2021年9月12日日曜日

3Dプリント+スマート生態素材を用いた1型糖尿病患者向けインプラントが開発中

米国テキサス州発:ライス大学のバイオエンジニアリング研究者グループは現在、3Dプリントとスマート生体素材を用いて、インスリンを分泌する1型糖尿病患者向けインプラント開発に取り組んでいる。
これは Omid Veiseh、Jordan Miller 両氏の研究室が共同で行っている3年がかりの研究開発プロジェクトで、糖尿病研究の世界的な助成団体 JDRF の助成金を受けている。
Veiseh 助教と Miller 准教授は、ヒト幹細胞から作られたインスリンを分泌するβ細胞を用いてインプラントを開発。これが血中グルコース値[血糖値]を感知して適切量のインスリンを分泌することで血糖値を調整する。
生体工学が専門の Veiseh 氏は 10 年以上、細胞療法によって移植された部位を免疫系から保護する生体材料開発に従事してきた。バイオエンジニアリング学科のミラー氏は 15 年以上にわたり、血管系と呼ばれる血管網を持つ組織を3Dプリントする技術を研究している。
ライス大学のバイオエンジニアは、生体組織に変化可能な血管組織付きハイドロゲルを、無毒の液体ポリマーを使用した光硬化3Dプリントによって固結させて作成した。
このようにインプラントに血管組織を組み込むことで、β細胞組織が膵臓の自然な動きに近い形で動作できるものと同グループは期待を込めている。
1型糖尿病は、米国内に約160万人の罹患者がいるとされ、毎日100人以上が1型糖尿病と診断されている。1型糖尿病の治療にはインスリン注射でが使われるが、インスリン注入と食事・運動療法その他活動とのバランスをとる難しさが指摘されている。複数の研究によると、米国の1型糖尿病患者のうち、目標とする血糖値を常に達成している人は3分の1以下と推定されている。