2016年3月4日金曜日

グラフェンエアロゲル素材の3Dプリント技術を世界で初めて開発

米国ニューヨーク州発:ニューヨーク州立大学バッファロー校およびカンザス州立大学の共同研究者グループはこのほど、グラフェンエアロゲル素材の3Dプリント技術を世界で初めて開発したと学術誌 Small 電子版上で発表した。

グラフェンは厚さわずか炭素原子1個分から成るシート状素材で、2004 年、英マンチェスター大学の研究者が初めて作成に成功した。高剛性素材で、熱伝導や導電性に極めて優れているとされる。エアロゲルはゲル中に含まれる溶媒が気体に置換された多孔性物質で、最も軽い希ガスのヘリウムよりも軽い[ 乾燥剤のシリカゲルもその仲間 ]。グラフェンエアロゲルは高圧縮性かつ高導電性を持つ近未来の素材と期待されるが、従来の3Dプリント技術では加工困難で、作成途中で素材自体が破壊される欠点があった。

同研究者グループはこの欠陥を解消しようと、酸化させたグラフェンエアロゲル素材を水と混ぜたものを温度 - 25 °C の基台上に積層する方式を開発。水は凍って固体となり、これがサポート材の役目を果たす。プリント完了後、凍ったままの出力物を液体窒素に浸して「フリーズドライ」の要領で脱水。後は加熱して余分な酸素原子を除去すればグラフェンエアロゲル素材製品のみが残る。

こうして3Dプリントで作成されたグラフェンエアロゲル製品の密度は 0.5 kg / m³ - 10 kg / m³ で、再軽量だった作成物の密度はわずか 0.16 kg / m³ しかなかったという( 水の密度は 1,000 kg / m³ )。同グループでは今回新開発した3Dプリント技術を、他のエアロゲル素材にも応用できないか検討しているという。



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