2015年3月31日火曜日

3Dプリントと RFID タグでオリジナルソファを簡単発注

英国発:ロンドン市に本拠を置く創業 150 年の老舗百貨店 John Lewis のオックスフォードストリート店では、顧客が簡単操作でオリジナルソファが発注可能な「 Sofa Studio 」を、今月中にオープンさせる。

これは同社独自の起業家育成プログラム「 JLab 」から生まれたアイディア。「 Sofa Studio 」では3Dプリント ソファサンプルと色見本とを組み合わせ、双方に無線 IC 識別( RFID )タグを埋め込んでいる。顧客が好みのデザインのソファサンプルと色見本を選び、それをテーブルの読み取りサークル内に置くと、それぞれの RFID タグ内に埋め込まれた情報が目の前のディスプレイ上に表示され、顧客はそれを自由に動かして選べる仕組みとなっている。

同社イノベーション部長 John Vary 氏は次のように述べている。「ただの画像だけでは寸法など、実際の製品感覚が分からない。そしてサンプルを実際に手に取って動かせるので、煩雑な画面上の操作とも無縁だ」。

同氏は、この「 Sofa Studio 」は 12 週間ほどで完成し、読み取り装置製作には3Dプリンターの他、レーザーカッターも使用したと述べている。また同氏によれば、さらに 12 週間かけて、約 65,000 のソファサンプル等の製作に両機器を活用したという。

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2015年3月30日月曜日

AM 生産システム導入で生産準備時間も大幅改善! 

フランス発:Stratasys はこのほど、同社の産業向け積層造型( AM )プロダクションシステム「 Fortus 3D Production System 」の採用により、生産準備時間が大幅に短縮された成功例として、リヨンにある Volvo Trucks のエンジン生産拠点での導入事例を公表した。

それによると、仏国内の Stratasys 製品再販業者から「 Fortus 3D 」テクノロジーを導入した Volvo Trucks リヨン工場では、製品生産開始までにかかる準備時間が導入前と比べて 94 % のカットになったという。

Volvo Trucks 生産部長 Pierre Jenny 氏によれば、Stratasys の同システム導入前まで製品生産準備に 36 日ほどかかっていたのが、導入後はわずか2日になったという。そのため稼働効率が目に見えて向上したとし、同時に廃棄物の総量減少により、その分のコストも削減できたとしている。

また同氏は、高度なカスタマイズを必要とするツールもしくは少量のみの試作といった場合も、従来方式では 100 EUR /cm³ かかっていた製作経費が、100 分の1の1EUR /cm³ しかかからなくなったと試算し、財務面でも好結果をもたらしていることを裏付けている。「Stratasys の3Dプリントシステム導入は、我々の働き方を劇的に変えてくれた。最適な生産設備をこれだけの短時間で用意できる3Dプリントの性能はかつてなかったこと。これでさらに実験的、独創的な設備が実現可能になり、結果として生産効率も向上する」。

導入3か月で、同工場では既に 30 以上の多様な生産設備を製作した。それには軽量クランプ、ジグ、支持装置、特別設計の用具ホルダーなどが含まれている。

Stratasys EMEA 統括部長兼シニアバイスプレジデント Andy Middleton 氏は次のように述べている。「Volvo Trucks リヨン工場の導入事例が示すように、当社産業用 AM 生産システムを作業ツールや保持ツール製作に活用することは、生産工程を確実に効率化させる解決策だ。多くの場合で、従来方式に付き物だったコストや設計上の制約に縛られることのない、唯一現実的なソリューションとなる」。

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2015年3月29日日曜日

「メタボ」なヒョウモンガメに3Dプリントの甲羅を

米国コロラド州発:コロラド技術大学の学生はメスのヒョウモンガメの甲羅に生じた問題を解決するために、3Dプリントの力を借りた。

このヒョウモンガメ「クレオパトラ」がゴールデン市のキャニオンクリッターズ爬虫類レスキューに持ち込まれたのは、数年前のこと。「彼女」が抱えている甲羅の問題とは、タンパク質の多い食べ物を摂取したことに起因する甲羅の異常な隆起( ピラミッド化 )。言い方を変えれば、カメ属のメタボリックシンドロームだ。

