2016年7月30日土曜日

IDC Japan、3Dプリント国内市場の最新予測を発表

日本発:IT 関連調査会社 IDC Japan はこのほど、3Dプリンティング国内市場の 2013 - 2015 年の実績および 2016 - 2020年の予測を発表した。

それによると、昨年度の3Dプリンティング国内市場における総売上額は前年比 4.4 % 増の 344 億 8,600 万円で、4 年後の 2020 年には同市場規模が 700 億円超に達する見込みだという。2015 - 2020 年の年間平均成長率( CAGR )は 15.3 % で、これは市場全体の規模がほぼ 2 倍になることを示唆する。

だが、昨年度の国内向けデスクトップ3Dプリンター総出荷台数は前年比 19.3 % 減の 6,300 台に留まり、総売上額も前年比 40.9 % 減の 9 億 2,500 万円であり、市場規模は縮小した。同社では、当初のブームが去り、3Dプリントの技術上の限界に対する失望感などから売上が落ち込んだためだと見ており、この傾向は今後も続くだろうと予測する。2020 年度のデスクトップ3Dプリンター出荷台数は、CAGR ベースで 10.2 % 減の 3,700 台にまで落ち込むと予想している。

この失望感はデスクトップ型に留まらず高価格帯の産業向け製品市場にも影響を与えている。プロフェッショナル仕様3Dプリンター総販売額は前年比 31.8 % 減の 131 億 8,600 万円で、総出荷台数も前年比 23.5 % 減の 1,600 台だった。ただしこの数値は 2014 年以前に購入したアーリーアダプター層の大半が更新を見送った事実も反映されているという。同社は、今後の同市場は縮小傾向から増加に転じると見込んでおり、同市場の総売上額は 2020 年までに 8 % 増の 193 億 9,000 万円に達すると予想している。

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2016年7月29日金曜日

仏3Dデザイン会社が破産、解散手続きへ

フランス・イル-エ-ヴィレーヌ県発:2013 年に EV 車に3Dプリンターを搭載して移動中に3Dプリントを行うというアイディアの実証実験や、数々の斬新な3Dプリントデザインを発表してきたデザイン会社 Le FabShop が同社公式ブログ上で、同社の破産と解散手続きに入ることを公表した。

ブルターニュ半島サン-メロワール-デ-ゾンド市に本拠を置く同社は 2012 年、Bertier Luyt 氏が設立した。7 月 27 日付の同氏によるブログ投稿記事によると、カナダ出身の同社クリエイティブディレクター Samuel N. Bernier 氏をはじめとする同社の有能な3Dデザイナーらは今後も3Dプリント業界内でやりがいのある仕事に従事するだろうと述べている。設立当初は Stratasys の MakerBot 製品の販売を手掛けていたが、販売不振のため、経営の軸足を3Dプリンタブルデザイン提案へと転換していた。同社の3Dプリンタブルデザインにはエッフェル塔を想起させる Paris lamp や Star Wars シリーズ最新作に登場するクロスガードライトセーバーのレプリカ、3Dスキャンデータを基に製作するオーダーメイドコルセット「 MUSE 」などがある。

Luyt 氏は次のように書いている。「本日、我々は晴れやかな顔で Le FabShop の歴史の最後の 1ページを記すことになる。会社はなくなっても、弊社の手がけてきた3Dモデルや関連書籍やアイディアの数々は今後も消えることなく、その足跡を残すだろう。私はこれまで支援してくれたすべての方々に感謝する」。

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2016年7月25日月曜日

3Dモデリング / 3Dプリントでカトリック2聖人の生前の顔を復元

ブラジル / ペルー発:ブラジル人科学者がこのほど、ペルーの守護聖人を含む 2名のカトリック聖人の生前の顔を復元した3Dプリント胸像を制作した。

今回、3Dプリントによって「復顔」されたのはリマのローサ Santa Rosa de Lima と、ペルーのサンタ・カタリナ女子修道院( ドミニコ会系 )に所属していた Sister Ana of Los Angeles Monteagudo( 1686 年没、1985 年にローマ教皇 John Paul II によって列聖 )の 2 聖人

