2014年9月1日月曜日

NASA が初の3Dプリント ロケットエンジン燃焼試験を公開

米国発:今年5月、Elon Musk 氏率いる民間宇宙開発ベンチャー SpaceX は同社の次世代宇宙船「Dragon Version 2」に使用する新ロケットエンジン「SuperDraco」の燃焼室をすべて「ダイレクト金属レーザー焼結法( DMLS )」という最新の3Dプリント技術で製造した。NASA は今年後半にも国際宇宙ステーション( ISS )に3Dプリンターの搭載を予定し、また宇宙望遠鏡製造の完全3Dプリント化に向けて取り組んでもいる。SpaceX に続き、NASA もロケット用3Dプリントエンジンを開発するのは時間の問題だった。いよいよその時が来たようだ。

NASA はこのほど、この種のエンジンとしては初めて3Dプリンターで製造されたロケットエンジン噴射口を公開した。NASA は、カリフォルニア州に本拠を置く Solid Concepts と、テキサス州に本拠を置く Directed Manufacturing の2社に1基ずつ新エンジン製造を委託していた。両社は29日、アラバマ州ハンツヴィルのNASA マーシャル宇宙飛行センターで行われた3Dプリント ロケットエンジンの燃焼試験動画を公開した。

噴射口はロケットエンジン性能を左右する要となる部分だ。水素ガスと液体酸素とを混合して燃焼させ、華氏 6,000度( 摂氏約3,315度 )という超高温の燃焼ガスが約9トンの推力を産み出す。

噴射口は1回の3Dプリントアウトで成形された40個の噴射ノズルからなり、ロケットエンジン本体を構成するのはたった2つの部分のみ。以前の工法だったら、163ものパーツを個別に製造する必要があった。3Dプリントという新技術によって NASA がどれだけコストダウンを図れるかは想像に難くない。しかも従来工程では不可能だった複雑な造形も、積層造形法ならば可能になる。

両社が製造したエンジン噴射口の燃焼試験は NASA の基準を満たし、大成功だったという。従来の射出成形法によるエンジン試作では、試作品到着を何週間も待っていたが、それが3Dプリント エンジンなら数時間で済む。



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