栄養面については、同レスキューに来てからは改善されているとはいえ、このまま放置すれば、仲間との接触時に甲羅が傷つき、感染症に罹患する危険性が高まる他、転倒時に自分で起き上がることもできない。

そんな時、同レスキュー所長 Nicola Novelli 氏が、救出された爬虫類についての公開レクチャーを開いた時、たまたまその場に居合わせたコロラド技術大学の関係者が手を挙げ、同大学で設計を学ぶ Roger Henry 氏が「人工甲羅」の製作に当たった。

Henry 氏は3D CAD 作成及び、「 MakerBot Replicator 2 」での縮小版モデル試作に約 600 時間を費やし、クレオパトラにぴったりフィットする「人工甲羅」型の3Dデータを作成した。同氏はそれをデンバー市のショップ 3D Printing Store に持ち込み、同ショップ側が3Dプリンター等を提供してこの「人工甲羅」が完成した。

新しい「甲羅」はクレオパトラに面ファスナーで固定されたが、軽量なため、彼女は存在自体に気づかない様子だ。これで彼女は安心して仲間と共存できるようになった。

クレオパトラは人間で言えばまだ 10 代の若い娘だ。ヒョウモンガメは 80 年は生きると言われ、彼女は今後、現在の2倍から3倍の大きさにまで成長すると見込まれている。そのため、数回はこの「甲羅」を交換することになるだろう。

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2015年3月27日金曜日

「 CLIP 」よりもさらに高速? な新型 DLP 3Dプリンター「 GizMate 」等3機種

オーストラリア発:先週の  Carbon3D, Inc に引き続き、SLA( 厳密には DLP、Direct Light Processing )方式3Dプリント技術に一大飛躍をもたらす起爆剤となりうる新技術が開発された。

開発した Gizmo 3D Printers によれば、原理は Carbon 3D の採用する「 CLIP 」テクノロジーとほぼ同じく、光硬化樹脂に光を連続的に照射させてシームレスに造形するが、「 CLIP 」は光源が光硬化樹脂浴槽の底面から照射される「ボトムアップ」型であるのに対し、こちらは樹脂浴槽の上面から照射する「トップダウン」式。ボトムアップ式や FDM 型3Dプリンターと比べてシンプルな構造になり、その分不具合も起こりにくく交換部品点数も少なくなり、また Carbon 3D の開発した「 CLIP 」よりもさらに高速な造形が可能になったという。使用する樹脂を 22°C まで加熱することで、より滑らかなフローと高精度を実現し、異なる色の樹脂を使い分けられるマルチカラーバット仕様になるとしている。

同社を設立した Kobus du Toit 氏は次のように述べている。「トップダウン式は、ボトムアップ式のような樹脂の吸い付きトラブルがないため、より大型のオブジェクトの出力ができる。Form 1 のように、1層ずつレーザーで3Dオブジェクトを形成する SLA 方式では小型オブジェクトの場合はそれでよいが、一度に多くの3Dオブジェクトの製作には不向きだ。B9 Creator や Kudo 3D の Titan 1 といった既存の DLP 3Dプリンターはいずれもボトムアップ式であり、Carbon 3D では最下層に酸素透過膜( デッドゾーン )を作って吸い付き問題の解決を試みている。トップダウン式なら、そのようなトラブルを気にせず大型3Dオブジェクトがプリント可能になる」。同氏は、 150 mm x 80 mm x 26 mm までの3Dオブジェクトを、Z軸方向解像度 50µm で約6分でプリントアウトできるとしている。

また同氏によれば、製作請負先との調整がうまく行き次第、Kickstarter 上で資金調達を9月以降、開始する計画とのこと。計画では、「 GiziMate( 400mmx 200mm x 200 mm) 」、「 GiziPro( 400mm x 200mm x 350mm )」、「 GiziMax( 400mm x 200mm x 850mm )」の計3サイズの機種を用意する。機種ごとの出資金額は、「 GiziMate 」と「 GiziPro 」スタンダード仕様が 2,500 ドル、「 GiziMax 」が 6,000 ドルで、Carbon 3D にはない「企業秘密の超高速プリントを可能にする」アドオン搭載を希望する向きには、さらに 2,500 ドルを追加すればその機能も込みの仕様として出荷するとしている。



