2014年7月13日日曜日

海運最大手 Maersk がコンテナ船に3Dプリンター導入

デンマーク発:4月、米国海軍は艦船 USS Essex に3Dプリンターを試験的に搭載したと発表し、国防当局もこの新技術に関心を寄せていることが明らかになったばかりだが、3Dプリンターに関心があるのは何も米国海軍だけではない。コペンハーゲンに本社を置く世界最大の海運コングロマリットの Maersk ( A.P. Møller–Mærsk A/S )も、船舶補修部品製造用3Dプリンターをすでにコンテナ船に搭載していることを今月、明らかにした。

大型コンテナ船だけで約 550隻を所有する同社は、今年で創業 110年目。現在コンテナ船に搭載している3Dプリンターは全て ABS 熱可塑性樹脂を素材として使用するタイプだが、今後は粉末金属等を素材に使用するレーザー粉末焼結積層タイプのプリンター導入も検討している。

航行中のコンテナ船で万一、部品破損が発生したら、迅速な補修は容易なことではないし、費用面でも高くつく。大海原を越えて何百万という大量の製品を輸送する業務において、まさに「時は金なり」。現時点での最善のソリューションは、3Dプリンター、ということになる

「たとえば航行中の弊社船舶にこちらから設計図を送信し、それを受信した乗組員は 'プリント' ボタンを押せばいい。数時間後には部品が仕上がる」と、同社資材調達部 Märtha Josefine Rehnberg 氏は述べる

エンジニアたちはコペンハーゲンのデスクに居ながらにして、地球を半周した海域を航行中の運搬船から連絡を受け、.STL サンプルファイルを運搬船のコンピューターに送信することが可能になる。数時間後に交換部品が完成したら、破損箇所と取り替えればよい。

使用可能な素材の幅が広がれば補修可能な部品も多くなる。そうなれば数年以内に、高精度なレーザー粉末焼結方式プリンターの船上搭載が Maersk 以外の大手海運にも広がるかもしれない。3Dプリンター高性能化と価格下落が続けば、この技術の持つ利便性はますます無視できなくなるはずだ。




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