2024年8月31日土曜日

ガラス3Dプリントの新技術「ボリュメトリック加熱法」の研究開発が進行中

米国インディアナ州発:ノートルダム大学の研究者グループは現在、ガラス3Dプリントの新方式の開発に取り組んでいる。 
既存の3Dプリントテクノロジーには一般的なプラスチック樹脂フィラメントを溶融させる方式(FDM、FFF)や金属粉を焼結する方式(SLS など)、住宅建造用の大型3Dプリンターに見られるセメントを積層造形するタイプ、幹細胞由来のバイオ素材を使用する医療用のバイオ3Dプリントなど多岐にわたるが、依然として積層造形(AM)テクノロジーにとって難関なのが、ガラス素材をもちいた3Dプリントだ。ガラスは透明な素材というだけにとどまらず、薬品耐性や耐熱性、剛性に優れているという特徴がある。 
現在主流のガラス3D プリント方式は、ガラスフィラメントをレーザーなどの高エネルギー源で瞬時に溶融して造形するエクストルージョン法と、ガラス含有樹脂を使用した SLS ライクな焼結工程を後処理として行う焼結法があるが、いずれも短所がある。たとえば焼結法の場合、使用に耐えうるガラス密度の達成が難しく、後加工の焼結時に製品が収縮して外寸に狂いが生じるといった問題がある。外寸問題については DED(指向性エネルギー堆積法)方式ならば克服可能だが、レーザービームを照射された素材表面と内部のガラス分子の溶融にタイムラグが生じる問題は残る。 
こうした制約を回避するため、同大の研究者グループは「表面加熱」の問題に着目し、「ボリュメトリック加熱」が有効なことを発見した。ボリュメトリック加熱法では、ガラス素材の表面と内部の両方を同時に加熱することが可能になったという。 
まず、完全に透明なガラスを用意する。次いで、照射レーザーのエネルギー吸収材をガラスに塗布する。レーザービームはガラスを透過し、ガラス粒子を満遍なく加熱する。マイクロヒーターをガラス内に均一に配置して、各ガラス粒子をいっせいに加熱するようなものだ。 
今回発表された実験結果では、積層ベッド移動速度の最大値がガラス3D プリント速度の限界値だったことから、レーザー DED 方式(彼らは DGF[デジタルガラス成形法]と呼んでいる)の3Dプリンターを改良すれば、現行の FFF 方式と同等の高速造形も不可能ではないという。