2014年5月31日土曜日

1クラス上の最安デスクトップ3Dプリンター「MOD-t」

米国発:カリフォルニア州パサディナに本拠を置く3Dプリンター ベンチャー New Matter は、クラウドファンディングサイト Indiegogo 上で資金調達中の最新デスクトップ型3Dプリンター「MOD-t」を 2015年5月にも販売開始する。


同プロジェクトへの出資者募集は 28日から開始されたが、4日足らずで目標額を上回った( 現時点で集まった資金は 42万米ドル以上 )。プリンター本体の販売予定価格は 249米ドル。割引特典付きの「Early Bird Special」版なら最安値の 149ドルで購入可能だが、用意された 500台はすでに完売している。

「MOD-t」は熱融解フィラメント製造( FFF )方式で、フィラメントは直径1.75mm の自然素材由来の PLAを使用。層間解像度は 0.2mm、最大造形サイズは 150x100x125mm 。外形寸法は380x280x365mm で、本体重量は5kg。PC との通信は Wi-Fi および USB 2.0。層間解像度 0.2mmという数値はミドルレンジのコンシューマー向け3Dプリンターとしては決して最良というわけではないものの、販売価格わずか 249ドルのプリンターとしては1クラス上の性能。米国のコンシューマー向け3Dプリンター市場ではこの数年、急速に低価格化が進んでおり、「MOD-t」リリースによってこの傾向に一段と拍車がかかることが予想される。

付属の専用ソフトウェアは Windows 7以上に対応する。Mac OSX、Android および iOS については最初の出荷以降に対応予定とのこと。




2014年5月26日月曜日

ロンドンに新たな3Dプリント専門ショップがオープン

英国発:英国全土で3Dプリンター総合サービスを展開する 3D Generation はこのほど、ロンドンに直営の3Dプリント専門ショップをオープンさせた。

この専門ショップは3Dプリンターベンダー大手 Stratasys の 「Idea」シリーズおよび 3D Systems Inc. の正規代理店も兼ね、メイカーズの幅広い要望に応じる。

「以前、3Dプリントはその作業において専門的知識が必要だったが、現在は様々な業種において便利で手頃なモノ作りの手段になっている」と、3D Generation 代表のTony Harrison 氏。「3Dプリントなら材料のムダを減少させ、設計-生産-出荷工程の高速化も図れ、製品の微調整もしやすい。各顧客に最適なプリンター供給をサポートし、それぞれのニーズに最適化したサービスを提供する」。

ロンドン市内にはこの 3D Generation 直営ショップ以前に、3Dプリンターを専門に販売する店舗がすでに業務を開始している。3Dプリント関連のオンライン小売最大手 iMakr.com の「iMakr Store」がそれで、業績も好調だという。ロンドンの「iMakr Store」成功を受け、同社は米国ニューヨーク市内に同2号店を6月19日にオープンさせる計画だ。

参照元記事

2014年5月25日日曜日

英国のベンチャーラボが世界初の「フルーツ」専用3Dプリンターをリリース

英国ケンブリッジ発:2011年、ケンブリッジに設立された革新的デザインを専門とするデジタルラボ Dovetailed は現地時間の 24日、世界初の食用フルーツ生成専用の3Dプリンターをリリースすると発表した。このフルーツ専用3Dプリンターは Microsoft Research Cambridge と共同開催するハイテクと食に関するハッカソン「Tech Food Hack」にて一般に披露する。

同社によれば、このフルーツ専用プリンターはリンゴや西洋ナシなど、どんなフルーツでもわずか数秒以内で造形可能だという。

このプリンターは、粒状化技術( spherification )と呼ばれる分子ガストロノミー術を応用して人工的にフルーツを作り出している。粒状化技術は水分を小さな球体に変える技術で、その原型となる工程は 1950年代に家庭用品総合メーカー Unilever が開発していたものの、調理法への応用が開始されてからまだ 10年程度しか経過していない。粒状化には大きく二通りの方法があり、Dovetailed がどちらの方法を採用しているかは現時点では明らかではないが、自然果実から採れた液体もしくはピューレに少量のアルギン酸ナトリウムを配合して果実を生成する方法を採用しているものと思われる。プリンターのノズルからはこの粒状の果実がキャビアのように排出される仕組み。

