日本発:自動車メーカーのホンダ(本田技研工業)は、レーザー粉末床溶融結合法(LPBF)を独自に改良した金属3Dプリント技術を F1や車椅子の部品製造に活用している。
LPBF は、鋳造や鍛造では成形できない複雑な形状の生成にもちいられ、単品のみの製造を迅速に行なったり、少量生産に適した3Dプリント技術だが、欠点もある。そこで同社研究開発部は、イナートガスを造形室内に循環させて、溶融金属由来のガスやスパッタによる「す」のような欠陥を予防する変形予測シミュレーション技術を導入した。
さらに、各積層面を撮影して溶融状態や融解温度、レーザー出力をチェックした結果を積み上げて最適な温度とガスフローの決定に役立てたり、各積層面の引張強度試験を行い、レーザー出力が適正かどうかを判定してもいる。
改良型 LPBF による部品の製造例として、F1部品(ピストンや、ターボチャージャーなどのタービンハウジング)と、レーシング用ホイールチェアのハンドルがある。F1部品のほうは、従来は精密鋳造で製造されていたが、現在はニッケル主体の耐熱合金であるインコネルを素材として3Dプリントで仕上げられている。
レーシング用ホイールチェアのハンドルはアルミ合金製で、アスリートの体型に合わせてカスタマイズが容易にできるのが特徴だ。以前は溶接方式だったため、ハンドルバーのカスタマイズは困難だった。
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