2015年11月9日月曜日

点字楽譜よりはるかに使いやすい「3Dプリント楽譜」の開発が進行中

米国ウィスコンシン州発:ウィスコンシン大学の元学生 Yeaji Kim 氏は、3Dプリント技術を使って視覚障がい者が手軽に扱える「触って読む楽譜」の開発に取り組んでいる。

「 Tactile Stave Notation 」と名付けられたこの楽譜は従来のブライユ点字楽譜と異なり、通常の楽譜とまったく同じ様式のまま、浮き彫りのように立体化されている。Kim 氏によると、点字楽譜の欠点を改善するためにこの3Dプリント楽譜を思いついたという。

Kim 氏自身も視覚障がいを持つ音楽家であり、従来の点字楽譜は音楽初学者にとって非常に扱いにくく、また点字楽譜の読める教師も確保する必要がある。

同氏の指導教官で同大学音楽学部でピアノ教授法を講じる Jessica Johnson 氏は次のように述べている。「これはまさに画期的なシステムだ。[ 視覚障がい者が ]音楽を学ぶ方法を根本から変える可能性がある。より多くの人が多種多様な音楽を学習する機会を与えるもので、非常に素晴らしいと思っている」。

Kim 氏はこの3Dプリント楽譜の作成に当たって SLS 方式3Dプリンターを使用し、音符等を立体的に浮き出させている。解像度は 7 µm 以下と高精細で、細かな部分も忠実に再現されている。

大学卒業後に母国に帰国した Kim 氏は引き続き大学の研究者仲間から試作品を送ってもらい、自らテストして最良で、残留粉による怪我の心配もない安全な解像度を探り、3Dプリント楽譜の改良を続けている。同氏は現時点での問題点として、プリント中の急激な温度変化による収縮および反りが発生する可能性を挙げている。



参照元記事1
参照元記事2