Dovetailed の開発責任者 Gabriel Villar 氏は次のように述べる。「このまったく新しいプリント技術により、既存の自然果実に留まらず、オリジナルのフルーツも作り出すことができる。味、肌触り、形状や大きさもすべてカスタマイズ可能だ」。

とはいえこのフルーツ専用3Dプリンターの使用に際しては、分子ガストロノミーに関する知識などは一切不要。クリエイティヴな料理体験に興味のある一般のグルメおよびプロの料理人をターゲットにしている。このプリンターで生成される果実はすべて自然果実由来のものだ。

24日にケンブリッジ市内で開催される「Tech Food Hack」は食通、ハッカー、デザイナーの小グループが集い、新しい食のあり方を考えるイベント。Dovetailed は共同開催者の Microsoft Research Cambridge と、このフルーツ専用3Dプリンターの共同開発を進めてきた。

参照元記事1.
参照元記事2.

2014年5月24日土曜日

2013年の金属3Dプリンター売上は前年度比 75.8%の増加

米国発:3Dプリント業界アナリスト Wohlers Associates の最新レポートによれば、金属部品を出力する工業向け3Dプリンターの売上が急伸している。

一般に市販されている3Dプリンターで使用される素材の主流は光硬化ポリマーで、次いで熱溶解性樹脂( サーモプラスチック )。金属部品を造形する3Dプリンターは構造が複雑で、大変高価だ。プリンター本体だけで数千~数万ドルはする。

同レポートによれば、2013年度に販売された金属
3Dプリンターは 348台で、198台販売した前年度比で 75.8%の増加。主要購入者は医療、歯科および航空宇宙産業で、主に試作品製作目的だという。

だが、すぐにもこうした金属3Dプリンターが一般家庭にも普及する、と期待するのは早計だ。

Wohlers Associates 代表の Wohlers 氏は次のように指摘する。「同じ3Dプリンターとはいえ、金属造形タイプはまったくの別物。作業温度も高く、家庭用として使うには安全対策上問題がある。サポート材除去も簡単ではなく、帯鋸やグラインダーといった金属加工現場で使われるようなツールが必須で、知識も必要だ。樹脂造形タイプの3Dプリンターでもそれなりに難しさがある以上、一般消費者が金属3Dプリンターでの造形に乗り出すとはとても思えない」。

また、同レポートでは、2013年度の3Dプリント製品および3Dプリント サービスの市場規模は30億7千万米ドルで、前年度比 34.9%の伸び率だという。

Wohlers Associates は積層造形産業において、新製品開発やトレンドに関する技術的・戦略的コンサルティング サービスを提供している。同社発行の年次報告書は、プリンターや付随アプリケーション各種のテクニカル分野に加え、経済的要因および業界各社の株価変動など包括的に網羅した分析を行なっている。

2014年5月19日月曜日

オリジナル化粧品が手軽に作成できる3Dプリンター「Mink」

米国発:動画投稿サイトで最良のメイクアップを指南するカリスマ美女たち。ひじょうに近いうちに、彼女たちと3Dプリンティングの利便性が衝突する日が来るかもしれない。

先週、ニューヨーク市内で開催されたイベントで、Mink, Inc の創業者 Grace Choi 氏はインターネット上などの画像からオリジナルの配色のメイクアップを作成できる小型3Dプリンター「Mink」のプレゼンテーションを行った。


「Mink」の仕組みは至って単純で、写真やネット上の画像ファイルから好みの色をカラーピッカーで取り出し、取得した16進数のカラーコードを Photoshop などの画像編集ソフトに貼り付け、「プリント」を押すだけ。あとは「Mink」プリンターが顔料として出力してくれる。顔料は一般に市販されている化粧品の原料と同様、米国食品医薬品局( FDA )の認証を受けている。


Choi 氏はかねてから既存のメイクアップ製品の色に不満を持っていた。そこで思いついたのが、自分でオリジナルのコスメ商品を作れないか、ということだった。「Mink」開発を思い立ったのは、同氏がまだハーヴァード大学在学中のことだった。


友人お気に入りのアイシャドウの色をこっそりいただくことも面白みがあるが、それ以上に興味をそそられるのは、300 米ドル( 現時点ではまだプロトタイプのため、予定価格 )の小型プリンターが、総額 550億ドルも稼ぐ一大産業に果敢に挑戦する図式のほうだ( 動画は、「Mink」のプレゼンを行う Choi 氏 )。




