2014年5月10日土曜日

非常時に役に立つか? 世界初の「空飛ぶ」3Dプリンター

ロンドン発:インペリアル・カレッジ・ロンドンの航空ロボット工学研究所長 Mirko Kovac 博士を中心とする研究チームはこのほど、空中を浮揚しながら危険物質に向かって粘着性物体を「3Dプリントアウト」する自律型ドローンの試作機を製作、9-10日にかけて開催される「インペリアル フェスティヴァル」会場で実機展示を行う。

同博士らによれば、この技術はたとえば核廃棄物など、人が近寄れない危険な作業を肩代わりさせることなどに応用可能だという。

雑誌 New Scientist サイト上に公開された動画によれば、ドローンは2機あり、まずローター4本のクァドコプター型ドローンが小型ブロック上に泡状の粘着性物体をプリントアウトしてその場を離れる。次にローター6本のヘクサコプター型ドローンがブロック上に飛来して、先ほどのクァドコプターが吹きつけた物体ごと機体に固定して運び去る。研究チームによれば2機のドローンは GPS によって自動操縦され、粘着性の泡状物体の成分はポリウレタンだという。

この自律型ドローンの発想源となったのが、アナツバメだ。Kovac 博士らは、巣材を唾液で固めて巣作りするアナツバメのこの習性に着目した。

だが、シェフィールド大学人工知能ロボット工学名誉教授 Noel Sharkey 氏は、Kovac博士らのこのドローンについて、搭載された機能が果たして3Dプリンターと言えるのかどうかは疑問だとしながらも、将来の可能性については高く買っているという。「3Dプリンティングとはとても言えないが、3Dプリンティング技術の構成要素は使われている。彼らの発想の真に革新的なところは、損壊した橋の修理などを ’空中’ で、自動化された無人作業によって行わせる点にある」。

なおこの「自律型ドローン」タイプの3Dプリンターについては、昨年6月、米国パサディナに本拠を置く3Dプリンターショップ Deezmaker と航空写真会社 Velocity Pigeon が共同で初歩的ながら同様のドローン型3Dプリンターを試作済みで、彼らは自分たちのプリンターが「世界初」だと主張している。

参照元記事