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2015年3月23日月曜日

6歳の少年に3Dプリント義手を贈るコンペが開催

カナダ・オタワ発:現地時間3月 20 日、6歳の少年は憧れの「アイアンマン」になった。

オタワ市に住む Sebastian Chavarria 君は、左手が形成不全のまま誕生し、その後も呼吸困難などの問題に悩まされ、2年前には気管切開術も受けた。両親は、世界的な3Dプリント義肢提供オンライン ネットワーク Enabling the Future を介して既に3Dプリント義手を愛息のために無償提供されていたが、Sebastian 君が成長するにつれ、それは合わなくなった。Sebastian 君は、双子のきょうだい Nicolas 君ができる事を自分もできるようになりたいと願ってきた。

そこで母親の Lety Chavarria さんは、オタワ大学で機械工学を教える Hanan Anis 氏に相談した。Anis 氏は昨年 11 月から学生を対象にコンペを開催し、Sebastian 君にぴったりな3Dプリント義手のデザインを募ることにした。

このコンペは盛況で、73 名の学生が「作品」を出品した。20 日、Sebastian 君が上位3作品から選んだのが、同大学2年に在籍して機械工学を専攻する Robert Rayson、Shannon Lee の2名が製作した、アイアンマン ライクな3Dプリント義手だった。学生チームによれば、この3Dプリント義手の製作費は「 100 ドルもかかっていない」が、完成まで 100 時間以上かかり、直前まで調整に追われたという。また、今回の3Dプリント義手は、設計段階から全て自分たちで行ったという。

同大学には Makerspace が新設されたばかりで、3Dプリンターを始めとする最先端テクノロジー機器が揃い、誰でも自由に各自の作りたい物を設計製作できるようになっている。

晴れて Sebastian 君に選ばれた Shannon Lee、Robert Rayson 両氏は賞金として 1,000 CAD を獲得した。

Lety Chavarria さんは次のように感謝している。「他の子供がするような簡単な事ができるようになったわ。2本の手があるということをすごく嬉しがって、誰にでも義手を見せたがって仕方ないの」。

Robert Rayson 氏は次のように語った。「従来製法の義手は、子供の成長に合わせて2年ごとに1万ドルも払わなければならない。だが3Dプリント義手なら、1年当たり 20 ドルほどの出費で済む。成長に合わせて細かな変更やデザインの改善を行えばよいから、一生涯、対応できる」。




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2015年3月22日日曜日

Formlabs が中国に続き欧州市場にも本格進出

米国マサチューセッツ州発:サマーヴィルに本拠を置く Formlabs Inc. は現地時間3月 10 日に西安市に本拠を置くハイテク家電販売の  Xi’an Elite Robotics Co. Ltd. と戦略的提携を結んで中国国内市場への本格参入を表明したばかりだが、今度はベルリンに欧州第1号事務所を開設すると共に、独3Dプリント関連商品小売の iGo3D と代理店契約を締結したと発表した。

iGo3D との提携により、Formlabs は主力の低価格 SLA 3Dプリンター「 Form 1+ 」と関連製品の欧州市場への本格展開を開始する。

同社ベルリン事務所は、米国本土以外で初めて開設する海外拠点で、欧州の顧客層に同社の存在をアピールし、欧州の3Dプリンター市場に確固とした地位を築きたい考え。

iGo3D は、ドイツ国内で展開する実店舗( フランクフルト、シュトゥットガルト、オルデンブルク、ハンブルク )で「 Form 1+ 」および関連製品を取り扱う。ハノーファーにも新規出店計画があり、その新店舗でも Formlabs 製品を取り扱う予定だ。

Formlabs 事業統括部長 Luke Winston 氏は次のように述べている。「弊社の Form 1+ はエンジニアリングやデザインに携わる人にとって最良のツール。ドイツは周知の通り世界最高レベルのエンジニアリングとデザイン大国で、そんなドイツ国内に初の欧州事務所を開設することができてとても興奮している。iGo3D と協働して、ドイツの顧客の要望に即応できるようになったことにも喜んでいる」。

MIT メディアラボのスピンオフとして創業した Formlabs にとって、今回の中国市場および欧州市場への本格参入表明は、デスクトップ3Dプリンター市場におけるグローバルプレイヤーへの飛躍を賭けた重要な一歩となる。