参照元記事

2014年5月18日日曜日

Autodesk が3Dプリント版「Android」プラットフォーム、「Spark」を発表

3D モデリング ソフトウェア最大手 Autodesk は14日、クロスプラットフォームで動作するオープンフレームワーク「Spark」と、独自開発した新型3Dプリンターを今年後半にも発売すると発表した。

Autodesk によれば、「Spark」プラットフォームはハードウェアベンダーおよびサードパーティー向けにライセンス供与される。新開発の3Dプリンターも公開し、メーカー問わず弦沿い市販されている様々な素材使用が可能だという。同社は3Dプリンターベンダー各社に対し、市販の3Dプリンターおよび今後発売されるプリンターへの「Spark」統合に向けた調整に入るという。

一方、同社が新開発する3Dプリンターの販売価格は未定だが、The Wall Street Journal によると 5,000 米ドルほどになるという。主としてプロユースを想定した企業向けで、市販製品に一般的な熱溶解積層法( FDM )ではなく、光造形法( ステレオリソグラフィー、SLA )を採用する。

Autodesk CEO の Carl Bass 氏は公式ブログへの投稿で、「新開発の3Dプリンターは現在市販されている幅広い素材の利用が可能で、あらゆる新素材の開拓も期待する」と述べている。

調査会社 Gartner によると、今後「Spark」プラットフォームによって、3Dモデリングソフトやハードウェア、素材の互換性が向上すると分析している。「Autodesk は同社の Spark を Google の Android と類似のプラットフォームだとしている。どちらのプラットフォームも、多様なベンダーが市場やユーザーの要求に見合うツールを構築する共通基盤として設計されている」と、Gartner のアナリスト Pete Basiliere らは指摘している。

今回の Autodesk の発表は、3Dプリント業界において進行中のオープンソース プロジェクトのの流れを汲むものだ。たとえば RepRap は、誰でも複製が製造可能な3Dプリンターのキット化に焦点を当てたオープンソース プロジェクトだ。

これを機にデスクトップ型3Dプリンターが一気に普及すれば、Autodesk のモデリングソフトの売上も伸びるだろう。

参照元記事1.
参照元記事2
参照元記事3

2014年5月17日土曜日

人工骨インプラントも3Dプリントでカスタムメイド

英国発:サウサンプトン大学病院の外科医チームはこのほど、37年前の交通事故以来、股関節不調に苦しめられてきた女性に3Dプリンターで製作されたチタン製人工骨インプラント手術に成功したと発表した。

この女性はハンプシャー州在住の Meryl Richards さん。1977年の事故以来、ずっと股関節の不調に悩まされ続け、今回の手術を受けるまでに6回も外科手術を繰り返してきたという。執刀医チームは Richards さん自身の骨盤の CATスキャン( X線体軸断層撮影 )データを基にインプラントを設計し、ベルギーの医療用インプラントメーカー Mobelife に3Dプリントを依頼して製作。同時に、患者本人の骨髄から採取した細胞をインプラントと骨盤の隙間を埋めるように移植し、術後のインプラント周辺の新しい骨の生成を促進し、周囲の骨と完全に融合するようにして、今後の外科手術も不要にするための処置も取った。

「医療技術の進歩はすばらしい。これを最後の手術にしたい」と、Richards さん。「このような最先端の手術を受けられて興奮している。この手術はきっと私に恩恵を与えてくれると思う」。

同病院整形外科顧問医で執刀医の Douglas Dunlop 氏は、次のように述べている。「今回の手術が患者さんに与えるメリットは挙げれば切りがない。インプラントとして使用したチタンは他のどの素材に比べて極めて耐久性が高く、また患者さんの身体のサイズにジャストフィットするように3Dプリンターで製作可能であり、過去にもこのようなカスタムメイド型インプラント術に使用されている」。

また、サウサンプトン大学教授 Richard Oreffo 氏も、次のように述べている。「CAT スキャンデータに基づくチタン製人工骨インプラントの3Dプリントと、患者本人から採取した幹細胞から作った移植片を組み合わせたこのような手術は、患者にとっても好ましい結果をもたらすだろう」。

3Dプリント技術を援用した外科手術には、人工顎骨や人工骨盤などいくつか先例がある。腰の骨に関しては今年2月、Mobelife が、15歳のスウェーデン人少女のために3Dプリント製のインプラントを製作、退院後に再び歩けるようになった成功例がある。