今回、2 聖人の復顔および胸像を制作したのはブラジル中央部シノップ市で活動する3Dデザイナー Cícero Moraes 氏と、法歯学者 Paulo Miamoto 博士。両氏はこれまでも山火事で甲羅を失ったカメに3Dプリント人工甲羅を提供して助けたりしている。

両氏によると、3D CT 画像および写真測量法を用いて、保存されている聖女ローサらの頭蓋骨から精密な3次元モデルを作成し、それに基づき樹脂パウダーによる3Dプリントで復元したという。写真測量法では様々な角度から頭蓋骨を撮影した数百枚の画像データを収集、解析した。同時に X線断層撮影も行い、内部構造も確認した上で、アルゴリズム解析による顔面生成ソフトウェアで生前の 2 聖人の顔を再現した。

こうして作成した3次元モデルに、歯型の分析結果や考古学 / 史実調査で明らかになっている知見に基づき入念に「肉付け」と色付けを施した。

このような3Dモデリング / 3Dプリントによるカトリック聖人の復元は、南米では初めてだが、同様の復元はイタリアのパドヴァの聖アントニオ St. Anthony of Padua の先例がある。Moraes 氏によると、アントニオの場合、従来考えられていたより筋骨逞しく、鼻も大きく突き出し、唇も太かったという。聖女ローサの場合、3Dプリントで複顔した結果、生前の彼女は優しい顔立ちに大きな瞳を持った可愛らしい女性であり、「従来、描かれてきた聖人画の顔立ちとは異なっていた」。

今回、3Dプリントされた 2 聖人の胸像は、今月中に一般公開される予定。3Dモデリング / 3Dプリントによる聖人の復顔は、これまでの誤った聖人像を正し、宗教的にも歴史的にもより精確な情報を与えて甦らせることが可能なことを証明する試みだと言えよう。

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2016年7月23日土曜日

レスター大学生がポータブル3Dプリンターを開発

英国発:レスター大学の学生チームはこのほど、バッテリーのみで稼働可能なポータブル3Dプリンターの試作品を開発した。

このポータブル3Dプリンターを開発したのは Nicholas Iland 氏を含む同大学工学部機械工学科 4 年に在籍する学生チーム。バッテリー駆動方式による完全ポータブル仕様の自律型3Dプリンターを目指したという。

この3Dプリンターはファイバーボードの一種 MDF( 中密度繊維板 )のスーツケースに格納され、運搬時は二つ折りになる。電源はリチウムイオン電池のみで、今回は予算の都合上、市販の安価なタイプしか選択できなかったが、大容量タイプを使用すれば長時間稼働も可能。試作段階なので対応可能フィラメントは PLA のみだが、ベースにしたのが ABS / PET / HIPS / ナイロンの各フィラメントに対応した FDM 3Dプリンターなので、いずれは対応フィラメント数を増やしたいとしている。

Wi-Fi などのインターネット接続にも非対応だが、Thingiverse などの一般公開されているライブラリーから .stl 形式ファイルをダウンロードして SD カードにセーブし、この SD カードを3Dプリンターに挿入してオープンソースの Slic3r で G-code を生成すれば付属の LCD 画面で操作してプリントできるという。学生チームはこの試作機でナイフやフォーク、人工歯を製作した。

同大学 上級講師 Alan Stocker 博士は次のように述べている。「学生達には現在の業界基準に準拠する持続可能性を念頭に入れるよう指示した。このため試作機には荷重センサーが取り付けられ、材料の余剰分を抑える工夫を施してある」。

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2016年7月22日金曜日

後処理不要の業務用3Dプリンター「 Rize One 」

米国マサチューセッツ州発:3Dプリンタースタートアップ Rize Inc. は現地時間 7 月 19 日、業務用デスクトップ3Dプリンター「 Rize One 」を発表した。

