2016年7月25日月曜日

3Dモデリング / 3Dプリントでカトリック2聖人の生前の顔を復元

ブラジル / ペルー発:ブラジル人科学者がこのほど、ペルーの守護聖人を含む 2名のカトリック聖人の生前の顔を復元した3Dプリント胸像を制作した。

今回、3Dプリントによって「復顔」されたのはリマのローサ Santa Rosa de Lima と、ペルーのサンタ・カタリナ女子修道院( ドミニコ会系 )に所属していた Sister Ana of Los Angeles Monteagudo( 1686 年没、1985 年にローマ教皇 John Paul II によって列聖 )の 2 聖人

今回、2 聖人の復顔および胸像を制作したのはブラジル中央部シノップ市で活動する3Dデザイナー Cícero Moraes 氏と、法歯学者 Paulo Miamoto 博士。両氏はこれまでも山火事で甲羅を失ったカメに3Dプリント人工甲羅を提供して助けたりしている。

両氏によると、3D CT 画像および写真測量法を用いて、保存されている聖女ローサらの頭蓋骨から精密な3次元モデルを作成し、それに基づき樹脂パウダーによる3Dプリントで復元したという。写真測量法では様々な角度から頭蓋骨を撮影した数百枚の画像データを収集、解析した。同時に X線断層撮影も行い、内部構造も確認した上で、アルゴリズム解析による顔面生成ソフトウェアで生前の 2 聖人の顔を再現した。

こうして作成した3次元モデルに、歯型の分析結果や考古学 / 史実調査で明らかになっている知見に基づき入念に「肉付け」と色付けを施した。

このような3Dモデリング / 3Dプリントによるカトリック聖人の復元は、南米では初めてだが、同様の復元はイタリアのパドヴァの聖アントニオ St. Anthony of Padua の先例がある。Moraes 氏によると、アントニオの場合、従来考えられていたより筋骨逞しく、鼻も大きく突き出し、唇も太かったという。聖女ローサの場合、3Dプリントで複顔した結果、生前の彼女は優しい顔立ちに大きな瞳を持った可愛らしい女性であり、「従来、描かれてきた聖人画の顔立ちとは異なっていた」。

今回、3Dプリントされた 2 聖人の胸像は、今月中に一般公開される予定。3Dモデリング / 3Dプリントによる聖人の復顔は、これまでの誤った聖人像を正し、宗教的にも歴史的にもより精確な情報を与えて甦らせることが可能なことを証明する試みだと言えよう。

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