米国ニューヨーク州発:3Dプリントアートのスタートアップ 3D PhotoWorks は視覚障がい者向けの「触って見る」複製作品制作プロジェクト「 3D Tactile Fine Art Printing 」を立ち上げ、目下 Kickstarter 上で出資者を募集している。調達目標金額は 500,000 USD だが、募集開始から数日で既に 3,966 USD が集まっている。 同社共同設立者の1人 John Olson 氏は次のようにコメントしている。「弊社の目標は、世界最高品質の複製絵画および複製写真作品を制作し、視覚障がいのある来館者が楽しめるようにあらゆる美術館、科学文化施設に配給することだ」。同社は集まった資金で筆使いまで実感できるような、更なる高精細3D 化を実現させたいとしている。 3D PhotoWorks は視覚障がい者向け絵画複製制作を事業化するため 7 年前に設立された。同社は 2 年に渡り、米国視覚障がい者連盟所属者を対象にモニタリングも実施し、改良を重ねてきた。同連盟ワシントン州支部カンファレンスでは、12 歳の目の不自由な少年もこの「3D複製」絵画作品の広報担当として加わり、来場者に紹介した。展示作品には「モナ・リザ」や「デラウェア川を渡るワシントン」、「医師ガシェの肖像」といった定番の名画から、ワシントン州の精密な3次元地図まであり、とりわけワシントン州の3次元地図は非常に人気があったという。 同社はこのサービスの本格運用を米国から順次開始してゆくとしている。「 3D Tactile Fine Art Printing 」の出資者募集期間は現地時間 12 月 10 日まで。
米国ミシガン州発:ミシガン工科大学( MTU )准教授 Joshua Pearce 氏とその学生5名から成る Open Source Hardware Enterprise はこのほど、再生プラスチック樹脂から3Dプリンター用フィラメントを開発する研究で、Ford Motor Company Fund の主宰する「 Ford College Community Challenge 」から 25,000 USD の資金提供を受けた。 Pearce 氏および学生リーダー Lucas Wilder 氏によれば、同コンペに入賞したプロジェクトは、地域社会から排出される雑多なプラスチックごみを再利用した完全リサイクル3Dプリント製品の開発と販売を行うというもの。同コンペは毎年、持続可能な技術開発を行っている学生とその団体の企画を審査し、秀逸なアイディアには資金提供して実現化を後押しする。 FDM / FFF タイプの3Dプリンター用フィラメントの主流製品は現在、生分解性プラスチック樹脂 PLA と 石油由来の ABS 樹脂とに大別され、共にカテゴリー7に属する汎用プラスチック樹脂。現時点で MTU 学生グループが再生フィラメント材の製造に成功しているのはカテゴリー2の HDPE に留まっている。だがコンペで獲得した資金を活用して、カテゴリー1に属する PET 製品からも再生フィラメント開発に取り組んでいるが、PET はフィラメントとして再利用する場合、極度の乾燥が必要な事と加工温度設定の難しさが技術的なネックとなっている。 アッパー半島等の自治体は遠隔地で処理施設までの運搬費用が高くつくといった問題もあり、リサイクルがあまり普及していない。同大学産業連携部長 Pete Cattelino 氏は、今回の資金獲得により、同学生グループの試みとこれら自治体との連携で事業化に弾みを付けたいとしている。 MTU 学生グループが試作を繰り返した結果、現段階では再生フィラメントスプール 1 kg 分の製造に牛乳容器 20 個が必要だという。再生フィラメント製造にはオープンソースの RecycleBot を使用、そのコストは 1 ドル未満だ。この RecycleBot はカテゴリー1と2に属するプラスチック製品にも対応可能に改造されている。 → 参照元記事1. → 参照元記事2.
米国ウィスコンシン州発:ウィスコンシン大学の元学生 Yeaji Kim 氏は、3Dプリント技術を使って視覚障がい者が手軽に扱える「触って読む楽譜」の開発に取り組んでいる。
「 Tactile Stave Notation 」と名付けられたこの楽譜は従来のブライユ点字楽譜と異なり、通常の楽譜とまったく同じ様式のまま、浮き彫りのように立体化されている。Kim 氏によると、点字楽譜の欠点を改善するためにこの3Dプリント楽譜を思いついたという。 Kim 氏自身も視覚障がいを持つ音楽家であり、従来の点字楽譜は音楽初学者にとって非常に扱いにくく、また点字楽譜の読める教師も確保する必要がある。 同氏の指導教官で同大学音楽学部でピアノ教授法を講じる Jessica Johnson 氏は次のように述べている。「これはまさに画期的なシステムだ。[ 視覚障がい者が ]音楽を学ぶ方法を根本から変える可能性がある。より多くの人が多種多様な音楽を学習する機会を与えるもので、非常に素晴らしいと思っている」。 Kim 氏はこの3Dプリント楽譜の作成に当たって SLS 方式3Dプリンターを使用し、音符等を立体的に浮き出させている。解像度は 7 µm 以下と高精細で、細かな部分も忠実に再現されている。 大学卒業後に母国に帰国した Kim 氏は引き続き大学の研究者仲間から試作品を送ってもらい、自らテストして最良で、残留粉による怪我の心配もない安全な解像度を探り、3Dプリント楽譜の改良を続けている。同氏は現時点での問題点として、プリント中の急激な温度変化による収縮および反りが発生する可能性を挙げている。
ドイツ・バイエルン州発:Audi の技術部門 Audi Toolmaking はこのほど、1936 年製レーシングカー「 Auto Union Type C 」の1/2 スケールの忠実なレプリカを3Dプリントを使用して製作した。 今回、同部門が製作したのは Audi の前身 Auto Union がレース専用に開発した「 Type C 」。このレプリカ製作に当たり、選択的レーザー焼結方式( SLS )金属3Dプリンターが使用された。Audi によると、現在、同社組立工場では最大長 240 x 最大高 200 mm までの鉄およびアルミニウム部品は既に SLS3Dプリンターで生産しているという。3Dプリント方式の利点は従来の加熱成形、ダイカスト成形より密度の高いパーツが製作可能な点を挙げている。 Audi 生産部門執行役員 Hubert Waltl 博士は次のように述べた。「弊社は今後も生産部門に新技術を導入し、躍進する。現在、提携企業と共に新プロセスの可能性を探求しているところで、最終目標として金属3Dプリンターを連続生産現場に配備することも掲げている」。 今回、3Dプリントによって縮小スケールレプリカとして蘇った「 Type C」は 1930 年代、Auto Union がライバルの Mercedes-Benz とグランプリレースの優勝争いを繰り広げ、共に「 Silver Arrow 」と呼ばれたクラシックレーシングカーの名車。