「 Rize One 」の最大の特徴はバリ取りや研磨といった、仕上げのための後処理を一掃した3Dプリンター。同社によると、特許を取得した新技術、拡張ポリマー沈着( APD )によってこの後処理不要を実現したという。APD は各ボクセルの特性を変えることで、3Dオブジェクトとサポート材とを「切り離しやすく」した。同社 CEO Frank Marangell 氏の言葉を借りれば、「パーツは支えるが、くっつかない」。プラモデルパーツをフレームから取り外すのと同じ要領で簡単に切り離せる仕組みだという。充填剤も研磨も必要としない。このため製品完成までの総工程時間が大幅に短縮され、コストダウンにもつながるとしている。

Marangell 氏は Objet、Stratasys の元取締役。2014 年、同社は Eugene Giller、Leonid Raiz 両氏と共同設立された。現在、ベータテスター向けに限定提供されている「 Rize One 」は、早ければ 9 月下旬にも先行予約受付を開始し、年末にも出荷される計画だ。



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2016年7月19日火曜日

屈折率の異なる電磁波から「見えなくなる」3Dプリント ナノ複合体を開発

英国発:ロンドン大学クイーンメアリーの研究者グループはこのほど、屈折率の異なる電磁波から物体を不可視にするナノ複合体を先端的3Dプリントによって作成する技術を開発したと、学術誌 Scientific Reports 電子版上に発表した。

論文共同著者で同大学電気工学 / コンピューター科学科教授 Yang Hao 氏によると、この新技術は「元となる発想コンセプトは透明マントのような光学特性変換」だとし、光学、ナノアンテナ開発および航空宇宙など幅広い分野での応用が見込めるとしている。

同グループによると、曲線表面に7層のナノ複合体からなるコーティング処理を3Dプリントで行い、異なる屈折率を持つ電磁波の反射 / 散乱を制御することで、電磁気的に「検知不能にする」、つまり見えなくすることが可能になるという。従来の研究手法では、単一の電磁波からの検出を不可能にするに留まっていた。

論文筆頭著者 Luigi La Spada 博士は次のように述べる。「我々は先端的積層造形技術によって、ナノ複合体を使用して表面波伝搬をコントロール可能なことを証明した。今回の成果で最も重要な点は、今回の手法が、波動方程式によって表わされるような他の物理現象、たとえば音響などにも応用可能なことだろう」。

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2016年7月16日土曜日

ロンドン市で3Dプリントフードレストランが開店

英国発:ハイテク スタートアップの Food Inc. は今月 25 - 27 日、ロンドン市中心部において3Dプリントフードレストランを開店する。これは同社が企画する3Dプリントフードレストランの世界ツアーの第1弾。

同社によると料理だけでなく食器やチェア、ランプ、調度品等も全て3Dプリントで製作されているという。

この3Dプリントフードを供するのはスペインのミシュラン1つ星レストラン La Boscana シェフ Joel Castanye、Mateu Blanch 両氏で、レシピは全て3Dプリントフード用に最適化されたオリジナル( ただし、トスサラダなど付け合せは従来通りの調理法 )。3Dプリント食器はポーランド人デザイナー Iwona Lisiecka 氏、3Dプリントテーブル / チェア、ランプは仏人建築家 Arthur Mamou-Mani 氏が設計を担当した。使用する3Dプリンターは蘭スタートアップ byFlow のマルチマテリアル3DプリンターFocus 」。

同社のロンドン市内での 3 日間のイベントでは 10 組限定の特別ディナー( 263.49 GBP、予約はここから )の他、一般客は 26、27 両日に開催される試食イベントで「 Focus 」および3Dグルーペンの体験ができる。ディナーは Castanye、Blanch 両氏が 9 つのオリジナルコース料理を招待客の目の前で実演し、その模様は動画配信される予定。

同社の3Dプリントフードレストランは今後ベルリン、ドバイ、ソウル、テルアビブ、アムステルダム、トロント、ニューヨーク、台北、ラスベガス、サンパウロ、東京、オースティン、シンガポール、ロサンゼルス、ケープタウン、シドニー、レイキャビクの各都市で開催される。



