2018年9月30日日曜日

イタリア人研究者が 100% 植物性タンパク質の「3Dプリントステーキ」を開発中


スペイン・カタルーニャ州発:カタルーニャ工科大学の研究者が、100% 植物性タンパク質の材料からなる「3Dプリントステーキ」の開発に取り組んでいる。

この3Dプリント肉を開発したのは同大学の生物医学と組織工学の研究者 Giuseppe Scionti 氏。ミラノ出身の 31 歳の Scionti 氏によると、3Dプリント人工耳のインプラント研究に取り組む大学の同僚がその忠実な再現性について話すのをたまたま聞き、3Dプリントで人間の耳の組織の忠実な複製が作成できるのなら動物組織でも応用できるはず、と考えたのが開発のきっかけだったという。

使用する3Dプリンターは同大学の技術センター CIM Foundation 製。ペースト素材を詰めたシリンジをセットすれば、細長いヌードル状の素材が AutoCAD でデザインした小さなステーキのような姿に成型される。フライパンで焼くと、本物の肉が焼けるような音まで響かせ、さらによいことにはフライパンに焦げ付くこともないという。見た目は肉というより豆腐に近いが、繊維質だという。この3Dプリント肉 100 g の出力には約 30 - 50 分かかる。

動物タンパク質を摂取する場合、動物の生命の犠牲が伴う。過去にもこのような「人工肉」として培養肉を用いる方法や、米国の食品テクノロジーベンチャー Impossible Foods が植物性タンパク質から製造した人工肉の商品化を行っている事例はあるものの、ハンバーガーやミートボールに加工する必要があり、肉の持つ食感までは再現できていなかった。Scionti 氏の試みは、可能な限り本物の肉に見た目と食感を近づけること。素材はコメもしくはマメ類、海藻成分から生成されたプロテインパウダーで、ヴイーガン向け栄養補助食品として通常、使用されているものだ。

現時点では3Dプリント肉 100 g 当たり2ユーロのコストがかかっているが、量産化できれば単価も下がると Scionti 氏は言う。同氏はすでに特許申請を済ませており、10 月にもスタートアップ Nova Meat を立ち上げる計画だ。

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