2015年11月14日土曜日

3Dプリントを使用した画期的手術法に蘭財団が 50,000 EUR の資金提供へ

オランダ南ホラント州発:ライデン大学およびエラスムス医療センターの研究者チームはこのほど、3Dプリント技術を援用して二分脊椎症を新生児段階で未然に防ぐ研究に対して、科学技術振興財団 STW から 50,000 EUR の資金提供を受けた。

同大学医学部教授 Dick Oepkes およびエラスムス医療センターの Alex Eggink 両氏は、子宮内3Dプリント技術を開発して侵襲性のほとんどない手法で新生児の脊椎に生じた「隙間」を埋める画期的な外科手術の開発に従事している。

二分脊椎症( Spina bifida )は胎児の脊椎の先天的形成不全の1つで、本来は脊椎内に収まるべき脊髄組織が外に飛び出し、損傷や癒着を起こす。米国内で年間に誕生する新生児 400 万人のうち、1,500 - 2,000 人にこの発育異常が発症している。二分脊椎症に罹患している子供は約 166,000 人いると推定される。

二分脊椎症は初期段階で発見可能だが、その対処方法は中絶するか、母子共に危険を伴う外科手術を受ける以外に選択肢がないのが現状だ。また二分脊椎症は認知制御系に影響を及ぼし、ADHD 等の発達障がいの一因とも言われている。

Oepkes 氏らのチームが開発した方法は、妊娠の非常に早い段階で、胎児の背面の問題の箇所に3Dプリントした「シール」を貼り付けるというもの。このシールは人体に無害なフレキシブル素材からできており、胎児の発育に合わせて伸張する。同チームの研究開発が計画通り進捗すれば、向こう数年以内にも外科療法として適用される見通しだという。

STW はオランダ教育文化科学省および経済省傘下のオランダ科学研究機構( NWO )から年間予算1億 100 万ユーロを支出されている科学技術振興財団。Oepkes 氏ら研究者チームが受けた資金は同財団の Open Mind Grant と呼ばれる補助金提供制度によるもので、これは技術医療分野において独創的かつ野心的な研究開発を推進してもらう目的で設置された。



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