2014年5月17日土曜日

人工骨インプラントも3Dプリントでカスタムメイド

英国発:サウサンプトン大学病院の外科医チームはこのほど、37年前の交通事故以来、股関節不調に苦しめられてきた女性に3Dプリンターで製作されたチタン製人工骨インプラント手術に成功したと発表した。

この女性はハンプシャー州在住の Meryl Richards さん。1977年の事故以来、ずっと股関節の不調に悩まされ続け、今回の手術を受けるまでに6回も外科手術を繰り返してきたという。執刀医チームは Richards さん自身の骨盤の CATスキャン( X線体軸断層撮影 )データを基にインプラントを設計し、ベルギーの医療用インプラントメーカー Mobelife に3Dプリントを依頼して製作。同時に、患者本人の骨髄から採取した細胞をインプラントと骨盤の隙間を埋めるように移植し、術後のインプラント周辺の新しい骨の生成を促進し、周囲の骨と完全に融合するようにして、今後の外科手術も不要にするための処置も取った。

「医療技術の進歩はすばらしい。これを最後の手術にしたい」と、Richards さん。「このような最先端の手術を受けられて興奮している。この手術はきっと私に恩恵を与えてくれると思う」。

同病院整形外科顧問医で執刀医の Douglas Dunlop 氏は、次のように述べている。「今回の手術が患者さんに与えるメリットは挙げれば切りがない。インプラントとして使用したチタンは他のどの素材に比べて極めて耐久性が高く、また患者さんの身体のサイズにジャストフィットするように3Dプリンターで製作可能であり、過去にもこのようなカスタムメイド型インプラント術に使用されている」。

また、サウサンプトン大学教授 Richard Oreffo 氏も、次のように述べている。「CAT スキャンデータに基づくチタン製人工骨インプラントの3Dプリントと、患者本人から採取した幹細胞から作った移植片を組み合わせたこのような手術は、患者にとっても好ましい結果をもたらすだろう」。

3Dプリント技術を援用した外科手術には、人工顎骨や人工骨盤などいくつか先例がある。腰の骨に関しては今年2月、Mobelife が、15歳のスウェーデン人少女のために3Dプリント製のインプラントを製作、退院後に再び歩けるようになった成功例がある。


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