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2015年3月20日金曜日

3Dプリントを根本から変える? まったく新しいラピッドプロトタイピング技術「 CLIP 」

米国カリフォルニア発:3月 16 日付 Science 電子版によると、ノースカロライナ大学チャペルヒル校( UNC チャペルヒル )の研究者チームがこのほど、ラピッドプロトタイピングを根本から変革する画期的技術を開発したと発表した。

それによると、「 CLIP( continuous liquid interface production ) 」と名付けられた新技術では光硬化性樹脂を従来のように「1層ずつ」重ねてプリントするのではなく、映画「ターミネーター2」に登場する T-1000 のように、「一気に」プリントすることが可能になったとしている。これにより出力時間が劇的に短縮できるという。

「 CLIP 」テクノロジー最大の特徴は、酸素と紫外線( UV )光とで浴槽内の光硬化性樹脂そのものを「成長させる」点にある。樹脂浴槽底面には酸素と紫外線光を透過させるコンタクトレンズ状の窓があり、浴槽底部に非硬化の非常に薄い「デッドゾーン」を形成する。この「デッドゾーン」を介して直上の樹脂を連続的かつ効率的に硬化させることにより3Dプリントを行う。

この素晴らしい新技術では、出力時間が従来方式比 25-100 倍にまで高速化するだけでなく、仕上がり精度も同時に向上するとしている。「 CLIP 」では連続的にプリントするため、射出成形製品にも匹敵する3Dオブジェクトの出力も可能で、その精度は 20 μm 未満( アクリル繊維並みの厚さ )の極小オブジェクトも造形できるという。エラストマー樹脂や、細胞組織として利用可能な生物素材にも対応可能だとしている。

UNC チャペルヒルの研究者チームは、特許申請中の「 CLIP 」の商用版開発を目的とするスタートアップ Carbon3D, Inc. を 2013 年に設立している。同社によれば、従来の3Dプリントは基本的に「1層1層、2Dプリントを繰り返しているだけ」で、完成までに何日もかかり、力学的特性にもムラがある。同社 CEO の Joseph DeSimone 氏は声明で、「現行の3Dプリント テクノロジーはモノ作りに革命を起こす約束を果たしていない。我々の CLIP テクノロジーはこの現状に一大変革を起こすスピードと安定した力学的特性を提供し、複雑多岐に渡る商用製品製作に要求される素材が選択可能だ」と述べている。

同社によると、年末には「 CLIP 」テクノロジーを搭載した新型3Dプリンターを発売する計画だ。この「 CLIP 」プリンターの詳細な仕様および価格については現時点では未定。



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2015年3月16日月曜日

オリジナルデザインのパンケーキも焼ける! 世界初のパンケーキ3Dプリンター「 PancakeBot 」

米国 / ノルウェー発:ノルウェーに住む 40 歳の土木技師 Miguel Valenzuela 氏が4年前のある日、メイカーズ向け情報誌「 Make: 」を読んでいると、当時3歳だった長女に何を読んでいるのと訊かれた。Valenzuela 氏が、「 LEGO でパンケーキスタンプ機を作った人の記事だよ」と答えると、長女は興奮して妹にこう伝えた。「パパが、LEGO でパンケーキマシンを作るって!」。

こうして生まれた世界初のパンケーキ3Dプリンター「 PancakeBot 」は、初号機こそ LEGO で組み立てていたが、アクリル仕様のプロトタイプを経て、現在は Storebound の協賛でさらに洗練されたデザインの「パンケーキデザイン3Dプリンター」へと変わった。LEGO で組み立てた初号機の製作には、半年ほどかかったという。

現在、 Kickstarter 上で資金調達中だが、早くも目標額の5万ドルをはるかに超える 180,881 USD の出資を集めている。出資者募集期間は4月 10 日まで。Storebound によると、出荷開始は7月ごろになる見通し。販売予定価格は 299 USD。

現行の「 PancakeBot 」は特許出願中の独自の生地調合システムを搭載し、専用天板に押し出して焼く。生地の形状も自由にカスタマイズ可能で、付属ソフト画面上で自由にデザインでき、様々な色合いに焼き上げることもできる。パンケーキのデザインが決まったら SD メモリに保存し、「 PancakeBot 」がそのデータを読み取って自動調理を行う。

