2016年1月4日月曜日

1,700 °C を超える高温にも耐える3Dプリント可能な夢のセラミック素材を開発

米国カリフォルニア州発:マリブ市に拠点を置く Hughes Aircraft Company 研究部門 HRL Laboratories は現地時間 1 月 1 日、3Dプリント後に極めて高い耐久性能を持つセラミックに「変身する」新しい光硬化樹脂を開発したと発表した。

同研究所上級化学エンジニア Zak Eckel 氏および 上級化学者 Chaoyin Zhou 博士によると、この新しい光硬化樹脂は通常の SLA 方式で3Dプリント後、焼結処理することで 1,700 °C を超える高温にも耐えられる超高剛性セラミック素材へと変化し、既存セラミック素材の約 10 倍の強度を持っているという。

従来製法によるセラミック素材はポリマーや金属素材と異なり成形加工が困難なため、粉末粒子を焼結する方式が用いられてきた。この製法でできたセラミックは無数の微細空洞の集合素材であり、必ずしも望み通りの形状が得られず最終強度にも限界があった。

Eckel 氏らが開発したこの光硬化樹脂は「プレセラミックモノマー」と呼ばれ、焼結処理後にシリカ炭化珪素の極小多孔質構造に変わるため、従来製法によるセラミックの短所を解決するとしている

同研究所上級サイエンティスト Tobias Schaedler 氏は、このプレセラミック樹脂は「ポリマー素材と同様に様々な形状に3Dプリントした後、焼結処理してセラミック化させることが可能」だとし、「これはまさに驚異的ブレイクスルーだ。超高温に耐え、非常に強いセラミック製品が成形 / 圧縮といった加工不要でいかなる形状にも製造可能になる。ジェットエンジンや超音速旅客機用の大型部品から、マイクロマシンシステム内部の微細で複雑なパーツまで、ありとあらゆる製品部品が製造可能になるかもしれないと述べている。また、次世代宇宙船建造用部材としても使用可能な画期的素材となるだろう。

今回の研究成果は Science Vol. 351 Vol. 351 no. 6268[ pp. 58-62 ]に掲載されている。



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