2016年8月30日火曜日

Lucy の死因に関する「新説」検証用3Dプリントデータが一般公開

米国テキサス州発:テキサス大学オースティン校の「 Team Lucy 」研究チームは現地時間 8 月 29 日、同チームおよびエチオピア・アジスアベバ大学研究チームとが雑誌 Nature 最新号に共同発表した約 318 万年前の猿人 Lucy の死因に関する新説と関連して、研究者だけでなく誰もが検証できるように3Dプリントデータ化して限定的な公開を始めた。

同チーム代表の古人類学者 John Kappelman 氏によると、今回、エチオピア政府および同国立博物館[ Lucy は現在、この博物館の所蔵で公開されているのは石膏レプリカ ]の許可を得て一般公開が可能になった。今回、初めて一般公開されたのは Lucy の右肩と左膝の骨格データで、形式は一般的な stl ファイル。

今回の Lucy の死因に関する「新説」について、Lucy の発見者でもあるアリゾナ州立大学古人類学者で同大学人類起源研究所長 Donald Johanson 氏は、Lucy と同年代の他の骨格化石も同様に「壊れている」として、「高い樹上から落下した」とする Kappelman 氏の仮説に反論する。Kappelman 氏らが今回、3Dデータ公開を決めたのは「研究者だけでなく、幅広く自分たちの仮説検証に役立ててもらいたい」という意図もある。

Kappelman 氏のチームは 2008 年、初めて Lucy の骨格化石が米国巡回をした際、10 日間の貸し出しを認められて同研究チームのラボにある高解像度 CT スキャナーを使用し、数百もの化石片を漏れなく調査した。今回、発表したのはその時の CT 調査結果に基づいている。

化石標本のデジタルモデルは極めて少数だが、南アフリカの人類化石遺跡群で 2013 年に発見された Homo naledi は、1,550 以上の全骨格断片のうち約 100 の断片がデジタルデータ化され、MorphoSource.org サイト上からダウンロードできる。また、Homo naledi 発見チームが 2008 年に発見した Australopithecus sediba の骨格標本データも各部位ごとに一般公開されている。



参照元記事1
参照元記事2