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2016年7月15日金曜日

米研究者チーム、3Dプリンターの脆弱性攻撃により欠陥製品発生の恐れを警告

米国発:ニューヨーク大学タンドン技術工科校の研究者チームはこのほど、市販されている多くの3Dプリンターでサイバーセキュリティ対策の不備により、プリントアウトされる3D製品に欠陥が生じる危険性があることを警告する研究結果を鉱物 / 金属 / 材料協会( 本部ペンシルベニア州ウォーレンデール )機関誌 JOM 電子版に発表した。

発表したのは同大学機械工学課程大学院生 Steven Eric Zeltmann 氏をはじめとする 6 名の研究者チーム。近年、生産現場ではクラウドベースの分散型3Dプリントによるサプライチェーン構築が急拡大しつつあるが、このようなネットワークにつながれた3Dプリンターが攻撃者から脆弱性を突かれた場合、プリントアウトされた3Dオブジェクト内部に何らかの欠陥が仕込まれる恐れがあるとしている。

研究者チームの1人で同大学電気工学 / コンピューター工学科教授 Ramesh Karri 氏は次のように述べる。「このような危険性から重要部品を保護するには、サイバーセキュリティ上の新たな対策とセキュリティツール導入が不可欠だ」。

積層造形技術( AM )は、3D CAD によって設計された3次元モデルファイルを3Dプリンターへ送信し、プリンター側はそれを G-code 生成ソフト( スライサー )で非常に薄い層状に分解したデータを基にプリントヘッドに指示を出し、プラットフォーム上に1層ずつ積み重ねて造形する( 通常の解像度は 25 μm かそれ以下、人間の髪の毛の太さは 100 μm、赤血球の直径は約 7 μm )。同研究者チームによると、プリントヘッド位置によっては強度面で 25 % ほどの違いが生じる可能性があるという。3D CAD データファイルにはプリントヘッドの位置決めに関する指示は含まれておらず、このため攻撃者が密かに設定変更できる余地が残っていると指摘する。

同チームは実験で mm 以下の非常に微小な欠陥を混入したデータを基にプリントアウトした結果、超音波イメージングといった通常の非破壊検査技術では欠陥が検出されなかったという。このため熱、光、湿気に長期間晒されると劣化しやすくなる。

同チームの1人で同大学機械工学科准教授 Nikhil Gupta 氏は次のように述べている。「高温高圧に晒される射出成形用金型といった部材に3Dプリント製品が使用されると、このような欠陥が最終的には何らかの障害として表面化しかねない。これらの欠陥を悪用された場合、リコールや訴訟といった事態に発展する恐れもあり、当該製品ユーザーおよび経済に与える影響は測り知れないだろう」

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2016年7月14日木曜日

Daimler がトラック用樹脂製予備部品を9月以降、3Dプリント化して提供へ

ドイツ・バーデン-ヴュルテンベルク州発:トラック製造の世界最大手 Daimler AG ( DDAIY )は現地時間 7 月 13 日、同社製トラックに使用されるスプリングキャップやダクト、制御部品等の合成樹脂製の純正予備部品をオンデマンド3Dプリント化して提供すると発表した。

それによると同社は 9 月 30 日付で、 Mercedes-Benz トラックに使用される合成樹脂製部品のスペアパーツを現地で3Dプリントして顧客に提供する計画。現在、同社は 10 万点以上の SLS 3Dプリントによる試作製品があり、今後は更に拡張する方針。オンデマンド3Dプリント化の採用で、数十年も前の生産終了車種でもスペアパーツを発注できるとしている。

同社は現在、全世界のサプライチェーン見直しを推進している。オンデマンド3Dプリント化は少数生産部品も低コストで比較的速く提供でき、また現地調達可能なために製造コストと合わせて流通コストも大幅削減できる。余剰在庫を抱えることもないし、環境にも優しい。オンデマンド3Dプリントは従来のトラック用予備部品調達に付き物の、どの部品がどれくらい必要か、といった問題を解決する新方式として同社は期待をかける。

