2015年5月10日日曜日

5,000 ドルで買える小型3Dバイオプリンター「 BioBots 」

米国ペンシルベニア州発:再生医療分野における「3Dバイオプリンティング」技術の開発は、既に 10 年以上の歴史がある。例えばノースカロライナ州ウェイクフォレスト大学泌尿器学科長の Anthony Atala 医博や、サンディエゴ市に本拠を置く Organovo Holdings Inc. ( NYSE MKT:ONVO )などは、3Dバイオプリンティング分野の先駆的存在と言える。ただ、既存バイオプリンターはいずれも超大型、しかも1台数百万ドルは下らない超ハイエンド仕様のものしかなかった。

そこでペンシルベニア大学で学ぶ Danny Cabrera、Ricardo Solorzano、Sohaib Hashmi 3氏は学生寮の部屋で、「コンパクト、低価格、高性能」を全面に出した新型3Dバイオプリンターの試作機を製作した。その後数度の改良を経て、最終製品版を完成させた。

BioBots 」は、見た目はごく普通のデスクトップ型3Dプリンターながら、高解像度のバイオプリンター。価格は僅か 5,000 USD だ。

「 BioBots 」の特徴は、光開始剤粉の特殊インクを採用した点にある。従来方式による生体素材の立体構造組成には加圧方式、UV 照射方式等が使用されていたが、「 Biobots 」の特殊インクは特定波長のブルーライトに当たると固まる性質を持つ。この特性を利用して生体素材の3次元出力が可能になるという。

Cabrera 氏によれば、加圧方式、UV 方式は共に生体組織に悪影響を及ぼす恐れがあるが、「 BioBots 」の方式なら効率的かつ安全だという。使用法も至ってシンプルで、出力する生体素材にこの特殊インク粉を混合するだけ。あとはこの混合物をプリンターに投入し、プリンターがこの混合物をフィラメントとしてノズルから押し出す。基となる3Dデザインデータは通常の3Dプリンターと同じようにプリンターに送信可能なので、手持ちの3D CAD、3D モデリングソフトが利用できる。

また同氏によれば、この新型3Dバイオプリンターは、新薬開発にかかるコスト削減にも役立つはずだという。3Dバイオプリントでヒトと動物の細胞とを組み合わせた人造組織を使用すれば、効果を発揮する最適な薬剤合成についての理解が深まり、結果的に何百万ドルもの新薬開発コスト削減になる」。

BioBots は昨年設立され、Cabrera 氏ら設立者3名は、国内の医療研究者からのフィードバックを得るなどして、更なる改良を重ねるとしている。同社の目指すビジョンは、「すべての医療研究者が使える3Dバイオプリンターを提供すること」。このような小型・低価格帯の3Dバイオプリンターがさらに登場すれば、再生医療分野におけるバイオプリンティング技術の研究開発も加速され、一段と活気を帯びてくるだろう。

参照元記事1
参照元記事2