コンシューマー向け 3Dプリンターは今や銃からキャンディーまで作れるが、 トロント大学チームが取り組んでいるのは、 手足を失ったウガンダの子供たちの人生を、 3Dプリントした義肢を提供して変えることはできないか、 という試みだ。
「我々は、ともすれば '動く' という能力を当たり前のように考えがちです。 ですが発展途上国では、切断手術を受けたり先天性の病気により、 自分たちだけでは体を自由に動かせない子供たちが大勢います。 世界保健機関( WHO )によると、途上国では義肢の技術者が現在約4万人も不足しています。今後 15年間、技術者養成に取り組んだとしても、送り出せる技術者は18,000人に過ぎません」と、同大学情報学部教授 Matto Ratto 氏は指摘する。
Ratto 教授のチームはこの問題解決のため、コンシューマー向け 3Dプリントおよび 3Dスキャン技術を活用している。 この2つの技術があれば義肢製作も容易になるから、 それだけ義肢技術者の需要も減らせるという。
「まず残った部分の 3Dスキャンを取り、それを 3Dモデルデータ化して義肢を支える樹脂製の受け口を 3Dプリンターで出力することを目指します」と、 同教授は取材に対して語った。
通常、 義肢に合う受け口製作には高い技術を有する専門技術者が必要で、 しかも製作に数日はかかり、人為的ミスの入り込む可能性も高い。 だが、トロント大学チームは 義肢の受け口を3Dプリントすることで、 高度な専門技術がなくても製作可能で、 製作に要する時間も劇的に減らしたいと考えている。 3Dプリント化すれば製作時間は7-10時間に短縮され、 また一貫して安定した品質で出力可能だという。
トロント大学チームはウガンダの NGO、Comprehensive Rehabilitation Services in Uganda ( CoRSU )病院でプロジェクトを試行する。最終的には 3Dスキャニングおよび 3Dプリントをすべて現地で実施する予定。
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