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2016年7月11日月曜日

Ricoh Europe が自社ブランド SLS 3Dプリンターを独企業に初納入へ

ドイツ発:ハンブルク市に本拠を置く AM / レーザー加工の Laser Zentrum Nord( LZN )はこのほど、Ricoh Europe ブランドのハイエンド SLS 3Dプリンター「 RICOH AM S5500P 」の導入を決めた。

LZN によると、同社の AM 製造、研究および生産のさらなる効率化の一環として「 AM S5500P 」導入を決めたという。導入計画では Ricoh 側が LZN 生産設備内に「 AM S5500P 」搬入し、従業員の訓練およびテクニカルサポートを行う。その後 LZN は Ricoh と協力して新素材開発や新たな応用分野開発を進めるとしている。

「 AM S5500P 」は Ricoh が日本の Aspect, Inc. 製産業向けハイエンド SLS 積層造形機の自社ブランド名販売製品。最大造形サイズ 550 x 550 x 500 mm、対応する粉末素材はナイロン 11 / 12、ガラスビーズ含有ナイロン6、ポリプロピレン( PP )など。積層ピッチは 0.08 mm ~ 0.20 mm。照射レーザーは従来とは異なる走査方式を採用し、造形の高速化が実現され、複雑な形状の部品試作でもサポート材なしで造形可能。LZN に納入された「 AM S5500P 」は同社サービス部門 Bionic Production が航空宇宙 / 自動車産業向けの部品製造にも活用する予定だ。

Ricoh Europe はまた、英テルフォードにラピッドファブ施設もオープンさせ、設計、3Dプリント全般のガイダンス、後処理およびコンサルタントと研修サービスを提供する。同社はこの新たな拠点と「 AM S5500P 」の LZN 納入を足掛かりとして、同社ブランドの産業向け AM 製品を欧州市場へ売り込みたい考えだ。

[付記:RICOH AM S5500P 国内向け製品に関してはこちらのページを参照 ]

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2016年7月9日土曜日

ガスタービン試作を大幅に短縮する新方式を Siemens と ILT が共同開発

ドイツ発:Siemens のガスタービン製造部門( ベルリン市 )と Fraunhofer Institute for Laser Technology ( ILT、本部アーヘン市 ) はこのほど、ガスタービン翼製造工程を高速化する新しいレーザーベース技術を開発したと発表した。

この新しい製造技術は選択的レーザー溶融技術( SLM )を使用し、かつモジュラー連続製造プロセスを導入し、タービン翼製造工程で生じていた製造コスト等の問題を解決したとしている。

新製造技術は一般的な3Dプリンターと同様、パウダー状の超合金素材( インコネル 718 等 )を 1 層ずつ溶融 / 積層して製造する。通常タービン翼は精密鋳造工程を何度か繰り返して製造されるために完成まで数か月かかることもあり、コストも非常に高くつく。SLM ベースの新製造技術ならタービン翼試作時間を大幅に短縮できる。

またモジュラー連続製造プロセスは、最高 1500 C° に達する高温ガスを羽根車へ誘導する導翼製造において、複雑な冷却機構を内蔵する翼部分と 2 部分の巨大なプラットフォームとを別個に製造して溶着する。従来の SLM 製造法では必須だった内部サポート材を不要にし、結果的に表面精度も向上したという。

Siemens によるとモジュラー製造方式は SLM と鋳造という異なる工程を連続的に扱えるのでタービン翼製造用途に限らず、複雑な形状の大型部品製造用としても応用できるとしている。

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2016年7月8日金曜日

著名建築家の設計したアテネ市新文化施設の屋根を3Dプリントで再現

英国・ギリシャ発:ARRK Europe Ltd はこのほど、ギリシャの首都アテネで完成したばかりの複合施設 Stavros Niarchos Foundation Cultural Centre( SNFCC )オペラハウスの斬新なデザインの屋根「 Energy Canopy roof 」を忠実に再現した3Dプリント縮尺モデルを製作した。

