2016年8月7日日曜日

精巧な3Dプリントレプリカで甦ったオリンピアのゼウス像

米国ジョージア州発:Stratasys Ltd.( NASDAQ:SSYS )およびミレニアムゲート博物館( アトランタ市 )、3DPTree( 同市 )はこのほど、オリンピック競技発祥の地オリンピアのゼウス神殿に立っていたゼウス像の3Dプリントスケールモデルレプリカを製作した。

今回再現したゼウス像は高さ 1.6 m で、Stratasys の業務用ハイエンド FDM 3Dプリンター「 Fortus 900mc 」を使用して製作した。この3Dプリントゼウス像レプリカはミレニアムゲート博物館で、「第 31 回オリンピック競技大会( リオオリンピック 2016 )」に合わせて開催中の「オリンピック競技:古代オリンピアからアトランタ、そしてリオへ」展に出品される( 会期:8 月 20 日 - 2017 年 1 月 2 日 )。

オリジナルのゼウス像は「フィロンの世界の七不思議」の 1つに数えられ、紀元前 435 年頃、彫刻家ペイディアス( Phidias )によって建立されたと伝えられている。杉材で作られた本体は象牙と金に覆われ、800 年以上もの間オリンピアのゼウス神殿内に安置されていた。紀元 420 年にコンスタンティノポリスに移設されたが、475 年に同市を襲った大火で消失したと考えられている。このためゼウス像がどんなものであったか知るには当時の貨幣印章、歴史家や旅行家の証言、後代のゼウスを象った彫像などを参考にするしかなかった。

ミレニアムゲート博物館長 Jeremy Kobus 氏は次のように述べている。「最大の難関は、ゼウス像じたいが現存していないということだ。3DPTree と学芸員はゼウス像がどのような外観の彫像だったかについて徹底的な調査を行い、その結果に基づき3Dデータを作成した」。

3Dプリント技術は今回のような、過去の失われた貴重な考古学的遺物の復元にも大いに役立つ。Kobus 氏は、「貴重な価値を持つ芸術作品の破壊は、人類の歴史に付き物だ。かつてはいったん破壊されれば、その芸術作品は永久に失われることを意味していた。我々が3Dプリントの芸術的価値に投資する理由はそこにある」。

参照元記事1
参照元記事2