2022年8月24日水曜日

米大学が世界で初めてアイス3Dプリントに成功

米国発:カーネギーメロン大学(ペンシルベニア州)の工学研究者グループはこのほど、氷が作り出す樹状微細構造を3Dプリントで再現することに世界で初めて成功したと発表した。従来の3Dプリント素材にはサーモプラスチックや金属などがあるが、水を素材として用いる今回のようなケースは極めて珍しい。
同グループによると、-35℃に冷却した造形プラットフォームに水を滴下して急速冷凍させて造形する。試行錯誤の結果、最適なプリント軌道とノズル移動を割り出し、繰り返し再現可能な樹状パターンのプリントに成功したという。試作品としてツリー、プロペラ、タコなどのマイクロオブジェクトを作成した。
このアイス3Dプリントは、より複雑な最終部品向けの犠牲テンプレートとして考案された。同グループは、これを ❝インサイドアウト❞ プリンティングまたはリバースモールディングと呼んでいる。具体的には、まず3Dプリント構造体の作成後、レジンなどの3Dプリント素材を冷却した液体やゲルに浸す。固まったら、素材内部の氷を溶かすか蒸発させれば、簡単に部品から除去できる。アイス3Dプリント方式の利点は成形後のテンプレート除去が容易であり、内部構造の表面は滑らかに仕上がり、精度も高い。
今回開発されたアイス3Dプリント技術は生体工学、高度製造システム、およびアートなどの分野での実用化が見込まれている。