参照元記事

2014年5月13日火曜日

Shapeways が3Dプリント活用の貴金属造形品に金も追加

米国発:オンライン3Dプリントサービスで取り扱い可能な素材は銀、真鍮、青銅、鉄など、今ではその点数も多くなっている。3Dプリントサービス大手の Shapeways はこのほど、14カラットの金もそのラインアップに追加することを決めた。これで宝飾デザイナーやメイカーたちは、古代から宝飾品として使用されてきたこの貴金属についても、従来の手法ではできなかった複雑な幾何学デザインの造形を施すことが可能となる。

Shapeways の方式は変則的で、まず3Dプリントした蝋で製品モデルを作る。蝋のモデルを容器に入れ、そこに液体プラスターを流し込む。プラスターが固まったのちに炉で熱して蝋を溶かし、残った空洞に金を流し込み、冷え固まったところで外側のプラスター層を壊して取り出す。それを入念に研磨して完成品になる。

一方、マサチューセッツ州サマーヴィルに本拠を置く貴金属製品デザイン会社 Nervous System は「Kinematics」を発表している。こちらは 18カラットの金を複雑な形状に造形、互いに連結し合うインターロックタイプの宝飾品だ。個々の部品は固い金でできているが、全体としては一枚のなめらかな布地のように動く。3Dプリンティング コンサルタントの A3DM 3Dプリンティング会社 Cooksongold と共同開発した。Kinematics」製品はダイレクト金属レーザー焼結方式( DMLS )の3Dプリンター「Precious M 080 Laser Sintering Machine 」で造形される。Nervous System は目下、この DMLS を使用した「Kinematics」の特別製品を開発中とのこと。

ただし、これら金素材の3Dプリント宝飾製品の価格は決して安くはない。 Shapeways の場合、25mm( 1インチ)四方の造形品で 1,000米ドル。

参照元記事

2014年5月12日月曜日

食糧問題もこれで回避?! 昆虫+3Dプリンター

ロンドン発:ロンドン サウスバンク大学の研究者 Susana Soares 氏らのチームは、環境に優しい高タンパク食品としての「昆虫」と3Dプリンターとを組み合わせて、世界的な食糧問題に対処するプロジェクトを進めている。

「環境への負荷という観点から見ると、昆虫食はまさに理想的」と、Soares 氏。「現時点では最も持続可能性のある高タンパク食品だ」。

同氏のチームが取り組んでいるのは、粉末状にした昆虫をクリームチーズと混ぜ合わせ、ペースト状にした後、食品用3Dプリンターに投入して様々な素材に加工する研究。

昆虫は栄養の宝庫だ。たとえばコオロギを4匹摂取するだけで、大きなグラス一杯分の牛乳と同等のカルシウムが得られる。フンコロガシ1匹にはステーキ1枚分よりも多くの鉄分が含まれているという。

「フォンダンペーストにコナムシの粉末を混ぜ、3Dプリンターで加工するという研究もしています。コナムシの幼虫だけで摂取必要量のタンパク質の 40-50%も得られるのです」と、共同研究者の食品科学者 Kenneth Spears 氏。「3Dプリンター業界は、いずれ電子レンジの隣りに食品用3Dプリンターが各家庭に1台常備されると見込んでいる。そこに『昆虫』メニューが追加されない理由などありません」。
国連食糧農業機関( FAO )は、世界人口は 2050年までに 90億人を突破すると予測している。これだけの人々を養うためには、世界全体の食糧生産を 70%まで引き揚げ、途上国での食糧生産を倍増することが必要としている。

参照元記事

2014年5月10日土曜日

非常時に役に立つか? 世界初の「空飛ぶ」3Dプリンター

ロンドン発:インペリアル・カレッジ・ロンドンの航空ロボット工学研究所長 Mirko Kovac 博士を中心とする研究チームはこのほど、空中を浮揚しながら危険物質に向かって粘着性物体を「3Dプリントアウト」する自律型ドローンの試作機を製作、9-10日にかけて開催される「インペリアル フェスティヴァル」会場で実機展示を行う。