この縮尺モデルはロンドン市に本拠を置く建築 / 土木設計の Expedition Engineering Ltd の委託によるもの。「 Energy Canopy roof 」はイタリア人世界的建築家 Renzo Piano 氏が設計を担当。年間 2,280 kwh 発電可能な 5,000 枚以上の太陽光発電パネルに覆われた薄い格子状のコンクリート支柱を組み合わせた構造で、内蔵の衝撃吸収装置により地震などの自然災害にも耐えられる設計となっている。屋根の太陽光発電だけで、ほぼ全館の年間消費電力を賄うだけの発電能力があるという。「 Energy Canopy roof 」はその優れた設計により、ギリシャ国内建築物では初めて米 NPO 法人 米国グリーンビルディング協議会( LEED )から最高ランクのプラチナ認証を受けている。

3Dプリントモデルは、まずクライアントの Expedition 側から提供されたスケッチを基に ARRK Europe が最適な出力方法を案出することから始まった。その結果、スケールモデルは 1 m ² 四方、使用する3Dプリントは SLS 方式で、各セクション毎にプリントアウトして組み立てる方法を採用した。

全3D CAD データの検証が済むと、ARRK は試作した屋根の一部を Expedition に提出して評価してもらった。各セクション造形にはガラス充填ナイロンパウダーを使用した。Expedition チームは ARRK の試作品を見てその品質の高さに目を見張ったという。屋根を構成する各層はわずか 0.5 mm ほどで、そこに複雑な格子状構造が再現されている。最後に各部の組立 / クリーニングを経て完成、Expedition に納品した。

現在、この「 Energy Canopy roof 」3Dプリントモデルはロンドン市内の Victoria & Albert 博物館( V & A )で今年後半まで展示されている。

ARRK Europe は日本のアーク株式会社( ARRK CORPORATION )の海外拠点の1つ。

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2016年7月6日水曜日

産業向けハイエンド仕様 FDM 3Dプリンター「 Factory 2.0 Production System 」

ポーランド発:産業用3Dプリンター製造の OMNI3D Sp. z o. o. はこのほど、昨年7月に発表し、自動車製造や航空、家電、オンデマンド3Dプリントサービス業などの顧客を対象に販売してきた大型造形用ハイエンド FDM 3Dプリンター「 Factory 2.0 」を「 Factory 2.0 Production System 」として正式に一般発売を開始した。

「 Factory 2.0 」は最大造形サイズ 500 x 500 x 500 mm、造形室は密閉型 / 加熱式。交換式水冷デュアルヘッド、7 インチ タッチパネルを搭載し、スタンドアローンでの操作が可能。同社によると製造業向けに最適化された同システムを導入した場合、同等の産業用3Dプリンターと比べて操業経費は約 1 / 5 に抑えられるという。プリントソフト( スライサー )は米「 Simplify3D 」を採用。同システム価格については同社への問い合わせが必要だが、約 22,900 EUR だという。

OMNI3D は 2013 年創業の先端製造技術関連のスタートアップ。本社所在地はヴィエルコポルスカ県ポズナン市。

「 Factory 2.0 Production System 」の主な仕様

プリント技術:FDM / FFF 
対応フィラメント:ABS-42、ASA-39、HIPS-20 
造形サイズ:500 x 500 x 500 mm 
層厚:140 - 300 µm 
位置精度:XY 軸 = 7.8 µm、Z 軸 = 0.6  µm 
造形室:アルミ製密閉型 
作業プラットフォーム:ヒートガラス面
造形室最高温度:360 °C 
稼働温度:20 - 35 °C
対応フィラメント:Φ = 1.75 mm;ABS-42、ASA-39、HIPS-20[ 以上純正品、順次追加予定 ]
ヘッド径およびヘッドエンド最高温度:Φ = 0.4 mm、360 °C
プリントソフトウェア:Simplify3D ® 
インターフェイス:SD カード
ディスプレイ:7インチ LCD タッチスクリーン



