2014年7月4日金曜日

世界初、光硬化樹脂そのものが「動く」SLA 3Dプリンター「Elemental」

オーストラリア発:昨年後半から今年前半にかけて、FDM 方式の3Dプリンター市場では様々な新素材、プリント新技術が次々と投入され、プリント性能のさらなる高精度化や高速化、新素材投入に伴うマルチカラー化といった技術刷新がほぼ毎週のように報じられてきたが、ここにきてハイエンドな SLA 方式プリンターもコンシューマー向け市場に投入され始めている( 最近「Spark」プラットフォームを発表した Autodesk をはじめ、スタートアップ数社がすでにコンシューマー市場向け SLA 方式プリンター投入を表明している )。

キャンベラに本拠を置く Hardcotton は現地時間7月2日、新型 SLA 3Dプリンター「Elemental」を発表した。「Elemental」は SLA 方式としては世界で初めて圧力制御方式を採用。従来方式では不可欠だった可動式ベッドを不要とし、代わりに液体樹脂そのものを上下方向に「動かす」ことにより、大幅な作業の簡略化および静音化を実現した。

一般的な SLA 方式プリンターの場合、レーザー照射造形が進むと同時にプリントベッドが上、または下方向に動き、造形中のオブジェクトは液体樹脂中で上下逆さまで、大量のサポート材も必要になる。一方「Elemental」では特許申請中の圧力制御技術により、液体樹脂じたいを上下させることでサポート材もほとんど必要なく、また面倒な微調整も不要にしたという。

Hardcotton の共同創立者で現 CEO の Scott Pobihun 氏は次のように述べる。「Elemental のセットアップは至って簡単。プリンター本体の水平を確保して液体樹脂を満たせばそれでプリント準備完了だ」。

「Elemental」の主要性能
  • 圧力制御方式 シングル/デュアル
  • シングルの場合の最大造形寸法 200mm x 200mm x 200mm
  • デュアルの場合 140mm x 140mm x 200mm
  • レーザー光出力 405nm( 可変 )
  • Z軸制御精度:1μm、XY軸解像度:24.4μm 以内
  • 業界標準Gコード対応
  • ブルートゥース対応
「Elemental」は間違いなく、コンシューマー向け SLA方式3Dプリンター市場における最大のイノベーションだろう。Hardcotton は近日中に Kickstarter 上で同プリンターの資金調達を募る予定。

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