同博士らによれば、この技術はたとえば核廃棄物など、人が近寄れない危険な作業を肩代わりさせることなどに応用可能だという。

雑誌 New Scientist サイト上に公開された動画によれば、ドローンは2機あり、まずローター4本のクァドコプター型ドローンが小型ブロック上に泡状の粘着性物体をプリントアウトしてその場を離れる。次にローター6本のヘクサコプター型ドローンがブロック上に飛来して、先ほどのクァドコプターが吹きつけた物体ごと機体に固定して運び去る。研究チームによれば2機のドローンは GPS によって自動操縦され、粘着性の泡状物体の成分はポリウレタンだという。

この自律型ドローンの発想源となったのが、アナツバメだ。Kovac 博士らは、巣材を唾液で固めて巣作りするアナツバメのこの習性に着目した。

だが、シェフィールド大学人工知能ロボット工学名誉教授 Noel Sharkey 氏は、Kovac博士らのこのドローンについて、搭載された機能が果たして3Dプリンターと言えるのかどうかは疑問だとしながらも、将来の可能性については高く買っているという。「3Dプリンティングとはとても言えないが、3Dプリンティング技術の構成要素は使われている。彼らの発想の真に革新的なところは、損壊した橋の修理などを ’空中’ で、自動化された無人作業によって行わせる点にある」。

なおこの「自律型ドローン」タイプの3Dプリンターについては、昨年6月、米国パサディナに本拠を置く3Dプリンターショップ Deezmaker と航空写真会社 Velocity Pigeon が共同で初歩的ながら同様のドローン型3Dプリンターを試作済みで、彼らは自分たちのプリンターが「世界初」だと主張している。

参照元記事

2014年5月6日火曜日

カナダの元大学生が作った家庭用3Dプリンター「DittoPro」

カナダ・バンクーバー発スタートアップ Tinkerine.com は5日、バンクーバーの西6番街の本社オフィスで、家庭向け普及価格帯3Dプリンターの新製品「DittoPro」を披露した。

同社設立者 Eugene Suyu 氏は、サイモン・フレイザー大学 情報伝達芸術技術学部 インタラクティヴアート / インタラクティヴ技術学科の卒業生。在学中に同学科にあった1台の3Dプリンターに魅了されたのがそもそもの始まりだったという。

だが、大学にあったプリンターは非常に高価な製品だったので、「自分で作ることにした」。

同氏は「DittoPro」で、3Dプリンターをメインストリーム市場に浸透させたい考え。3Dプリンターのようなツールに関しては、家の中よりガレージにでも置いたほうがお似合いだ、という反応が返ってくる。そんな無骨なイメージを変えたい。とにかく洗練されたデザインの、オフィスや家庭に置いてぴったりフィットする、そういう3Dプリンターを作りたかった」。

このようなホームユース向け3Dプリンターを製造しているのは、なにも Suyu 氏1人に限らない。100ドルで買える3Dプリンター「Peachy Printerを製造するサスカッチュワン州の Rylan Grayston 氏は Kickstarter 上で、すでに 65万5,000カナダドルを上回る資金を調達している先例もある。

Suyu 氏の恩師で、サリーキャンパスで工業デザインを教える Ken Zupan 講師にとっても当然の帰結だろうという。同大学は2007年、バンクーバーで最も早く3Dプリンターを導入した機関に数えられ、当時最新鋭の3万カナダドルのプリンターを所有している。Suyu 氏は、そのプリンターが示した可能性に魅せられた。

米国航空宇宙局( NASA )は、宇宙飛行士が予備部品を作れるように3Dプリンターを宇宙へと運ぶことまで計画しているとはいえ、カナダ国内の家電量販店で PCに隣接した棚に3Dプリンターの現物を展示しているような店はまだない。

