他のすべての歯車へと波及し、球体そのものが互いに回転しあう歯車になる。



2013年12月8日日曜日

「安くて自作可能な」金属 3Dプリンターの開発が進行中


産業用 3Dプリンターで造形可能な素材と言えば、これまでは光硬化ポリマーなどが主流だったが、いずれはオープンソースを最大限活用して、だれでも「金属製品が造形可能な」3Dプリンターが自作できる世の中が来るかもしれない。

ミシガン工科大学( MTU )材料工学および電気・コンピュータ工学准教授  Joshua Pearce 氏らの研究チームは、この「金属製品が出力できる安価な自作 3Dプリンター」の開発に取り組んでいる。

「まだ開発途上なので、現時点で造形可能なのはスプロケットくらいのもの。でも RepRap プロジェクトのように、製造業界が肩入れすれば急激に進化するはず。ひと月も経たないうちに、われわれのよりさらにすぐれたプリンターを作る人が間違いなく出てくる」。

市販の可搬式 MIG溶接機やオープンソースのマイクロコントローラーなどを使用して組み立てた金属 3Dプリンターにかかる材料費は 1500ドル以下。一般的な金属加工用の積層造形機の価格は 50万ドル以上はする。

同チームが開発中の金属 3Dプリンターは市販の樹脂出力用の 3Dプリンターよりも安く手に入れられるが、「保護具や消火器具を用意する必要があるため、現段階ではこのプリンターの組み立ては専門のショップか業者に任せることを推奨したい」。

金属製品の出力可能な 3Dプリンター、とくると、どうしても銃砲類の違法製造の問題がつきまとう。Pearce 准教授もこの問題について、眠れない夜が続いたと認めるが、3Dプリンティングによるあらゆるタイプの分散型生産から得られるメリットのほうがはるかに勝っていると考えている。そして、既製品を購入するより自宅で 3Dプリントアウトしたほうが環境にも優しい。

とりわけ既成品が入手困難な開発途上国の人々と、試作コストの大幅な低減が見込める研究者にとって、3Dプリント可能な製品の幅が広がるのは大きな恩恵になるはずだと同氏。「中小企業であっても、無償でダウンロード可能なオープンソースのデザインを使用して簡単に、しかも素早く部品や道具を組み立てることが可能になる。経済に革命を起こし、多くの人がこの恩恵に預かるようになるかもしれない」。

「このようなプリンターを取り扱えるほどわれわれが成熟しているかどうかはわからないが、こうしたオープンソースの取り組みにより、広範な製品がオンデマンドで製作可能になり、その結果、最小コストで富の分配ができる社会が到来するのももうすぐだと思う。いずれ、作れないものはほとんどなくなるだろう」。

参照元記事

2013年12月3日火曜日

ドイツとメキシコに初の 3Dプリント ショップがオープン

11月27日、ドイツで初の 3Dプリント専門ショップ、「Botspotが首都ベルリンのモーリッツプラッツにオープンした。

Botspot は、「3Dプリント全般をカバーする、ドイツ最大の 3Dプリント ショップ」を標榜する。オープンしたベルリンのショップでは顧客のミニチュア全身像をはじめ、日用品、自作 3Dデザインおよび建築模型の造形、そしてもちろん 3Dプリンターと関連アクセサリーの販売も行う。

顧客は Delta Tower、Ultimaker、Makerbot などの 3Dプリンターメーカー製品のほか、いわゆるファブラボ製のオープンソース 3Dプリンターも購入できる。


また、メキシコ・ソノラ州の州都エルモシージョにも、同国初の 3Dプリントショップ「Ideaz 3D」が 22日にオープンした。こちらは店内に5台のデスクトップ型 3Dプリンターと、2台の 3Dスキャナーを常備している。顧客はスマートフォンケースを店内でデザインし、そのままプリンターで出力してもらえる。ブレスレット、リング、イヤリング、ランプ、玩具などもプリントアウト可能。ベルリンのショップ同様、こちらのショップでもスキャンした全身像から顧客自身の小型フィギュア造形が体験できる「3Dフォトブース」コーナーがある。現在のところフィラメントは好みの色を選べるが、完成品は単色のみの提供。全身の 3Dスキャンはターンテーブルに乗って行い、ディスプレイに投影された立体画像からフィラメントの色と素材、仕上がりサイズが選択できる。

「このショップはわたしたちのアイディアを統合させたものです。テクノロジー大好き人間の夫、3Dプリント業界で働くきょうだい、そしてわたしはクリエイティヴなものはなんでも好きな人間」と言うのは、このショップを設立したオーナーの一員 Carolina Manguia 氏。「3Dプリント技術を教育の場に導入できればこんなにすばらしい貢献はない。子どもたちが 3Dプリントと、そこに広がるあらゆる可能性からいかに多くのことを学習するか、想像してみてください」。価格は従量制で、造形に時間のかかる高精細なオブジェクトほど高くなるが、それでも時間当たりで税抜き 95ペソ( 約7米ドル )ほどと低めに設定されている。

2013年12月1日日曜日

オレンジの皮で 3Dプリント ?! 

英国発:持続可能型のデザイン プロジェクトを手がける英国のデザイナー  Alkesh Parmar 氏が近年取り組んでいるのは、廃棄物ゼロの生産システムだ。その良い例が、食品廃棄物から新素材を生み出す「APeel」プロジェクトだ。

Parmar 氏によれば、飲料製造業から発生するオレンジの種や房、皮など、食用にならない廃棄物の多くは家畜の餌に加工されているが、動物にとってはむしろ有害になる場合があるという。
そこで同氏はオレンジやレモンといった柑橘をブレンドしたものに有機由来の結合剤を加えて固め、環境に負荷のかからない材料へと変える。使用する道具もすべて再利用品で、必要に応じて手を加えたものだ。

「このような生ゴミから、完全な生物分解性を持ち、かつ持続可能な素材の実現を目指して研究と開発に取り組んできた。その結果、ある特定の方法を使えば、オレンジの皮のような生ゴミも、好ましい順応性と強度を備えた持続可能な素材に変わることが証明された。従来の持続不可能な素材に置き換わる可能性もある」と Parmar 氏は述べている。

このデザイン プロジェクト全般を通じ、エネルギーと水の消費は最小に抑える一方、自然由来の資源は最大限活用して、従来工程で発生する廃棄物から生物分解される、環境にやさしい最終生産品を送り出すことで付加価値を生み出している。「APeel」は現在、特許出願中だ。

動画は、「APeel」で生成された素材を 3Dプリントに応用した実験だ。