2016年3月7日月曜日

米研究者グループが3Dプリンターの「作業音」で勝手に複製される危険性を警告

米国カリフォルニア州発:カリフォルニア大学アーバイン校( UCI )研究者グループはこのほど、3Dプリンターから発せられる作業音をスマートフォンなどで録音したものをリバースエンジニアリング処理することで、プリント中の3Dオブジェクトをどこでも「再現」できる危険性があることを初めて突き止めた。

同グループを統括する UCI 先端サイバーフィジカル融合研究所長 Mohammad Al Faruque 氏によると、3Dプリンターから発せられる音から、プリンターヘッドの正確な位置や動作などが特定可能だとし、この作業音の録音データだけでコピーオブジェクトが作れるという。将来的には保護されるべき試作品等のデータ流出といった知財侵害行為につながる恐れがあるとしている。

「試作品段階でその製品の処理 / 製品情報が盗まれればその企業は多大な財務損失を被ることになる。今のところ、このような攻撃は防ぎようがないが、将来はなんらかの防御方式が開発されるかもしれない」。

Al Faruque 氏率いるグループは鍵形オブジェクトをプリントアウトする3Dプリンターで検証実験を行った。それによると、90 % 近い正確さでプリント中のオブジェクトの再現に成功したという。同グループはこの検証結果を来月オーストリアで開催されるサイバーフィジカルシステム( CPS )関連国際カンファレンスで発表する予定だ。

3Dプリンターの動作を制御する司令系統 G-code は強力な暗号化技術によって保護できるものの、一度プリント オペレーションが開始されれば保護されていた機密情報もあえなく漏洩してしまう。Al Faruque 氏はエンジニア達に対し、3Dプリンターから無防備に発せられる作業音をカットする方法、たとえばホワイトノイズ等の不規則音響を発生させたりアルゴリズム的解法を実装するといった方法を提案しているが、録音機能のあるスマートフォンを手にした人間を3Dプリンターに近づけないようにすることが最善策かもしれないとコメントしている。



参照元記事1
参照元記事2