「DittoPro」の販売価格は 1,999カナダドルで、今月下旬以降の出荷を予定している。

参照元記事

2014年5月5日月曜日

イリノイの高校生が3Dプリント義手を少女に提供

イリノイ州ロックフォード発:イリノイ州ロスコーに住む Kylie Wicker ちゃん(9歳)は、左手の指が欠損した状態で生まれた。

「ふだんはとても前向きだが、最近は落ち込む時もあり、こちらも辛くなる」と、彼女の父親 Jeromy Wicker 氏。従来の筋電タイプの義手は最低でも2万ドル以上はかかり、保険が適用されるのも1度限りのため、彼女の両親は Kylie ちゃんの成長が止まるのを待ってから、本格的な義手装着を考えていた。
だが今年初め、Jeromy 氏は偶然発見した「もうひとつの選択肢」に驚愕した。娘のような他の子供たちはどうしているのかと思ってインターネットで調べると、「義手を3Dプリンターで製作する」話で溢れていた。それは南アフリカの大工が開始したプロジェクト「Robohand」だった。
さっそく Jeromy 氏は娘のために義手を3Dプリントしてくれそうな人と、プリンター探しを始める。その結果、Jeromy 氏は地元のボイラン・カトリック・ハイスクール( Boylan Catholic High School )に Makerbot Replicator があることを突き止めた。彼は同高校にメールで問い合わせ、手頃な価格の義手製作を依頼した。同校の3Dプリンターは、昨年、寄贈されたものだった。

「生徒にこの少女のことを話したら、即座に『ぜひやろう!』って。クラス全員が夢中になった」と、同校で機械製図を教える Bud May 氏は振り返る。
May 氏と彼の生徒 10人は先月末、Wicker 家を訪問し、Kylie ちゃんの左手首を採寸した。ネット上の Robohand コミュニティの説明も参考にして、生徒たちは Replicator で樹脂製の人工指を造形した。完成した義手は、2日に同校で贈呈する。
「こんなに早くできるなんて信じられない」。Kylie ちゃんは今、高校生たちが製作した義手ではじめてできるようになる、私達から見れば極めて簡単な事を考えて興奮を隠せない。「ボールをつかんだり、ジャングルジムに登りたい。自転車にも乗れるわ」。
「製作費用の総額は5ドルもかからない。材料の樹脂が1ドルくらい、留め具が2ドルほど。」と May 氏。この自家製義手は、内部に伸縮性ワイヤが張られて指を伸ばしているが、手首を曲げると指を引っ張り曲げる仕組み。
 製作費用は安上がりだが、その効果は絶大だ。「この義手をもらった娘が今、できることがたくさん頭に浮かぶ」と母親の Sharon 氏。「生徒たちが作ってくれた新しい義手のおかげで、これからは難なくこなせることになるでしょう」。



(「Robohand」関連既報記事1.、. )

2014年5月3日土曜日

「世界最小」の3Dグルーペン「LIX」

英国発:昨年発売された3Dグルーペンの「3Doodler」につづき、「空中で3D落書き」可能な新型ペンのプロトタイプが現在、クラウドファンディングサイト Kickstarter 上で資金提供者を募っている。この製品最大の特徴は、そのスリムさにある。
「LIX」は、英国ロンドンに拠点を置く LIX 3D が開発した3Dグルーペンで、本体が「3Doodler」に比べて格段に細く、また「3Doodler」がAC電源を必要とするのに対し、こちらはノートPC の USBポートに接続するだけで駆動可能。同開発チームによれば、3Dグルーペンとしては「世界最小」、「どこでも持ち運び可能なマイクロ3Dプリンター」だという。
ペン本体は陽極酸化アルミ製で、全長 16.4cm、最厚部の直径は 1.4cm、重量も 40グラムと一般的な筆記ペンのような感覚で使える。使用素材は一般的な ABS と PLA で1本当たりの使用可能時間は5分、色も選べる。開発チームによれば、最も苦心した点はいかに小型化するか、という事だったという。
使い方も至って簡単で、ノートPC の USBポートにコネクタを差し込み、ペンの最後尾にフィラメントを挿入する。1分以内にノズルのウォームアップが終われば、すぐに使用できる。通常の3Dプリンターと違って、専用ソフトウェア等も一切不要だ。ノズル近くにあるボタンで「インク」の出方を調節する。
同開発チームによれば、Kickstarter キャンペーンでは当初の目標額3万GBP( 約 520万円 )をわずか2時間で突破したという。5月2日時点、集まった資金総額は目標額の 16倍以上の 47万6,000 GBP以上にもなる。同プロジェクトの出資者( バッカー )の1人には弁護士も含まれ、この3Dペンを使えば、たとえば「医療事故を審議する法廷で、過失により失われた身体部分を何枚もの紙にスケッチして理解してもらうよう奮闘しなくても、3次元イメージとしてその場で簡単に作成できる」ことも可能になる。
「LIX」開発チームは7月にベータテストを行い、9月ごろに Kickstarter 出資者を対象とした最初の出荷を予定している。