Valenzuela 氏はこの「 PancakeBot 」を、ニューヨーク市で開催された「世界メイカーフェア」や、ホワイトハウスで開催された「メイカーフェア」など、世界各地のメイカーズイベントで出品し、行く先々で注目を集めてきた。

「 PancakeBot 」の主な仕様:
パンケーキデザイン テンプレート内蔵
SD メモリカードスロット
生地流量 / プリントの簡単調節機能
一時停止 / プリント再開機能
コンパクト収納
最大プリントサイズ:約 430 mm x 210 mm 



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2015年3月15日日曜日

「分子3Dプリンター」で画期的新薬も生まれるか? 

米国イリノイ州発:イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の化学者チームはこのほど、ブロック状に生成した有機小分子を専用の分子3Dプリンターで接合して、新しい有機化合物を合成する技術を開発したと Science 電子版に発表した。

Martin D. Burke 医博率いる同大学ラボの開発チームによれば、従来の合成方法では合成計画に基づき出発物質から新規に合成化合物を生成するには、生成途上で発生する様々な化学反応を考慮に入れるなど複雑で、時間もコストもかかっていた。Burke 博士らのチームが開発した新技術は、このボトルネックを自動化によって解決しようとする画期的なものだ。

Burke 博士は次のように述べている。「我々は非常に複雑な有機合成プロセスをもっとシンプルなものにしたかった。シンプルになれば自動化も可能になり、そうなれば幅広い分野で新たな発見が生まれ、また化学を専門としない人にも有機合成物生成が可能になる」。

Burke 博士らチームの開発した手法は、有機分子を LEGO ブロック状に小塊化して、それを出発原料とし、通常の化学反応を利用してレゴのピースを1つずつ嵌めこむように、分子3Dプリンターで新たな組成の分子を形成するというもの。

開発チームによれば、特定の有機分子について、研究者が利用可能なマニュアルを近日中にネット上に公開し、自由にダウンロードできるようにするという。

Burke 博士のチームが開発したこの新技術は、たとえば新薬開発にかかる時間を大幅に短縮することを可能にし、また LED や太陽光発電パネル等に使用される小分子の生成にも応用可能だとしている。同開発チームによれば、新開発した分子3Dプリンターで利用可能な「 LEGO ブロック」状基礎分子は現時点で約 200 あり、理論上は同様の分子ブロックを何千も生成可能だとしており、これらを合成した場合、10 億単位の新規有機合成化合物が生成可能になるという。

また Burke 博士は共同でスタートアップの Revolution Medicines を設立し、この有機小分子合成の自動化技術の許認可を取得する一方で、早くも次世代型分子3Dプリンター開発に乗り出している。



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2015年3月14日土曜日

3Dプリントで忠実に再現! TOYOTA 車エンジン+5段マニュアル変速機

米国カリフォルニア州発:今年1月、サンタクルーズ市在住のエンジニアの Eric Harrell 氏は 1980 年代の「 TOYOTA 22RE 」SOHC 型4気筒エンジンの動作可能な縮小レプリカをデスクトップ型3Dプリンターで作った。同氏が次に取り組んだのは、もちろんこのエンジンに接続する変速装置の3Dプリントだった。

Harrell 氏がこのほど3Dプリントで製作したのは、5段マニュアル変速機で、後退も含めて、シフト操作が忠実に再現されている。

ただし、径3mm ロッドおよびワッシャー、ベアリング等のパーツは小さすぎて3Dプリントできないため、市販の金属製品を使用している。また Harrell 氏は、使用している3Dプリンター環境によっては出力するパーツの縮尺を変更する必要があるとしている。

Harrell 氏の「 TOYOTA 22RE 」と、同エンジンと連動する5段変速機( 4WD 仕様 )の3Dモデルデータは、Thingiverse 上で公開されている。




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2015年3月9日月曜日

ミシガン大学の学生が3Dプリンタブル トランペットのモデルデータを無償公開

米国ミシガン州発:楽器製作には熟練の職人技と良質の材料が不可欠で、それが楽器を高嶺の花にしている要因でもある。ミシガン大学で工学を学ぶ Daniel Olson 氏は先月、Thingiverse 上でほぼ全てのパーツが3Dプリント可能というトランペットの3Dモデルデータファイルを無償公開した( ただし、非営利目的利用に限る  )。

