2020年1月25日土曜日

古代エジプト男性ミイラの「声」を3Dプリントを使用して復元

英国発:現地時間 24 日、今から約 3000 年前の古代エジプト新王国時代の神官だった男性ミイラの「声」を、英大学の研究者グループが3Dプリントで復元した声道モデルと音声合成技術を用いて再現したと発表した。

この発表を行ったのはロンドン大学ロイヤル・ホロウェイカレッジ工学部教授 David Howard、ヨーク大学考古学部教授 John Schofield らの研究者チーム。同チームによれば、今回、声の再現に成功したのはリーズ博物館に所蔵されている約3000年前の古代エジプト新王国朝最後のラムセス11世統治時代(c.1099 - 1069 BC)に生きたカルナック大神殿神官で書記だったネシャムン(Nesyamun)という男性ミイラのもの。博物館からミイラをリーズ総合診療所に運び入れ、CTスキャンにかけたところ、喉頭や声道の組織が驚くほど良好な保存状態を保っていたという。

同チームは CTスキャンから得られたネシャムンの声道構造のデータに基づき、3Dプリントで精密な原寸大モデルとして出力。電気式人工喉頭に接続して人工的に声を復元した。ただし今回、復元したのは「エー」という長母音や長いため息のみで、本格的な会話の再現については当時使用されていた自然言語の解析が不可欠なことと、会話をするのに不可欠な舌がほとんど欠落しているため、実現できなかったとしている。また、ネシャムンは生前、歯周病に罹患していたことが判明している。

研究チームの教授は今回の成果について、「歴史に新しい窓を開くたいへん興味をそそられるプロジェクト。3000年ぶりに彼の肉声をこうした形で再現できて、とても興奮している」と述べる。




参照元記事