2018年12月22日土曜日

日本人数学者が3Dプリントで世界最小を「不可能立体」作成

日本 / スイス発:錯視研究の第一人者として世界的に知られる日本人数学者がこのほど、ナノ3Dプリント技術を使用して赤血球サイズの「不可能立体」の作成に成功した。これは不可能立体の世界最小の作成例だという。

極小サイズの不可能立体を作成したのは明治大学教授の杉原厚吉氏。同氏はスイスのナノテクノロジー3Dプリンターベンダー Cytosurge AG の持つナノ3Dプリント技術「 FluidFM® 」によって作成した。「 FluidFM® 」の母体となる技術はチューリヒ工科大学で開発されたもの。φ= 300 nm の極小ピペット口を電荷のかかったプリント基盤上の直上にセットし、電着することでナノサイズの3Dプリントを行うというもので、原理的には一般的な電着塗装と同じ。これを任意の地点で繰り返して立方体を形成する。

公表された動画クリップでは、方形状の極小3Dプリントオブジェクトが円柱状に変化するプロセスが映し出されている。Cytosurge によるとこの不可能立体は直径が各 0.1 mm x 0.03 mm x 0.01 mm の円形をプリントアウトしたもので、形状変化を観察するには高解像度の電子顕微鏡が必要だ。




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2018年12月16日日曜日

米研究者グループが「針なし血糖値測定器」を可能にする3Dプリントバイオセンサーを開発中

米国ワシントン州発:ワシントン州立大学の研究者グループは現在、3Dプリントで作成したバイオセンサーによる血糖モニタリング技術の開発を進めている。

3Dプリントバイオセンサーの開発に当たるのは、Yuehe Lin 氏らの研究者グループ。開発のきっかけは、現行の血糖モニタリングの方法がひじょうに限られている、ということに気づいたからだった。

同グループが開発中の新技術では、血糖値測定のさいに指に針を刺す必要がない、というのが大きな特徴だ。同グループによれば、ダイレクトインクライティング(DIW)方式を採用することで「針なし検査」が実現できるという。DIW は高精度センサー製造に不可欠の工程で、血糖が発する微小シグナルを捉えることができ、さらには最小限の素材のみ使用する3Dプリント方式は製造コストが安価で済む利点がある。

現在、同グループでは長期間の血糖モニタリング向け高精度センサーの製造を目指しており、実現すれば将来的にはウェアラブル血糖値測定器のようなデバイスとしての実用化も視野に入れる。同グループの研究報告は専門誌 Analytica Chimica Acta 電子版上に発表された。

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2018年12月5日水曜日

ディープラーニングと3Dプリントを組み合わせた高忠実度の絵画複製技術を開発

米国マサチューセッツ州発:MITコンピュータ科学 / 人工知能研究所(MIT CSAIL)の研究者グループはこのほど、ディープラーニング技術と3Dプリント技術をベースにした油彩画などの絵画作品を高忠実に再現可能な新しい複製技術「 RePaint 」を開発したと発表した。

同グループによると、「 RePaint 」は人工知能(AI)と3Dプリント技術をベースにした「カラーコントーニング」という特殊な技術を利用し、10 通りの異なる透明度のインクを「キットカット」のような極薄レイヤー状に積層する。このカラーコントーニングと、伝統的なハーフトーン[網点]技術とを組み合わせ、原画の絵肌といったニュアンスまで捉えることができるという。油彩画複数を現時点での最新技術による複製品と比べた結果、作品ごとの色の階調再現性に関して、「 RePaint 」は 4 倍以上の再現性能を発揮したとしている。

ただし現段階では、複製可能なサイズは名刺判まで。これはプリント工程に時間がかかり過ぎるためだ。同グループは、将来的には市販のハイエンド3Dプリンターに組み込むことでさらに大きな判型を効率的に制作できるようになるだろうと期待し、家庭鑑賞用の複製画制作をはじめ、原画の経年劣化からの保全、名画ポストカード制作などを想定用途として挙げている。「 RePaint 」開発の一部は、米国立科学財団の支援を受けている。

「 RePaint 」は 12 月 4-7日、東京国際フォーラムで開催される CG およびインタラクティブ技術に関する国際カンファレンス / 展示会「 ACM SIGGRAPH ASIA TOKYO 」に出品される。




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