この3Dプリンタブル トランペットは、はめ込み式パーツ 17 点からなり、非3Dプリント部品はピストンバルブを動かす金属スプリング3つのみ。同氏によると、トランペット製造名門 Bach の「 Stradivarius 」シリーズをベースに設計したという。今回のトランペット製作に当たり、市販のデスクトップ型 FDM 3Dプリンターでは大きすぎて出力不能なパーツもあったが、同氏は RepRap ベースの大型部材出力可能な「 MendelMax 2.0 」を使用することでこの課題に対応した。

ただし音質と使い勝手について、Olson 氏は「正直なところ、かなり悪い」。市販のトランペットのような音質に達していないのは、ABS 樹脂でできているということにも原因がある。また出力にも相応の時間がかかり、完成まで2週間は見込んだほうがよいとアドバイスする。最も複雑な形状のパーツ出力には 17 時間ほどかかり、3Dプリント後の仕上げ処理も必須としている

このように Olson 氏は改善の余地は多々あるとしながらも、無償公開したことで、多くのユーザーの手で改良が加えられることを望んでいる。



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2015年3月8日日曜日

サポート材除去時間を大幅短縮する Almco「 RCWB-36E 」

米国ミネソタ州発:FDM 方式3Dプリンターによるラピッドプロトタイピング工程において、最大のボトルネックがサポート材除去を含む仕上げ工程だろう。アルバートリーに本拠を置く金属加工仕上げおよび洗浄機械ベンダー Almco の「 RCWB-36E 」は、3Dプリント製品出荷の高速化と低コスト化を促進する切り札となるかもしれない。

従来、サポート材除去用として使用される洗浄機は、3Dプリント オブジェクトを 70°C 近くまで加熱した水酸化ナトリウム水溶液( 苛性ソーダ水 )に浸して洗浄し、それを循環して再利用する方式が一般的。「 RCWB-36E 」では、水酸化ナトリウム水溶液を使用する点では従来方式と同じだが、食器洗浄機のように、3Dプリント製品を載せたターンテーブルが低速回転し、壁面のノズル列から低圧の洗浄液が大量にスプレーされる。洗浄液に浸さないので乾燥も早く、内部の隙間に洗浄液が滞留することもない。

Almco によれば、3Dプリント製品の形状および大きさにもよるが、従来の除去方式では4-15 時間はかかっていたサポート材除去が、「 RCWB-36E 」では約 90 分で完了するという。製品内部の残留成分を吹き飛ばすためのブロワーも内蔵しているので、併用することで更なる時間短縮が見込めるとしている。

「 RCWB-36E 」は、3Dプリント オブジェクトの最大高さ 30-50 インチ( 76.2 - 127 cm )、ターンテーブル径 24-72 インチ( 60.96 - 182.88 cm )までの範囲内で最適な組み合わせを選択可能。使い方は、3Dプリント製品をターンテーブルにセットしてカバーを閉じ、「洗浄サイクルスタート」ボタンを押すだけ。あとは全自動でサポート材除去および洗浄が開始され、面倒な後工程は一切不要だ。



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2015年3月7日土曜日

Voxel8 が In-Q-Tel からの出資と技術開発提携を発表

米国マサチューセッツ州発:ボストンに本拠を置くスタートアップ Voxel8 は現地時間3月5日、ベンチャーキャピタル機関 In-Q-Tel からの戦略的出資および技術開発提携を公表した。同ベンチャーキャピタルからの出資総額は明らかにしていない。

Voxel8 は今年初め、電子回路を組み込んだプラスチック樹脂製品の3Dプリント出力を世界で初めて可能にした「 Voxel8 」の開発元( → 既報記事 )。同社に出資した In-Q-Tel はヴァージニア州アーリントン郡に本拠を置く、米国中央情報局( CIA )を含む米国内の諜報機関が 1999 年に設立した非営利投資機関。Voxel8 共同創業者の1人 Daniel Oliver 氏は、今回の出資により、「 Voxel8 」先行予約受付分と初回生産費用が賄えるとしている。「 Voxel8 」の販売価格は 8,999 USD。