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2016年7月4日月曜日

Indmatec、PEEK フィラメント使用の業務用ハイエンド3Dプリンターの改良機を発表

ドイツ・バーデン-ヴュルテンベルク州発:ポリエーテルエーテルケトン ( PEEK )を使用した産業向けフィラメント製造の Indmatec GmbH は業務用ハイエンド3Dプリンター「 Indmatec HPP 155 」の改良製品の試作機を、このほど開催された Additive Manufacturing Europe 2016 で初披露した。販売開始時期は 2017 年 1 月頃で、販売価格は 26,000 - 28,000 EUR を予定している。

同社の主力製品 PEEK フィラメントは融点が 343 °C という超高温で高剛性、耐摩耗性能もチタンや鉄より高く化学的に無害なため、生体適合性もあり、医療分野など幅広い応用が可能。新型3Dプリンターはこの PEEK フィラメント専用に開発された製品 HPP シリーズの後継機種で本体デザインをよりスタイリッシュに変更した。またエクストルーダーは交換式になるという。エクストルーダーノズル ホットエンド部の最高温度は 400 °C にまで達する。

新型機の最大造形サイズは先代と同じ( 155 x 155 x 155 mm )だが、同社によると2017 年夏にも大型モデル( 容量約 300 mm ³ )もリリースしたい考え。



2016年7月3日日曜日

伊3Dプリンターベンダーが従来比 10 倍の高速 DLP 3Dプリンターを発表

イタリア・ロンバルディア州発:Sharebot S.r.l. は高速造形を可能にした新型 DLP 3Dプリンター「 Voyager WARP 」を発表した。

「 Voyager WARP 」は 100 mm / h での高速プリントを行う。米 Carbon3D, Inc. の持つ「 CLIP 」テクノロジーには及ばないが、同社研究開発部と SLA 3Dプリンター製造の BlueCat と共同開発した「 WARP 」テクノロジーで各層の露光時間を最適化して削減することにより、プリント時間の大幅な短縮を実現したとしている。このため従来型製品と比べて最大 10 倍の高速化を実現したとしている。

対応樹脂は RW-16 キャスタブルレジンのみだが、プリント製品は金属製品成形の金型として代用できるため、同社は「 Voyager WARP 」を主に宝飾業界向けに売り込む。本体価格については同社への直接問い合わせのみの対応となっている。

同社は「 Voyager WARP 」の他にも SLA、DLP、SLS の各方式の3Dプリンターを手掛けている。



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2016年7月2日土曜日

仏スタートアップがユニークなデルタ型3Dプリンターをリリース

フランス発:3Dプリンター製造スタートアップ Pollen AM はこのほど、最大4種類の異なる素材が使用可能な業務向けデルタ型3DプリンターPam 」をリリースした。

「 Pam 」は従来のフィラメントではなく、ペレット方式を採用。専用シリンダーに装填されたシリコン、金属粒子、繊維、サーモプラスチック等の各ペレット素材をサイズの異なる4基のノズルから同時に押し出して造形するという( 同時混合は2種類まで )。プリント速度は最高 400 mm / sec、最大解像度は 40 μm。最大造形サイズは Φ =30 cm、H = 30 cm と大型製品の試作が可能な仕様で、筐体フレームは落ち着いた木目調の外装。本体サイズは Φ = 712 mm x H = 815 mm ±0.5。

操作はイーサネット / Wi-Fi に接続した Web ブラウザで表示した専用ソフト Honeyprint 経由で行い、自動キャリブレーション機構およびライブエラー検出機構も搭載する。プリント時の最大温度は 350 °C に達し、フレキシブル素材およびゴムライク、透明 / 不透明素材の同時加工に適している。このため同社では、レンズ付きサングラスの試作も1回のプリントで完成するとしている。

「 Pam 」は現在、本体価格 8,000 EUR ~ で先行予約を受け付けている( クイックスタート、VAT および配送料込みの価格は 12,120 EUR )。一般発売開始は 2017 年を予定しているが、同社によると販売価格は先行予約価格の2倍になるという。



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