同氏はまた今回の出資で、In-Q-Tel 側が同社の商品開発について口出しすることはないことも明言している。

Voxel8 は今年1月、Braemar Energy Ventures から約 200 万ドルの出資を受け、また事業計画コンペ「 MassChallenge 」からも5万ドルを獲得している。

In-Q-Tel のフィールド デプロイヤブル技術バイスプレジデント Megan Anderson 氏は、同機関の関心は Voxel8 が製品設計および生産工程に一大変革を引き起すリーダー的企業になるかにあるとし、次のように述べている。「Voxel8 の技術が実現したカスタマイゼーション化により、従来生産方式に付き物だった生産設備、在庫、供給プロセスといった制約事項抜きに新しいデバイスが手早く創出できるようになる」。

Oliver 氏も、今回の提携よって、たとえば同社が「 007 」シリーズに登場するようなガジェットを現実の商品として売り出すのではといった憶測を否定する。同氏によれば、Voxel8 社内では民間および軍事目的に共用可能な、斬新なデザインのアンテナといった製品開発の構想はあるとしている。

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2015年3月2日月曜日

辺境地に電気を! 3Dプリント小型風力発電装置の挑戦

カナダ・オンタリオ州発:ウィンザー大学博士課程に在籍する Kyle Bassett 氏は、3Dプリントを活用した小型風力発電装置を考案した。

同氏は、Ontario Centers of Excellence 主催の、辺境地帯のエネルギー問題解決を競うコンテストにこの小型風力発電装置でエントリーする。この風力発電機は3Dプリント製品を含む部材を現地で簡単に組み立てたり、分解してコンパクトに収納( 100 x 10 cm )することも可能な設計になっているため、輸送費用を抑え、辺境地帯への搬入もしやすい。リチウムポリマーバッテリー内蔵なので、無風の日には蓄電した電気を供給可能。

風力タービンの出力は5Vで、携帯端末、GPS といった USB 接続機器の充電が可能。Basset 氏は、将来的には風力タービンを複数基つなげて、さらに発電量を大きくしたい考え。

この風力発電装置の設計時に念頭にあったのは、どこにでもある部材で早く製造でき、完成品を早く現地に展開できるようにすることだった。この点において、3Dプリントはまさにうってつけの方式だった。Basset 氏によればこの発電装置の試作機はすでに大きな成果を収めており、もしコンテストに上位入賞すれば、風力タービンの設計仕様をオープンソースライセンスで一般公開し、多くの人に利活用してもらいたいとしている。

Basset 氏は修士号取得後、1年半をニカラグアのベネシアで過ごした。現地の共同体に電気が通じていないことを知った同氏は、この問題解決に立ち上がった。現在の装置の原型となる発電タービン装置を組み立ててつなぎ、ローカル発電所を作った。クリーンエネルギーから生み出される電気はたちまち現地の人を引きつけ、懐中電灯や携帯電話を充電しようと遠隔の地区からやってくる人も出始めたという。

Basset 氏がエントリーしているコンテストの最終結果発表は今月、発表される。また同氏は4月、Kickstarter 上でも出資者を募る予定だ。



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2015年3月1日日曜日

英国の AM コンサルチームが Stratasys Services に参加

ミネアポリス / レホヴォト( イスラエル )発:Stratasys Ltd.( NASDAQ:SSYS )はこのほど、英国に本拠を置く積層造形技術( AM )関連コンサルタントおよび調査会社 Econolyst の主任コンサルタントを含む複数名が Stratasys Services に加わることを明らかにした。

Stratasys Services に参加する Econolyst グループは、20 年に渡って AM 業界のコンサルティングに携わってきた Phil Reeves 博士らのチーム。Stratasys によれば、同博士ら Econolyst のベテラン コンサルタントを中心に、Stratasys Services 戦略的コンサルティング部門を立ち上げる計画。新部門は、Stratasys の顧客に将来の AM 戦略、導入方法および最適化といったサポートサービスを補完する。

Econolyst は世界の様々な現場の顧客に対して、AM 技術の導入、教育、イノベーション に関するコンサルティングを展開している。

Stratasys CEO の David Reis 氏は次のようにコメントしている。「現在は、AM テクノロジーが新たな段階に差しかかっていると考える。AM 導入はさらに幅広い業界で加速し、従来の生産方式を変革していくだろう」。

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